Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

バッハ・ジャズの顛末その弐

2006-07-31 10:10:32 | ジャズ
http://blog.goo.ne.jp/ablerail1007/e/96b049f08b4be4ee6c2dcf135954a04f
の続きです.

こどもたちのピアノ教室で,バッハのジャズ版を披露する機会があった.演奏は,予期したうち最悪のパターン.すべてワタクシの責任.もうやりたくない...と思ったが,一晩寝たらリベンジの機会はないかなぁという心境.これだけはいつもと同じ.

すこし言い訳.リハーサルなし,セットしてすぐ演奏ということで,最初の一曲で(インベンション4番)音を出してみたらすごい反響で,自分で出してている音が分からない.せまい喫茶店などでドラムセットの真ん前だったりするとヴァイブの音がまるで聞こえなくて,やはり何をやっているのかさっぱり分からないのだが,それと逆の状況.

すこし分析.テーマで躓くとアドリブに影響する.ふつうの曲ではテーマでも必ずしも楽譜通り弾かないのだが,バッハの場合楽譜通りやらないと悪いように思われるのも圧力.ヴァイブで2本マレットのときは3連譜で高低高高低高あるいは低高低低高低のくりかえしが困難.2曲目の幻想曲ハ短調BWV906では,このパターンばかり.

多少落ち着いたので,3曲目のG線上のアリアがまあなんとか.このあとふつうのジャズをやって(演奏側の)ストレスを解消したいと思ったら,花束をいただき強制終了となってしまった.

さて写真はMonk's Musicのジャケット.このなかのWell You Needn'tも変な演奏で,Monk氏が間違えて自分のソロを勝手に早く終わったくせに,つぎの番をColtrane!Coltrane!と叫んで催促する.このときのベースとドラムスの混乱は,学生バンドと変わらない.でも名盤!
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うらなり

2006-07-23 11:02:03 | 読書
小林信彦「うらなり」文藝春秋(2006/6).

「漱石の妻」につづき,なつめさんの祖先つながりでもう一冊.さすが文豪は100年のときを隔ててなお,文筆家にネタを提供している.「うらなり」はあの坊ちゃんに出てくるさえない男.この小説はうらなりを主人公にかれのその後を描いている.ハードカバーだが新幹線片道で読んでしまった.純文学というのは歯ごたえがないものだ.

小説は山嵐とうらなりの銀座での再会から始まる.うらなりはその後何度か見合いの末,きれいな奥さんと一緒になる.年増となったマドンナが現れてうらなりを誘惑するが,うらなりは彼女に幻滅する.その後奥さんには先立たれたものの,うらなりはまあまあの人生を送ったようだ.

坊ちゃんは名なしで登場する.たしかに「坊ちゃん」本編でも彼には名前がなかったが,ここではうらなりに名前を思い出してもらえないのだ.「江戸っ子っていうのは,みなああなんですか」と,うらなりは山嵐に訊いているが,坊ちゃんの言動は彼の理解を超えており,その言動は不条理劇のように映る...という立場でこの小説は書かれている,

あとがき代わりに著者の創作ノートなるものが添えてある.これが本編くらいおもしろい.小説「坊っちゃん」は喜劇を透かして悲劇が見えるのだそうだ.たしかに狸や赤シャツという権威に対して,坊ちゃんたちのやることは蟷螂の斧という構図だ.山嵐とうらなりには権威に反抗する理由があるのに,江戸っ子の坊ちゃんは理由もなく軽薄に付和雷同して損するところが,うらなりには不条理に思える.

東京育ちの私には坊ちゃんの軽薄な付和雷同ぶりはかなり本能的で自然ななりゆきのように思える...というより,多くの読者にそう思わせたところが漱石の深慮遠謀かも.
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江坂のたんぼ

2006-07-20 16:15:17 | エトセト等
4月には泥沼だったところが
http://blog.goo.ne.jp/ablerail1007/e/72c466dd1306992284a23582da3ccef8
みごとな田圃になっていて感激.

ビジネスホテルの窓から撮影.すごく広く見えるが,ぼくの写真のうでがよいため.

こどものとき遊んだ,清水崑のいろはかるたでは「ん」のかわりに「京」があり,「京に田舎あり」の絵が,肥桶を担いだ百姓とすれちがったお公家さんが鼻をつまんでいるところだった.でもこの大阪の田圃は無臭.
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漱石の妻

2006-07-17 18:30:13 | 読書
鳥越 碧「漱石の妻」講談社(2006/5)

夏目漱石夫人,鏡子を主人公にした長編小説.このひとは悪妻ということになっているらしいが,この小説では漱石は精神病で,それが原因でさかんに家庭内暴力をふるう.鏡子さんにはこの暴力に耐え,漱石を理解しようとするけなげな妻のイメージがわく.ただしうまれつきのんびりした楽天的な性格のもちぬしたったことも幸いしたようだ.

われわれが結婚したときに「夫婦というのは,ふうふう言いながら一緒になんとかやっていくものです」とお説教?されたが,家庭内暴力を別とすれば,漱石夫妻もふうふう言いながら一緒になんとかやってきた,どこにもいるようなカップルのようだ.

小説家というのは家で仕事をするから,家族との間にストレスがたまるのだな.別にオフィスをかまえてそこで執筆したらどうだろう.でも漱石の晩年の作品は,奥さんとの軋轢をネタにしているのだから,オフィスなんかに移ったらネタ切れになってしまうから,やっぱり駄目か.

教師時代の月給とか,原稿料とか,借金とか細かく書いてある.つぎつぎと子供を産む.流産した子や夭折した子も勘定しようとするとわけがわからなくなりそうだ.少子化時代からは想像できないが,ついこの間までの日本はこうだったのだ.

鏡子さんが漱石と暮らしたのはほんの20年足らずだった.亭主の死後に長い長い人生を送ったのに,それについてはほんとに軽くしか書いてないのは残念.

この鏡子夫人が書いた「漱石の想い出」という文庫本があったのに見あたらず.本というのはいつの間にかなくなるものらしい.
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animals

2006-07-10 08:57:45 | お絵かき
J子が田中美術館に行くというので岡山県井原市まで.平櫛田中(ひらぐしでんちゅう 1873-1981)の作品はぼくにとっては古典的すぎて敬遠したい.美術館一階は平櫛田中賞受賞の若手の作品が並んでいて,ガラスのなかにあやしい虎が一匹.ミュージアムショップでこの作者の画集(彫刻集)を購入,

この三沢厚彦はアニマルズというシリーズで,木彫に彩色した動物ばかりつくっている.どれも人間くさい動物たちで,この犬はあの人みたい,このウサギはあのコみたい...と思わせる.それが作家のねらいでもあるらしい.三沢氏いわく「動物を見るということは,そこにどういう人間像をあてはめるかということ.人間をみることは,そこに動物の強烈な個性を感じること」.

近くの華鴒(はなとり)美術館はとてもきれい.日本画中心で,庭園もある.
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インターナショナル

2006-07-06 21:12:23 | エトセト等
武満徹のことを書いたが わが家にCDは2枚しかなかった.カットのギター作品集成と,MIYOTA.

ギターは鈴木大介で,中澤裕子とFMでDJをやっていたひと...という程度の認識.ぜんぜんふつうのBGM音楽として聴いている.

MIYOTAは石川せり(vo)によるポピュラーっぽい曲集.彼女は井上陽水夫人です.

インターナショナル,略してインターは,ある世代から上にとってはデモの歌.これが1971年作の「ギターのための12のうた」の最後として作品集成に入っている.武満は美しいメロディだから...といって,政治とか思想とかとは無関係な曲として編曲している.そのために旧来の音楽仲間と気まずくなることになったとか.難しい時代であった.

もう一枚と思って,鍵盤作品集成というのも買ってきた.こちらは突然大きな変な音がしたりするという,予想通りの展開の曲もある.

「インター」はソウルフラワーユニオンのCDにも入っていた.一部の歌詞を変えているが,もっと毒を!
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reading

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