Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ムソルグスキー@レーピン展

2012-09-30 11:02:44 | お絵かき
国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展 .BUNKAMURA ザ・ミュージアム.

ロシア絵画と言うと,泰西名画とか印象派とかピカソとかから外れているので,なじみがない.でも,この絵なら見たことがある.アル中のモデル氏は,この絵に描かれた一週間後に他界したとのこと.
他にも肖像画が多数並んでいたが,私にとっての有名モデルはトルストイとゴーリキくらい.何をやったヒトか知らないと肖像画とはつまらないものだ.

例外は「皇女ソフィア」.これは肖像画というより歴史画というのがふさわしいかも.
こうした,歴史を劇画の一場面として切り取ったような絵も多い.昔的に言うなら紙芝居である.これらは家族を描いた「心温まる」数点と対照的.

中野京子さんによれば,印象派以降,絵画は色・形などを純粋に評価すべきものに変わった (ある意味では,退屈なものになった).しかしそれ以前は絵画は,ギリシャ神話とか聖書とかを題材とするものであって,鑑賞する側はこうした題材に知識を持っていることが前提とされていたという.
レーピンの絵の多くは,絵というものが退屈になる以前の,古いタイプの絵なんだろう.
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ニセ札つかいの手記

2012-09-28 08:52:47 | 読書
ニセ札つかいの手記 - 武田泰淳異色短篇集  中公文庫(2012/08)

「BOOK」データベースより*****
一日おきに三枚ずつ渡されるニセ札をつかうことで「源さん」との関係を保とうとする私。しかし、その「ニセ札」が「ニセ」でなかったとしたら…。ニセ物と本物の転換を鮮やかに描く表題作ほか、視覚というテーマをめぐる不気味な幻想譚「めがね」など、戦後文学の旗手、再発見につながる七作を収める。*****

帯に「生誕百年」.父と同世代と知った.
これは漫画みたいな,しかし大人向きの小説 7 篇.最初の「めがね」は近視者ならでは.思い出したのはジャズピアニスト佐藤允彦が数十年前「話の特集」に出したグラビアで,ピンぼけ写真がずらり,であった.

表題作のほか,「白昼の通り魔」「ゴジラの来る夜」等,タイトルに負けない面白さ.白昼...は大島渚監督の映画の原作だし,「誰を方舟に残すか」はハリウッド製 B 級映画がネタ,編者 (高崎俊夫) が映画評論家だからか.でも,解説に SF,哲学風コント,映画論,幻想小説等々,とある以上にごたごたしている.
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サクソフォン リサイタル

2012-09-26 08:48:25 | 新音律
日曜日の午後,クラシックのサクソフォン・リサイタルを初体験.酒井勇也さんは広島大学の博士課程後期在学中,ピアノの小林美貴子さんは北海道教育大学講師とのことだが,おふたりは同級生らしい.入場料 1000 円.観客は 50 人弱?

第一部はバロックのフルートの曲3曲と,マルチェッロのオーボエ協奏曲をソプラノサックスで.申し訳ないけど眠かった.
でも第二部のアルトによる現代音楽では目パッチリ.やはりサックスのオリジナルのほうがおもしろい.
P. モーリス「プロヴァンスの風景」,P. ヴェロンヌ「ラプソディ」,A.ウェニアン「ラプソディ」というプログラム.アンコールは「ボヘミアン・ラプソディ」.

「サクソフォン」と言うだけで,アルトとかテナーとか区別がないのにちょっと違和感.

A.ウェニアンのオーケストラとの共演版が YouTube にあった.演奏者も編成も違うが,こんな曲です...ということで.


コメント (2)
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再描 手乗りネコ

2012-09-24 07:55:24 | お絵かき
手乗りネコの CD 絵が展覧会に出したはずみで破損.じつは出品のために拝借...というのは変な言い方だが,差しあげたものを一時返して頂いたという意味.ベン・シャーンふうの手も気に入っていたので,同じ絵をもう一枚書くことにした.




元の絵を下敷きにしてなぞれば良いところが,CD 絵の良いところ.
同じ絵を二度描くなんて...と,最初のうちは気が進まなかったが,やって見るとおもしろい.ムンクが叫びちゃんを3回だか4回だか 描いた気持ちがわかってきた.今回は毛を一本ずつというのはうそだが,とにかく丁寧に描き,目の色も三段階にした.

でも三枚目はごめんだな.




