九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

川崎・名古屋の第二戦目  文科系

2021年05月06日 12時23分13秒 | スポーツ

  2戦目は、名古屋2対3と、僕の予想以上に健闘した。その名古屋側の視点でこのゲームを振り返ってみたい。稲垣の中距離シュートと、マテウスのフリーキック得点だったが、それぞれこんな特徴が観られた。
 稲垣の得点は、右サイドバック森下龍矢のクロスが素晴らしかった。この森下、速いし、強いし、クロスが正確。そもそも、いつも楽しそうな笑顔を浮かべた「得点するぞー」というようなポジティヴな雰囲気、姿勢が凄く良い。今評判の鳥栖から今年入ってきた選手で、右サイドバックの定位置を獲得するのではないか。名古屋はこれで、左に相馬、右に森下と2枚の良いクロッサーが揃うから、同時に使っても、入れ替わりで使っても良く、凄まじい武器になるはずだ。クロス得点というのはサッカー古来からの飛び道具で、いつでもどこでも比較的相手を出し抜けるもの。得点の確率は、クロスの正確さと受け手のポジショニングを磨くことで向上する。名古屋の前には、山崎と柿谷もいるから、合わせる練習を積んでいけば良い。
 もう一方のマテウスのフリーキック得点は、まるで魔法のようなもの。相手ゴールに向かって右ポスト横の方30m近い距離があったと思うが、ゴールに角度がない位置から、これしかないという入り方をした。ゴール逆サイドファー側ポストの外上に向かって強めに飛び始め、最後に曲がり落ちて、上部コーナーぎりぎりに入ったもの。こんなフリーキックが蹴れれば、これからいつも彼を使えば良い。

 この第2戦目で名古屋は川崎相手にちょっと自信を取り戻したはずだ。川崎のスーパーな潰し、パス回し、ショートカウンター得点に対して、安全なサイド攻撃とセットプレーからの得点と、磨いていく方向が見えたのだから。それにしても、柿谷や斉藤学ばかりではなく、山崎と言い、森下、長澤と言い、名古屋の人材集めは、近頃とても優れていると思う。GMになった山口素弘の目利きなのだろう。日本初出場のフランスW杯で、中田英寿、名波とトライアングルを組んだ、守備的ボランチの名手だった。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評 「アメリカ帝国の終焉」③  文科系

2021年05月06日 10時23分06秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 
「アメリカ帝国の終焉 勃興するアジアと多極化世界」(進藤榮一・筑波大学名誉教授著、講談社現代新書、2017年2月20日の第一刷発行)の要約、書評第3回目だ。

今回要約部分、各節の表題を上げておく。第1章2節「解体するアメリカ」、3節「過剰拡張する帝国」、第4節「情報革命の逆説」、第5節「失われていく覇権」。そして、第2章に入って、その1~3節で、「テロリズムという闇」、「テロリズムとは何か」、「新軍産官複合体国家へ」。

オバマは、アメリカの荒廃に立ち向かおうとしたが、全て破れた。金融規制も医療制度改革も骨抜きにされた。その結果が、今回の大統領選挙の荒れ果てた非難中傷合戦である。2010年に企業献金の上限が撤廃されて、この選挙では70億~100億ドルが使われたという。1996年のクリントン当選時が6億ドルと言われたから、政治がどんどん凄まじく荒廃してきたということだ。

帝国は、冷戦に勝ってすぐから、その世界版図を広げ続けてきた。1991年、湾岸戦争。1992年はバルカン・東欧紛争から、95年のボスニア紛争。01年にはアフガン戦争、03年にはイラク戦争。11年がリビア空爆で、14年がウクライナ危機、シリア戦争。

「専制国家を民主主義国家に換えて、世界の平和を作る」とされた、帝国の「デモクラティック・ピース論」は全て破綻しただけではなく、3重の国際法違反を犯し続けてきたこともあって、帝国への憎しみだけを世界に振りまいてしまった。第1の違反が「平和を作るアメリカの先制攻撃は許される」。そして、ドローンなども使った「無差別攻撃」。最後が「国連の承認無しの加盟国攻撃」である。この3様の国際法違反などから、イラク戦争開始直前に行われた中東6か国の世論調査にも、こんな結果が出ている。「イラク戦争は中東にデモクラシーを呼ぶ」を否定する人69%で、「イラク戦争はテロを多くする」が82%だ。「米国に好感」に至っては、エジプト13%、サウジ4%である。つまり、その後の自爆テロや難民の激増は、必然だったとも言えるのである。

一体、テロとは何だろう。シカゴ大学の「テロと安全保障研究調査班」が、ある大々的な調査を行った。1980~2013年に起こった2702件のテロを対象にして、様々な要素(候補)との相関関係を出していく調査である。その結論はこうなったと紹介されていた。
『問題は占領なのだよ!』

喧伝されるように「文明の衝突」などでテロが起こるのではなく、祖国の占領、抑圧、困窮、それらへの恨みなどが生み出した「弱者抗議の最終手段」が自爆テロなのだと。ちなみに、占領地の現状はこんなふうだ。
バグダットの米大使館は国連本部の6倍以上の規模であり、加えてイラクには数百の米軍基地がある。と、こう報告したのは、クリントン政権下の大統領経済諮問委員会委員長、ジョセフ・スティグリッツ。基地には、3000~3500メートルの滑走路各2本、トライアスロン・コースあり、映画館やデパートまでも。米軍関係者が、要塞並みの防御壁の中で、これらを楽しんでいるとも続けている。かくて、06年の米軍海外基地建設費用は12兆円。

次に続くのは、この帝国の終焉が3様の形を、経済力の劣化、社会力の脆弱化、外交力の衰弱を取るということだ。
経済力は、高値の兵器に企業が走って、民生技術が劣化しているということ。
社会力は、戦争請負会社の繁盛。米中心に世界にこれが50社以上あって、総従業員は10数万人。冷戦後の軍人の新たな職業になっていると語る。ここで問題が、新傭兵制度。高い学資、奨学金によって年1万人以上生み出されているという借金漬け大卒者が食い物になっている。学生ローンの総残高が実に144兆円とあった。自動車、カードとそれぞれのローン残高さえ、各120兆円、80兆円程なのだ。かくして、中東からの帰還兵は累計200数十万人。言われてきたように、PTSD、自殺者も多い。

外交力の衰弱については、2例があげられている。一つは、外交即戦争ということ。この象徴が中東関連の戦費であって、今や累計9兆ドルに膨れあがった。先のスティグリッツ報告が出た当時08年には3兆ドルと報告されていたのだ。外交衰弱の2例目は、TPPの挫折。膨大な年月と人、費用を費やして追求してきたものをトランプが破棄した。

こうして、第2章の結びはこんな表現になる。
9・11とアフガン戦争から15年。イラク戦争から13年。戦争がアメリカをすっかり換えてしまった。もはや世界秩序維持を図るどころか、破壊するだけ、世界の憎まれっ子国なのである。
こういう観点からこそ、トランプのいろんな「強がりの言葉」を解釈してみることも可能だろう。
『世界の警察はやめた。その分、同盟国に応分の軍拡を求めたい』
『中東7か国国民は、米国に入ってはならぬ』
『日中は保護貿易を止めろ』
『IMFの言う事など聞かぬ。むしろ脱退したい。国連からさえも・・・(と言う雰囲気を語っている)』
これが、ここまで読んだ来た僕の、最も鮮やかな感想である。
 
(続く 後2回)
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする