Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

四季のうた - 井戸端会議の文学

2024-03-08 18:32:02 | 読書
長谷川 櫂「四季のうた - 井戸端会議の文学」中央公論新社 (文庫 2024/1)

カバー折り返しで見ると,著者による「四季のうた」文庫シリーズはこれで9冊目だが,本書の前書き?「井戸端会議の文学」には「四季のうた」第 16 集とある.これは読売新聞コラム連載の 3021/4 - 2022/3 の収録ぶんだそうだ.「井戸端会議の文学」は歌仙 : 長句 575 と短句 77 を交互に 36 句連ねる連句の一形式の解説だったが,本書の内容は俳句・和歌・川柳・漢詩・現代詩からシェークスピアまで,何でもありである.

4月から3月まで 12 に区分されていて,各月1日1うた,それぞれに著者のコメント ? が3行ずつ.月初め ? の最初の 10 うた の作者は統一される.ぼくも名前を知っている例では,6月は泉鏡花の俳句,10 月は後鳥羽院の和歌,11 月は久保田万太郎・3月は夏目漱石の俳句,など.7月は佐々木幸綱 (テレビで見たことがある) の和歌だが,10 首全部に愛犬テオが登場する.

以下,16 トンの気に入った「うた」を挙げてみる :

 持つべきは男友達初鰹  西村和子  (5月)

 魚市場滑走しくる角氷  能村研三  (6月)

 空間と時間しかない夏座敷  高橋将夫  (7月)

 老いびとの一日の軽さ喩へれば金魚すくひの円き白紙  高野公彦  (9月)

 ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん  中原中也  (9月)

 傘寿の医師白寿の患者菊日和  齊藤恵子  (10 月)

 さぼてんを買ッて女房にしかられる  「排風柳多留」 (3月)

文庫として並んでいると,新聞のコラムとちがって「うた」の部分だけを拾い読みし,せっかくの著者のコメントはとばしがち.
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