暑かった日々が嘘みたいなこのごろだが,もう一枚.バックに苦労した.

直接関係ないけど,
油彩の場合,描いたり盛ったり削ったり,「描き込む」と「重厚」とされ,評価の対象とされるらしい.
CD に描く場合は原則的には一回限りで,納得できなかったら捨てるしかない.水墨画もきっとそうなんだろう.
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女神のタクト

2012-09-22 08:03:10 | 読書
塩田武士 講談社(2011/11)

「BOOK」データベースより*****
どう見てもたよりない指揮者と、あまりに濃いメンバー。偶然、オルケストラ神戸に足を踏み入れた明菜だが、そこで封印していた「音楽」への思いを呼びさまされ―。笑いがいつしか感動になる、猪突猛進・情熱物語。*****

カバーの絵を見て図書館で借用したら,マンガみたいなお子チャマ向け小説であった.あっという間に読了.怒濤のクライマックスとクサイ結末に満足.オーケストラという材料が良かったのだろう.私立オーケストラの内情らしきものを垣間見ることもできる.
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東広島現代美術プログラム2012 宇山DNA

2012-09-20 08:10:10 | エトセト等
東広島現代美術プログラムは、現代の造形芸術を、街角などの野外を利用して、景観も含めた形で作品を展示し、広く市民に紹介する展覧会。3年に一度の間隔で開催し、4回目を迎える今回は、農村風景の美しい河内町宇山が会場です。...市の HP より


これは現代美術ではなく,廃校となった小学校の2回に展示されていた突っかけスキー.額縁に並んでいるのは大正時代の歴代校長.校舎一階ではいまは「さわやか茶屋」として,手打ちそばなどを供している.街のそば屋さんと違って,なかなか味に馬力があった.


山道に出現した珍怪獣ファミリー.彼等は現代美術.


日陰に放置された納屋に気色悪い絵とお墓のようなオブジェ.墓石 ? には横文字.タイトル「巡り」は心の中のローテーションを示します,と言うのが作家の言葉.


そば畑の中で風に吹かれる,あっけらかんとした 透明な牛.

全部で 23 作品.つぎの日曜日 23 まで.
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Scale Tuner というアプリ

2012-09-18 08:04:16 | 新音律
純正律・平均律とかを midi キーボードで試せるアプリはないかと,ネットを漁ってぶつかったのが,これ.

*****Scale Tuner は、対応楽器の音階を純正律やアラブ音律などに変えることができるアプリケーションです(楽器との接続にはMIDIインターフェースケーブル「i-MX-1」が必要となります)。ピアノ音源を内蔵しているので、対応楽器がなくても設定した音階を自分の耳で確かめることができます。*****

アプリは無料! というわけで,5000円余を投じて i-MX-1 をゲット.もうかれこれ十年くらい使っている CBX-K1 に繋いだ.その結果分かったのは,midi キーボード側に音源がなければ音が出ないということ.「ピアノ音源を内蔵しているので...」という惹句は,iPhone - iPod 画面上の操作に限定,しかも図のようにオクターブに限定である.

Garage Band, 50inOne Piano など YAMAHA 製ではないアプリと組み合わせれば, CBX-K1 から iPhone - iPod 内蔵の音源をならすことができる.だから i-MX-1 がまるきり無駄というわけではないのだが,それにしても,ケーブルとコネクタのくせに,高すぎ.アプリは (無料という) 価格相応.

Scale Tuner にプリセットされているのは,純正律・平均律以外はすべてアラブ音階 ! と思ったら,YouTube の解説もアラブ向けだった.
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ドミソの3次元リサージュ

2012-09-16 07:29:28 | 新音律
たぶん高校理科で登場するリサージュあるいはリサジューは,2つの周期振動を平面で直交させたときの点の軌跡が描く図形.2つの振動数比を,たとえばド音とソ音の振動数比にあわせると,わりとシンプルな図形になるので,「だからドとソは協和する」と言ったりする.個人的にはこうした絵は,描くのも視るのも好きだが,音との関係に深い意味があるように言うのはいかがなものか, と思っている.



さて3つの周波数を対象にするとリサージュも3次元になる.これは(a)純正律,(b)ピタゴラス音律,(c)平均律の,それぞれのド・ミ・ソの周波数比で描いたもの.

ここでは,点の座標を(x, y, z) = (sin t, sin Et, sin Gt) とし,E の値は純正律では5/4=1.25,(b) のピタゴラス音律では 81/64=1.2656..., (c) の平均律では 12の4/12乗 = 1.2599... とした.またG は純正律とピタゴラス音律では3/2=1.25,平均律では 12の7/12乗 = 1.4983... とした.t の範囲は0 < t < 120π とした.t の上限を∞に近づけたかったが,そうすると平均律の図(c) は真っ黒になってしまう.

純正律は当然シンプル.ピタゴラス音律ではド・ソ平面への投影だけがシンプル.平均律はごちゃごちゃである.

ハーモノグラフ (http://blog.goo.ne.jp/ablerail1007/e/8ca70d5f00943e7ee575f1aa988e0a98) は2次元リサージュを複雑にしたものだ.
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オーケストラ再入門

2012-09-14 08:13:56 | 新音律
小沼 純一,平凡社新書(2012/08).

内容(「BOOK」データベースより)*****
オーケストラを従来のイメージに閉じ込めず、「ひとが大勢で音楽をやること」として捉え直せば、雅楽やガムラン、YMOまでがオーケストラに! 凝り固まったジャンルの壁から自由になって、今こそみんなで音楽をすることの力を取り戻し、新たな音と「場」の地平を拓いていこう。一人ひとりが音でつながって豊かになる、そんなオーケストラ再発見の旅へ、ようこそ。*****

ウィーンフィルがどうの,N響がどうの,というのではなく,とても健全な内容.
どの分野にも八方美人的だが,これはそういう本なんだろう.

オーケストラ (ピッグバンド等も含めて) の一員になるということは,大きな機械の歯車のひとつになるという印象を持っている.それはつまらない反面,それなりの快感も伴う.それはこの本でも「産業革命とオーケストラ」の項でも取り上げているが,もっと掘り下げてほしかった.
「あとがき」には,ジャズ・オーケストラにおける「書かれたところ」と「即興的なところ」のせめぎ合いを見るのが執筆の動機と書かれているが,いまのジャズではせめぎ合いがないことが問題かも.

映画の話に力が入っていた.
父親に,昔観たからお前も観てみろと言われて,学生時代に名画座に行ったことだけ記憶にあって,中身はすっかり忘れている「オーケストラの少女」という映画.
この本によれば,失業した楽士たちがオーケストラを結成するというストーリーだったんですね.

日本人の指揮者が何かの文章で,この映画に引っかけてストコフスキーのことをすごくけなしていたのを思い出した.でもストコフスキーはおもしろい ! この日本人の指揮者とはスケールが違う!
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黒澤明という時代

2012-09-12 08:00:31 | 読書
小林信彦 文春文庫(2012/03).

黒沢は1910生まれ.著者は1932生まれで,10歳くらいで初めて「姿三四郎」を見た.それ以来実時間で黒沢の全作品を追っている.
この本の良いところは,それなりの年齢差で,著者とクロサワが同時代を歩んでいるところ.

かく言う小生は1941生まれで,中学生のときに「七人の侍」を見て,以来クロサワを意識するようになった.でも,映画館で黒沢作品を見たのは「赤ひげ」が最後だった.三船が出なくなったら見なくなったわけだが,意識してのことではない.平均的映画ファンと言うところだろう.

「生きものの記録」「悪い奴ほどよく眠る」路線と,「蜘蛛巣城」「用心棒」路線の矛盾みたいなものは,自分も弱輩ながら感じていた.三船氏はがーがー言うばかりで,台詞が聞き取れなかった.「赤ひげ」はつまらなかったが,これを読んでそう言うことかと思った.桑野みゆきが出ていたなんて,すっかり忘れていた..

テレビがなかった時代,映画と映画館の生活に占める割合はすごく大きかった.映画はたいてい近所の二番館・三番館で見た.フィルムがロードショー館から盛り場,最後は場末へと回って来るのである.この本にもあるように,入場直後は立ち見で,休憩時の席の争奪戦がすごかった.ヒトの頭で,スクリーンが半分以下しか見えなくても,映画を見た気になれた.
2 本立て・3本立てでたっぷり時間をつぶすことができた.途中から見始めて,別な映画を1-2本見て,はじめの映画の最初のほうを見ると,なぜか1本目の話が矛盾なくつながり,安心して帰ることができた....と言うようなことを思い出しながら,楽しく読んだ.

解説 (芝山幹郎) はなぜかこの本の前半にしかふれていない.後半はクロサワも映画も下り坂でつらいのは確か.
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