Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

宮沢賢治,ジャズに出会う

2009-12-31 09:18:25 | ジャズ
奥成達著 白水社(2009/06)

出版社からのコメント
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一編の詩からたどる日本のジャズのあけぼの

 大正15年、宮澤賢治は「『ジャズ』夏のはなしです」と題する詩を、草野心平が主宰する同人雑誌「銅鑼」に発表した。疾走する蒸気機関車の姿を描きながら、まさに「ジャズ」演奏の流れそのものをリズミックに描いた一編だ。デキシーランド・スタイルの、明るい軽快感があふれている。
 曲がりなりにも日本で「ジャズ」ということばが一般的になってきたのは、昭和のはじめごろ、「モボ・モガ」時代あたりからといわれている。しかしその数年前、賢治はすでにジャズを知っていた。花巻にいたはずの賢治が、いつ、どこでジャズに出会い、楽しんでいたのだろうか.....
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宮沢賢治を縦糸として編んだ戦前ジャズ史.この縦糸はかなり細いので,執筆の苦労が偲ばれる.文科系の論文に似て,やけに他人の文章の引用が多い.

だれとだれが同世代とか,日本で何をしていたとき海外では何をしていたか...という事実が随所に出てくる.宮沢賢治はサッチモの4歳年上.
1941年のニッポンでは開戦と同時に米英音楽が追放されるが,それ以前にミントン・ハウスではチャーリー・クリスチャンが演奏していた.
ちなみに著者は青山学院大学講師とあるが,ぼくと1歳差で,時間的にも空間的にも同じようなことを経験されてきたらしい.

(1)宮澤賢治とジャズ,(2)ジャズのあけぼの,(3)不良少年少女とジャズ の 3 部構成.
おもな登場人物は,ラフカディオ・ハーン(1),エノケン・川端康成・谷崎潤一郎・辻潤・中原中也(2),エノケン・と夢野久作(3)など.
戦時下,ジャズはもちろんすべての西洋音楽が禁止される時代で終わる.
コメント (8)
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ウエスタンカーニバル

2009-12-29 08:16:57 | 新音律
風邪気味なので日曜日はぼーっとテレビを見た.

昼はシャープスアンドフラッツの解散コンサート.原信夫さん82歳とのこと.
むかしむかしの学生時代,#&bとN響との共演というのを見に行った.20人くらいのジャズバンドが100人くらいのオーケストラを圧倒するのを目の当たりにして,ジャズに帰依してしまったのだ.

夜は日劇ウエスタンカーニバルの回顧番組.今年11月20日に東京・渋谷で開かれた復活公演(スポーツ報知60周年特別協賛)でのライブ映像を軸に,平尾昌晃・ミッキーカーチス・山下敬二郎の3人男のトークなど.

3人男では平尾が余裕で鷹揚にかまえていた.後の二人は不良の話しっぷりが抜けないようだ.
それぞれ,かっての持ち歌を年相応にアレンジしていたか,グラスハープ入のミッキーカーチスの「恋の片道切符」がよかった.山下敬二郎は唄よりしゃべり,今になって柳家金語楼の息子という自覚が生じたらしい.

第1回のウエスタンカーニバルは1958年で,そのときは東京ラブシックブルースに登場するような純正ウエスタンもあったが,次第にロカビリー大会となり,最後はグループサウンズから,ポップスなら何でもあり大会へと変化していった.
この番組で (ついでに#&bも含めて) 歌われた歌詞をほとんど覚えているのに気がついた.こうして覚えた英語は国際学会発表向きではなかった.

写真は日劇最後の公演時の新聞写真.日劇の舞台を見たことはない.しかし日劇の地下には小さな怪しい店がごちゃごちゃとたくさんある闇市状態で,そのひとつで初めて,東京ではここだけという明石焼を食べた.
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画家と化学者 色立体その 2

2009-12-27 10:27:18 | 科学
ドレミ...を指定するように,色を指定できないか.電話でイラストレータが印刷屋に「赤」といっても,それだけでイメージを伝えることはできない.そこで色の名前を体系化する必要が生じ,色立体はその途中でできたらしい.
現在 色立体というとマンセルの色立体のことだそうだ.マンセルは 20 世紀初頭の画家である.

