ひょっこりひょうたん島主題歌

ひょっこりひょうたん島の主題歌の音源を探したら，オリジナル版(右)，モー娘の他に，タイムファイブ，亀淵由香のゴスペル・グループなどがあったが，結局　前川陽子のHyokkori Hyotan Jima(左)をネットで購入．

前川さんがこのテレビ主題歌を歌ったのは12才のときだったそうですが，このCDは前田憲男編曲になる11人編成のバンドによるニューヨーク録音で，主題歌のほかに挿入歌も3曲．前田氏によればひょうたん島は宇野誠一郎氏の最大傑作，放映当時からジャズ・ミュージシャンの間で評判だったとのこと．ここではラテンのリズム，後半シングルコードでキーが8小節おきにあがるところが面白い．ひょうたん島はHal斉藤編曲のコンボ版も．

前川さんは12才のときとあまり声が変わっていない．言い換えるとジャズには声がきれい過ぎるかな．スタンダードをうたったCDもある．ジャケットから何かを期待するとはずれます．

中井英夫「名なしの森」

塔晶夫名義の「虚無への供物」には，はぐらかされたような気分になったが，後半が追加されたのを通読したときは圧倒された．「虚無への供物」は日本のミステリの最高傑作だ．たしかに「無人島に持って行く本」候補である．しかし中井英夫の長編はこれひとつで，あとは短編集ばかり．短編はどれもかっこいいのだが，面白いかといわれると，あまり面白くない．背伸びをして面白いふりをしないといけないように思えたりもした．

この「名なしの森」河出書房新社1985初版を古本で．この短編集が意外に面白かった．こちらが歳を取って嗜好が変わったせいだろうか．もっともなかには初出がオール読物とか小説現代とかいうのもあり，ぼくレベルで書いてくれたせいだろうか．

姫路市立美術館と水越松南展

西日本JR一日乗り放題3000円という切符だったが，在来線で広島・姫路は遠かった．新幹線とちがって駅弁さえ買えない．

美術館は煉瓦造り．水越松南は96歳で亡くなって今年で20年の南画の画家．「飄逸にしてモダン！こんな画家がいた」というのが展覧会のキャッチフレーズ．南画というのは漫画のようなもの...といったら怒られそうだが，虎も猫も狸も同じようだがいきいきと描いてある．画題を中心に，周囲を植物やら，ウサギやら，亀やらで装飾的に囲んだ絵が多く，周囲のほうに目がいってしまう．図は，虎穴に入らずんば虎児を得ずというテーマの一連の作品の一部．これは親虎だが，じつは子虎のほうがおもしろいから，見に行ってください．

油絵などはこてこてと同じ絵を何日もいじくりまわしているが，こうした絵はすぐ画けてしまうな．しかし，線を一本引いてみて，「気にくわない」といってやぶり捨ててしまったら，いつまでたってもできないな．

この美術館にはベルギーの画家の絵がそろっているらしい．常設展に，デルヴォーの絵があった．日本の作家のもそろっているが，やはり姫路城をテーマにしたものが多い．小山敬三「白鷺城の一角」では階段の段差に比べて人がいやに小さく描いてあるように思われたが，お城の階段は本当に高いのだろうか．

帰り道でJ子が「いまみてきた画家の名前なんだっけ」といったが，自分は記憶しようとさえ思っていなかったのに気がついた．テレビの新日曜美術館で姫路でと紹介していたのがよさそうだから行ってみたのでした．

マウンテンルート

...といっても，登山とは無関係．新風舎という，自費出版専門の出版社が福岡天神イムズに開いている書店．
http://www.pub.co.jp/mountain/
店の中が3次元の迷路のようで，腰をかがめないと入れない洞穴のような部屋があったり，宙づりの部屋があったり．
ただし床から本棚が生えているので，下段の本は見るのも取るのも大変．本の分類は大雑把で，何がどこにあるのか分からないが，そこがいいところかもしれない．書店にしては暗い空間だが，コーヒーも飲める．くせになりそう．