週明けから仕事はゴタゴタとトラブルばっかりで、完全に身動き出来ません。よくも、まあ、これだけ色々と仕出かしてくれるもんだ……。
と、今日も私は嘆き節全開ですが、心底、幸せな気分を欲する時に聴くのが、本日の1枚です――
■Strokin' / Richard Tee (Tappan-Zee)
リチャード・ティーは1960年代後半から活動しているアメリカの黒人ピアニストで、その守備範囲はスタジオ・ワークが中心ですが、1970年代中頃からはご存知、スタジオ系フュージョン・バンドのスタッフで大ブレイクした名人です。
そのスタイルは、ぐわ~ん、と地の底から湧き上がってくるようなキメのブロック・コード弾き、あるいはメロウなエレピの響きがたまりません。当然、歌伴とかバックにいて輝く人なのです。
しかし、そういう縁の下の力持ちでありながら、当時のリチャード・ティーは大変な人気で、とにかく、この人が演奏メンバーとしてクレジットされていれば、主役は誰であれ、そのアルバムが売れたという時期が本当にあったのです。それはもちろん、伴奏で真価を発揮するリチャード・ティーだけのピアノ・スタイルが快感だったからです♪
私も好きでしたねぇ~。何とも言えない幸福感があるコードを弾いてくれるんですよ♪ それだけで良かったんです。
で、そのリチャード・ティーがリーダー盤! というのは、いくらフュージョン全盛期でも驚きました。それまで録音は多数残していた人でしたが、アドリブ・ソロらしき事をやったのは、極めて少なかったのですから……。
それがこのアルバムなのです。しかし杞憂でしたねぇ~♪ 何時もながらの幸せなメロー感覚をたっぷり作り出していたのです。録音・発売は1978年、メンバーはリチャード・ティー(p,elp)、チャック・レイニー(b)、エリック・ゲイル(g)、スティーブ・ガッド(ds)、ラルフ・マクドナルド(per) 等々を軸に、ホーン隊にはトム・スコット&ブレッカー兄弟という豪華版! しかも曲が良いんですね~♪
中でも特に私が好きなのがタイトル曲の「Strokin'」で、徹底的なブロック・コード弾きで魅惑のテーマからアドリブ部分まで押し通すリチャード・ティーは、もう最高です。もちろんその部分はカラオケにもなりますから、スピーカーの前では好きな楽器でメロディを入れることも出来ますし、続けてマイケル・ブレッカー(ts) が泣きのアドリブを炸裂させるあたりは、本当に悶絶です。なんて素敵な曲なんでしょう、この展開やコード進行は、当時の日本のAORとかニューミュージックでさんざん、パクられているほどです。
それとA面ド頭の「First Love」も愛らしいメロディで人気がありますねぇ~。
そしてジャズ魂が噴出するのがオーラスの「A列車で行こう」で、思わせぶりなスローなピアノソロから、スティーブ・ガッドの爆発的なドラムスが入ってからの暴れ方は、なかなかのもんです。それもほとんどブロック・コード弾きで、ゴスペルになっていくのですよ。
ということで、これは個人的な幸せ盤なので、万人にはオススメ出来ませんが、ストレスがまったく解消出来ていない最近の私にとっては、タイトル曲だけでも、ささやかな幸せの5分22秒なのでした。
お茶の時間に聞くというのは、おやじギャグ……。