マンセルの色立体はでこぼこしていて,純色のうち,最も明度が高いのは黄で,最も彩度が高いのは赤とされている.感覚的には「なるほど」と思うが,どういう根拠で定量化したのか (標準とされる体系だから立派な根拠があるとは思うが) よく分からない.

こちらの図はオストワルトの色立体.オストワルトはノーベル化学賞を受賞していて,岩波文庫に「化学の学校」という著書があったが現在絶版.色への接しかたは分光分析的.
彼の立体はマンセルのものよりずっとすっきりしている.W 白 B 黒 C 純色 の三角形をWCを軸として360度回転させるとオストワルトの立体になる.三角形の内部はW,B,Cの混合率をあらわし,Wに近ければ明るく,Bに近ければ暗く,Cに近ければ彩度が高い.

オストワルトの体系では明度・彩度は表に出てこないが,立体にすれば座標の取り方は同じである.また色相の決め方にもこだわりが感じられる.色を8つに限ってドレミファに例えたり,明度の尺度を対数にしたりするところは,音楽を意識している.

ぼく的には,画家の言うことより化学者の言うことのほうが分かりやすい.
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色立体

2009-12-25 09:22:15 | 科学
「音楽 対 数学・物理」との関係に比べると,「美術 対 数学・物理」との関係はより複雑なようでもあり,より希薄なようでもある.
色だけを考えても,ニュートンは「光線に色はない.光線には,それぞれの色の感覚を起こすある種の力と性質があるだけである」と言っている.色彩を専門とするのは物理学ではなく心理学らしい.
ちなみに,心理学科は文学部に属している.

物理学的な見方で納得出来るのは...

「白色光すなわちすべての波長を含んだ光が物体に当たると,物体は多くの場合特定の波長だけを反射する.赤いとされる物体は赤の波長を持つ光だけを反射し,あとは吸収する.電気工学の用語で言えば,物体の表面は「帯域反射フィルタ」であるが,その特性は千差万別である.
いっぽう視覚はたった3つの「帯域通過フィルタ」を持つだけで,3つのフィルタを通過する光量から,物体から反射してくる光の波長すなわち色を感じる.じつは波長だけでなく,その波長の光の強度も感じているので,暗い赤・明るい赤の区別ができる.」

...
この程度である.

すべての波長を反射するのが「白」ということになっているが,それなら白と鏡はどこがちがうの?という疑問が生じる.「光線には色がない」とニュートンも言っているが,鏡には色がない.反射の方向がランダムだと白く感じるのだろう.
金色・銀色なども反射する表面の状態がつくる色らしいが,色彩学ではそこまでは面倒を見てくれないらしい.

色彩学では円筒座標で,(r, theta, z) 方向に (彩度・色相・明度) を定義する.すべての物体色は色立体のどこかに存在するという.カットはマンセルの色立体.茶色は橙色の明度と彩度を落としたあたりにあり,桃色は赤の明度を上げ,彩度を落としたあたりにある.金色や銀色は色立体には存在しない.

色相は波長,明度は反射率という物理量と対応するが,彩度はちょっとしまつが悪い.波長の純度・振動系でいう Q 値に相当するかと思っていたのだが,実際は彩度は純色と,それと同じ明度の灰色の混合率だろうか.
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Tokyo LoveSick Blues

2009-12-23 09:05:52 | 読書
沢野ひとし「東京ラブシック・ブルース」角川文庫(1998 絶版)

久しぶりに行ったら,大学のそばのスーパーの2階の書店のなかに,古本コーナーが出来ていた.そこでこの本を発掘.

大槻ケンヂの解説にいわく.バンドを主軸とした青春物語というジャンルがあり,構成要素は
1 その後の人生を左右するミュージシャンとの出会いと憧れ
2 バンド結成までのてんやわんや
3 そこに絡まる青春期特有のモンモン
だそうだ.青春デンデケデケデケ以下,ブラバンも,スイングも,カンタービレもまあ同じである.

ここでは 1 に相当するのがカントリー・ウェスタンのジミー時田.著者とはほぼ同世代なので,原田実・不二家ミュージックサロン・マリンバ (渋谷に存在したジャズ喫茶でこの小説の中でつぶれる) などの固有名詞も懐かしい.
主人公が10台後半の時代を扱っていて,アメリカ行きを決意するところで終わるのだが,その目的がいまいちはっきりしないところが共感出来た.

主人公と作者がどの程度重なるのかよくわからないが,この本のもうひとつの魅力は沢野画伯のヘタウマ挿画.ただしワニ眼は登場しない.
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こんなところにも五度円が

2009-12-21 08:39:07 | 新音律

S 先生が「秋山仁のこんなところにも数学が」
http://sankei.jp.msn.com/science/science/091219/scn0912190701000-n1.htm
に五度円のことが書いてあるよ,と教えて下さった.
秋山先生はアコーディオンを弾かれるらしい.

紹介されているのはピアノ式アコーティオンで,向かって右 (左手用) のボタン配置は...FCGDA...の五度円配置である.ブンチャッチャとコードで伴奏を付けるだけなら易しそうに見える.ジャズには疑問.

アコーディオンの親類のバンドネオンのほうは,一筋縄では行かないようだ.

五度円配置といえばスチールパン.こちらは過激にも,ピアノの鍵盤を五度円におき直してしまった感がある.演奏上の都合なのか,楽器製作上の事情なのか,よく分からない.
スチールパンはドラム缶の底を叩きのばして区分けしたもので,特定の区画を叩くと特定の高さの音が出る.ドラム缶からは想像できない音色である.

例えば http://www.youtube.com/watch?v=I5AxuvOILdg
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また 岡山市街をうろちょろ

2009-12-19 08:43:26 | エトセト等
岡山理科大に行った.バス停からエスカレータを2台乗り継いでキャンパスへ.谷をはさんだ山の斜面という,すごいところにビルが林立していた.

夜は K 先生が飲みやに連れて行って下さった.表町3丁目「さん海」.CMによれば「太平洋・日本海・瀬戸内海と三つの海からの新鮮な魚を直接買付けして皆様にお安く召し上がっていただいております」とのこと.この日はアワビ,ウニ,白イカなど.豆腐もおいしい.
先生は,学生はチェーン店ばかりに行きたがると嘆いておられた.

先生のもう一軒のお薦めは近くのドイツパブ GGC だが,すでにお腹が一杯だったので外からのぞいただけ(のぞいたら階段が見えただけ).

写真は表町1丁目 niki's の翌日のランチ,牛ほほ肉の赤ワイン煮.肉の下にはかぼちゃ・たまねぎなどグリルした野菜が敷いてあった.スープ・サラダ・デザート・コーヒー付きで1500円.付かず離れずの接客が良い.もったいないことに,お客は他にはついに誰も来なかった.

岡山市と広島市.人口は70万対120万というところだが,どうも岡山の方が住みやすそう.
後楽園だけではなく,東湖園というのもある.
繁華街と駅を結ぶバスは100円(広島150円).バス停は雨よけ風よけがあり,到着・待ち時間を電子的に知らせてくれる.タクシーの初乗り料金も安い.大きな地下街,駅周辺の公衆トイレはウオッシュレット...
商店街にも,ウランガラス専門店とか,松本民芸家具の店とか個性的な店が多い.
広島からはとうに撤退してしまった丸善がここでは大きく営業しているのもうらやましい.
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ニュートンの発見? 続・音と光

2009-12-17 08:56:34 | 科学
人間の目の中には3種類の錐体(cone)とがあって,短・中・長波長用(図ではS・M・L)のそれぞれが青・緑・赤の光を感じるのだそうだ.図はwikidediaによるこれらの錐体の感度の波長依存性で,赤と緑を同時に感じると黄色に見えることなどはこの図で理解できる.ちなみに図の曲線Rは棹体rodを示す,棹体は存在の認知には役立つが色の認知には関係しない.

この図で見ると,赤用の錐体と青用の錐体の二つだけが同時に感じる波長帯はない.赤プラス青イコール紫というが,これには色彩検出器である三錐体は関与していない.したがって,赤プラス青イコール紫は脳のなかの情報処理に違いない.

色相環color circleはギリシャ時代からあるという.しかし混色について真面目に考えたのはニュートンが最初らしい.赤と青を混ぜると紫になる(と,われわれが感じること)を発見したのはニュートンで,紫を介して赤と青を連続させた色相環は,その結果としてできたのだろう.

赤と青を混ぜると紫になるなんて,昔から絵描きは誰でも知っていただろうって?
そりゃ 林檎が木から落ちることを誰でも知っていたのと同じことですよ.

17世紀ニュートンは虹を7色としたが,それはドレミファソラシと対応させた結果である.
「いろおんぷ」を連想する.
ドからオクターブ上のドで音波の周波数は2倍,波長は半分になる.可視光の波長も約350nmから700nmのオクターブである.だから色を環に丸めたのだと言いたいが,じつは波長が計られたのは19世紀に入ってからである.

ところで,虹の中にすべての色があると言われたときの,こどもだったぼくの疑問.
茶色はどこにあるの?
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大野雄二 Lupinic Five

2009-12-15 09:44:59 | ジャズ
CD を長いこと買っていない.最後に何を買ったかさえ思い出せない.でも,最後に何をまるごとダウンロードしたかなら,覚えている.今年の初夏の Feelin' Good である.
かって銀座のはずれに Jazz Gallery 8 というジャズクラブがあって,大野雄二さんはよくピアノを弾いていた.いまは売れっ子らしいが,写真で見ると気難しそうなオヤジになっている.

ダウンロードした方がハードの CD を買うより安いが,有用?無用?のパンフレットがないのは寂しい.

なぜ買ったかと言えば,3曲で今井美樹の声が聞けるから.
NHK「小さい旅」のテーマはかって岩崎宏美が歌ったことがあるので,ボーカル版を期待したのだが残念.

インストでは,
Del Sasser はちょっとテーマがフェイクしてある.学生さんと演ると,早くやることばかりにエネルギーを使ってしまうが, こんなのもダンサブルで良いなあ.
テネシーワルツではベースがばちばち.
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音と光

2009-12-13 09:31:13 | 科学
音楽は時間の芸術・美術は空間の芸術だ.これらを鑑賞するといっても,実は目や耳が波を感じているにすぎない.
感覚器官がとらえるのは,音楽では音,美術では光であって,音も光も波である.

このふたつには物質波と電磁波という違いがあるが,われわれの感じ方もずいぶん違う.

音の高い・低いは誰にも分かる.そして高い・低いは周波数の高い・低い(大きい・小さい)と一対一に対応している.
光の周波数は色に対応していて,赤は周波数が低く,青は高い.しかしこれは直感的にはわからない.周波数が低いと暖かく,高いと冷たく感じる傾向はあるようだ.しかし,ミとファではどちらが高いかは誰にもわかるが,赤と黄でどちらが暖かいかと聞かれても分からない.

絶対音感は誰にでもある訳ではない.いっぽう,赤は誰が見ても赤であるということは,たいていの人が「絶対色感」を持っているということだろうか.

絶対音感はなくても相対音感はたいていの人にある.これは2音の周波数比が直感的に分かるということである.周波数が2倍ならオクターブ高くなるが,このことは音楽の基礎と言っても良い.ところが光の2倍波・3倍波等はわれわれに特に感興をもたらさない.可視域の最低波長を2倍すると可視域の最高波長を越え,紫外域に入ってしまうためだろう.




中学生時代このかたの疑問.
上は図工の教科書にあった色相環.これは音楽の5度円なんかより,はるかに直感的に理解出来る.
下は波長と色の対応.これも虹等で実感出来る.
しかし下は直線で上は環.上の0度から270度まで(0時から9時まで)は下の直線と対応している.しかし270度から360度まで(9時から12時まで)はどこから来て,どうして0度から270度まで(0時から9時まで)と繋がるのだろう.言い換えれば,どうしてわれわれは繋がると思うのだろう.

この項続きます.
コメント (2)
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reading

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