パーティとか宴会、どうも、そういう場所が苦手です。
心にも無いことを言って、美味しい人脈を作ろうとしている自分が嫌になったり……。
本日も、これからそういう場に行きますが、また、心にも無いことを言う自分がいるでしょう。
ただし、政治家のパーティとかは、普段は決して接することの出来ない、超一流クラブのママとかホステスさんが、コンパオンのように来ていますからねぇ♪
ついつい強い下心が動いたりする自分もいるわけでした。
ということで、人生、素直に楽しむという、この1枚を――
■Girl Talk / Yama & Jiro's Wave (three blind mice)
綺麗なモデルのお姉さんが2人♪
う~ん、当にタイトルどおりだし、演奏が Yama & Jiro's Wave !???
発売されたのは、確か1976年というクロスオーバー改めフュージョンの全盛期とあって、ジャケットを見ただけじゃ、完全にそれ風の内容かと思いましたが!
なんと中身は、日本が世界に誇る人気ピアニストの山本剛トリオが、正統派のモロジャズを演じた秀逸盤です!
まあ、当時の日本発売LPは「帯」が付いていたので、店頭では直ぐに分かる仕掛けだったんでしょうが、私は最初、某ジャズ喫茶で新着アルバムとして壁掛けになっていたジャケットを見たのです。
録音は1975年12月17日、メンバーは山本剛(p)、大由彰(b)、小原哲次郎(ds) という、気心の知れたトリオです――
A-1 The Way We Were / 追憶
バーブラ・ストライザンドが主演した1973年の映画「追憶」のテーマ♪ もちろんその主題歌も本人が歌って大ヒットさせたという、リアルタイムのヒット曲を堂々と演じています。
もちろん原曲の味わいであるリリカルなところを存分に表現する山本剛のピアノタッチは綺麗ですし、持ち味のブルースフィーリングを少~し滲ませた展開は流石だと思います。要所でツッコミを入れる大由彰のベースも、アルコ弾きを交えて、実に良いですねぇ~。
しかし、なんか物足りないのも事実……。ちょっとヨソイキかもしれません……。
A-2 Girl Talk
ところが、続くこの演奏が最高の雰囲気です!
作曲は数々の粋な名作を沢山書いているニール・ヘフティですから、山本剛も迂闊な解釈は出来ないという心意気でしょうか、とにかくブルース&ソウルを大切にした黒~い展開は、もう、たまりません。
緩くてタイトなベースとドラムスが、実にがっしりとした骨組みを作れば、山本剛は私が大好きな「納豆グルーヴ」に撤します♪ そしてトリオは、グイグイと盛り上げては、スゥッ~と沈殿しする繰り返しで山場を作っていくんですねぇ~♪
このあたりは、ツウなジャズマニアや一部の評論家の先生からは軽んじられるところなんですが、この粘りと味は日本人だけの美徳だと、私は断言します。実際、こんなスローなテンポで、これだけグルーヴィな演奏が出来るピアノトリオは、当時の世界ジャズ界でも珍しい存在だったと思いますねぇ。皆、フュージョンにウツツをぬかしていましたから……。
あぁ、何度聴いても、惹き込まれます! 最高!
A-3 Gone With The Wind
一転、軽いテンポで有名スタンダード曲が演じられます。そのキモは軽快でシブイという小原哲次郎のブラシの気持ち良さ♪ このレーベルだけのバランスの良い録音ですから、本当に最高です。
もちろん中盤からはステックに持ち替えて、ますますシャープに演奏を煽ります。
すると山本剛は、軽妙なスイング感に加えて、持ち前のネバリを遺憾なく発揮していきますから、演奏は何処までも明るく楽しいモダンジャズになっています。
B-1 Take Thet‘A’Train
ゲッ! なんとフリージャズですよ!
曲は説明不要というデューク・エリントン楽団のヒット曲なんですがっ!?
いゃー、呆気にとられるというか……。
と思った次の瞬間、トリオは徐々にA列車の世界に入り込み、クリフォード・ブラウン(tp) が使っていたアレンジを流用しつつ、豪快な演奏に突入していきます。
そしてそれはアップテンポのハードバップになるのでした。
B-2 I Love You Porgy
私の大好きな曲で、これが入っているアルバムはノー文句で入手するのが、私的定法♪
ここでの演奏は非常に素直なメロディ解釈なので、和みます。
山本剛のピアノタッチは綺麗でいて、ジャズ者の琴線に触れるような「何か」がありますねぇ♪ 微妙なネバリとかオフビート感覚という文章表現しか出来ない私の稚拙な筆よりも、まずは絶対に聴いていただきたい世界が展開されています。
また、こういうスローな演奏で、尚一層にシブイ輝きを放つ大由彰のベースが、ニクイところです。
B-3 What Now My Love / そして今は
おぉ、今度はシャンソンの名曲ですかっ!?
しかも正統派ハードバップのピアノトリオ演奏にしてしまったという!!!
いやはやなんともの解釈かもしれませんが、こうまでグルーヴィにやられては、素直に楽しむ他はありませんですねっ♪ 山本剛は歌心全開のフレーズを連発しています。
B-4 Autumn In New York
オーラスは、しっとりとしたスタンダード曲の解釈に、またまた和みます。
ここでの山本剛のピアノは、力んだところが無いですから、ガチガチのジャズファンには軽く聴こえるかもしれませんが、実に奥深く、それでいてイヤミの感じられない潔さが素敵だと思います。
中盤からの軽妙洒脱な展開は、ジャズの楽しさに溢れています。
ということで、これもフュージョン全盛期に出た真正4ビートの1枚でした。
しかし当時は時代遅れだとか、後ろ向きだとして、ジャズ喫茶では、あまり鳴っていなかったと記憶しています。
それでも自宅でシミジミと楽しんでいたファンは、案外、多かったんじゃないでしょうか? もちろん私も、その中のひとりです。
とにかくタイトル曲「Girl Talk」の雰囲気の良さは筆舌に尽くしがたいです! 皆様にはぜひとも、シビレていただきたいと願っているのでした。
コメント、感謝です。
山本剛の「Girl Talk」を生ライブで聴けたんですかぁ~!?!
完全に羨ましいです。
この人のライブ、何時だって最高ですから!
山下剛のGirl Talkは以前ライブでの覚えがあります。これは解説を見るまでもなく、ぜっっったいにお薦めでありましょう。