OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

そっくりショウ

2007-05-29 18:54:54 | Weblog

今日は気持ちの良い晴れでした。

ところが世の中はドロドロで、ある事件に関する、くだらん自殺者が後を絶たないなんて……。申しわけなくも、冥福を祈る気分にはなりません。

あぁ、嘆き節ばっかりだなぁ……。

ということで、本日は――

An Homage To Sonny Rollins / Emanuele Cisi (Philology)

アルバムタイトルとジャケ写から、偉大なテナーサックス奏者のソニー・ロリンズへトリビュートが一目瞭然!

本来、私は所謂「トリビュート」企画のオムニバスアルバムは、他人の褌の生温さがあって好きではないのですが、ひとりの情熱家が自分の存在意義を賭けて取り組む作品は、逆に気になってしまいます。

リーダーの Emanuele Cisi はイタリアを中心に活動している中年のテナーサックス奏者で、スティーブ・ガッド(ds) にソックリな面構えなんですねぇ。

まあ、それはそれとして、録音は2000年7月20日、一応ライブセッションのようですが……。メンバーは Emanuele Cisi(ts)、Sandro Gibellini(g)、Dario Deidda(b)、Luigi Bonafede(ds) となっており、ブックレットの写真からして、全員が白人の中年オヤジです。そしてもちろん、演目は全てソニー・ロリンズ所縁の名曲ばっかり――

01 Why Don't I
 原典は大名作「ソニー・ロリンズ Vol.2 (Blue Note)」に入っていた熱血ハードバップ! それにしてもノッケから、こんな歴史的名演にチャレンジするバンドの勢いには、中年者の居直りを超えたものを感じて、ちょっと熱くなります。
 もちろん Emanuele Cisi のテナーサックスからは、本家のフレーズとノリが生き写しで飛び出してきます。このあたりを物真似とかデッドコピーと蔑むか、情熱のパロディと許容するかで、このアルバムの楽しみ方が違ってくるはずです。
 リズム隊では、ギタリストの Sandro Gibellini がオクターブ奏法バリバリの痛快なアドリブを聞かせて、結果オーライ♪

02 Kids Know
 原典は「プレイズ・フォー・バード(Prestige)」に入っていた和みの小品ですが、本家のノリとメロディ展開の妙技を完全に会得したと言っては問題でしょうか……。なかなか上手くツボを押えた吹奏に撤する Emanuele Cisi のビュアハートは、微笑ましいところ♪

03 Strode Rode
 原典はジャズ史上に屹立する名盤「サキソフォン・コロッサス(Prestige)」ですから、これもかなり無謀な選曲です。なにしろ天才のアドリブに挑戦するわけですからねぇ。
 しかし Emanuele Cisi はソニー・ロリンズ十八番のリックをコピーしまくった成果を遺憾なく発揮! というか、オリジナルよりもテンポアップした中で、非常に上手いトリビュートを敢行しています。う~ん、わかっちゃいるんですが、思わず惹き込まれてしまいます♪
 中盤ではドラムスとの一騎打ちまでが用意されており、なかなか熱いです!
 それと Sandro Gibellini のギターが猛烈な熱演! またまた熱気が充満していきますよっ♪

04 Wynton
 原典は1984年録音の「サニー・デイズ(Milestone)」に入っていた、比較的新しめの演目で、優しさ溢れる隠れ名曲ですから、Emanuele Cisi 自身の歌心は? という疑問が氷解する演奏を聞かせてくれます。
 それはなんと、スタン・ゲッツ~ウェイン・ショーターあたりの音色とフレーズを巧みにイタダキ! なかなか味な真似をやってくれます。
 またリズム隊の落ち着いた伴奏も秀逸ですねぇ~♪ 不思議な和みが広がっていく素敵な時間が過ごせます。

05 Duke Of Iron
 これも新しめの原典で、1987年録音の「ダンシング・イン・ザ・ダーク(Milestone)」に入っていた、十八番のカリプソジャズ♪ とくれば、バンドは楽しくグルーヴしまくりです♪
 まず Sandro Gibellini が最高に楽しいフレーズを連発すれば、Emanuele Cisi はソニー・ロリンズのコピーに撤していて、良くも悪くも凄いの一言です。まあ、楽しければ、それで良いんでしょうけど……。

06 Without A Song
 またまた大名盤「橋(RCA)」でソニー・ロリンズが畢生の名演を記録したスタンダード曲を取上げています。
 しかもその時とバンド編成が同じなんですから、たまりません。なんか別テイクを聴いているような気分にもさせられます……。このあたりは物真似芸に接しているような感じなんですが、素直に似ていることに拍手して楽しむのが疲れないでしょう。
 うん、まあ、いいか。
 演奏そのものはアップテンポの快演です。

07 No More
 初期の名盤「ソニー・ロリンズとMJQ(Prestige)」に入っていた正統派ビバップ曲なので、ここでも極めて真っ当なハードバップを聞かせてくれるバンド全員の姿勢が潔い限り!
 特にミディアムテンポながら弾むようなビートを生み出しているリズム隊は見事ですし、素直にノセられてソニー・ロリンズの物真似に勤しむ Emanuele Cisi の屈託の無さが素敵だと思いますねぇ。
 しかも、所々でジョン・コルトレーンの痕跡が見え隠れするあたりに、この人のルーツが垣間見えて、ニヤリとさせられます。

08 Airegin
 出ました! オーラスはソニー・ロリンズのと言うよりも、これぞハードバップという大名曲です。あぁ、バンドの勢いも熱いです。
 Emanuele Cisi は前曲に続いて、ソニー・ロリンズばかりではなく、ジョン・コルトレーンの影響も滲ませた大熱演! このアルバムの中では一番の快演を聞かせています。う~ん、スティーヴ・グロスマンになっているところまでもっ!
 個人的には、こういう路線に撤した方が、この人の為かと、余計なお世話を焼いてしまいますねぇ……。とにかく大嵐の爆裂吹奏なのでした♪

ということで、あまりにも露骨というか見事なソニー・ロリンズ物真似大会なので、笑っちゃいますという皆様もいらっしゃるでしょうねぇ。これを楽しさとするか、猿真似として激怒するかは、リスナーの感性が全てだと思います。

何かの機会があったら、聴いてみて下さいませ。それなりに、おっ、と感ずるものがあるかと……。

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