Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

化け猫予備軍

2013-01-30 08:11:31 | お絵かき


化け猫は行灯の油をなめることになっているというが,これは魚の油を照明用に使ったためらしい.

かわいい子猫も化け猫になるかもしれない.

それは人間もおなじこと.
最近は全然流行らないが,化け猫映画というジャンルがあった.化け猫役は (イマ流に言えば) もとアイドル女優だった (らしい,アイドル時代は知らない) .

CD ケースに内側からアクリル絵具.
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原発のコスト

2013-01-28 08:39:02 | 読書
大島 堅一 ,岩波新書(2011/12).
以下,つべこべと書いてしまったが,とにかく存在価値がある本.

個人的には,原発は放射性廃棄物製造機であり,原発事故が皆無と仮定しても,廃棄物処理まで勘定に入れたら,原発は引き合わないのと信じている.これを定量的に裏付けてくれる本.
しかし,大佛次郎論壇賞受賞というわりには,少々食い足りないとも思った.

構成は,第1章 恐るべき原子力災害,第2章 被害補償をどのようにすすめるべきか,第3章 原発は安くない,第4章 原子力複合体と「安全神話」第5章 脱原発は可能だ」.原発のコストそのものを論じているのは,第3章の 40 ページ強で,ちょっと短すぎる.

この本が引用している,2011 年に政府が発表した資料によれば,発電コスト (円/kW) は,原子力5-6円,火力7-8円,水力8-13円等である.しかし,原子力の数値は,2004 年の時点でモデルプラントを想定して計算したものであり,多分に恣意的なものであることがあきらかにされている.

上記コストは「発電事業に直接要するコスト」にすぎない.これに「政策コスト」を加えるべきである.これには,技術開発コストと,立地対策コスト (早く言えば,原発立地地域への交付金) がある.後者の例として,上関町の2011年度一般会計では,税収 2.24 億に対し,原発がらみは 14 億であることが示されている.まさに原子力村ならぬ原子力町である.
これら政策コストは国民が負担するわけだが,国民にはその認識がない.

またこれには,事故対策のコストが勘定に入っていない.この本では,事故コストをキロワット時当たりの価格に表すことは無理とつっぱねている.

廃棄物処理のコストはこの本では「バックエンドコスト」と称している.政府データを提示しそれを批判する形で記述が展開する,ここでは再処理工程のみを論じている.核燃料を一度使ったら捨ててしまう「ワンスルー方式」であれば,問題がないような書き方は誤解をまねきそうだ.国策として今までさんざん国費を投じてきた再処理計画は頓挫気味で,実際はプルサーマルに移行したらしいが,この本ではプルサーマルの記述は1ページ程度である.

この本で用いているデータは,だいたい政府が発表したものである.科学としてはそうあるべきだし,このデータだけでここまで言えるのかと感心する.しかしシミュレーションでも何でも良いから,もっと踏み込んで円/kW 値を具体的に示してほしかった.

じつはこの本の出版と前後して,民主党政権下で,政府のエネルギー・環境会議コスト等検証委員会がコストを算出している.ここでは福島原発と同程度の事故が 40 年に一度起きると仮定し,損害賠償・除染費用を計上している.さらに,自治体への交付金と立地費用を 1.1 円/kW,核燃料サイクルの費用を 0.4 円/kW とした.結果は 10 円台前である.ただし燃料代が高騰するので,火力,とくに石油火力コストは 40 円台に近づく.この算定の前提の吟味は是非著者にお願いしたいところ.
この本の改訂を望みたい.

何の展望もなく廃棄物を堆積し,未来にツケを回しているのが現状だ.再処理サイクルが閉じても廃棄物は残る.この「ツケ」は定量化不能なのだろうか?
この国は何年も続けて税収と同額あるいはそれ以上の国債を発行している.廃棄物は国債のようなもの ? いやいや,国家が破綻すれば,国債は紙切れになるだけだか,廃棄物は依然として存在し続ける.おそらく人類が滅亡しても存在するだろう.

