大西さんの「新聞の片隅に載ったニュースから(38)」です。 らくせき
原発の新増設は困難 連合、政策見直し案(2012.7.20朝日新聞)
「労働組合の中央組織で、民主党最大の支持団体である連合は19日、東日本大震災の発生を
機に検討していたエネルギー政策の見直し案を発表した。電力供給を安定させるため
既存の原発の再稼動を認める一方、新増設は困難とし、中長期的に依存度を下げる
べきだとした。ただ、電源の構成比の目標は示さなかった。9月に正式に決める。
連合は大震災までは原発は電力の安定供給に欠かせないと位置づけていた。
見直し案では、現在、停止中の原発については、安全対策の強化や国民の理解を
前提に再稼動を認めた。一方、原発の新増設は、「現時点では困難」との認識を示し、
「着実に進める」としていた従来の表現から方向転換した。電源構成については
再生可能エネルギーを原子力に代わる柱にする必要があるとした。
古賀伸明会長は昨年10月の定期大会のあいさつで、「最終的には原子力に依存しない
社会を目指していく必要がある」と「脱原発依存」を宣言していた。傘下の労組には、
より強硬な脱原発論もあったが、電力の安定供給や国内雇用維持の観点から、
現政権の方針に近い見直し案になった。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
原発の新増設は「現時点では困難」というのはどういう意味なんでしょう。よく分りません。
「困難だ」というのは「すべきでない」というのではなくて、素直に読めば「新増設すべきだと
思うが、今は反原発、原発再稼動反対の声が強いので、それを押して新増設を主張するのは
困難な状況だ」という意味にとれます。
連合は、「民主党内原発推進派の母体」(2011年6月18日付け中日新聞「特報」)の電力総連
(全国電力産業労働組合総連合、電力会社と関連企業の従業員の組合員22万人)を
主要組合として抱えています。電力総連は「数多くの組合員が原子力の職場で働いて
おり、日本のエネルギー政策の一翼を担っているということに自信と誇りを持っています」
「(福島第1原発の事故も)原因が分っていないのに、原子力発電を見直すべきかどうかの
議論はできない」というような主張を繰り返して、原発推進の立場をはっきりさせてきました。
また「新聞の片隅に載ったニュースから」の21号で紹介したように、東京電力労組の
新井委員長は中部電力の集会で福島第1原発の事故について「(東電に)不法行為は
ない。国の認可をきちっと受け、現場の組合員はこれを守っていれば安全と思って
やってきた」「次の選挙では、原発の反対する民主党候補者推薦を出すかどうかを
厳密に判断していく」と述べました。
記事では「傘下の労組には、より強硬な脱原発論もあったが」とありましたが、むしろ
大震災後も原発擁護の主張をしている電力総連の影響力の方が強く、昨年の定期大会での
古賀会長の「脱原発依存宣言」も後退して、「再稼動容認」の方針を決め、新増設については
曖昧な表現にしたと考えたほうが正しいように思います。
大西 五郎
原発の新増設は困難 連合、政策見直し案(2012.7.20朝日新聞)
「労働組合の中央組織で、民主党最大の支持団体である連合は19日、東日本大震災の発生を
機に検討していたエネルギー政策の見直し案を発表した。電力供給を安定させるため
既存の原発の再稼動を認める一方、新増設は困難とし、中長期的に依存度を下げる
べきだとした。ただ、電源の構成比の目標は示さなかった。9月に正式に決める。
連合は大震災までは原発は電力の安定供給に欠かせないと位置づけていた。
見直し案では、現在、停止中の原発については、安全対策の強化や国民の理解を
前提に再稼動を認めた。一方、原発の新増設は、「現時点では困難」との認識を示し、
「着実に進める」としていた従来の表現から方向転換した。電源構成については
再生可能エネルギーを原子力に代わる柱にする必要があるとした。
古賀伸明会長は昨年10月の定期大会のあいさつで、「最終的には原子力に依存しない
社会を目指していく必要がある」と「脱原発依存」を宣言していた。傘下の労組には、
より強硬な脱原発論もあったが、電力の安定供給や国内雇用維持の観点から、
現政権の方針に近い見直し案になった。」
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原発の新増設は「現時点では困難」というのはどういう意味なんでしょう。よく分りません。
「困難だ」というのは「すべきでない」というのではなくて、素直に読めば「新増設すべきだと
思うが、今は反原発、原発再稼動反対の声が強いので、それを押して新増設を主張するのは
困難な状況だ」という意味にとれます。
連合は、「民主党内原発推進派の母体」(2011年6月18日付け中日新聞「特報」)の電力総連
(全国電力産業労働組合総連合、電力会社と関連企業の従業員の組合員22万人)を
主要組合として抱えています。電力総連は「数多くの組合員が原子力の職場で働いて
おり、日本のエネルギー政策の一翼を担っているということに自信と誇りを持っています」
「(福島第1原発の事故も)原因が分っていないのに、原子力発電を見直すべきかどうかの
議論はできない」というような主張を繰り返して、原発推進の立場をはっきりさせてきました。
また「新聞の片隅に載ったニュースから」の21号で紹介したように、東京電力労組の
新井委員長は中部電力の集会で福島第1原発の事故について「(東電に)不法行為は
ない。国の認可をきちっと受け、現場の組合員はこれを守っていれば安全と思って
やってきた」「次の選挙では、原発の反対する民主党候補者推薦を出すかどうかを
厳密に判断していく」と述べました。
記事では「傘下の労組には、より強硬な脱原発論もあったが」とありましたが、むしろ
大震災後も原発擁護の主張をしている電力総連の影響力の方が強く、昨年の定期大会での
古賀会長の「脱原発依存宣言」も後退して、「再稼動容認」の方針を決め、新増設については
曖昧な表現にしたと考えたほうが正しいように思います。
大西 五郎