Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ヘルムホルツの音楽の本

2008-03-31 23:05:55 | 新音律
ヘルムホルツ(1821-1894)は熱力学の第2法則,電磁場のヘルムホルツ方程式などで名を残している.そのヘルムホルツの
Die Lehre von den Tonempfindungen als physiologische Grundlage für die Theorie der Musik
は,ぼくの本のタネ本のひとつ.不協和曲線を最初に考えたのはおそらくヘルムホルツだ.もっともぼくが参照したのは,図書館で借りた英訳本
On the Sensations of Tone as a Physiological Basis for the Theory of Music
でしたが.

この本を翻訳しようと思い立った.でも厚い.英語版で576ページ.そのうえに字がちいさい.字数からいったら,たとえばJacksonのClassical Electrodynamicsあたりの2倍はありそう!

まず本をスキャナーで取り込んで「読んでココ」で計算機に認識させ,これを翻訳ソフトで日本語に直し,これを添削する...という作戦だが,そんなのだめだよというひとが圧倒的に多い.

計算機ソフト問題はさておくとしても,タイトルのsensationsってどう訳すの? toneは? と考えるだけで腰が引けてしまう.ちなみに辞書ではsensationは感覚(作用), 知覚;〘生理〙感覚機能とあるが,複数扱いにするときは日本語の「センセーション」に近い意味らしい.でもこの本の場合はまだ感覚・知覚のほうがよさそう.しかしこの英語はドイツ語のニュアンスを正確に伝えているのだろうか.



とにかく英訳本を購入.図版が,昔の本だけあってご覧のように魅力的.
出版社はDoverだが,Amazonで新品が2300円.
安い!!
翻訳して出版したとしても,原本がこの値段と知ったら,だれも買わないだろう.やっぱりやめとこうかな.




*** 追記 ***
2013 年にはこの本の安生 健氏による,ドイツ語の原著からの翻訳が完成している.出版はされていないが,東京文化会館の音楽資料室に1冊を寄贈されたとのことである.


宣伝です : 私たちの著書
小方・高田・中川・山本 著
「視て聴くドレミ - フーリエ音楽学への招待」大阪大学出版会(2013/03).

をよろしくおねがいします,なお,この本を立ち読みのノリで視聴できるムービーを YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=I43aZi6otBY

にアップしました.
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指揮者になる夢かなえます

2008-03-29 21:51:08 | 新音律
題名のない音楽会で「指揮者になる夢かなえます」という題名の音楽会をみた.素人がオーケストラの指揮に挑戦するという趣向.お父さんの晴れ姿にお嬢さんが涙ぐんだりして,とても良かった...といっても,プロの指揮者に失礼にはあたるまい.カットは素人指揮者がオケの前に勢揃いの場.

以下は,指揮者になる夢をかなえる計算機ソフトのアイデア.「売れますよ」とほうぼうでたきつけているのだが,相手にされていない.
あらかじめ計算機で作っておいた管弦楽のオーディオトラックの,テンポ・タイミング・音量・楽器間のバランスなどを実時間で変えるというもの.
画面にオケを映し出し,その前で指揮棒を振り回すとカメラがとらえて演奏に反映する...というのが最終的な姿だが,とりあえずは映像は無し,マウスとキーボードで制御パラメータをいじることにする.これならすぐにでも実現しそうだ.

運命の「ダダダダーン」を何秒かけてやる,なんて思いのまま.

じつはそういうソフトがもう存在していたりしたら,がっかり.
それに,あのテレビ番組をみて,オーケストラを指揮する感激は,計算機でねくらに音楽を作ることの対極に位置するのかな,とも思いましたが...
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伊丹十三記念館

2008-03-27 20:17:59 | エトセト等
これは記念館のパンフレット.記念館の俯瞰図が描いてある上の観音開きを開けると,下のように間取り図が現れる.中村好文設計とのことだが,奇をてらった所はなく,いたってシンプル.
中は狭い.でも13のコーナーからなる展示は密度が濃く,細部にまでゆきとどいていた.ビデオなんか見始めたら,なかなか終わらない.

年寄りばかりだったためか,カフェのお姉さんにとても親切にしていただいた.

ショップに4万なにがしのBriggのこうもり傘があった.本にスケッチされているやつ.手元も中棒も一体で一本のトネリコから削ってあった.

ところで,展示では「スゥイート・ホーム」という,レベッカのNOKKOちゃんが出た映画が完全に抹殺されていた.うかつにも知らなかった(あるいは,忘れていた)が,ネットによれば,この映画は伊丹十三が総指揮で,監督は黒沢清となっていた.ビデオ化の印税を巡って,監督が伊丹プロを提訴するということがあったらしい.

