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なぜこの当たり前の事実が・・・『ル・モンド』記事全訳   あんころもち

2012年07月22日 15時51分54秒 | 時事問題
 別項で、只今さんが触れていらっしゃる『ル・モンド』紙記事の全訳を見つけました。
 この場では、ほとんどの皆さんが共通にご存知の事実です。
 しかしこれらは、只今さんがご指摘のように大部分のメディア(その代表がNHK)によって無視され続けてきたものです。
 こうした事実を、海外のメディアによって報じられてから慌てて追随する報道関連の人たちは自らを恥ずべきです。
 また、もしそれが、ギリギリまで報道を管制するという「原子力ムラ」の有言、無言の圧力によるものであったとしたら(その疑いは濃厚なのですが)、日本のメディアは二重、三重に恥ずべきですし、また、私たちはより一層、メディアリテラシーの能力を身につけなければならないと痛感した次第です。

 少し長くなりますが、全文を再掲します。

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  「原子力とあじさいの花」

 一ヶ月前から毎週金曜日、日本では忘れ去られていた習慣が復活している:デモ。それも週を重ねるごとに参加人数が増えていく。大手メディアはほとんどこの事実に触れない。公共の放送局であるNHKは完全に無視している。一方で警察は、主催者によれば10万から15万人であるという参加人数を十分の一に減らして発表している。

 いったい何が首相官邸前に梅雨時の悪天候にも関わらず若者や若くはない者、家庭の主婦 、サラリーマンやアルバイト、僧侶、有名人や一般人を駆り立てるのか? 福島原発事故から一年と少しが経過した時期の原子力発電所再稼動への反対である。2011年3月11日の津波をきっかけに原発惨事を招いたのは特に人間の職務怠慢であると先日国会の委託を受けた専門家による調査は結論付けたばかりである。既知の事実を公認する形となったこの重たい報告は国家と原発を経営する大企業との間の対立を鋭くしている。

 何十年にも渡って反対者の声は鎮圧され、マスコミに無視されてきた。しかし今日、その一部は人々の耳に届くほどに大きくなってきている。現在行われているデモは、1960年の日米安保条約再調印に対する(遥かに規模の大きかった)デモや沖縄の米軍基地に対して何十年にも渡って続いてきているデモ以来最大規模のものである。それは果たして「紫陽花革命」(紫陽花の花はこの季節に咲く)につながるのだろうか? 7月16日には「さよなら原発」による呼びかけで別のデモが予定されている。船首に立つのはノーベル文学賞受賞者大江健三郎。10万人の参加が期待されている。

 デモの参加者人数をめぐる論争は政府の困惑ぶりを露見させる。行政サイドによる参加人数の過小評価を論破するため、7月6日に反対者側がチャーターしたヘリコプターから撮影された映像は驚異的な参加者数を証明した。異常なほどの警察動員やデモ開催地への最寄り駅である地下鉄出口の封鎖は、参加者を意気消沈させることを目的としている。また大手メディアの「慎重」な報道姿勢は、国にあまりに劇的な反対運動のイメージを与えることを阻止する効果があった。しかしながら参加人数問題を越えて、不満の雰囲気は明らかに感知される。

 世論調査によれば日本人の3分の2は脱原発に賛成している。「さよなら原発」が脱原発のために始めた署名運動は既に7百50万、また原発の是非を問う地方市民投票を求める署名運動は30万を集めている。しかし後者は東京と大阪の行政にはねつけられた。反原発運動は、野田佳彦首相による7月5日大飯原発(西日本所在)の再稼動の決定によって火をつけられた。さらに二基目が18日に稼動されることになっている。他の物もそれに続く予定だ。2011年3月11日以来日本にある50基余りの原発は定期検査のために一基また一基と停止されてきた。この二ヶ月間は全基停止した状態が続いていた。

 専門家達は、今回の再稼動を安全対策不足のため時期尚早であるとする。大飯原発は政府が危険を過小評価する活断層の真上に建っていると言うのだ。福島原発事故前同様、関西電力(Kepco)は大地震の再発しないことを天に祈るのみである。

 反原発運動は社会の発展を反映している。今までの仕組みが破綻し、デモへの参加は個人個人によって行われ、闘争の色は薄い。 人々は社会的ネットワークを介して集まるようになった。1960年70年代の反原発運動の中心は農業や漁業従事者(原発は海沿いに建っている)であり、彼らは自分達の生活様式を守るために闘っていた。さらに1986年チェルノブイリ事故後には女性達が環境保護運動の先鋒となった。

 福島原発事故以来、新たな反原発層が現われた。近年急速にその数の増えた臨時雇用者達である。若者が多く、フレキシブルな労働力という立場から時間に拘束されない彼らは、反原発運動の中に自分達をマージナルな存在に追いやる現在の社会経済体制に対する不満を表現する場を発見したのだ。彼らはまた原子力発電所現場で最も危険な仕事を負っている自分達の同類に共鳴する。ある若いデモ参加者は「停電?自分は貧乏だから電気代未払いのせいで知ってる」と話していた。やや短絡的な論議だが、原発安全神話の崩壊に呼応する「日本の底辺層」の不満を露見させるものである。

                                     フィリップ・ポンス記
コメント (1)
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