4月から世界に喧伝されてきた反転攻勢だが、「百平方キロ取り戻したが、以降は困難な闘いになる」(米国防相がそう語っている?)とかで、どうもぱっとしない。「戦車塹壕を迂回すればよい」とかの荒唐無稽な話までがネットを騒がせて来た割りに、レオパルドもアメリカ製歩兵戦闘車も2~3割だかを喪失して、アメリカ国防相も「長期戦になる」などと悲観的になっている様相。そのせいなのだろうが、「ロシアで革命が起こりそう」というネットニュースがどんどん強められている。
さて、ゼレンスキーとアメリカは「東南部国土回復無しの和平提案など論外」と吹き回っているが、今はもうこれは誤りだろう。ドンパス地域は元々ロシア人が8割だかの土地だからこそここを基盤に過去の親露政権が生まれていたのだし、2014年の暴力革命によって今の親米政権ができて以降ここでずっと「国境紛争」が続いてきて、1万人をゆうに超える死者を出してきた土地なのである。この紛争のウクライナ側に「ロシア人憎し」のネオナチがいたというのも、当時の日本政府でさえ認めてきたことであった。ちなみにこの軍隊もマリウポリ製鉄所要塞の陥落とともに、ほぼ消滅しているのだろうか。
こうした歴史も含めた今となっては、ゼレンスキーは、これを奪還するためにどれだけのウクライナ人に死ねと叫ぶことになるのかという、そんな問題に転化してしまっている。こういう因縁のある国土だけに以降もずっと拘っていくというのは、為政者の面子だけ。普遍的正義は、国民の命である。これから死に、傷ついていく男たちの背後には、何百万の妻、子どもがいるのだ。
こんな「反転攻勢」などは何年も続き、結局何も生まないはずで、このニュースもどんどん小さくなっていくだろう。戦車塹壕を何重にも張り巡らし、制空権まで持たれた土地を回復しようというのは、今となっては大変な命の無駄遣いである。
こんな「反転攻勢」などは何年も続き、結局何も生まないはずで、このニュースもどんどん小さくなっていくだろう。戦車塹壕を何重にも張り巡らし、制空権まで持たれた土地を回復しようというのは、今となっては大変な命の無駄遣いである。