謎の自殺といい,彼にも影の部分があるのかなぁ.
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玉川近代美術館

2008-03-25 20:49:33 | お絵かき
今治市玉川町の,スーパーの裏にある,知る人ぞ知る美術館.パンフレットによれば
---この美術館は、玉川町出身の故徳生忠常氏が、全資金を提供して、「心温まる名画の美術館」として創立。ふるさと玉川町に寄贈されたものです。展示作品は明治以降の日本近代洋画家、黒田清輝、藤島武二などの大家から、近代美術史を塗り変えつつある中村彝、松本竣介、野田英夫等の異色画家を軸として、郷土出身画家及びピカソ、ルオー、ユトリロあたりの海外作品も揃えて、小品主体ながら近代洋画史の一環と幅広くわかりやすい展望をもっております。---

展示内容は雑多だし,教科書に出ているような大作はない.しかし,個人が好きな絵だけを集めた! という感じで一本すじが通っている.見ていくうちになぜか感動!?してしまった.展示されていたなかで,ぼくが好きなのは

熊谷 守一「秋色ウラバンダイ」
坂本繁二郎「馬」
須田国太郎「裸婦」
長谷川利行「タンクのある風景」
藤田嗣治「ヤングガール」
松本竣介「B婦人像」
サルバドール・ダリ「ポモナ・秋」

等.藤田嗣治の絵は好みではないのだが,この絵なら部屋に欲しい.松本俊介の(カット,パンフレットの表紙にもなっている)はモノトーンで見慣れない感じだが,やっぱり松本俊介! 彫刻も何点かある.
ちなみに美術館の建物の設計は松本俊介のご子息によるものとのこと.
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渋滞学

2008-03-23 16:21:28 | 読書
西成 活裕著 新潮選書 (2006/09)

物理学会誌に紹介されていたが,帯を見たら「爆笑問題のニッポンの教養」をはじめ,テレビ・新聞でも話題に! とあった.

「BOOK」データベースによれば
---人混み、車、アリ、インターネット…世の中、渋滞だらけである。生まれたばかりの研究「渋滞学」による分野横断的な発想から、その原因と問題解決の糸口が見えてきた。高速道路の設計のコツから混雑した場所での通路の作り方、動く歩道の新利用法まで。一方で、駅張り広告やお金、森林火災など、停滞が望ましいケースでのヒントにも論及。渋滞は、面白い。 ---

しょっぱなのオートマトン・モデルが,好みだったので,たちまちひきこまれてしまった.
勤めていた頃はこの種の,教養科学本に手を出す余裕がなかった.このごろは意識的に読んでいる.
この本の場合,もちろん内容は万人の興味をひくものだが,加えてこの西成先生は構成も文章もうまい
各章の最後に教科書みたいな「まとめ」があるのは,ボク的にはいいと思う.ただし,「講義」としてややこしい話題をくくりだしてしまうのはどうかな.縦書きには違和感がある.出版社は文科系のひとは横書きに違和感と決めつけているが,そうだろうか.メールもパソコンも横書きなのに.
---なーんて,自分で本を書くと見方・読み方が変わるものだなぁ.

昔は「統計力学」といった分野を,今は「統計物理学」というらしい.
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おいこん

2008-03-21 13:20:41 | ジャズ
恒例の大学ジャズ研の追いコン.「追い」は卒業生を追い出すこと.コンはコンパかコンサートか定かでない.いつもと違うレストランで,高かったが旨かった.おまけにバイキング形式でエキサイトした.写真の分解能が低いのは,プライバシーに配慮したため,ではなく,ケータイで撮ったため.mixiメンバーの方はS氏の大きな写真入りの日記をごらんください.

演奏途中で感極まったvoさんが泣いてしまい,J 子ももらい泣きしたら,じつはvoさんのは嘘泣きだった...という一幕も.
吹き足りない,叩き足りない皆さんを置いて一足お先に失礼したが,かなり離れても,ぶかぶかどんどんと聞こえていた.苦情が出たのではと心配.
そのあと朝までカラオケだったとか.
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序数と音程の数え方

2008-03-19 09:03:34 | 新音律
拙著に「同じ高さを1度というのはおかしい.0度のはずだ」と書いたら,二三の音楽家からお叱りをうけた.個人的におかしいと思っているだけで,だからどうしろというつもりはないのだけれど.

たぶんヒトが1,2,3,...と数えたはじめたときには0はなかったのだろう.今でも「序数」すなわち,第 1 の,第2の,...と言うときには0は含まない.1世紀,2世紀...とか,長男,次男とか(一回忌の翌年が三回忌なのはなぜだろう).そして英語では3度,5度を third, fifth という.ドイツ語でも同様.輸出されるときは音程は序数だったのだ.