また,この国の企業は発展途上国に原発を売り込もうと躍起である.しかし,事故の確率は原発の数に比例する.いっとき,核戦争が人類を滅ぼすと言われたが,戦争より平和利用目的の原発の方が危なそうだ.
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映画「東京家族」

2013-01-26 08:48:50 | エトセト等

この前映画館に来たのはいつだったろう.とにかく,ずいぶん久しぶりに映画館で映画を観た.テレビだと CM になってトイレに行き,その足でパソコンの前に座って,映画はそれきりになったり,だが,映画館ではそういう自由がないのが,良いような悪いような.

小津映画「東京物語」のリメイク「東京家族」.
平日の午前中なのにほぼ満席.大半がおばあさん.小津映画の方は,観たことがあるような,ないような.最後は小津映画の尾道ではなく,大崎上島で終わる.実はこの島在住の方から「映画を観なさい」と勧められていたのだ.

予告編が大音量で先が思いやられたが,本編の音量は気にならなかった.
映画はどこにでもありそうなストーリー.16 トンだったら子供の家に泊まるより,ビジネスホテルのほうが気楽と考えてしまうが,それでは映画にならないのだろう.吉行和子が外出時には和服に着替えるのも時代錯誤だが,映画には合っていた.ひとつひとつのシーンが短く,思ったよりさくさくとストーリーが進んだ.妻夫木聡・蒼井優のカップルがもうけ役.林屋正蔵の髪結いの亭主役もはまっていた.

68 歳役の吉行さんは長男の家の階段の踊り場で倒れてそのまま死んでしまう.帰りがけに映画館の廊下で,お婆さんが歩きながら「わたしもああいうふうにピンコロで死にたいねぇ」と大声で感想をのべていた.
同感.

先日,麻生太郎が「死にたいと思っても生きられる.さっさと死ねるようにしてもらいたい.」と発言して叩かれた.麻生発言はお婆さんの発言に比べるといかにも浅薄.でも小生に限っては,死にたいと思ったときには死なせていただきたい.
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ふがいない僕は空を見た

2013-01-24 07:43:27 | 読書
窪 美澄,新潮文庫(2012/10).解説 重松清.

「ナニカアル」は女の小説と思ったが,これもまた女の小説.「女による女のための何とか文学大賞」受賞作だそうだ.陰湿で,その上 性描写満載で,桐野作品よりもえげつない.誰にでもある,どうしようもないが,可愛くもある部分を拡大して見せた小説と言うこともできそう.

道尾秀介「光媒の花」同様の連作小説で,山本周五郎賞というのはこの形態が好きなんだろうか.最初の2遍が暗くやり切れなかったので,放り出そうと思ったが,3編目で救われた.全体では,思ったより甘く終わってしまったという印象もある.

自分が高校生だったら喜び勇んで読んだと思うが,この歳ではモタレル本だった.

「BOOK」データベースより*****
これって性欲 ? でも、それだけじゃないはず。高校一年、斉藤卓巳。ずっと好きだったクラスメートに告白されても、頭の中はコミケで出会った主婦、あんずのことでいっぱい。団地で暮らす同級生、助産院をいとなむお母さん…16歳のやりきれない思いは周りの人たちに波紋を広げ、彼らの生きかたまでも変えていく。第8回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞、嫉妬、感傷、愛着、僕らをゆさぶる衝動をまばゆくさらけだすデビュー作。*****

上のような梗概では,連作小説の場合は第 1 編だけしか対象にしないらしい.それにしても,斜め読みのせいか「ふがいない僕は...」の「僕」が誰のことだか分からない.
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ナニカアル

2013-01-22 08:12:25 | 読書
桐野夏生 新潮文庫(2012/11).

「BOOK」データベースより***
昭和十七年、林芙美子は偽装病院船で南方へ向かった。陸軍の嘱託として文章で戦意高揚に努めよ、という命を受けて、ようやく辿り着いたボルネオ島で、新聞記者・斎藤謙太郎と再会する。年下の愛人との逢瀬に心を熱くする芙美子。だが、ここは楽園などではなかった―。戦争に翻弄される女流作家の生を狂おしく描く、桐野夏生の新たな代表作。島清恋愛文学賞、読売文学賞受賞。***

最近読んだ「猫間地獄のわらべ歌」が男の小説なら,これは女の小説.若いときはこういうのも楽しめたが,いまでは陰湿で,やりきれない・つきあえないという感じが強い.憲兵まで女性的.でも最後まで読んでしまったのは,せっかく買ったのにもったいないから,要するにケチだからだろう.

林芙美子の原稿を見つけたという経緯を前後にはさんで,まんなかがその原稿そのものという体裁.1943年に林は新生児を貰い受けて養子としたそうだが,この原稿が虚構でないとすれば,養子ではなく実子ということになる.
同居の夫に妊娠・出産を隠すなんて可能だろうか,とは思うが,小説なら構わないのだろう.

昨年,「放浪記」女優の森光子がなくなった.テレビでちょっと見ただけの森さんのイメージが林さんと重なってしまった.
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セロニアス・モンクのベムシャ・スイング

2013-01-20 09:02:07 | 新音律
オクターブには 12 の半音がある.音の間隔が低い方から「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」となるように拾って作ると,ドレミファソラシドの長音階になる.

合計して 6 全音になるなら,どう音を選んでもオクターブに収まる音階ができる.たとえば
「全音・全音・全音・全音・全音・全音」とすれば全音音階.ドビュッシーはガムランに影響されたそうで,この音階を用いて作曲している.
http://blog.goo.ne.jp/ablerail1007/e/0c7cc88cc261db4f2273b4f6de9de45f
ただし,この全音音階は,言い換えれば6音平均律だが,ガムランはふつう 5 音平均律である.

「全音+半音・全音+半音・全音+半音・全音+半音」とするとオクターブに 4 音しかない音階ができる.こんなもので曲ができるのかと思ったら,作ってしまった人がいた.今度の電子書籍に収録の予定.

もっと複雑な分け方では「全音・半音・全音・半音・全音・半音・全音・半音」の 8 音音階.スクリャービンである !
http://www.piano.or.jp/enc/pieces/5064/



そこで,この Bemsha Swing だが,Bemsha って何 ? とアメリカ人に聞いたけど分からないようだった.この曲は AABA 形式だが,A 部のキー C が B 部では F に移調されただけで,B 部でも音階はおなじ,「全音?・全音・半音・全音・半音・全音・全音」という音階である.4小節目,A 部の終り直前にちょっと現れる B(シ) は経過音あるいはテンションとしておこう.

これに近いのが,上の図の Phrygian Dominant Scale だが,2番目の Db という音を使わないので,スペイン的な色彩がない.

ドビュッシー,スクリャービン,モンクの音階を眺めると,全音と半音の作るパターンにどれもある種の対称性・規則性がある.これに反し,長音階は規則性が低い.音楽は規則だけでは一般性を持てない?



この動画では Bemsha Swing のテーマは3分半あたりで現れる.演奏は,ことさら上記音階を意識しているわけではない.
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日本の素朴絵

2013-01-18 09:40:59 | お絵かき
矢島 新著 PIE Books (2011/03)

これも図書館で借用したが,蔵書としてときどき眺めたくなった.

「序 日本の素朴絵,1 絵巻と絵本,2 大画面の中の素朴,3 庶民信仰の温もり,4 庶民のための素朴絵,5 知識人の素朴,6 工芸の素朴美」という構成.

素朴派というとルソー等を連想するが,著者は,日本の素朴絵はそれとは違うと言う.西欧の絵画は,細部まできっちりと描かないと気が済まない.それはルソーも例外ではない.こちらではほとんど余白の,一筆書きみたいな絵も珍重される.わび・さびと唱え,ひんまがった茶碗を「お宝」とする国民性がこうした素朴絵を産んだのだろう.

百聞は一見にしかず,図版からいくつかご覧に入れると,


江戸時代の大津絵.青面金剛図において,金剛の両脇に控える2匹の猿の内の1匹.紙に皺が寄って,そこがまた味を出している.青面金剛は庚申信仰の本尊だそうだ.


室町時代の浦島絵巻.「中からぱっとしろけむり たちまち太郎はおじいさん」の図だが,しろけむりが円弧を描いて太郎を直撃するのは,現代人のイメージとかけ離れている.


室町時代の,平清盛による人口島造営をテーマとする築島物語絵巻のなかの,奇妙な建物.厳島神社の骨格を連想させる.いちばん手前の窓がシュールだ.


