ウクライナ戦争の終わりがなぜか急に、見えてきたのではないか。いくつかの理由から、そう思う。
・第一は、9月上旬にあったG20インド会議の共同宣言にウクライナ問題が扱われなかったこと。これに関連して、G20国の中から、BRICSにサウジとアルゼンチンが新たに加盟したこと。そのBRICSから、ブラジルと南アなどグローバルサウス代表が以下のように述べて、停戦交渉に前のめりになっていること。
・ゼレンスキーが初めて実際に出席しておこなった国連総会演説に、世界が意外に冷めていたこと。これは上記を踏まえてのものだと思う。新聞はこんな情報も伝えた。
『「和平を達成することの難しさを過小評価するつもりはない。だが、対話に基づかない解決策はいつまでも続かない」。グローバルサウスの代表格であるブラジルのルラ大統領は演説で、和平交渉の開始の必要性を強調し、米欧による軍事支援を念頭に「大金が開発にはほとんど使われない」と不満も示した。ロシアとの関係が深い南アフリカのラマポーザ大統領も、紛争や開発などアフリカ大陸が抱える課題に演説時間の多くを割いた。』(毎日新聞)
・世界から支援を受けているウクライナにおいて、その支援自身に関わって大変な不祥事が生じている。先に、各省の徴兵責任者が全員解任された上に、この度6人いる国防次官が全員解任されたこと。これではゼレンスキーの国連総会演説にもかかわらず、ほとんど彼だけが丸裸で戦っているも同じではないか。
・アメリカ国民の55%がウクライナ戦争支援予算に対して不承認という調査結果も出てきた。これに加えて、来年の米大統領選挙は、新春に両党の候補者選び各州選挙が始まり、夏には両党の候補者選び全国大会があるのだ。
最後に、「1か月後には雨期に入るから、それまでに東南部戦線で決着を」というアメリカの猛烈すぎる発破に対して、ウクライナ軍部がこんな応答しかできないことが付け加わる。
『ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長はイギリスの「エコノミスト」誌のインタビューでロシアとクリミア半島をつなぐ陸上の補給路を遮断する作戦が冬の前に実現するかもしれないと語りました』
「作戦が冬の前に実現するかも知れない」?
これから、ウクライナ(南東部戦線)で人が死んでいく程に、兵器を送り込んでいるNATOが批判されることになっていくだろう。ウクライナの戦死者について西欧で何の発表もないのも意図したものと思われてならない。このままでは、来年の米大統領選挙における共和党からの民主党攻撃に政権が耐えられないと考えるのが普通ではないか。異論を排してまで「ウクライナ正義」一色だった日本マスコミも、これから急に変わっていくのではないか。