2戦目は、名古屋2対3と、僕の予想以上に健闘した。その名古屋側の視点でこのゲームを振り返ってみたい。稲垣の中距離シュートと、マテウスのフリーキック得点だったが、それぞれこんな特徴が観られた。
稲垣の得点は、右サイドバック森下龍矢のクロスが素晴らしかった。この森下、速いし、強いし、クロスが正確。そもそも、いつも楽しそうな笑顔を浮かべた「得点するぞー」というようなポジティヴな雰囲気、姿勢が凄く良い。今評判の鳥栖から今年入ってきた選手で、右サイドバックの定位置を獲得するのではないか。名古屋はこれで、左に相馬、右に森下と2枚の良いクロッサーが揃うから、同時に使っても、入れ替わりで使っても良く、凄まじい武器になるはずだ。クロス得点というのはサッカー古来からの飛び道具で、いつでもどこでも比較的相手を出し抜けるもの。得点の確率は、クロスの正確さと受け手のポジショニングを磨くことで向上する。名古屋の前には、山崎と柿谷もいるから、合わせる練習を積んでいけば良い。
もう一方のマテウスのフリーキック得点は、まるで魔法のようなもの。相手ゴールに向かって右ポスト横の方30m近い距離があったと思うが、ゴールに角度がない位置から、これしかないという入り方をした。ゴール逆サイドファー側ポストの外上に向かって強めに飛び始め、最後に曲がり落ちて、上部コーナーぎりぎりに入ったもの。こんなフリーキックが蹴れれば、これからいつも彼を使えば良い。
この第2戦目で名古屋は川崎相手にちょっと自信を取り戻したはずだ。川崎のスーパーな潰し、パス回し、ショートカウンター得点に対して、安全なサイド攻撃とセットプレーからの得点と、磨いていく方向が見えたのだから。それにしても、柿谷や斉藤学ばかりではなく、山崎と言い、森下、長澤と言い、名古屋の人材集めは、近頃とても優れていると思う。GMになった山口素弘の目利きなのだろう。日本初出場のフランスW杯で、中田英寿、名波とトライアングルを組んだ、守備的ボランチの名手だった。