Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

アルフレッド・ウォリス展

2007-02-25 10:36:50 | お絵かき
東京都庭園美術館.

パンフレットから抜粋すると
---アルフレッド・ウォリス(1855-1942)は、イギリス、コーンウォールの港町、セント・アイヴスで船具商を営み、70歳になってから独学で絵を描き始めた。その発見のきっかけは、1928年、セント・アイヴスを訪れた二人の画家が偶然ウォリスの家の前を通りかかり、壁に掛かった彼の絵を眼にしたことによります。その作品は船乗り、船具商としての前半生を反映するように、荒海を航行する帆船や蒸気船、灯台、セント・アイヴスの港や街の情景などを、ボール紙の切れ端や板に船舶用のペンキで描いたもの---

百聞は一見にしかず.ウェブギャラリー
http://www.alfredwallis.org.uk/
をご覧あれ.ただし,ものすごい枚数です.

船のそばに灯台が水平に建っていたり! 鶏とヒトと家がおなじ大きさだったり,とにかくおもしろい.帆船・ボート・家など,同じものがひとつの画面に配列されることが多いが,スイングしている.船舶用のペンキというのも,渋くて良い.こどもの絵みたいだが,彼独自のテクニックあるようだ.でもルソーの絵みたいに,受けたいという感じがなくて,そのぶん上品だ.展覧会から一枚ちょろまかして,家に飾りたい

描くことが好きだったそうで,壺とか,箱とか,ふいごとか,家の中で無事だったものは何もなかったという.信心深く,日曜日は絶対に絵を描かなかったという...彼にとっては絵を描くことが「仕事」だったというのがおどろき.

絵は描きたいように描くのがいちばん.しろうと絵画教室になんて,行かないほうが良いのでは...
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心理物理学から和音を見れば

2007-02-22 09:33:18 | 新音律
CとGあるいはCとFという対は完全に協和する,などといいます.こうした文脈の「協和度」は,「1)音高の接近した2音は不快である.2)楽音は多数の高調波を含む」というふたつの前提から計算することができます.これについては
http://www25.tok2.com/home2/atsushi1007ogata/
の「なぜドミソか」という項に書いてあります.こうした計算を3音からなる和音に拡張した結果を紹介します.
ただし,なんの役にもたちません
あっ 暇つぶしにはなるのでした

上の鳥瞰図(a)を等高線図に直すと中の図(b)になる.これは高さの異なる3音を同時に鳴らしたときの不協和度を示したもの.標高が高いほど不協和である.物理屋流に,ポテンシャルが高く不安定と言ってもいい.第1の音はCに固定した.横軸は第2の音の高さで,左端で第1の音の高さと一致し,右端で1オクターブ上になる.縦軸は第3の音の高さで,下端で第1の音の高さと一致し,上端で1オクターブ上になる.第2音と第3音の周波数比が一定であれば(b)では傾きが同じ直線に乗る.

第2音がDEF...(レミファ...)など音階にある音をとれば,縦軸に平行な直線群になり,第3音が音階にある音をとれば,横軸に平行な直線群になる.中の図は左下から右上に走る谷に対して対称だが,これは第2音と第3音を入れ替えてもおなじことだから.この谷底では第2音と第3音の高さが一致する.この谷をはさんで切り立った崖があるが,第2音と第3音の高さがすこしずれていると不協和になることを示す.

この地形図上,左上で矢印で示した窪地が協和音である.これらの構成を(c) で楽譜に示した.図 (b) 右下の白線群から,たとえば左上の窪地 C は右下の縦白線 G と横白線 E の交点に相当することがわかる.等高線図から窪地の深さ,すなわち協和度を定量的に判断するのは困難だが,長三和音 C(ドミソ) が深いのは当然として,短三和音 Cm も同じくらい深く見える.F,Am は長三和音 FAC と短三和音 ACE を C すなわちドを最低音として転回したときの深さだが,このように和音を転回すると窪みが浅くなだらかになるらしい.

C7 と Cm7 はジャズで好まれるセブンス・コードで,本来 4 音から成るコードであるので括弧付きとした.本来の C7 と Cm7 の構成は図 (c) に括 弧をはずして示した.Bbという音が顔を出すのも面白い.
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文春の芥川賞

2007-02-19 13:42:51 | 読書
文藝春秋3月号,芥川賞は青山七恵「ひとり日和」.20歳のフリーターの女の子が71歳のおばあさんと同居する日常.著者は23歳.「青春時代のまんなかは途に迷っているばかり」という歌そのもので,読んでいてせつなくなる.そこらにいる学生のココロの中をのぞいたようで落ち着かない.人の心に波風を立てるのは良い小説なんだろうが,もうこの著者の作品は敬遠したい.

