Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

年齢と時間

2009-06-29 15:18:43 | 科学
学齢前は朝から夜までが永久に近い長さがあったように思うが,このごろはあっという間だ.しかし,現在と,たとえば20台を比べてどうか と言われるとあまりはっきりしない.

書店で

A 一川 誠「大人の時間はなぜ短いのか」集英社新書 (2008/09)

を見かけたので,ネットでチェックしたら

B 竹内薫 「一年は、なぜ年々速くなるのか」 青春新書INTELLIGENCE (2008/11)

もあった.2 冊とも市の図書館で借り出した.
B のほうが後発だが,B のあとがきにあるように,執筆は同時期だったらしい.A の著者は文科系,B は理科系.B では時間が逆行しない理由としてエントロピーを紹介しているところが理科系らしい.B のほうは科学エッセイ,A はもうすこし踏み込んだ啓蒙書という感じがしないでもない.

この 2 冊はすぐに読めてしまった.
学齢前の1日が長かったのは B にあるように「ゾウの時間ネズミの時間」説で説明がつきそうだ.しかしそれ以上に何がはっきりしたかと考えると疑問.要するに定説はない,ということらしい.
「体感時間は年齢に反比例する」というのが,A ではジャネーの法則,B ではマリリン・ダプカスの説として紹介されている.この法則 (仮設?) の内容を,A はたいして評価せず,B は「さらに深い原因から生じた表面的な結果」としている.

自分を例にとると,朝は早く目が覚め,夜はすぐ眠くなる.J 子はそうではない.こちらの体内時計では1日が24時間より短く,J 子では長いのかもしれない (個人差大!).
自分は熱しやすく冷めやすい...飽きっぽい...のだが,これは体内時計と関係しているのだろうか.しかしこの性格が年齢とともに顕著になったということはない,と思う.
でもジャズのアドリブでひどいときは 4 小節単位で跳ばしたりするのは,やはり歳のせい?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウェイクフィールド

2009-06-27 08:40:38 | お絵かき
荷電粒子群・光子群が通過した後物質中に残す場が wakefield だが,船が通った後に残す波を転用した言葉.
これをネタに書いた論文が出版された.
http://jjap.ipap.jp/link?JJAP/48/056002

いい歳して,first name で恥ずかしい.

洪水を疾走するミニが残すのも wakefield だろう.でも,走りにくそう.
wake は一部の物理屋にはおなじみの現象.この絵も物理屋さんに進呈したが,奥様に「なに?これ!」と言われたことだろう.

CD ケースに裏からアクリル.
http://gallery.nikon-image.com/178657209/albums/1089407/
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夜想曲集 クラシック小説集に非ず

2009-06-25 08:53:29 | 読書
カズオ・イシグロ著土屋政雄訳「夜想曲集 : 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 」早川書房 (2009/06)

著者初の短篇集だそうだ.ブックタイトル,造本などからクラシック音楽をテーマにした小説かと思ったが,それらしいのは 5 編のうち最後の「チェリスト」だけ.これは若いチェリストが自称チェロ演奏の大家と称するおばさんから個人指導を受けるという筋.全体にバックに流れるのは古き良き時代の,村上春樹が好きそうなジャズ-ポピュラー音楽.
著者自身こうしたジャンルのミュージシャンを目指した時期があったとかで,どれもミュージシャンの目線で書かれている.

奇数ページ偶数ページそれぞれのヘッダに邦題と原題が配してある.
そもそも最初の短編の邦題が「老歌手」とあつて,歳取ったオペラ歌手を連想してしまったが,原題は Crooner.クルーナーはビング・クロスビー,ペリー・コモ,アンディ・ウィリアムス...と言った系列の歌手のことである.
ここに出て来るカップルの片割れが,四つ目の「夜想曲」にも登場するが,これが一番長くて面白かった.
二つ目の「降っても晴れても」の原題は Come rain or come shine,スタンダードのタイトルだが,この本では異色のドタバタで,ちょっと違和感.「モールバンヒルズ」までの三編に共通するのは.壊れかかった中高年カップルが登場し,それに絡む三人目がミュージシャンという構図.

