Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

カラヤンとフルトヴェングラー

2007-03-29 20:22:43 | 読書
中川右介「カラヤンとフルトヴェングラー」幻冬舎新書 (2007/01)

カラヤンとフルトヴェングラーの (もうひとり,チェリダッケという小者?も加わる) ベルリン・フィルの指揮台をめぐる意地悪ごっこ・足の引っぱり合い.下世話な話題が下世話に書いてある.オンガクについてはまったく触れていない.自分ではこういうはなしは好きなつもりだったが,途中でいやになって,放り出したくなった.

この本を小説と思って独断で要約すると,
かけだしのカラヤンはフルトヴェングラーに散々いじわるされる.しかしフルトヴェングラーは難聴になって死んでしまう.若さの勝利だ,いまでは俺は帝王だ...と思ったら,いまいましいことに,フルトヴェングラーの残した,CD化された録音が世間で「芸術的」ともてはやされる...

日本ではカラヤンは悪者とされるいっぽう,フルトヴェングラーは神格化されているが,これで読むとフルトヴェングラーは優柔不断で嫉妬深い世間知らずでしかない.

ある意味でカラヤンもフルトヴェングラーもナチに (あるいは戦争に) 翻弄されたのだが,戦争がなかったらこのふたりはどういう道を歩んだか...などと考えるのも一興.

ところで今日ダイソーCDに,ユーディ・メニューイン(Vn)によるベートーベンのバイオリン協奏曲というのをみかけた,ルツェルン音楽祭管弦楽団と書いてはあるが,指揮者の名前がない.ネットでディスコグラフィを調べたらフルトヴェングラー指揮らしい.終戦直後,ユダヤ系のメニューインと,ということで話題になった競演だろう.名前が印刷されていないうえに,200円と聴いたらフルトヴェングラーは頭から湯気をたてて怒りそう.

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小方へ小旅行

2007-03-27 10:58:48 | エトセト等
個人的な記事で,親戚以外には面白くないと思います.

道路地図に「小方」という地名があるので行ってみた.



広島・岩国道を大竹インターで降りて2号線を西に行くと,道路標識に「小方港」の文字.
YouMeTown (ゆめタウン)というスーパーの駐車場にクルマをおいて散策.



港は閑散.漁業組合があるが牡蠣のシーズンはもうおわり.



港の一隅を占める無粋な建物の表札



2号線をはさんで小方小学校と小方中学校.春休みでここも閑散としていた.小学校の屋上には日の丸がへんぽんとひるがえり,なにやら標語が



日本の将来は君たちにかかっているのだ.よろしく頼むぜ.

付近の小方行者山
http://wave.prohosting.com/mjobin/hiroshima/ogatagyoujayama/ogatagyoujayama.html
というのに登ろうと言っていたのだが,面倒になってやめた.

じぶんが子供で小方という姓だったら嬉しかっただろうと思うが,この歳ではよい時間つぶしだったわいと言う感想しかない.この地名と小方一族との関係は不明.つぎは「日比」という土地に行く予定.
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絵のまち 尾道

2007-03-25 12:48:35 | お絵かき
先々週のことになるが,尾道に行った.
絵のまち尾道四季展とかで,優秀作品は美術館だが,ヒラの入選作は商店街のウィンドウに飾ってあった.
写真は洋品店.液晶テレビみたいなのが右の水彩画.ウィンドウ右下の文字を拡大した,「犬のオシッコ」云々が見えるかしら.

この絵は雨の日のフェリー乗り場だろう.
どなたの作品か存じませんが,無断でアップさせていただきました.もちろん不都合があればすぐに撤去します.作者のお言葉をコメント欄にいただければ望外のしあわせです.

この絵はよいムードだ.橋ができても,フェリーのほうがずっと便利で安いことに変わりがない.でも最近,このようなフェリー乗り場のひとつで死亡事故があった.クルマが乗る前にフェリーが離岸してしまったらしい.

この展覧会は全国公募で12回目とか.J子は尾道賞の浄土寺の油彩画が気に入り,ポスターをほしがったが,きょうの夕方まで会期だからとどこでも断られた (しぶとく後日入手した).油彩に限らず,このような水彩画や日本画もある.まちの入選作には素人くさい絵が多くて楽しかった.

