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岡崎慎司の軌跡から二つ  文科系

2020年07月28日 01時09分47秒 | スポーツ

 標記の通り、岡崎慎司追っかけ旧稿から、二つを再掲する。一つはまだ日本にいた当時の岡崎の、チームと自分を分析したその賢さを示すインタビュー記事。もう一つは、奇跡のレスター優勝(の立役者の1人)が間近に近づいていた頃の、これまた極めて興味深いサムライブルー岡崎の記事である。

 

【 代表・岡崎慎司が成長を語る  文科系 2009年07月10日 

岡崎慎司のことは、去年からここで何回も書いてきた。代表の代表・「点取りの顔」が生まれるという予感からだった。そんな時、スポーツグラフィック・ナンバー最新号に彼へのインタビューが載った。その内容は、最近の自分が成長したと思う点を語っていて、それもかなり深いと感じた。そこを、彼の言葉として要約する形式で紹介し、いくらかのコメントをつけたい。サッカーの最新点取り術紹介というところだろう。

①「自分が動けば良いパスが来る」
去年11月、シリアとのテストマッチで先発しましたがある反省がありました。「自分は、味方のパスに合わせて動いているだけのFWだ」と。これに対して、今年の1月ごろにこう決心したんです。「自分は止まった状態で足元にボールを受けても何もできない。自分から動き出そう」と。すると、良いパスが来るんです。だから、パサーがパスする前に「ここに欲しい」というのを示すんです。もう身振り手振りを入れながらね。

②迷いをなく動くこと
「僕はこっちに行きたいけど、パサーはなんか違うところを見てるんじゃないかな」、なんてやってると、遅れてしまい、相手より先にボールにさわれなかったりします。自分を信じて、とにかく迷いを捨てて自分から動くことにしました。

③自分の長所と、これから身につけたいプレー
去年の代表戦でも確かに、自分は運動量があったし、チャンスも作れていたと思う。今年のチリ戦では、フィジカルコンタクトでも負けていないなと感じた。(その上で、上記の変化があったということなのだ)
僕のゴールを目指す姿勢は、相手のDFラインを下げさせると思うんです。すると、相手の、DFラインとボランチの間にスペースが生まれます。そこで僕がボールを受けられるようになって、さて何ができるかと。これが、次のステップへの課題です。


さて僕、文科系は以上の内容から、中田英寿と中山雅史の間にあったこんな会話を思いだす。多分、まだ中田が日本にいた97年頃のことだ。20歳の代表新人が、日本のエースアタッカーの1人に堂々と助言した話であって、いわゆる「体育会系」組織ではあり得ないようなエピソードとして、強烈な印象を受けた覚えがある。

英「中山さん、あんなに敵DFを背負ってちゃパスを出せませんよ。何でも良いですから、敵のいないところへ全力で走ってってください。そこにパスを出しますから」
中山は、半信半疑ながら言われるとおりにやってみたら「すげー!」と目から鱗だったと述べている。ぎりぎり届くあたりに、厳しいパスが来たのである。ゴール枠に入りやすい絶好の場所で、かつ自由にシュートが打てるということなのだ。
ちなみにこの話が多分、全盛期の磐田を作るのに生きたはずなのである。磐田のパスサッカーはこれ以降に、点とり屋の中山の動きに合わせて組織全体が動くようになったという磐田選手の話を聞いたことがあるからだ。この時の磐田がどれだけ強かったかは次のことで分かる。02年に中山の相棒・高原がJリーグ得点王になったのだが、これ以来日本人得点王は出ていない。