審査では,主人公の盗癖・収集癖という設定に注目する意見が多かったが,ぼくもそこがおもしろかった.石原慎太郎・村上龍絶賛.へぇーという感じ.別のページにはこのふたりプラス綿矢りさによる鼎談.石原は綿矢の芥川賞審査では否定的というより無視していたと思うが,ここでは鼻の下をのばしている.おじさんだからか,政治家だからか.

ところで老人社会化にともない,この号にも,いきいき95歳,寿命150歳時代,がんに勝つとはどういうことか,リハビリ打ち切り,などの記事が並んでいる.いゃ,並んでいることが気になること自体自分が老人化しているためか.

雑誌の表紙(平松礼二)はボクの好みではないので,出版予定の単行本の表紙をカットにしました.
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カルダンでジャズ

2007-02-17 17:30:43 | ジャズ
八本松町原のカルダンはレストランということになっているが,もっとカジュアルな雰囲気.写真は黄金のリズムセクション(S吉p.K誓b,O本ds).フロントのふたり,Y村tbとO方vibの,楽器も写っている.

曲目は,前半がvibを含むカルテットで
1 The Golden Striker(J.Lewis)
2 Romain(J.Hall)
3 I walk with Music(B.Charlap)
4 New York 19(J.Lewis)
5 Pyramid(R.Brown)
ただし3はピアノトリオ.あとはMJQみたいにやってみたいというぼくの希望に3人がつきあってくれたのだが,5以外は変に転調する曲ばかりになった.5も,Gのブルースなのだが,1拍をみっつに刻むリズムで,やたらと長くて道に迷った.聴くのはいいが演るのはたいへんMJQ.1,2は楽譜を見ながらで厳しかった.1はMJQのコンサートでの演奏を踏襲.2はボックスにあったジム・ホール初演の楽譜にほぼ忠実にあっさりとに.4 (地図) はこのごろ世間ではやりのきざしがあり,喜ばしい.

休憩後はトロンボーンが加わって
6 Dark Eyes(Russian Traditional)
7 Lament(J.J.Johnson)
8 Undercooled(坂本龍一)
9 Montmartre(D.Gordon)
10 Rythm-a-ning(T.Monk)
ただし8はベースソロ.

6はウィントン・ケリーのイントロとエンディングを借用.7はJ&KのハーモニーをY村さんが採譜したものに基づくはずであったが,ワタクシの担当部分はかなり適当になってしまった.8は中国のメロディをテーマとしたベースひとりだけの純然たるベースソロ.ちなみに6,8はK誓,7はもちろんY村,3,9,10はS吉が持ってきた曲で3曲ともハードな曲.ちなみに9のモンマルトルはコペンハーゲンのライブハウスらしい.10もモンマルトル・ライブの音源があったが,結局モンク流にやることになった.ひとつは楽譜があったため,ひとつは8小節目のEフラのモンキッシュな連打が面白いため.この曲は後をひく.いつか,かえりみちで無意識にこれがハナウタで鼻をついてでたことがあった.そしたらK君もおなじ節が頭の中にあったところだと言っていました. 
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シミュレーション 額縁の色をどうするか

2007-02-15 21:57:08 | お絵かき
上の油絵のために額縁を作れと言う.60mm x 12mm.J子画伯は,縦長が正位置といっているが,縦にしたときどちらが上だか忘れてしまった.

額縁をどういう色にするが,シミュレーションした.

実際作ったのは一番下のもの.二重枠になりましたが,どんなもんですかね.J子が色を塗ったのだが,その塗り方はかなり乱暴.
三角断面のバルサで縁取り.四隅はカッターナイフで45度に付き合わせた.しかし何といっても材料が柔らかいため,ぶつけたところはすぐ傷になってしまった.
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フランク・ロイド・ライトと武田五一,日本趣味と近代建築

2007-02-13 11:10:08 | お絵かき
明日館に展覧会のビラがあったのを思い出して,ふくやま美術館へ.
テレビで「落水荘」が放送されてから,ちょっとしたライト・ブームである.