ビストロ旬亭で昼食.おいしかった.パンのおかわり50円はけちくさいと思ったが,きっとこうでも書かないと際限なく食べるおばさんがいるのだろう.
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不協和音にB29を...

2007-03-23 09:58:19 | 新音律
非12音平均律の面々のうち,つごうがつくもの4人 (プラスJ子とワタクシ) で会食した.4人のうちふたりは就職,ひとりは卒業後大学院へ進学.3人はそれぞれ,インドとドイツと屋久島に旅行してきたとのこと.インドと屋久島は似たようなところで,ドイツは違うというのがすごく大雑把な印象.

バックグラウンド音楽
 ジャック・ルーシェのサティ
 平野レミの「きかせてよ,シャンソン・ド・レミ」
 武満徹 ギター作品集成

食後,H氏による16音平均律による新作を聞いた.この平均律による不快感を強調した作品.そういう方向もあったか!とびっくり.
聴いていてすぐにB29の空襲を思い出した.ほかにも,戦争を知らなくても戦争を連想したヒトがいるらしい.でもぼくは持続する不協和音に,数分で慣れてしまった.作曲者は繰り返しを略してもっと短くするつもり,とのこと.

1941年東京生まれで,45年までは東京と複数の疎開先を往ったり来たりしていたらしく,断片的だが空襲の記憶もある.来る日も来る日も空襲というのは,不協和音をずっと聴いているようなもの.ものごころついたときから空襲が日常という,かわいそうな幼年時代であった.
でも,親にくっついていればよかった.もっとひどい目にあった子供たちから見れば,幸運だった.

このごろ空襲といわずに空爆というのはなぜだろう.
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ほんとうに怖い放射線被曝 ---「朽ちていった命」

2007-03-20 10:38:12 | 読書
最近1999年の北陸電力志賀原子力発電所の臨界事故の隠ぺいが報道された.これが当時明らかにされていたら.その3ヶ月後の東海村の事故はなかったかもしれない.ここに紹介するのは,NHK「東海村臨界事故」取材班編集「朽ちていった命―被曝治療83日間の記録」新潮文庫 (2006年9月) 2002年岩波書店版の文庫化.
カバー裏には「1999年9月に起きた茨城県東海村での臨界事故.核燃料の加工作業中に大量の放射線を浴びた患者を救うべく,83日間にわたる壮絶な闘いがはじまった―「生命の設計図」である染色体が砕け散り,再生をやめ次第に朽ちていく体.前例なき治療を続ける医療スタッフの苦悩.人知及ばぬ放射線の恐ろしさを改めて問う渾身のドキュメント...とある.

この被曝治療については数年前にある研究会でパワーポイントで見せられてショックを受けた.
その後,2001年5月にNHKスペシャルで報道された番組がこの本のもとである.
内容をなまじ知っていただけに,こわくてなかなか先に進めなかった.腸の粘膜がなくなり,消化も吸収もできない状況... 皮膚が破れても新しい皮膚が再生されず,1日に2リットルもの体液が滲み出す... といった記述が続くのだ.

延命治療についても,いやでも考えさせられる.この本では最後の方で患者は一日でも長く生きたかったはずと強調されている.そういう側面はあったかもしれない.いっぽう11日目(から18日目までのいつか)に患者は「おれはモルモットじゃない」とつぶやいたという記録もある.この本では隠されているが,科学行政 (というよりも,科学そのもの) のメンツが,いたずらに患者の苦痛を長引かせただけではないのかという疑問が残る.

NHKイコール政府のご用組織というイメージがあったが,このような原発推進政策に水を差しかねない番組を放映し,書籍も残してくれたNHKを見直した.

この危険は,核分裂に関する初歩の知識があれば,予測できたはず.いや,知識がなければ,バケツでウラン溶液をロートにながすという手抜き作業をする前に,手抜き作業がどんな結果をもたらす可能性があるか,まず考えなければならなかったはず.この大内さんという患者=被爆者と,その同僚ふたりはどのような教育 (職場の訓練以前の,大学あるいは高校での教育をふくめて) を受けたのだろうか.

