今日は忘年会! 若い頃はそれなりに楽しみにしていたものですが、今となっては……。決意表明として、芸はしないぞっ!
体質的に酒に酔わないので、喰うことに専念しよう!
ということで、本日は――
■Yardbird Suite / Herbie Mann (Savoy)
ハービー・マンと言うと、あの祭囃子みたいな笛と太鼓! そう、思わず連想してしまう皆様も多いでしょうか? いや、それは私だけかもしれませんね。チャカポコリズムにピーヒャラはしゃいだ楽しい演奏は、それだけで充分に価値があると思います。
しかしハービー・マンの本質は優れたジャズ演奏家であり、最も知られたフルート奏者に違いありません。
このアルバムは純粋にモダンジャズに打ち込んでいた当時を伝える素晴らしい1枚で、録音は1957年5月14日、メンバーはハービー・マン(fl,ts)、フィル・ウッズ(as)、エディ・コスタ(vib,p)、ジョー・ピューマ(g)、ウエンデル・マーシャル(b)、ボビー・ドナルドソン(ds) という、些かシブイ顔ぶれです――
A-1 Yardbird Suite
モダンジャズの神様=チャーリー・パーカーが自分の代名詞っぽく書いた名曲で、妙な親しみやすさがあるので、私は大好き♪ それをハービー・マンは力強い中にも白人らしいスマートな感覚で演奏してくれます。
全く正統派のフルートの妙技に続いては、エディ・コスタの硬質なヴァイブラフォンが良く歌い、フィル・ウッズは見事にチャーリー・パーカーの代役を務めます。ジョー・ピューマのギターも味わい深く、快適なビートを送り出してくるドラムスとベースも存在感があって、文句なしの名演だと思うのですが……。
何かが、足りない……。そう思うのも、また素直な気持ちかもしれません。
A-2 Here's That Mann
エディ・コスタがハービー・マンに捧げて書いたモダンジャズ曲で、フィル・ウッズのアルトサックスとハービー・マンのテナーサックスが、絶妙のコントラストを聴かせてくれます。
もちろんフィル・ヴッズは烈しくドライブしまくって火傷しそうなアドリブに専念しますが、ハービー・マンは如何にもというレスター派の滑らかなスタイルにハードバップ味を混ぜ込んだ、些か不器用なものを聞かせてしまいます。
そして間に入って奮闘しているのが、エディ・コスタのヴァイブラフォンというわけでした。
A-3 One For Tubby
ジョー・ピューマが書いたクールでスマートなオリジナル曲ですから、エディ・コスタのヴァイブラフォンが良い感じ♪ ジョー・ピューマのギターも基本に忠実なコードワークで嫌味無く、このあたりは白人系ジャズの真骨頂かもしれません。
それゆえにフィル・ウッズがちょいと煮えきらず、ハービー・マンも存在感が薄いという???の仕上がり……。ほとんどエディ・コスタのリーダーセッションかと思うほどです。
B-1 Squire's Parlor
これはフィル・ウッズの有名なオリジナル曲ですが、ここでは和み感覚を優先させた穏やかなテンポで、スマートに演奏されています。
ハービー・マンのフルートは、可もなし不可もなし……。しかしエディ・コスタのヴァイブラフォンが素晴らしい快演ですし、フィル・ウッズも派手さを押えたアドリブで、味わい深いところでした.
B-2 Who Knew
またまたハービー・マンがテナーサックスに持ち替え、フィル・ウッズと協調性の高い演奏を聞かせてくれます。ただし全体的には白人系の色合が強いので、芒洋とした雰囲気で……。まあ、それをブッ飛ばすのがフィル・ウッズの激情アルトサックスという仕掛けなんですが! う~ん、このウネリと熱き心は最高ですねぇ~♪
またエディ・コスタがここでも快演ヴァイブラフォン! 本当にこの日は絶好調だったんですねぇ~~~♪ ジョー・ピューマのゴマカシの無いギターにも好感が持てます。
B-3 Opicana
再びジョー・ピューマのオリジナル曲で、モロに白人系のシャープでスマートな演奏ですから、ハービー・マンもようやく本領発揮♪ 地味なフレーズで歌心を表現していくところが、かえって潔い感じです。
そしてフィル・ウッズは何時もの調子で、ちょっと吹きすぎのようにも思いますが、結果オーライでしょうねぇ。エディ・コスタのヴァイブラフォンとジョー・ピューマのギターによる絡みも、なかなか味わい深いと思います。
ということで、完全にどーってことのないアルバムなんですが、時折、猛烈に聴きたくなるんですねぇ~、私は! なんでだろう? と自問自答しても、答えは出ないのですが……。
「サボイ」特有の、妙にキッチュなジャケットデザインも憎めません。