帝国ホテルには縁がなかったが,何度か前をとおって,あそこは別世界と思ったものだ.若い目にはごてごてした,けっこうグロテスクな建物に見えたが,今回石膏でみるといい感じだ.白いせいだろうか.
いまやビジネスホテルでもバストイレ付きだが,ここに展示されている平面図を見ると,むかしのホテルはアウトバスが常識だったらしい (綾辻のxx館の間取り図も,また然り).帝国ホテルの平面図は無かったが,トイレはどうだったんだろう...などとつまらないことが気になった.

でも建築は目の前で見上げて,それから中に入ってみないと,展示ではいまいち...とはいうものの,現存しているものは少ない.武田の福山市公会堂など,取り壊すときに話題にもならなかったらしい.ちなみにこの展覧会は福山市市制施行90周年記念事業とある.

展示としては,むしろ家具やタペストリーやコーヒーセットみたいなものがおもしろい.
建築家は完成予想図でスポンサーにアピールするらしい.写真のように,ライトはその透視図に広重の浮世絵そっくりの前景を入れて効果を上げている.
もうひとりの武田五一の日本画もなかなかだった.

J 子情報では,ライトは6人も子供がいるのに駆け落ちしたという.Wikipedia でみたら,そればかりか新しい奥さんと子供たちが殺されたりして,波瀾万丈だ.アン・バクスターという1950年代に活躍した映画スターは彼の孫だそうだ.
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歌うネアンデルタール

2007-02-10 18:23:38 | 新音律
副題 音楽と言語から見るヒトの進化
スティーヴン・ミズン (Steven Mithen 原著), 熊谷 淳子 訳 早川書房 (2006/06)

このカバーはどう見てもゴリラだな.洋書の表紙のほうも,看板に偽り.ネアンデルタールがパンツをはいて楽器を使ったと本文には書いてない.

著者は「初期人類は歌うこと・踊ることが会話であったとし,彼らのコミュニケーションを全体的holistic,多様式的multi-modal,操作的manipulative,音楽的musical,ミメシス的mimectic(見よう見まねとでも訳すのかな)な「Hmmmmm」と名づける.これを極限まで進化させたのがネアンデルタールだ.彼らネアンデルタールはじゅうぶんに発達した咽頭と大きな脳容量(現代人より大きかった!)を持っていた.20万年前の地球は,狩りをし,異性を口説き,子どもをあやす彼らの歌声に満ちていた.しかし彼らは,いまのわれわれのように音節言語をあやつるホモ・サピエンスに取って代わられる.でもHmmm....はホモ・サピエンスのなかに「音楽」として生き残った.」と言っている.

「歌うネアンデルタール」というタイトルに従って要約するとこのようになるが,この本のカバーする範囲はもっと広い.失語症,音楽サヴァン(異常な音楽能力を持つ知的障害者),絶対音感,サル・類人猿のコミュニケーション,おとなと赤ちゃんとの対話などの,膨大な文献に裏打ちされた知識の切り売りには圧倒される.500ページ近い大著だが20%は注と文献.この部分は百科事典的に役に立ちそうだが,索引がなくて!!役に立ちそうもない.

クライマックスのはずの「恋するネアンデルタール」のあたりになると推測が多くなり説得力が落ちる.洞窟に壁画は残るかもしれないが歌声は残らない.証拠がないのは,いいような悪いような.

この本のタイトルは売れ筋をねらったのかもしれないな.最後の数章にはタイトルに続いてマイルスだの,ブルーベックだの (このひとが出てくるあたり,いかにも米国白人の著書だ) の曲名が呈示されているが,とってつけたようだ.翻訳調で読みにくい文章だが,原著も訳しにくい文章なのだろう.

そもそもどういう読者を対象としているのかと思うが,とばし読みすれば門外漢にもおもしろい.
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円錐コーヒードリッパー

2007-02-07 09:21:44 | エトセト等
円錐コーヒードリッパーというとKONOが有名だが,これはハリオというメーカーのもの.メリタ・カリタに比べて味は? と訊かれると,答えられない.ぼくは形から入るのだ.CDだって,ジャケの嫌いなものは買わない.

これに合うフィルタはどこにでも売っているというものではない.売っていても数が出ないから高い.そこでメリタ・カリタ用のものを折って使っている.台形なので,ご覧のようにフィルターのいちぶがはみだしている.
でも,特にドリッパー用というのは不要ではないかな.平面の紙でいいのだ.ドリッパーが円錐なら中学高校の化学の実験で覚えた,濾紙の折り方でいい.折って円錐にはめると一部濾紙が二重になるけれど,気になるならはさみで切ってもいい.ドリッパー用にプレスして接着する工程がなくなればフィルターが安くなるかもしれない.