大学の実験の講義では,この東海村事故を例に引いて「技術職にあっては一見なんでもない作業にみえても,そこにどんな作業がひそんでいるか,まず考えなければならない.さもないと,言われたことをやるだけで,ひどい目にあうこともある.偉くなって安易なことを命令して他人をひどい目にあわせるのは最低だ」と,毎年最後にお説教したのだが,学生諸君は分かってくれただろうか.こういうことは痛い目にあわないと分からないものだけれど.自分はといえば,けっこう痛い目に遭っていて,にもかかわらず似たような失敗をくりかえしてきたようだ.
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19年前のコンピュータ入門書が8,900円

2007-03-18 09:27:22 | エトセト等
小方厚・小柳義夫「教養のためのコンピュータ入門」近代科学社(初版1988)

19年前に出版され,とうに絶版.しかし,前半のブール代数や有限オートマトンをつかって論理回路を紹介し,コンビュータを組み立て,そこでアセンブラを走らせるくだりはなかなか.いまのコンピュータはノイマン型としいうやつで,進歩したといってもクロックが早くなりメモリが増えただけで,本質はここ数十年,何も変わっていないのだ.なおタイトルの「教養のための」は教養課程のため,すなわち大学初年級の教科書のためというほどの意味.

いっぽう,このところの理科系の学士・修士の就職先は,大学でどんな卒論を書いたかなどほとんど関係なく,コンピュータ会社というのが圧倒的.そこで,卒業生にこの本を進呈することにしてきた.

しかし手持ちがむかしT大学の講義で使ってチョークで汚れた一冊だけとなったので,アマゾンでこの本をサーチした.
http://www.amazon.co.jp/教養のためのコンピュータ入門-小方-厚/dp/4764901447/ref=sr_1_2/249-2105799-3683511?ie=UTF8&s=books&qid=1174176848&sr=1-2
ユーズド価格8,900円より
ちなみに,定価は1,400円.アマゾンは古書に関しては仲介しているだけらしい.出品は「スピード本屋さん」となっている.

もう誰にも進呈できません.
89円のまちがいじゃないの!
いっぽうには100円CDがある.世の中の値段の付け方はなんだか変だ.

この文章,読み返したら自著自賛だな... でもいまさらいくらで売れようと著者には無関係.
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ジャズ研の追いコン

2007-03-16 09:13:00 | ジャズ
例年のように追い出しコンサート.
余談だが,カルダンの料理は数年前に比べるとおいしくなったと思う.

追い出されるほうが,記念品と引き替えにスピーチしたのがことしの特徴.
aは写真ではよくわからないが,全然快調(前々会長)氏がプレゼントにもらった葉巻を試しているところ.彼はジャズ研はユルくていいところだと思っていたが,会長になったらみんなが勝手なのに閉口したという意味のことを言った.前会長嬢がうなずいていた.

もう少しプレゼント例.b手前は塩入れと胡椒入れ.赤いヒトと白いヒトが抱き合っているデザイン.そのうしろはS吉さんの楊枝さし.ヒト型にぶすぶすと突き刺すデザイン.cはK誓君がもらった参考書.dはM元さんの一反もめん.タオルだと思う.

あとの写真は演奏風景.卒論などでしばらく見なかった面々も登場.S吉とK誓が大活躍でした.聴いているだけではなかなかわからないが,このふたりはバックもうまいので,いっしょに演っているとこちらもうまくなったように錯覚できました.
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100円CDの太田寛二トリオ

2007-03-14 12:43:07 | ジャズ
ダイソーのCDはお買い得.写真のMJQのは200円だが,アルバムDjangoがほとんどまるごと入っていて,おまけに,おまけもある.
100円CDのなかに太田寛二の名前があった.むかし住んでいた街に「ロメイン」というライブハウスがあった.ここにベースの稲葉国光さんに連れて来られてピアノを弾いていた,かわいい坊やが太田寛二さんだった.100円CDに登場するとは

購入したのが,ジャズ・リラクゼーション Vol.9「永遠のアメリカ名曲集II」.見た目にこだわる私としては,もうちょっとジャケットをなんとかしてもいたいところ.
内容は,つねづね,なぜみな演らないかと思っていたフォスターのが数曲.予期したようにジャズのオリジナルみたい.「おおスザンナ」なんか編曲を拝借したい.「線路はつづくよどこまでも」はホレス・シルバーでした.やっぱり.
トリオのあとのふたりもライブハウスによく出ている.ベース(西沢秀樹)は「主人は冷たい土の下に」ではテーマをとるし,タイコ(横山和明)もソロに4バーズに出番が多くてはりきっている.

