九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

「文学国語」こそ「人の力」  文科系

2020年07月16日 10時51分16秒 | 時事問題
15日の中日新聞で知ったが、高校国語の新学習指導要領による二分類国語教育が2022年から本格実施なのだそうだ。例の文学国語、論理国語とか、さらに加えて「実用国語」とかも入ってくる改定である。僕が思うにこの改定は、現代的焚書坑儒風教育とも言うべきものだ。以下のように、誰にでも分かる簡単な理由からである。何よりも、「実用的」「論理的」「文学的」と言う区分を普通の常識的思考・理解で考えてみれば分かることである。
 
 新生児は、目に見え、手で触れるものの言語、その知覚、知識からまず発達していく。それが小学中学年になると、目に見えず、手で触れない物事の言語、知識で飛躍していく。そのころには「僕は何何しました。そして次にまたこれを・・・」等という文章をいくら長く細かく書き連ねられても良い作文とは言えず、接続詞、形容詞とか抽象名詞などがどんどん入ってこなければならない。こういう文章を因果関係に目を付けて書くのが「論理国語」の走りなのだろうが、こういう因果関係というのは、まだまだ目に見える世界に近いのである。例えば、「地面が全部ぬれているから雨が降ったのだろう」とか、小学校の算数とかは、まだまだ目に見える世界の範囲とも言える。
 では、本当に目に見えない人間の世界とは、何か。その典型は人の心の世界だ。目に見え、手で触れる対象がない世界、学問分類でいえば、哲学、史学、文学など、人間文化を扱う世界である。「文学国語」らしいそれとはまさに、この人文科学領域の国語遣いを言うのであろう。心を表すどんな言葉も、目には見えないし、手でも触れない。「あれがまさに誠実を表す行動だ」などとは言えても、それで誠実という言葉が分かったことにはならない。ちなみに、旧制帝大以来の大学の学問は、この人文科学と、社会科学、自然科学の三分類があったはずだ。こうして、こんなことが言える。

 論理国語がどれだけ優秀でも文学国語(の世界)に弱ければこうなる。営業が出来ない。組織を動かせない。力のある政治家にはなれない。そもそも、人育て、子育てさえ苦手になるはずだ。なお、このブログでも書いてきたが「国語科は学問であるか」というよく出る問いは、この世界のある部分の学問性を疑うものである。ちなみに、こういう問いの底深さは哲学上の大問題にも行き着いてきたものだが、それについてもこういう回答でたりると考えてきた。
 文学国語の世界には数学のような答えが出ない問い、領域もあるが、それでも人はそれぞれの総合判断力によって蓋然性でも何でも、結論を出し、決断していかねばならない問題ばかりを抱えていくものである。進路、就職、職場の人間関係、結婚、子育て、離婚、・・・人生の重要なことこそ実は全て文学国語がらみである。他人を知り、自分を知る事を通して、人間に通じていくのは、文学国語を駆使していく作業そのものだと言える。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評「愛国官僚の叫び」④  文科系

2020年07月16日 02時04分29秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 今回は、民主党新政権の首班になる寸前に起こった小沢一郎の失脚を解説した部分を扱う。いわゆる、西松建設・政治資金規正法違反事件なのだが、この小沢は、師匠である田中角栄のロッキード事件裁判をば、ただ一人全部傍聴した国会議員なのだ。

【 「従米か愛国か」(4)  文科系 2013年01月06日

6 小沢一郎の”油断”

①新政権発足直前の問題発言からたった7日で秘書の逮捕
 
 以下は、孫崎の「アメリカに潰された政治家たち」からの抜粋を中心として進むが、事の起こりは民主党新政権09年9月発足前の小沢の発言であったと言う。夏の総選挙を控えた2月24日、強気になっていた小沢は奈良県でこんなことを記者団に語ったのだ。
 「米国もこの時代に前線に部隊を置いておく意味はあまりない。・・・極東におけるプレゼンスは第七艦隊で十分だ。あとは日本が自らの安全保障と極東での役割をしっかり担っていくことで話がつくと思う」・・・・この発言を、朝日、読売、毎日など新聞各紙は一斉に報じます。(中略 ここに、共同通信のアメリカ関係者の反発発言が細かく紹介されている)・・・発言から1か月も経っていない09年3月3日、小沢一郎の資金管理団体「陸山会」の会計責任者で公設秘書も務める大久保規と、西松建設社長の國澤幹雄ほかが、政治資金規正法違反で逮捕される事件が起きたのである。』
 僕は、こういうことが書ける所に、この著者のアンテナの鋭さを見たいと思う。「この発言は危ないぞ」という認識力が情報部門責任者を務めてきた人らしいと。ちなみに、僕がいままでも紹介してきた孫崎の持論「アメリカの虎の尾2本」のうちの一方を、小沢の発言が踏んだということになるのである。発言と秘書逮捕との間隔も、孫崎が言うように「発言から1か月も経っていない」どころか、たった7日目のことではないか。それも政権交代が噂された超微妙な時期の、次期首相を噂された人物の発言とその秘書逮捕となのである。

 さて今振り返れば、この発言と秘書逮捕によって民主党初代小沢内閣の目が消えたわけである。日本政界にとっては、新政権の話題性も相まって戦後ちょっとないような大変な出来事だったと言えるのではないか。問題の疑惑というのがまた、3年以上も前の話だ。まるで、彼のアラを見つけ出し、取っておいて、このときとばかりに告発すると、まるで首相の目をなくするための「予防拘禁」のようなものに見えないか。挙げ句の果てが、今日現在までずるずると小沢を引っ張り続けるなどあらゆる手を尽くしても、有罪にできなかったと言うおまけまでついた話である。米CIA得意の手法の一つなのであろうか。

②反撃に出た小沢
 
 孫崎はこう語り継いでいく。
『 ここから小沢はアメリカに対して真っ向から反撃に出ます 』
 この反撃部分は全文抜粋しておく。外務省最高の情報責任者であった孫崎が「アメリカの2本の虎の尾」と見てきたものを相次いで踏み越えていこうとした小沢が、今の僕には痛快この上なく見えるからだ。
『 鳩山と小沢は、政権発足とともに「東アジア共同体構想」を打ち出します。対米従属から脱却し、成長著しい東アジアに外交の軸足を移すことを堂々と宣言したのです。さらに、小沢は同年12月、民主党議員143名と一般参加者483名という大訪中団を引き連れて、中国の胡錦濤主席を訪問。宮内庁に働きかけて習近平副主席と天皇陛下の会見もセッティングしました。
 鳩山首相については次項で述べますが、沖縄の米軍基地を「最低でも県外」に移設することを宣言し、実行に移そうとします。
 しかし、前章で述べたとおり、「在日米軍基地の削減」と「対中関係で先行すること」はアメリカの”虎の尾”です。これで怒らないはずがないのです 』

③僕の感想

 僕の感想を少々。小沢は合理的なだけに考えすぎて、敵を見誤ったのだと思う。戦後半世紀の冷戦体制が終わってもこれまでの軍事力以上のものを世界に持ち続けているというアメリカの不条理な意図をば、普通の人間の判断力で解釈しすぎたと。僕にはそう思えて仕方ないのである。他方それに加えて、こんな気もする。
 田中角栄はアメリカ、ニクソン大統領にぎりぎり先駆けて日中国交回復をなしたことへの報復としてロッキード事件の憂き目を見た。彼の電撃的な日中国交回復とは、その寸前にこの動きを察知したキッシンジャー国務長官が他国政治家と同席の場所でものすごい呪いの言葉を発して罵倒したもの。このことは、いまやもう有名な話だ。小沢一郎は、師匠角栄のロッキード裁判を全部傍聴したたったひとりの国会議員である。そこで僕はこんな推察もする。小沢が若いころ、すでにこんな決意をしていたのではないかと。いつか力をつけて、日中友好をもっと進めて見せよう。それまではすべて我慢だ。そして47歳で自民党幹事長になった。「まだまだ早い」。50歳を超えた1993年にベストセラーになった「日本改造計画」を世に出しても、まったくアメリカの意向に沿う内容だけだった。そして、新政権確実となって、かつ冷戦後20年近くなったという勇み足から、アメリカの世界戦略をば常識的に判断しすぎたのではなかったか。さらに加えて、日本の検察がここまでアメリカに抱き込まれているとは、内部の者以外には決して分かることではなかったはずだ。孫崎も書いているように『西松建設事件・陸山会事件を担当した佐久間達哉・東京地検特捜部長(当時)も同様に、在米日本大使館の一等書記官として勤務しています』という事実があったとしても。

(続く) 】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする