■愛・つづれ織り / 天地真理 (CBSソニー)
今頃の季節になると思い出してしまうのが、昭和54(1979)年12月に発売された天地真理の3年ぶりのカムバック作「愛・つづれ織り」をA面に入れた本日掲載のシングル盤です。
皆様ご存じのとおり、天地真理はデビュー当初から大ブレイクしたトップアイドルであり、猛烈・苛烈なスケジュールの中で心身共に蝕まれていたのでしょう、諸々が積み重なって、昭和51(1976)年末に出したシングル曲「夢ほのぼの」以降は芸能界の表舞台から姿を消してしまったわけですが、その間には我々ファンにとっては知りたくもない裏事情までもが当然の真実の如く巷間に広く流布し……。
ですから、サイケおやじが昭和54(1979)年秋、ど~やら天地真理がカムバックのレコーディングをやっているらしい云々という情報を耳にしてみれば、後は自ずと彼女の再起を待ち望むばかりでしたねぇ~ (^^)
そして、いよいよ掲載盤が発売されれば即ゲットは言わずもがな、もちろん、それ以前より、ラジオ等々で件の新曲「愛・つづれ織り」が流れていましたから、それは正直、悲喜交々?
なにしろ、作詞:松本隆&作曲:森田公一が企図提供したところは、大人になった天地真理を想定した歌詞の世界に驚くなかれ、頭サビからAメロの前に――
2月10日晴れ
―― という、独白的セリフが置かれており、それを天地真理が、ほとんど「らしからぬ」無機質に語ってから、主旋律を歌い続けるというあたりの「あざとさ」に近い仕掛けには、正に「3年間の空白」を感じさせられたものです。
また、さらに違和感を覚えたのは、歌詞の内容とはズレた感じの明るい曲調に全盛期の天地真理を想起させられる弾んだ雰囲気のアレンジが附されている事で、これは編曲を担当した渡辺茂樹の仕事というよりも、プロデュース全体の意向であったとしたら、良くも悪くも「天地真理」という商品イメージを大切にし過ぎた感があると思うんですが、いかがなものでしょう。
そして、そ~思ってしまえば、ジャケ写のAORなムードが活かせなかったというか、逆に言えば、せっかくのカムバック作ですから、このジャケ写イメージとリンクしたニューミュージック寄りのサウンドを聴かせる楽曲であって欲しかったんですよ、時代的にもねぇ……。
天地真理の歌唱にしても、「真理ちゃん」がド真ん中の声質と節回しは健在でしたから、往年の雰囲気を求めるファン心理を大切にしたという狙いにも共感は覚えるものの、サイケおやじとしては、ちょっぴり古い感じの楽曲を耳にしていた後にレコード屋の店頭で邂逅した掲載シングル盤のジャケ写には、ちょっぴりドギマギさせられた事を告白させていただきます <(_ _)>
ということで、全くヒットしなかったとはいえ、やはり天地真理の再起を喜んだファンには、ど~しても外せないのが、この「愛・つづれ織り」だとしたら、大切にしておきたいレコードになっているんじゃ~ないでしょうか。
少なくとも、サイケおやじは、そ~です (^^;