Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

いねむり先生

2013-08-30 08:27:35 | 読書
伊集院静 著 集英社文庫(2013/08).

著者と色川武大との数年足らずの交遊を描いたにすぎないから,自伝的長編小説という看板は偽り.
むかし「話の特集」という雑誌があって独特のカルチュアを創っていた.色川武大はその常連として知っていた.麻雀は不得意なので - あんなに時間がかかるゲームはやっていられない - 阿佐田哲也名義の小説はあまり読んでいない.でも,映画「麻雀放浪記」は観た.

「いねむり先生」は,突然眠ってしまう色川氏がナルコレプシーという持病を持つため.

色川氏に興味があったので購入したのだが,はじめのうちは,この小説の先生像は違うんじゃないのと思った.「怪しい来客簿」や「狂人日記」等の著者が,若い人に丁寧語でしゃべるようには思えなかったのだ.しかし後半,先生のイメージが先入観として持っていた色川イメージとしだいに合致してきて,著者 (伊集院) も色川も同じ人種たったかと,納得させられるしかけ.

井上陽水らしき人物が登場する必然性がないように思う.テレビ用かな ?
解説 村松友視.
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夢は夜ひらく

2013-08-28 07:42:52 | エトセト等
園まりの「夢は夜ひらく」がヒットした3年後くらいに,「圭子の夢は夜ひらく」が出た.最初は圭子バージョンに違和感があったが,当時の悪友は「園まりは歌謡曲,藤圭子はブルース」と断じた.先週だかテレビで,平尾昌晃や五木寛之が似たことを言っていた.ご本人も当時から米語の歌が好きだったらしい.

作曲は曾根幸明だが,どこかの少年鑑別所で歌われていたのを採譜したと聞いたことがある.


ナンシー・シナトラ (フランク・シナトラの娘) が誰かとデュエットした曲と似ていると聞いていたので,ネットで調べたら,"Summer Wine" というのだった.
http://www.youtube.com/watch?v=mQiDs9tKZv4

KUMA POWER に宇多田ヒカルのメッセージ.
http://www.emimusic.jp/hikki/from_hikki/
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真鍋博のプラネタリウム

2013-08-26 08:45:18 | お絵かき
星新一のショートショートのための,真鍋博によるイラスト集.単行本の刊行は 1983 年だったとのことだが,今見てもモダン.
残念ながら文庫では小さすぎる ! こうしたものこそ電子書籍向きだろう.
でも嬉し懐かし.

まえがき星新一,あとがき真鍋博,解説は真鍋博のご子息だが,国立科学博物館にお勤めとのこと.
真鍋博氏の文章はどこか星新一に似ている.

ショートショートの冒頭 (ときには全文) が添えられている.イラストを見てショートショートのオチが分かってしまってはイケナイ,というわけで,真鍋氏も書き出しの 5-6 行でイラストを描いたと言うことだ.

このカバーイラストでは,星が全部同じ角度で行儀よく並んでいるところが,いかにも真鍋調だ.
画像検索で「真鍋博」をググったら,時間の経つのを忘れます.
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電子書籍「物理実験法」

2013-08-25 08:44:59 | 科学


学会に行ったら卒業生が話しかけてきた.「物理科学実験法」と言う講義,さぼってばかりいたら「可」を食らった.でも教科書は卒業してから役に立った...のだそうだ.

思いついて,その教科書を電子書籍としてアップすることにした.
http://www.dlmarket.jp/products/detail/235975
消費税別 500 円.ファイル内リンク可能.pdf の検索機能が使えるので,索引は削除した.

「物理科学実験法」はどっかの授業科目みたいだ.物理科学は物理学で良いな

「物理学実験法」の物理学は物理だけでも良いな

と言うわけで,タイトルは「物理実験法」にした.
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加賀乙彦 自伝

2013-08-24 08:05:45 | 読書
集英社 (2013/03).

著者は小説家だが精神科医でもある.日本には珍しい純文学の長編作家と承知しているが,この方の小説は「湿原」しか読んでいない.

「永遠の都」「雲の都」というふたつの自伝的小説を,それぞれ 10 年以上をかけて完成されたとのこと.ちなみに,永遠は戦前編,雲は戦後篇だそうだ.このふたつは小説だが,この本は自伝.でもときどき上記小説の抜粋が挿入されている.

奥さんの死で始まり,両親の死で終わる.著者は終戦時は陸軍幼年学校在籍で,少年H の河童氏とは一歳違いなのも興味深かった.

祖父がおもしろい人だったらしい.貧しい漁師から医者になったが,毎朝風呂に入り「人間は管であるから,管をきれいにしなければいかん」と,その後浣腸し,口から管を飲んで胃洗浄をする.
文庫本全 7 冊という小説「永遠の都」を読みたいと思ったが,すでに絶版.図書館を探してみよう.

聞き書きスタイルで読みやすい.この方の小説は読みやすいのではないかと思う.
5部構成で,最後の第5部は「いかにしてキリスト教徒となりしか」だが,縁なき衆生としてはこの部分はよく理解できなかった.
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珈琲豆のメジャースプーン

2013-08-22 08:09:32 | エトセト等
いつからか思い出せないがとにかく永いこと使っていたコーヒー豆のネジャースプーンが割れた.
こんなものにも寿命が来たかと,感無量.

同じような木製のをと,ネットを漁ったら,価格は 3000-5000 円帯.
こんなものを平気で買うなんて,昔は金持ちだったんだと,再度 感無量.


100 円ショップでこれを買った.
ドイツ直輸入!! ブナ製,ウレタン塗装.210 円が半額で税込み 105 円.
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シルバー川柳 / 婚活川柳

2013-08-20 07:49:47 | 読書
「シルバー川柳2」 は,全国有料老人ホーム協会編 (2013/3).
2 というからには 1 もあり (ただし 1 とは謳っていなかった),そちらの表紙は
「誕生日 ローソク吹いて 立ちくらみ」 .

「婚活川柳」はパートナーエージェント 編 (2013/05).

どちらも同じような造本で,1ページ1句が原則.イラストが楽しい.てっきりシリーズ本かと思ったが,シルバーはポプラ社,婚活は主婦の友社発行だった.
老人ホームや結婚相手紹介業がこんな本を出すなんて,日本も進歩したものである.

似たようなのを散見

「さびしくて 振り込め犯と 長電話」
「オレオレの 詐欺もお手上げ 遠い耳」... テーマが同じと言うだけで,似てはいないか.

「アマゾンに 売っててほしい 玉の輿」
「恋人も 検索してよ グーグルさん」
婚活世代のほうが,やはり若い.
次はシルバーより,境界領域

「婚活と トンカツ 区別つかぬ耳」

それぞれ 10 分くらいで読了.こういう本は図書館に限る.

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映画「少年 H」

2013-08-18 08:22:48 | エトセト等


テレビ「徹子の部屋」に原作者・妹尾河童が登場した.このところわが家の映画鑑賞のきっかけは,もっぱらこのテレビ番組である.
もっとも小生は徹子さんの声もお姿も苦手なので,この時間はシエスタと決めている.

1997 年のベストセラー小説は購読したのだが,あまり覚えていない.その後,これを批判した本,山中 恒の「間違いだらけの少年H」が話題になったが,パスした.

映画の主人公は少年 H ではなくその父親という感じ.神戸の洋服職人でクリスチャン.外人とも親交があったから戦争の馬鹿らしさを直感していて,それが子供にも伝わる.
当時の政治家にはこの洋服屋さんのような知性がなかったのか,あるいは洋服屋さんのように周囲に流されただけだったのか.
そもそも,日本の芸術家や科学者は国際的に一流だが,政治家は外交も内政は昔から三流で,その傾向はこのごろとみに強くなっていくようだ.

空襲の B29 ? の編隊になぜか既視感.
戦後の子供には,洟を垂らしてもらいたい.画面に出てこないシラミを肌で思い出した.

少年 H (と,その妹) の数年間を描いているわけだが,H 君は中学を卒業してもちびのままで声変わりもしない.これを同じ子役がやるのは無理.
どうせなら役者の成長に合わせて,数年かがりで映画を作ったらどうだったんだろう.
マイペースの母親役が伊藤 蘭で,すっぴんのランちゃんはこうなのか,と妙に納得した.
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ゴッホ展 @ 広島県立美術館

2013-08-16 08:10:08 | お絵かき
超有名な絵が多数そろっているわけではないが,そのかわりゴッホをいろいろな角度から「勉強」できる構成.オランダのゴッホ美術館の研究によれば,ゴッホがその画風を確立したのは,彼がパリに滞在した2年間の試行錯誤の末と言うことになる.もっばらこの2年間に焦点を絞った展覧会である.

展示構成は I 「写実主義からモダニズムへ」 1885年末から1888年初期のパリ時代のファン・ゴッホの初期の芸術の展開における8つの鍵となる時点を紹介する。
II 「クローズアップ ファン・ゴッホ」- 空白のパリ- ゴッホ美術館が研究してきた美術史的かつ科学的な新考察を問い“?”の形式で紹介する。

と言うわけで,I では,これがゴッホが描いたの ? と思われる絵も.
II は画材の経年変化,光学分析が明らかにする絵の下のもう1枚の絵、描いた場所や肖像画モデルの特定などと,学術的.
大都会の美術展と違い,混んでいないので,ゆっくり観ることができた.

じつは,帰ってから HP で知ったのだが,分散して展示されていた自画像は全部で 8 点だったとのこと.
この HP にはカットのように 9 点が番号付きで表示されている.このうち 1 点はなかったと言うこと? もちろん覚えていないし,ケチってカタログを買わなかったので,どれたったのかは分からない.

美術展のカタログを CD にすれば,軽くて・安くて (安いはず!) 良いのに.
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小さいおうち

2013-08-14 08:23:36 | 読書
中島京子著 文春文庫(2012/12).
3年前の直木賞受賞作.映画化決定とかでまた書店に平積みになっていた.
前からカバーのイラスト (いとう瞳) が気になっていたので,購入.絵本 The Little House との関係は最終章で出てくる.登場人物のひとりが後で作る絵本のタイトルが「小さいおうち」なのです.

全部で 8 章のうち最終章以外は,お婆さんが戦前女中として仕えた,小さいおうちの一家の回顧録的体裁.戦前の庶民の生活が,自分が両親や親戚・近所の大人たちに聞かされたはなし「戦争前は良かった」とダブって懐かしい.開戦してもしばらくは呑気な日々が続いていたようだ.一般人が大本営発表を鵜呑みにしても仕方がなかった.

本筋がほとんど終わったところで,学童疎開の話が出てくる.この本には書いてないが,花をむしって吸うと甘いので,学童たちが村中のツツジを丸坊主にしてしまったと聞いたことがある (南方では蛇もトカゲも日本軍が食べつくしたそうだ).ツツジはホントに甘いんだよ !
戦時下で故郷から奥様を訪問し.ふたりで美味しいものを回想する場面 - コロンバン,資生堂,アラスカ,千疋屋等 - も印象に残る.
食い物の恨みは恐ろしい.

最終章では,奥様の浮気に関連して,諸々の怪しいデータが明かされる.この部分がなかったら直木賞は無理だったのかもしれない.しかし私にはこの章は蛇足と思われた.

ここに書いてあるように,現在の女子大と同等だったかどうかはやや疑問だが,戦前は上流階級への女中奉公は花嫁修業だったのだろう.
昭和 40 年代あたりまで女中という職業は残っていた.親類の社長さんの家にも女中さんがいたが,「お手伝いさん」と呼ばなければならなかった.
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