OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

リンダ・ロンシュタットがブレイクした頃

2011-09-30 14:58:42 | Rock

ダイスをころがせ c/w 花嫁にはなれない / Linda Ronstadt (Asylum / ワーナー)

1970年代を代表する女性ボーカリストとして、リンダ・ロンシュタットはウエストコーストの歌姫と称されたほどの人気がありました。

もちろん彼女は現在でも、ウエストコーストロックに留まらない大衆音楽の世界で立派に活躍しているわけですが、やはり彼女の歌声こそがアメリカ西海岸のフィーリングを象徴するひとつの事例として、特に我国ではちょいとお洒落な喫茶店とかカフェバーあたりの定番BGMになっていましたですねぇ。

ちなみにそうした場所の店内インテリアは、明らかにウエストコースト中華思想に基づく造りで、当時の若者には必読雑誌だった「ポパイ」とか「ホットドッグプレス」等々と連動(?)したかのような雰囲気だった事も、今は懐かしいばかりです。

で、肝心のリンダ・ロンシュタットは1960年代中頃から、流行のフォークロックをストーン・ポニーズというバンドのボーカリストとして歌っていたんですが、1969年頃の公式ソロデビュー時にはカントリーロックにシフトチェンジしていたようで、それなりに小ヒットも残しています。

今日では、この時期に実質的な初期イーグルスとなる面々がバックバンドだったという事が有名になっていますが、さりとて彼等が完全に揃ってレコーディングした音源は残されておらず、言わばひとつの伝説というところでしょうか……。

しかし、そうした人脈こそが、所謂ウエストコーストロックの主流となって、リンダ・ロンシュタットをブレイクさせた大きな要因だった事は決定的で、例えば他にもJ.D.サウザー、ジョン・ボイラン、ピーター・アッシャーといった有能なソングライターやプロデューサの目指す方向と彼女の歌声は、きっちり合っていたと思います。

さて、そこで本日ご紹介のシングル盤は、リンダ・ロンシュタットが大きくブレイクした1977年に発表のアルバム「夢はひとつだけ / Simple Dreams」からのカットなんですが、A面「ダイスをころがせ / Tumbling Dice」はご存じ、ストーンズの大ヒット曲をカバーした名唱の極みつき!

実はリンダ・ロンシュタットと言えば、後にはR&Bやニューウェイヴ系の曲まで歌うことになるんですが、この時点では、あくまでもカントリーロックやポピュラー系の色合いが強く、それゆえにロックの王道たるストーンズの演目をやるというのは、長年のファンにとっても、なかなか違和感があったんじゃないでしょうか?

まあ、このあたりは、それほど彼女に思い入れの無いサイケおやじの個人的な感想にすぎませんが、それゆえにリンダ・ロンシュタットのバージョンを初めて聴いた時には、なにか特別に新鮮な感じがしましたですねぇ~~♪

だって、それもそのはずっ!?

彼女はストーンズのオリジナルの歌詞を一部分、変えて歌っていたんですねぇ。

なにしろストーンズのバージョンは、ヤッてヤッてヤリまくるためにゼニを稼いでいるのに、それでもヤリきれない願望を歌っているらしいんですから、女性ボーカリストがストレートに演目に入れるわけにはいかないでしょう。

そこで部分的にヤラレる立場も含めて、歌い直した比喩の本歌取りのような解釈にしているのかもしれません。

ただし、それもまた、サイケおやじの勝手な思い込みである事をお断りしつつ、相当にグルーヴィなリンダ・ロンシュタットの歌い回しは、カントリーロックのスワンプロックへの先祖帰りとでも申しましょうか、まさに鶏と卵の関係にも似ているわけですが、これが素敵なウエストコーストロックの大王道♪♪~♪

ちなみに演奏に参加したメンバーはワディ・ワクテル(g.vo)、ドン・グロニック(key)、ケニー・エドワーズ(b,vo)、リック・マロッタ(ds)、ダン・ダグモア(sg) 等々の猛者揃いですから、ヘヴィなビートと軽やかなリズムの兼ね合いも流石の一言ですし、なによりも当時の西海岸をダイレクトに想起させてくれる録音の感じが、今のお若い皆様には分かっていただけるでしょうか。

一方、B面収録の「花嫁にはなれない / I Never Will Marry」は伝承歌をリンダ・ロンシュタット自らがアレンジした、これぞの西海岸カントリーという事で、カントリー&ウェスタンの女性スタアとして揺るぎない地位を確立していたドリー・パートンがゲスト参加♪♪~♪ アコースティックなサウンドをバックに絶妙のツインボーカルでシミジミとした情感を醸し出した名唱名演が最高ですよ。

いゃ~~、今日聴いても、なかなか素敵なカップリングシングルだと思います。

ただし当時は既にLPで音楽を楽しむのが主流であり、我国でも輸入盤が安く買える環境になっていましたから、このシングル盤がどの程度売れたのかは、ちょいと疑問です。

しかしサイケおやじが中古ながら、あえて入手に踏み切ったのは、ジャケットの面白さというか、掲載画像は小さいので分かりづらいと思いますが、なんと表題タイトル「ダイスをころがせ」の上に細かい文字で、「みんな私を犯そうとするの……」なぁ~んて書いてあるんですねぇ~~~!?!?

そしてB面曲の邦題が「花嫁にはなれない」ですからっ!?!?

もはやレコード会社の担当者は、何を考えていたのかっ!?

思わずニヤリとするしかありません。

それとジャケ写左下の「手」や右側の影の中に浮かび上がっている「顔」のような、丸っきり心霊写真の如き画像も、局地的に話題になっていたと記憶しています。

ということで、やはり日本盤シングルは面白いし、蒐集の対象となるのも必然性があるんですよね。

最後になりましたが、リンダ・ロンシュタットのブレイクにより、それまでの女性ボーカリストはプロ、アマを問わず、ロックだったらジャニス・ジョプリンスージー・クアトロ、あるいはマリスカ・ヴェレスあたりをお手本にしていたところを、彼女にシフトする流行が確かにありましたですねぇ~♪

実際、サイケおやじが学生時代に入れてもらっていたバンドでも、歌いに来る女性はリンダ・ロンシュタット風なのが当たり前のような感じでした。

そんな事も、今は懐かしく思い出されるのでした。

コメント (2)
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