酒井順子 KADOKAWA (2019/5).図書館で借用.☆☆☆☆
古典文学の作者に対して,著者は「友達になれそう」という親近感を抱くのだそうだ.それがタイトルの由来で,表紙イラストは著者と,そうした友達のひとりらしい.
著者がガールトークしてみたい相手は (以下の5行は Amazon 内容紹介のコピペ)
-「あるある」の元祖、女子に人気のリア充 清少納言
- ねっとり濃厚な性質、内に秘めるタイプ 紫式部
- 負けず嫌いな“出家してやる詐欺”美女 藤原道綱母
- 平安の“中二病”夢みる物語オタク 菅原孝標女
- モテと才能に恵まれるも、なぜか不幸体質 和泉式部
これら5人のガールフレンズの作品と人生をネタにしたエッセイ.酒井さんはどうやら紫式部より清少納言と波長が合うらしい.
ここで藤原道綱母は「蜻蛉日記」,菅原孝標女は「更級日記」の作者である.5人はほぼ同時代で,家系・就職先・結婚相手・浮気相手など互いに関係するが,解説されても面倒臭すぎて飲み込めなかった...飲み込む必要もないのだけれど.
彼女らの経済生活がよくわからない (それを説明するのがこの本の趣旨でないことは分かっている).やんごとなき夫が持つ多妻のうちのひとりになることもあるが,夫は多妻の一人一人に生活費を与えていたのだろうか.いっぽう彼女らの父はたいてい受領階級だが,この階級は一夫一婦だろうか.父親はけっこう薹が立った娘の生活の面倒を見ている.
菅原孝標女は富士の煙を眺めたりしている.あれもいつ噴火するかわからないぞ !
角川文化振興財団の雑誌「短歌」の連載「平安の女友達」の単行本化.