なお、中田・中山のこの歴史的やりとりにも関連することだが、当時の中田にはサッカー関係者の大多数からずっと、こんな批判が集中していたことも思い出す。
「不親切なパスばかりを出す奴」
「アタッカーに『全速力でそこまで動け。届くはずだ』という生意気で、不遜なパスだ」
そのすぐ後には、「中田のパスこそ世界標準である」と変わっていったというおまけが付く話であった。代表での相棒トリオを形成した名波、山口や、岡田監督が中田のこのパスを高評価したからである。
中田へのこの批判から、当時の僕は、評論家とか専門家とかが案外当てにならぬなと思ったものだった。20歳の中田が、日本サッカー関係者全体を大変革したというエピソードでもあって、非常に興味深い。】


【 ハリルジャパン(61)岡崎、今夜、衛星第一生中継 2016年04月03日

 岡崎のレスターが、奇跡の優勝にまた一歩近づいた。2位のトットナムが、昨夜第32節でリバプールと引き分けたのである。勝ち点を1積み上げただけで、62。そして今夜、レスターは吉田麻也のいるサウザンプトンと第32節を闘い、これに勝てば69になる。残るゲームは最終の38節まで、あと6つ。イングランドというよりも、ヨーロッパ全体を大騒ぎさせている歴史に残る奇跡の優勝が、果たして実現するのだろうか。歴史的にほとんど2部リーグ以下に在籍してきたチームが久々に1部に上がって2年目のこの快挙なのである。英国、ヨーロッパ全体にも判官贔屓は多いと見えて、優勝を争うチームの関係者以外はみんなレスターの優勝を待ち望むという熱烈一大パノラマが現出している。

 そんな今夜また、NHK衛星第1で11時から、レスター・サウザンプトン戦が生中継されることになった。この観戦に僕が被り付きだと知っているお婿さんが「一緒に観よう!」と1週間前から申し出てくれた。嬉しかった! 二人でワインを傾けながらの観戦になる。   

 さて、この快挙とともに岡崎の話題が日本スポーツマスコミにもこれでもかとばかりに躍り出てきた。代表のシリア戦でも代表100ゲーム達成記念とかでキャプテンマークを付けたし、ハリルも岡崎をベタ褒めだし、長年の岡崎「追っかけ」としてはもうウハウハだ。

 ところで、先日のアフガニスタン戦で、こんな「見所」があった。ツートップを張り合った金崎は、同じ神戸滝川第2高校サッカー部1年生として3年生の岡崎と同時在籍期間があったのだ。それかあらぬか、凄く息が合っているように見えた。前で鋭く猛烈に突っ込んでいくアグレッシブな金崎と、一歩引いてボールを繋いだり抜け出したりと駆け引きに励んでいる岡崎。目を見張るようなコンビに見えたのは気のせいではない。と、この二人に触れ始めたのは、或るとても興味深いエピソードを語るため。

 岡崎と金崎の滝川高校監督が「二人はとても似ている」と語ったものを読んだ。この結論だけなら、僕にはエッという感じしかない。同じように闘志を燃やしていても、これを内に秘めた岡崎と「ギラギラ」と発散する金崎とで、何が似ているのか。見るからにスピードもあって運動神経の塊に見える金崎と、もとは鈍足に加えて「不器用」な岡崎。この二人が実は、「課題発見能力」と「課題解消能力」とが高校在学時代から取り分け目立っていたのだそうだ。当たり前すぎる後者はともかく、僕は前者に目を見張り、すぐに納得。どんな学問研究に於いても、こういう最大の格言が一つあると聞いてきたからである。「問題、課題を自分に対して正しく提起できれば、もう解決は見えたも同じことだ」

 プロになってからすぐに、プロ最底辺選手から全日本クラスへという急激な上達を示して行った二人。その原因がここにあったのかという思いだった。清水入団時は6番目だかのFWだった岡崎。神戸の高校から九州は大分まで下って行った金崎。「鳴り物入り」入団選手とは全然違うこの二人が今やナショナル・チームの、しかも、近年の代表としては珍しい2トップを張ったのである。こんな二つのサクセスストーリーが、同じ高校と、そこの監督の「課題発見能力」解説とに帰結したというのが、僕にも凄く面白かった。

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