訳者あとがきにあるように,「どれも人生の一瞬を切り取ってみせたような作品」.このあとがきでは短編集出版の収支の内幕をばらしているのが面白い.
LP レコードをデザインしたカバーが良いです.

***内容(「BOOK」データベースより)***
ベネチアのサンマルコ広場を舞台に、流しのギタリストとアメリカのベテラン大物シンガーの奇妙な邂逅を描いた「老歌手」。芽の出ない天才中年サックス奏者が、図らずも一流ホテルの秘密階でセレブリティと共に過ごした数夜の顛末をユーモラスに回想する「夜想曲」を含む、書き下ろしの連作五篇を収録。人生の黄昏を、愛の終わりを、若き日の野心を、才能の神秘を、叶えられなかった夢を描く、著者初の短篇集。
******
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミステリーの人間学

2009-06-23 09:02:14 | 読書
廣野 由美子「ミステリーの人間学―英国古典探偵小説を読む」岩波新書 (2009/06)

「探偵小説の誕生」という序章に続き,ディッケンズ,コリンズ,ドイル,チェスタトン,クリスティ (DCDCC) が章ごとに論じられ,終章が「英国ミステリーのその後 -「人間学」の系譜」という構成.ネタばらし承知で主要作品についてはストーリーが紹介される.
個人的には,クリスティ以降の英国ミステリは多岐にわたりすぎてわからなかったところ.最終章は読書ガイドとして重宝と思えた.

本の中で著者がはっきり言っているわけではないが,ミステリはDCDCCの順で進化成長してきたのだなぁというのが読後感.
シェークスピアや源氏物語は「古典」だが,書かれた時点で完成されている.でも昔のミステリは,古典であっても未熟だったという印象.

***内容(「BOOK」データベースより)***
読者を謎解きに導く巧みなプロット。犯罪にいたる人間心理への緻密な洞察。一九世紀前半ごろ誕生した探偵小説は、文学に共通する「人間を描く」というテーマに鋭く迫る試みでもある。ディケンズ、コリンズ、ドイル、チェスタトン、クリスティーなどの、代表的な英国ミステリー作品を取り上げ、探偵小説の系譜、作品の魅力などを読み解く。
******

ミステリの登場人物の性格は類型的...というのがこれまでのぼくの固定観念で,これは実はこの本を読んでも変わっていない.人間のこころはうつろいゆくもの.でもこの人ならこうすると固定しなければ,ミステリになりにくい.そこをカバーするために,登場人物を増やし,人間模様を複雑にする.行き着いた先がクリスティ,という見方もできるのでは.

ところで
桃源社版 小栗虫太郎「黒死館殺人事件」の解説で,澁澤龍彦は「(虫太郎は)本質的に審美的な作家であって,彼の作品の中に,人間的衝動や情熱や怨恨やエネルギーの噴出なんぞを探しても無駄」と言っている.
小栗ミステリはやや特殊かもしれないが,ミステリはすべて,多かれ少なかれこういう性格も持っている.

ミステリだけでなく,小説はいろいろな読み方ができるものなんだろう.

夏目漱石「こころ」だってミステリみたいだ.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あのね 子どものつぶやき

2009-06-21 08:23:35 | 読書
朝日新聞出版編集 朝日文庫(2009/6)

奥付を見たら6月30日初版とある.タイムマシンに乗ってきたのだろうか.

***内容紹介***
幼い子どものつぶやきには、素直な疑問や新鮮な驚き、深い愛情など、大人が忘れてしまった大切なこころがつまっている。2歳から8歳くらいの子どものふとしたコトバを書きとめた朝日新聞連載中の大人気投稿欄「あのね 子どものつぶやき」を編集したオリジナル文庫。子育ての悩みや仕事の疲れを吹き飛ばし、やすらぎとファイトを与えてくれる一冊。大人も子どもお年寄りも楽しめて、プレゼントにも最適。
********

1ページに一言ずつの子どものつぶやき.表紙だけでなく,和田誠のイラストも何枚かある.
もったいなくも,あっという間に読了.J 子は騒がしく朗読していた.

うどんの油揚に「これ 狐の皮?」

とか

踏切で上りのつぎにすぐ下りが通過したので,
「忘れ物したんじゃね」

とか.これは広島県三原市の子で,ちいさいのに方言を使っているのが可愛い.
もっと...というなら,本を買って下さい.

紹介にあるように,この欄はまだ朝日新聞に連載中.行楽シーズンとなると東京中から何通も届く投書がこれだそうだ.
「上野動物園、楽しかったね.こんど、下の動物園に連れてってね」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「演歌」のススメ

2009-06-19 08:04:18 | 新音律
藍川由美著 文春新書 (2002/10)

数年前に発行の本を図書館で借りた.著者は芸大出の学術(音楽)博士のソプラノ歌手.作曲家では本居長世を再認識しているが,北原白秋との対比で野口雨情を評価するなど,作詞にも造詣が深い.

最後の1/3は古賀政男の記述に当てられる.著者には作曲家の意図を忠実に再現するために,ウイーンで録音した古賀メロディの CD があるそうだ.かっての SP は録音時間がかぎられていたため,歌詞3番まで収録するためにやたらにテンポを上げたというはなしが面白い.この章全体が長大な CD のライナーノートという感じ.ただし生のデータが延々と引用されていたりしるあたり,熱心でない読者は閉口する.
ネットを漁ったところでは,「東京ラプソディー」~古賀政男 作品集2 がそれらしいが,作品集1はすでに入手困難らしい.

***内容(「BOOK」データベースより)***
わが国には無批判に西洋クラシック音楽を崇拝し、自国の音楽を見下す風潮があるが、そろそろ日本人も、明治以来の音楽教育によって植え付けられた西洋音楽コンプレックスから脱却する必要があるのではないか。現に近代日本には、少数ながら、日本人としての美意職や音楽的伝統を基盤に、西洋音楽至上主義と闘ってきた作曲家や詩人たちがいた。古賀政男、中山晋平、本居長世、野口雨情らの作品を徹底検証、日本の歌を初めて実証的に評価した衝撃作。
*******

上記の要約のように,著者の意図するところは タイトルの「演歌」のススメよりももっと広いようだ.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

招き猫

2009-06-17 07:12:10 | お絵かき
「なんだお前は」
「どーもすいません」
(先代林家三平です)

例によって,CD ケースに裏からアクリル絵具で描きました.

ギャラリーhttp://gallery.nikon-image.com/178657209/albums/1089407/は最近模様替えされました.この際新しいのも追加したので,ひやかして下さい.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピアノ教室発表会

2009-06-15 07:46:03 | エトセト等
ことしもピアノコンサートという名のピアノ教室発表会に行く機会があった.ただし去年とは違う先生.
第一部 こども,第二部 おとなは去年と同じ.子供達の合奏があるのも同じ.この構成が今では一般的らしい.

ただし こどもの部は女の子ばかり.「ぽにょぽにょ」の合奏も男子がいないせいか,統制のとれたものであった.これに対し おとなの部は最後の一人を除いて男性ばかりだった.

合奏が終わったら写真左側の空席4行4列に子供達が押し寄せた.おとなのピアノの間ちっともじっとしていない...小フーガではリズムに同期して伸び上がったり,後ろを向いたり.5行目に座ったわれわれは,アニメを見ている気分.

先生は最後に花束をもらってうるうる.

ところで,おとなのピアノの発表会はこのように,こどもといっしょに公会堂の小ホール的な場所でやるのと,喫茶店や楽器店などもっと小さいところで茶菓つきでやるのと,ふたつのやり方があるようだ.出演者によれば,後のほう,小会場のほうがアガルということだが,見てもそう思えた.

このコンサートはクラシック中心で,ポピュラー曲でも楽譜どおり弾くというもの.一般にアマチュアのジャズと比べると演奏者が堅くなっているように思えた.
ひとつには,ジャズの場合はだいたいがコンボ演奏なので,責任が分散されてしまうのに対し,ソロピアノは孤独だからだろう.
しかしそれだけが原因とも思えない.以前バッハのインベンションを vib, p. b, ds のカルテットで自分たちで演奏した録音を聴いてみると,テーマの部分はおっかなびっくり弾いていて,アドリブになるととたんに元気が出ているように感じられた.
これは演奏者の性格にもよるのだろうか.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

受動型太陽熱 (冷) 暖房 OMソーラー

2009-06-13 09:00:55 | エトセト等
写真はレイ・ブラウン-ジーン・ハリスの能天気なジャズアルバム「ソウラー・エナジー」のジャケで,以下の文章とは関係ありません.

OMは考案者奥村の名から.OMソーラーでは屋根板の下に空隙を設け,冬の昼に暖まった空気をファンで床下へのパイプに回してコンクリートに蓄熱・暖房に利用,夜は空気が回らないようにパイプを閉じ,もっぱら余熱で暖房する.
夏の昼は屋根板下の暖気(暑気というべきか)は大気中に放出し,夜外気が冷たくなったら取り込んで屋根下から床下へまわす.

竣工後十年.

J 子ががたがたうるさい音がして眠れないという.大気に放出するためのダクトから,2Hz くらいで,流体が規則的に吐出するような音・真空ポンプが喘いでいるような音がする.
OMソーラーの制御パネルには,すべての電源を切るためのスイッチがない.「しろうとがいじってはいけない」という説明書に従い,異音をずっとがまんした.

十年前の業者に電話したらすぐ来てくれた.システムの電源を切って,2日後出直し.こんどは二人で来て,屋根下からの空気流通経路を外/床下に切り替えるためのモーターを交換.
空気そのものを強制的に流すファンのほうが働きっぱなしで,私としてはずっとお疲れのはずと思ったのだが,こちらはまだ健康とのことであった.

まぁ10年経てば,どこかが壊れるのは仕方がないだろう.

この手のパッシブな暖房は,天候が良くても外気温+10度というところ.外が0度なら10度である.これをどう評価するかというところ.

屋根板にはついでに太陽電池も置いたのだが,こちらは現在の製品に比べていかにも効率が悪い.いまさら交換するのも金がかかるし.シャクの種である.
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ジョン・ケージ著作選 」

2009-06-11 11:01:35 | 新音律
小沼純一編集 ちくま学芸文庫(2009/5)

207ページの薄っぺらな文庫本が1115円かよ! と思ったが,ぺらぺらとめくって納得.この本を作るのは大変だっただろう.目で見て画集のように楽しめる...といいたい.画集なら絵を載せれば出来るけれど.これはそうはいかない.

ただし,読みづらい.
文章自体共感させる部分が多々ある とはいえ,大半は詩みたいで読みやすくはない.しかし読みやすい文章でも読みにくいように活字が組んであって,それがまた楽しいという変な本.

あなたが自分の書いたものの中で印字法にあれほど重要性を与えているのは,どうしてですか
ほかにすることがない
(ダニエル・シャルルの33の質問に対する60の答え より)

***内容(「BOOK」データベースより)***
ジョン・ケージの出現により、音楽を聴く、音を作る姿勢が決定的に変わった。彼は従来の作曲者主導による音楽の在り様に背を向け、あらゆる意図を排除するために作曲・演奏・鑑賞に「偶然性」を関与させることで因襲を打破した。「ひとつひとつの音は固有のものであって、ヨーロッパの歴史や理論を備えているわけではない。」この思想は、言葉としても残された。本書は単行本未収録作を中心に、彼の音楽論をはじめ、偏愛したキノコに関するエッセイ、革新的なテキストなど様々な形の言葉を集めたオリジナル編集。また編者による解説と年譜を付す。
*********

もっと書きたいことがあるが,忘れなければ,また後日.

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg