Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

リスク社会を見る目

2008-12-30 11:11:56 | 読書
酒井泰弘著 岩波書店(2006/9)

*****
「BOOKS」データベースによれば
現代社会に溢れる「リスク」とは何か。人間は「リスク」を回避しつつ「リスク」に挑戦し、安心を買いつつ夢を追い求める複雑な生き物であるという。この本では、リスク研究の第一人者が、松本清張、アガサ・クリスティの推理小説や、司馬遼太郎の随筆、金子みすゞの童謡詩、大相撲などを題材に「リスク」の見方を明らかにする。
*****

酒井先生はかってつくばの公務員宿舎でお向かいにお住まいだった.この本を大学生協でみかけ,全世界がリスクに打ち取られている現状も考えて,読んでみた.

岩波のハードカバーだが堅い本ではなく,新書化して電車で読むのが適当に思えた.大相撲の三者による優勝決定戦,巴戦では,最初に相撲を取らない第三の力士が最も不利という指摘,あるいはモラルハザートを組み込んだゲームの理論など,数学的な記述が面白い.お金の大きさとありがたさは対数で表されるというのは,私がつねづね考えていたのと同じではないか.

考えてみたら,社会科学の本はほとんど読んだことがなかった.
以下はこの本に対してではなく,社会科学全般に関する漠然とした不信.社会現象を分析して解説されればなるほどと思うが,それだけのこと.社会は勝手に動き,それを社会科学が追いかけているに過ぎないのではないか.社会科学が社会を引っ張ったことがあるのだろうか.(社会主義経済というのはマルクスの理論を実験して失敗したのかもしれないが)

自然科学では,研究する側は,クォークがいくつあると分かったところで,ぜんぜん役には立たないのを承知で研究している.工学が,役に立つことがすぐ分かるが,長い目で見ると,環境破壊につながったりする...
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大忘年会

2008-12-28 08:59:09 | エトセト等
3-4?年前に定年した大学の研究室の現メンバーご一行16人が押し寄せ,わが家で昼からほぼ9時間にわたる大忘年会.

昼:BBQ(肉、魚類、野菜、牡蠣、その他)
そば飯

夜:鍋 - カレー鍋,塩鍋,しゃぶしゃぶ(豚、ブリなど)
刺身
ケーキ

そば飯は具だくさん中華蕎麦入りチャーハン(あるいは焼きめし入り焼きそば).自称名人がさして大きくもない鉄板の上に野菜をてんこ盛りにし,日本酒を一升瓶から酒をじゃぶじゃぶとぶっかけ,次にこれをふたつに分けて出来た谷間にご飯をつみあげ... 外野が面白半分・心配半分でつっこむのにいちいち口で対応しながら手を動かし続け,最後には蕎麦を数玉放り込み,焼肉のたれもどっさり絞り入れ...
食べたらおいしかった.

ケーキは唯一の女子学生氏の設計・制作指揮によるもの.男子学生が叱咤激励されて生クリームを泡立てた.できあいのカステラにフルーツとともにサンドイッチ.前もってアルミ箔にチョコレートを流し込んで作ってきた文字を飾った.前列の苺(サンタではなくだるまです)はJ子製作.このビーム物理研究室が発足後10年になることをこのケーキによって認識した.

自分的には昼だけで腹一杯になってしまい,夕刻以降かなり苦しかった.
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ウォリス家の殺人

2008-12-25 11:47:06 | 読書
この季節になると「このミステリがすごい」のような,年刊雑誌?が出る.書店でこれを立ち読みし,まず文庫本で,本格もので,あまり厚くないものを選んで,新幹線の車中で読むことにしている.というわけで,

D.M. ディヴァイン 著, 中村 有希 訳「ウォリス家の殺人」(創元推理文庫 2008/8)

最後に解説を読んで,昨年の「悪魔はすぐそこに」と同じ著者訳者によるものだと認識した.作戦により「悪魔...」と傾向が違うものを2番目として刊行したらしい.ぼく的には「悪魔...」のほうが良かった.

愛憎渦巻くホームドラマ風.こういうのは苦手なので飛ばし読みをしたら,意外な犯人にびっくり.パズルとしてはうまく出来ているのだが,動機が納得出来なかった.これは飛ばし読みの罰だろう.

原題 This is your death.もっと違う訳し方がありそうに思う.あるいは今後この著者訳者ペアで「.....家の殺人」という似非シリーズでも出来るのだろうか.
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クリスマス カードとケーキ

2008-12-23 09:08:49 | エトセト等
近頃のこどもは皆サンタクロースがいると思っているらしい.
自分が幼少のみぎり父親に,うちにはサンタが来ないのかと訊いたときのこたえは,「あれはアメリカ人の子供だけに来るもんだ」であった.占領下の時代で,こどもにもあっさり納得出来る答えだった.

さて,楽譜は
http://www.stockhausen.org/Stockhausen_memorial.pdf
からいただいたもの.一見するとクリスマスカード用のイラストのようだが,本当に演奏する(させる)つもりで書いたのかもしれない.キャプションには
“Die zehn wichtigsten Wörter.” / “The ten most important words.”
(Stockhausen, Weihnachten / Christmas 1991).
とある.シュトックハウゼンの,見るだけなら面白い楽譜たちはウェブを漁るとたくさん見つかる.ほかにも現代音楽の楽譜には強烈なものが多数.



こちらは J 子のピアノの先生かつケーキの先生の作品.苺を横に切って,間に生クリームが挟んでサンタの顔にしている.
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点字とアスキー

2008-12-21 09:13:15 | エトセト等
さきの言政学研究会で点字の標準化についてうかがった.私自身は点字について何も知らなかったし,たいていの人は同じと思うので,ここでは仕入れたばかりの知識を..

点字は横2x縦=6カ所のポジションのどこに凸起があるかでコード化する.ポジションを左上から下へ123,右上からしたへ456と番号づける.この順番で,凸起があるところを1,ないところを0として並べると,例えば
 100000 が a
 110000 が b
 100100 が c
 ...

これはコンピュータが2進数で文字を表すのと同じ方法だ (ただし具体的なコードは異なる).現在のコンピュータはアスキーASCIIという規格で,1963年に制定された.
http://ja.wikipedia.org/wiki/ASCII
いっぽう点字は,ルイ・ブライユというフランス人視覚障害者が1825年にほとんど独力で完成させている.今年は彼の生誕200年で,欧米では点字のことをブライユとかブレイユとか言うのだそうだ.

もっともアスキーの文字コードは7ビットで,7ポジション使用に対応する.6ポジションだと2の6乗すなわち64文字しか表せないので,窮屈だ.そこで例えば文字と数字で同じコードを共有させ,数字の場合は「数符」というコードを前付けする.7ビットだと128文字,8ビットだと256文字が可能だが,指先の感覚では6ビットが最適なのかもしれない.

点字はコンピュータの文字コードに影響しているのだろうか.
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ワイエス展

2008-12-19 11:10:28 | お絵かき
BUNKAMURAザ・ミュージアム.
まじめそうな絵なので,敬して遠ざかっていたかったが,J 子の,東京に行くなら図録を買ってこいという命令に従い入場.

画家が発表したメインのテンペラ画だけでなく,そのための習作も (多い場合は数点) 展示してある.殴り描きのスケッチ,細部の精密なデッサン,いろいろな構図 -人物が登場したり抹消されたり-,水彩による色づけ...,制作の過程に興味のあるひと向き.ただし展示が習作だけで,メインは写真だけの場合もあるのはいただけない.

まつぼっくりなんかを一所懸命描いているところに共感した.
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京都の夜

2008-12-17 09:14:16 | エトセト等
ふつか以上にわたる研究会では,懇親会と称して参加者が晩飯を一緒にするのがふつう.このたびは,研究会そのものは万博公園だったが,懇親会は祇園...といっても,祇園のアイリッシュパブ.アレンジがイギリス人で同志社大学に勤めているW氏で,彼はこのパブの常連らしい.

食事は前もって注文してあって,ひとり1200円.飲み物は各自カウンターで払うシステム.ぼくはギネス900円と,あとはT先生ご注文のワインのボトルからいただいて満足してしまった.
http://www.irishpubkyoto.com/
懇親会としてはすごく安上がり.

食後このW氏がジャズスポットに案内してくれるという.彼はオックスフォードで日本をサカナにした人類学で学位を取ったらしく (間違っていたらごめんなさい),アイリッシュパブを離れてから会話は日本語に切り替わった.行ったのはウェスティン都ホテルのバー,ムーンライト.vo:平野翔子  p:田村文利 .ボトルが入っていて,ジントニックをおごっていただいた.W氏は(というよりファーストネームでB君は,と言わせていただこう),コール・ポーターの曲が好きだといって Paper Moon をリクエストしたら (この曲はコール・ポーターかな? ) ピアノソロで応えてくれた.
誰も聴いていないのはまだしも,大きな声で喋る客もいるし,ジャズクラブと違って,歌う方・弾く方は大変だ.

写真は平野 翔子さんのブログから無断転載しました.お許し下さい.この夜のものではありませんが,笑顔が素敵です.
楽しかった京都の夜でした.B君ありがとう.
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言政学研究会

2008-12-15 12:34:45 | 新音律
...という会合に呼んでいただいた.言政学linguapoliticsは総研大の出口正之先生が始められた領域で,正確な定義は
http://www.r.minpaku.ac.jp/deguchi/jlinguapolitics.html
をご覧いただきたい.私の理解では,言葉の壁について考えることが趣旨で,国際学会や学術論文はなぜ英語が主流なの?という疑問も研究のきっかけになっているようだ.

私に要請されたのは,言語と音楽を対比させることと解釈して,その線で話をまとめた.「言語と音楽」といえばT.G.ゲオルギアーデスの名著がある(木村 敏訳,講談社学術文庫 1994).この本は言語対音楽だが,自国語対英語(すなわち,よく通用する言語)のように,民族音楽を西洋音楽あるいは12音平均律音楽と対比させたらどうなるか.

英語を学習するのは努力がいるが,西洋音楽は,聴くだけならなんということはない.英語が世界でなぜ圧倒的に通用するかというのは難しいが,12音平均律が通用するのは,良くも悪くも合理的だからだろう.言語に文字があるように,音楽には楽譜があるが,五線譜はたいていの音楽を記譜できてしまうあたり,ローマ字というところだろうか.しかしジャズのコード譜みたいな書き方を言語に応用することはできそうもない...というようなことをしゃべってお茶を濁した.

研究会の趣旨に合った話か否かは疑問だが,オーディオファイルの多用がエンタテインメントとしては評価されたもよう.この研究会は2回目なので,話題にもやや余裕があり,音楽の話などもとりあげられたらしい.
他の,というよりメインな議論は,点字の言語依存性,日本での外国の地名の呼び方書き方,インドのような多言語国家の言語事情,小学校から英語教育を始めることの是非,学会誌の英文誌の存在,等など.
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ビブラフォン ファンの悩み

2008-12-13 21:38:40 | 新音律
ビブラフォンは早い話が鉄琴だが,音板(バー)の下にパイプがぶら下がっている.
パイプがあると,音量は増加するが,音の持続時間は減少する.
下の写真はバーを取り去ったところ.バーの下,パイプ(共鳴管)の上にファンがあって,これが回転すると周期的にパイプに蓋をするので,音にビブラートがかかる.たいていの楽器のビブラートは音程が変わるのだが,ビブラフォンでは音量が変わる.

ファンは心棒に固定されており,この心棒を回転するために,高音端にモーターが仕込んである.上の写真をよく見ないとわからないが,一個のモーターで,ゴムベルトとプーリーを介して(ピアノで言えば)白鍵側・黒鍵側2本の心棒を同時に回す.

白鍵側・黒鍵側が同期して,おなじ位相で回らないと,白鍵・黒鍵を同時に叩いたときに強弱が揃わない.ところがこれが同期しないのが悩み.一曲ごとに調整しないとだめ.アメリカ製はこの辺が雑.

もっともライオネル・ハンプトンはファンをはやくまわし,ミルト・ジャクソンはゆっくりまわし,現在はほとんど回さないのが主流.でもぼくは,バラードではゆっくりまわすのが好き.

演奏中にファンをまわさなくても,ファンの位置で音量が変わる.ここでも白鍵側・黒鍵側のファンの位置がそろっていないと悲劇.音が小さいのはファンがパイプを閉じる位置にあるときだが,音が大きくなるのは,ファンを半開(というか,半閉というか)の位置にしたとき.この説明は難しそう.叩くのはバーの中心を外した方が,高調波が豊富に発生しそうに思うが,実際の演奏でとくにテンポが速いときはそうも言っていられない.
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年賀状に折り紙?

2008-12-11 11:54:43 | エトセト等
年賀状に牛の折り紙でも折って写真に撮って,と思って,ネットで検索したら,こんなのがあった.

上はStehan Weberという人の作品.闘牛の雄牛という感じ.
下は前川淳氏の作品.こちらは伝統に近い折り方で和牛という感じ.ふたつ並べると,ガイジン牛にモーションをかけられているみたい.
どちらもかなり大きな紙から折り出したに違いない.
こんなのは出来そうもないので,年賀状案は白紙に戻る.




こちらは例によってCDケースに内側からアクリルで描いたもの.コメントいただいたように,
丑年→毎日が丑の日
という連想で,蒲焼きの絵,というのは,うなぎ屋さんの年賀状にはいいんだろうけれど.
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