ところが手許の音楽辞典には,音程とは,音の高さの差とある.差がないときを0でなく1と定義するのだから混乱する.当然足し算も引き算も成り立たない.おまけに何度という数字のまえに「長」「短」「増」「減」「完全」などがつくのだからもうお手上げだ.

昔は数え年というのがあって,生まれたときに1才とした.引き算をするとき,0がないと困るように思えるが,数え年でも引き算で年齢差はちゃんと出る.この場合は年齢がバイアスされているにすぎないからだ.

音程の場合は,「度」の前に付いている1,2,3..の数字にまどわされず,まるごとこういう名前と思えば良い.コードでCmajor,Cminor,Cdimなどというときには,そのウラに存在する何度という数字はほとんど念頭にない.こういう名前と割り切っているからだ,
何度と言うときは,数字が大きいほど音高差が大きいという原則があるだけありがたいとしよう.

でも中学校で初めて音程に出くわすと,数学・算数で教わったこととのギャップが気になる.数学とは違うという割り切り・諦めの境地に達する前に,音楽が嫌になるとしたら,問題かも.ちなみに英語では音程はinterval.国際的に問題だ.

吉田洋一「零の発見」岩波新書(1939) の話題は位取りだが,それより低級なおはなしでした.
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天啓の器

2008-03-17 11:25:52 | 読書
笠井潔著 創元推理文庫 (2007/12).

「BOOK」データベースによれば
--- いまなおアンチ・ミステリーの傑作とされる中井英夫の『虚無への供物』は、最初塔晶夫の名前で発表された。もしこの塔晶夫が実在していたとしたら?作品にとって作者とは何か。作者とは、光眩い天啓を受けとめようと差し出される、粗末な器にすぎないのではないか。『供物』を果てしなく変奏しつつ、この問いを問うメタ・ミステリー ---

塔晶夫名義の『虚無への供物』は,大学を出たばかりの頃書店で手に取った覚えがある.高かったので買わなかったのが悔やまれる.

この「天啓の器」ではトウアキオが何人も登場し,何種類ものザ・ヒヌマ・マーダー (小説中で『虚無への供物』をモデルとする小説のタイトル) の原稿が登場する.この小説自体が竹本健治の「ウロポロス」シリーズ第3作という体裁をとっている.小説の語り手も僕,ぼく,私,己が交互に時空を越えて登場する.
ややこしく,ひまつぶしにはもってこい.

ストーリーよりも登場人物が闘わせる文学談義のほうがおもしろい.この作家にとっては (どの作家でも同じことかもしれないが) 小説は自己の思想を提供する場にすぎないようだ.
ここでは『虚無への供物』を,あの「死霊」をしのぐ奇跡の文学と持ち上げている.でも残念ながら,純文学界では『虚無への供物』はほとんど無視されているのでは? 奥泉光の,エンターティンメントと純文学の区別は作家が読者を想定するか否かにあるという説が引用されているが,これに従えば『虚無への供物』はミステリの読者を想定しているので,エンターティンメントであり,したがって「死霊」と同列には扱えないと言うことになるのだろうか.

ぼく的にはしばらくウロポロスシリーズからも天啓シリーズからも遠ざかりたい.読みたいのは『虚無への供物』みたいな小説であって,マニアックな楽屋落ち小説にはもう飽食した.
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漢方小説

2008-03-15 09:07:12 | 読書
中島たい子著 集英社文庫 (2008/01)
カバーが気に入って購入.イラストは南伸坊.やはりうまいものだ.
周囲の余白が大きい組版も良い感じ...でもよく考えたら紙の無駄?

「商品の紹介」によれば
川波みのり、31歳、脚本家、独身。胃がひっくり返ったようになるのに、眠れないのに、病院に行って検査をすると『特に異状なし』。あのつらさは何? 昔の男が結婚したショックのせい? それとも仕事のストレス? 最終的にたどりついた東洋医学で、生薬の香りに包まれながら、みのりが得たものは。心と体、そして人間関係のバランスを、軽妙なテンポで書き綴る、第28回すばる文学賞受賞作品。

漢方のコマーシャルみたいな側面もある.けっこう深刻な内容のはずなんだけどコミカル.ストーリーはあるようなないような.かるいテレビドラマ風でもある.この世代の女性はこんなものかなぁと思わせる小説.

でも最近の芥川賞受賞作と違ってとても読みやすく,シンカンセン向きだった.
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またまた Who are you?

2008-03-13 09:25:17 | エトセト等
せっかちに芝生をつついているが,何かいるんだろうか.

サントリーの野鳥サイトで見ると,キミはアカハラらしいけど,



でもずいぶん違うなぁ.
お見合い写真とスナップの違いかな
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