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随筆 野球衰退を実感した体験   文科系

2023年06月25日 11時37分56秒 | 文芸作品
 このごろ二度ほど、孫の三年生男子が土日に小学校グランドに通っていく有志ソフトボールチームの練習に付き合ってみた。名古屋市中心部に近い某区のある小学校の学年を超えた有志チームで、一年生から六年生まで六学年から男女およそ二十名弱の子どもが、親たち有志に指導、援助されていた。一学区の有志ソフトボールと言えば、ここのすぐ北隣の学区で小学時代を過ごした僕としては、自分の学区で体験した学区内町内対抗野球の、大会や練習の大変懐かしい思い出がすぐに蘇ってきた。七〇年前という遠い昔の話なのだが、その過去と現在、両者を比較して、文字通り隔世の感があると感じたものだ。

 子どもの数が凄まじく減った。有志野球をする子どもはそれよりももっと減っていて、女子も加えたソフトボールチームが一学区に一つだけ残っている。一学区内有志の町内会対抗野球大会が毎年開かれていたなどは遠い遠い昔の事実だが、夢の話になっている。学区の子ども数も何分の一かに減っているし、野球とほぼ同じその投攻守をプレーする子どもはさらに激減した。その結果、一小学校学区内の町内野球大会が区のソフトボール大会に替わっていて、その基本技術もずいぶん下手になっていると、そんな感じである。特に驚いたのは、投攻守の基本技術の退化だ。これをまず表現すれば、こんな感じになるだろう。
「今のこのチームで最も上手な選手一人が、七〇年前の同じ一小学校学区内の一町内会チームに五人はいた」と。

 投攻守すべての技術に差が見られた。それも、ソフトボールと軟式野球だからその差はさらに大きくなる。この両者ではボールのスピードに差があって、そのボールに追いつく足さばきの差はさらに大きいだろう。足さばきやボールに対する下半身の構えが悪いから、ボールをどんどん後ろに逃がしてしまう。これでは、上手い子どもが外野をやって、そうでない子が内野を務めた方が勝てるチームだろうななどと観ていたものだった。
 
 野球人口が少なくなり、高校野球チームも激しく減っているとあちこちから聞いてきたが、ナルホドと改めて思ったものだ。それでも日本プロ野球の投打技術が明らかに上がっているのは、減った高校野球人口などのトップの練習法が科学を取り入れてどんどん改善されてきたからだろうなどと考えていた。ただし、野球発祥の地・その先進国アメリカの過去と比べた今の野球衰退に日本も追随していくのだろうとか、その先はどうなっていくのだろうかなどと思いをめぐらしていた。アメリカプロ野球から外国人選手を除いたら、今や何が残るのだろうかというような衰退話なのである。
 1950年代の日本子ども野球全盛時代は、今や夢の中の話、野球現役の親子には想像もできない世界になっているはずだ。
コメント
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