大西さんの「新聞の片隅に載ったニュースから(39)」です。 らくせき
ウミガメ上陸を確認 辺野古海岸アセス評価と反対(2012.7.25毎日新聞)
「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を県内移設する予定地の名護市辺野古の海岸に、
絶滅の恐れのあるウミガメが頻繁に上陸していることを沖縄防衛局で確認していたことが
24日、分った。
防衛局は、昨年末に提出した環境影響評価(アセスメント)の評価書で『移設で消滅する
海浜はウミガメの上陸に適していない』として影響は限定的と結論付けていた。
今回判明したのは反対の結果で、アセスの信頼性を揺るがし、移転問題に影響を与えそうだ。
ウミガメのアセス対象期間は07~08年だった。共同通信が対象期間後の10~11年に防衛局が
辺野古周辺で調査した海の生物の報告書を情報公開請求で入手した。
報告書によると、11年5月~8月の調査で、いずれも絶滅の恐れがあるアカウミガメや
アオウミガメが上陸した跡を計57件確認した。このうち13件(23%)は、移設予定地の
キャンプ・シュワブ沿岸とその周辺で見つかり、報告書は『上陸数が多かった区域』と
位置付けた。産卵やふ化の有無は調べていない。
アセスの際も同じ範囲を調べたが、この区域は07年6~10月の調査時はゼロ、08年3~10月は
全体の上陸跡の8%で、ウミガメの上陸に適したのは別の場所としていた。防衛局は、
共同通信の取材に『評価書で上陸の可能性がないとしていた場所でも複数の跡が
見つかった』と認めた。
県は昨年提出された評価書に対して『環境保全は不可能』との意見を示した。防衛局は
補正作業を進めている。
日本自然保護協会の大野正人さんは『影響を評価するのに2年間の調査では不十分だった
ことを示している。評価書の結論は覆る』と指摘している。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
記事の引用が長くなりましたが、正確を期すため全文をそのまま紹介しました。
沖縄防衛局は、沖縄県に提示した環境影響評価書と異なる結果をその後の調査で得ていた
にも関わらず、共同通信の情報公開請求を受けるまでこれを明らかにしませんでした。
本来ならば、評価書と全く違う調査結果が得られた訳ですから、評価書そのものを訂正する
ことを行なわなければならない立場です。姑息な態度と非難されても仕方ありません。
オスプレイの沖縄配備の問題でも、政府は沖縄県民の反対や訓練飛行コースに当たる
地区への危険性や国民の不安よりも、アメリカの意向を尊重する態度をとっています。
このアセス問題でも、アメリカと合意した辺野古移転を何としてでもやり遂げるために、
それの障害になる情報は隠蔽するという態度です。
沖縄県は、沖縄防衛局が提出した環境評価書では環境を保全することに重大な疑義が
あるとしています。基地建設関係者と関係の深い業者がアセスの実施を請け負ったことも
問題視されています。この際、担当者の中立性を確保した上でアセス全体をやり直すべき
だと思います。
大西 五郎
ウミガメ上陸を確認 辺野古海岸アセス評価と反対(2012.7.25毎日新聞)
「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を県内移設する予定地の名護市辺野古の海岸に、
絶滅の恐れのあるウミガメが頻繁に上陸していることを沖縄防衛局で確認していたことが
24日、分った。
防衛局は、昨年末に提出した環境影響評価(アセスメント)の評価書で『移設で消滅する
海浜はウミガメの上陸に適していない』として影響は限定的と結論付けていた。
今回判明したのは反対の結果で、アセスの信頼性を揺るがし、移転問題に影響を与えそうだ。
ウミガメのアセス対象期間は07~08年だった。共同通信が対象期間後の10~11年に防衛局が
辺野古周辺で調査した海の生物の報告書を情報公開請求で入手した。
報告書によると、11年5月~8月の調査で、いずれも絶滅の恐れがあるアカウミガメや
アオウミガメが上陸した跡を計57件確認した。このうち13件(23%)は、移設予定地の
キャンプ・シュワブ沿岸とその周辺で見つかり、報告書は『上陸数が多かった区域』と
位置付けた。産卵やふ化の有無は調べていない。
アセスの際も同じ範囲を調べたが、この区域は07年6~10月の調査時はゼロ、08年3~10月は
全体の上陸跡の8%で、ウミガメの上陸に適したのは別の場所としていた。防衛局は、
共同通信の取材に『評価書で上陸の可能性がないとしていた場所でも複数の跡が
見つかった』と認めた。
県は昨年提出された評価書に対して『環境保全は不可能』との意見を示した。防衛局は
補正作業を進めている。
日本自然保護協会の大野正人さんは『影響を評価するのに2年間の調査では不十分だった
ことを示している。評価書の結論は覆る』と指摘している。」
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記事の引用が長くなりましたが、正確を期すため全文をそのまま紹介しました。
沖縄防衛局は、沖縄県に提示した環境影響評価書と異なる結果をその後の調査で得ていた
にも関わらず、共同通信の情報公開請求を受けるまでこれを明らかにしませんでした。
本来ならば、評価書と全く違う調査結果が得られた訳ですから、評価書そのものを訂正する
ことを行なわなければならない立場です。姑息な態度と非難されても仕方ありません。
オスプレイの沖縄配備の問題でも、政府は沖縄県民の反対や訓練飛行コースに当たる
地区への危険性や国民の不安よりも、アメリカの意向を尊重する態度をとっています。
このアセス問題でも、アメリカと合意した辺野古移転を何としてでもやり遂げるために、
それの障害になる情報は隠蔽するという態度です。
沖縄県は、沖縄防衛局が提出した環境評価書では環境を保全することに重大な疑義が
あるとしています。基地建設関係者と関係の深い業者がアセスの実施を請け負ったことも
問題視されています。この際、担当者の中立性を確保した上でアセス全体をやり直すべき
だと思います。
大西 五郎