小野道風を描いた幟旗に登場する蛙達.小野さんは何度失敗しても柳に跳びつこうとする蛙を見て,努力することを学んだそうだが,蛙達の表情が小野さんの表情よりずっと哲学的だった.最初のお猿さんもそうだが,日本の絵では人間より動物の方が人間くさい.


「5 知識人の素朴」の一例で,与謝蕪村によるもの.文字は「学問は尻から抜けるほたるかな」.上手すぎ洗練されすぎで素朴とは言えないかも.
この本には「ゆるい」という形容詞が何度も出てくる.白穏,仙厓,乾山,蕪村なども,難しく考えずに,とりあえずは「ゆるかわ」ぶりを楽しめばいいということだろう.

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時代小説で読む日本史

2013-01-16 08:22:28 | 読書
末國善己,文藝春秋 (2011/3).

「BOOK」データベースより*****英雄・龍馬像はいかにしてつくられたか!? 作家と読者の”時代の無意識”を探求する。 坂本龍馬や信長・家康、新選組に忠臣蔵など、日本人の精神形成に多大な影響を与えてきた歴史上の人物・事件がどのように小説化されてきたか分析し、日本人の歴史観の成り立ちを浮き彫りにする快著。*****

図書館で借用.

「太平記」から始まって「西郷隆盛」まで 15 編.そのうち 15 編は月刊誌オール読み物に掲載されたもの.
信長・秀吉・家康と続くとちょっとうんざりするが,石川五右衛門とか宮本武蔵・佐々木小次郎とかも登場して目先を変えてくれる.

歴史上の人物に対する見方は時代によって異なる.明治・大正から戦前戦後にわたり,また戦後と言っても高度成長・バブル崩壊などがあり,それぞれの時点で同じ対象,例えば豊臣秀吉が主人公にされたとしても,その人物像はがらりと異なる.この本のテーマは時代小説の背景となった時代だが,著者の力点はむしろ,その時代小説が書かれた時代の歴史にあるようだ.

多少の例外はあるとしても,時代小説は大衆小説であり,純文学より一段低く見られがちだが,じつは大衆小説作家の方がずっと勉強していると思った.
この本での分析が,時代小説を書いた作家の意図と合っているのかどうかは興味がある.作家にすれば,穿ちすぎと言いたくなる部分もあるかもしれない.

この本自体も書かれた時代を反映している.浅井三姉妹や直江兼続が入っているのはテレビの影響だろう.書かれたのが昨年だったら,平家物語から始まったのに,と思うと残念.
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とんど? どんど? どんと?

2013-01-14 11:19:51 | お絵かき


初めて遭遇したのは蔵王にスキーに行ったときで,「どんと焼き」と教えられた.

「左義長」というもっともらしい呼び名もあるらしいが,このあたりでは「とんど」である.つい十年前まではこの絵の感じでローカルに田んぼでやっていたのが,この学区では小学校の校庭に一極集中したようだ.PTA のテントに行列してお汁粉と,あいなった.

CDケースに裏からアクリル絵具.
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猫間地獄のわらべ歌

2013-01-13 09:35:38 | 読書
幡 大介,講談社文庫 (2012/7).

書店のカウンターに持っていくのが恥ずかしいようなタイトル.いわゆる「バカミス」である.

*****
内容(「BOOK」データベースより)
江戸の下屋敷におわす藩主の愛妾和泉ノ方。閉ざされた書物蔵で御広敷番が絶命した。不祥事をおそれ和泉ノ方は“密室破り”を我らに命じる。一方、利権を握る銀山奉行の横暴に手を焼く国許では、ぶきみなわらべ歌どおりに殺しが続くと囁かれ !? 大胆不敵なミステリ時代小説。文庫書下ろし。
*****

密室殺人・見立て殺人・xx館の殺人と,てんこ盛り.とつぜん登場人物がミステリ談義を始めたりする.この作者は初体験だが,屋形を館と言い倒す等,まじめな悪ふざけにあふれた小説.こういうの大好き.

すべてが終わったかと思うと,最後にどんでん返しがある.古典に素養のある方は,「ないしのすけ」という語り手 (俺) の名前から推察できるはず.かくいう小生は,素養はあったはずだが,それが眠っていたので騙されてしまった.
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