豆は,昔はなんでも良かったが,ここ20年くらいは深煎り.浅煎りだと胃にもたれるような気している.写真のように...といってもはっきり分からないかもしれないが, 湯を「置いた」ところがこんもりと盛り上がるのがおもしろくて,コーヒーを入れている.もっぱらH駅そばの珈琲堂という焙煎専門店で豆を買う.ここのマダムはいつもご機嫌がよろしい.でも,コドモが学校でコーヒーくさいって言われるのよ...と聞いたこともある.結婚祝いにT山さんにいただいたSpongのミルで粉に挽いています.
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中年宮本武蔵

2007-02-04 10:07:07 | 読書
鈴木輝一郎「中年宮本武蔵」双葉社 2003/10

図書館で借りてきてすぐ読んでしまった.このとき武蔵は53歳.当時の常識では中年というより老年.時代に受け入れられないスーパーマンという設定.このとき息子(じつは武蔵とはかってのホモ関係ということになっている)の伊織は九州小倉藩の家老で,小説はこの伊織の視点で描かれる.伊織という常識人,というより20代で家老職をつとめる能吏が,非常識・傍若無人な武蔵の尻ぬぐいをしてまわるうち,朝鮮通使命暗殺の陰謀に巻き込まれ,柳生一族・伊賀者と,100(以上)対3で闘うことになる.3は武蔵と伊織ともうひとり,「りく」という名のおんなのこ.

柳生十兵衛,荒木又右衛門,細川三斎などが登場するが,メインは100(以上)対3の闘争というより戦争.いくら「ちぎっては投げ」を連発しても勝てるわけはないので,はなしはどんどん荒唐無稽になる.あとがきには,資料できっちり裏は取っているように書いてあるが,じつは武蔵に関する資料なんかないので,何を書いても構わないということだろう.
「ものすげえ」などという形容詞がときどき地の文に出てくるのは著者のくせなんだろうか.

ストレス解消には最適.もっとストレスが溜まったときに読んだらもっとすかっとしただろう.
吉川英治の説教くさい宮本武蔵から3/4世紀.このようにふざけた小説が世に出るということは,にほんの文化もとにかく成長しているということだろうか.
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いまなにやってるの? 「アト秒ビームによる高エネルギー密度状態」さ!

2007-02-02 11:41:17 | エトセト等
大学の研究所に行って何やってるの? と聞かれるけれど,これがなかなか説明しにくい.

行っているのは加速器の研究所で,加速器は素粒子に高エネルギーに与えるもの.ぼくの場合素粒子は電子,エネルギーはこの業界では大したことはなく,数十MeV.ビームを標的にあてたときに起きる化学反応の研究に用いる.

電子ビームを極端に短い時間に詰め込むのがここの加速器の特徴で,当面の時間の目標はフェムト秒(10の-15乗秒)を切ること.ちなみに1フェムト秒の間に光が進む距離は100nm, 1mmの1万分の1だ.電子ビームのパルス幅の逆数fを E=hf に換算したとき,これが標的のイオン化エネルギー程度になると,ビームは電離現象に対して一個の巨大粒子のようにふるまう.電荷Zeを持つ一個のイオンに対する標的の阻止能はZの2乗に比例する.従 ってN個の電子からなる超短電子ビームに対する阻止能は, ZをNで 置き換えたものになるからNの2乗に比例する. Nは10の何乗という天文学的な数.ふつうは電子ビームの阻止能は単一電子の阻止能のN倍でしかない.

図のように電子ビームはイオンビームに比べ透過力が大きい...というと聞こえが良いが,何もしないで標的のを突き抜けてしまう.ビームのパルス幅を極端に短くすれば大きな阻止能を受ける結果,突き抜けるどころか標的のほんの表面で全エネルギーを失う.ここにHigh-energy-densityすなわち,近頃話題の高エネルギー密度状態...言うなれば核融合が起きてもおかしくない状態...が生じるというのが,捕らぬ狸の皮算用.

まだ計算の段階.ちなみに実験では,100フェムト秒のビームパルスができた段階.クラスタービームというものがあって,1970年代から同様な現象が期待され,その計算法も研究されてきた. これを電子ビームに焼き直せば良いのだが,相対論だの,量子論だのが入ってきて難しいね...というのが現状.

ここまで読んで下さったかた,お退屈さまでした.
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reading

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