本日の朝日夕刊2面下段の方に見過ごせぬ記事が二つ並べて載っている。小さい方の一方はこう。『「再び韓国攻撃」北朝鮮に懸念 米高官、上院で証言 』。他方、その上のちょっと大きい見出しはこう。『軍事境界線を視察 米国両長官 北朝鮮牽制狙う』
目立たない小さな記事の方では、あの怪しげな天安沈没事件が、『「再び韓国攻撃」北朝鮮に懸念』と、いつの間にかさらに大きな好戦的姿勢アピールへと拡大されている。これでは、こう叫んでいるに等しいではないか。「間もなく攻撃がある。もはや戦争状態!」。その短い全文の半分ほどを占める書き出しも、こんな調子だ。
『米国の情報機関を統括する国家情報長官に指名されたクラッパー国防次官(情報担当)は20日、上院情報委員会の指名公聴会に提出した書面のなかで、北朝鮮が韓国哨戒艦沈没事件に続いて、再び同国を直接攻撃する可能性がある「危険な新時代」に入った、と証言した』
そしてこれの上のちょっと大きい方の記事は、史上『初めて』と記して、米国務、国防両長官がそろって南北軍事境界線を視察したことを報道している。やはり哨戒艦沈没事件を情勢認識の焦点に掲げて、勇ましげな声明などが続いていた。
『米国の国防、国務両長官が同時にDMZ(軍事境界線近くの非武装地帯)視察するのは初めて。韓国哨戒艦沈没事件を受け、北朝鮮を牽制する狙いがある』
『3度目となるゲーツ氏は記者団に対し、今回の訪問は「北朝鮮や世界に韓国の安全保障に対する我々の約束が確固たるものだという強いシグナルを送るためだ」と強調。初訪問のクリントン氏は「北朝鮮が方向を変えるまで、米国は韓国政府と国民のために力強く立ち、同盟国や友好国とともに韓国を守っていく」と語った』
これを読みながら僕は、90年に起こったイラク・クェート侵略後10数年してでっち上げられていった「大量破壊兵器疑惑、イラク戦争、フセイン一家皆殺し結末」までが思い出されてならなかった。中東、西アジアに世界の兵器が総結集され、大量消費されつつ、近隣各国にも大流通していたのだった。あれと同じ、「悪の枢軸」。
20年静かと言えた北東アジアで、新しい何かが起こされようとしている。日本はと言えば、普天間で示されたように、民主党政権がそれへの抵抗力を保持できないのではないかというような。そんな気で読むと、ヒラリー・クリントンの声明のこんな下りは、なんとも不気味至極に読めてくる。
『北朝鮮が方向を変えるまで、………力強く立ち………同盟国や友好国とともに韓国を守っていく』