太田さんについて,バリー・ハリスの直弟子とどこかに書いてあった.しかし「金髪のジェニー」や「夢路より」を聴くとパップ・ビアノからはみ出す,叙情的・日本的なところも魅力.曲目はほかに「谷間の灯」「七つの水仙」「草競馬」「ヤンキードゥードル」.最後のはぼくはアルプス一万尺という歌詞で知っていた.

ジャズの場合,一発録音でお茶を濁すことも可能.でもこれはちゃんと準備された演奏だ.太田さんのシリーズを全部買いそろえても1000円足らず.でもこれでいいんだろうか.
もちろん太田さんのふつうのCDも出ている.アマゾンでみたところ,いちばん新しいのはニューヨーク録音のYou Could See Me Nowらしい.
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放屁合戦を観る人々

2007-03-11 21:38:58 | お絵かき
日本美術が笑う展&笑い展
森美術館 六本木ヒルズ森タワー53階
52階を一巡すると360度の展望が可能.まさにお上りさんである.
ちなみに,国立新美術館・サントリー美術館とこの森美術館で.六本木アート・トライアングルというのだそうだ.

笑い展のほうは現代アート,笑う展のほうは土偶・埴輪にはじまり,若冲・蕭白・応挙・円空・木喰・麗子像などの豪華なラインナップ.笑う展のほうが歴史の重みのせいか,だんぜんおもしろい.

ここに絵巻「放屁合戦」河鍋暁斎 (1967) があった.拡げておいてあるのは一部だが,その上にビデオで全巻を上映していて,みんな立ち止まってみている.芋で腹をたらふくにするところから始まるとは知らなかった.ちゃんとストーリーがある.全裸,もちろん下半身もはだかの男たちのカトゥーンというと,マッチョの群像を想像するかもしれないが,貧相な肉体ばかりで,顔がなければオスの野犬の群れみたい.屁は尻からのけむりで描かれているが,現代のコミックと同じテクニック.

この展覧会はアイランド状の展示ケースを縫い歩くようになっていて,屏風など裏側に何が描いてあるか見ることができる.この放屁合戦を裏から見ると,ビデオを観ているひとが見えるのだった! 絵巻より面白い.でも自分はどんな馬鹿面して観ていたのか,ちょっと心配.展示ケースデザインは千葉学氏.
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Three Musicians

2007-03-10 09:25:18 | お絵かき
新しい国立新美術館に行った.企画展がみっつ.そのうち
「20世紀美術探検 -アーティストたちの三つの冒険物語- 」
「異邦人(エトランジェ)たちのパリ 1900-2005 ポンピドー・センター所蔵作品展」
のふたつをみた.

コレクションを持たない,新しいタイプの美術館とうたっているが,はやくいえばデパートの展覧会場を大きくしたようなものだ.「20世紀」のほうは,洋の東西を問わずさまざまなジャンルからの展示から物語を構成している.展示が第1部第1章,第2章などとわかれていて,それぞれもっともらしいタイトルがついているが,ややこじつけぎみな箇所もある.

時代の流れに沿って,古いものから新しいものへという順に展示してある.古い (といっても20世紀初頭だが) ところは込んでいるが,新しいところは閑散.途中エスケープするルートもないのに不思議.

ところで,
写真左は「異邦人たちのパリ」にあったHenri Haydenという画家の1920年の作品で,Trois Musiciens,英訳すればThree Musicians.似た作品がピカソにあったと思って,帰ってからネットで右下のを見つけた.タイトルも同じで1921年となっていた.こうしてみるとピカソのほうがシンプルで迫力があるようだが,ヘイデン (アイデンと読むのかも) のも実物は大きくてごちゃごちゃして迫力がある.

なぜピカソのを知っていたかというと,Heath BrothersがLPのジャケに使っていたからだ.Percy, Jimmy, Albertの3兄弟は,そろって性格も演奏も引っ込み思案というか,奥ゆかしいというか.そこが良い.Percy Heathは自分で絵を描いたりもしたらしいので,ピカソのこの絵を知っていたのかもしれない.

Jim Hallの柔らかい不協和音には何十年もしびれている.小さいのはそのJim HallのCDのジャケ.彼の責任ではないと思うが,この剽窃はルール違反だな.
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reading

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