Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

弦の張力

2010-08-30 09:03:05 | 新音律
弦の振動数は
1) 弦の長さに反比例し
2) 弦の張力の平方根に比例し
3) 弦の線密度の平方根に反比例する.
http://en.wikipedia.org/wiki/Vibrating_string など.

ギターを例にとると太い弦では低音,細い弦では高音が出る.3) の原理である.
演奏前に「調弦」する.すなわち糸巻きで張力を調節する.2) である.
演奏中は指て押さえて弦のうちで振動する部分の長さを決める.1) である.





西洋の楽器では,演奏中に張力を変えることはあまりないが,日本の箏の「押し手」という奏法では,このように張力を変えて,随時音高を上げている.

中国-ベトナム系の独弦琴では,弦を 2 分割,3 分割,4 分割,5 分割する点をツボとして,ここでド・ソ・オクターブ上のド・ミを出す点とする.それ以外の音高は弦の長さを変えて出す.このために,弦の一端は弾力のある柱に繋がっている.柱を左右に倒すと,弦が伸縮する.
箏の押し手では,同じ弦で音高を下げることはできないが,独弦琴ではそれも可能だ.

独弦琴の動画では 2) の応用で,音を高くしているようだが,考えてみると 1) 3) も関係する.
弦を伸ばせば,張力も増加すると同時に,弦は伸びたぶんだけ細くなる (3).これは音を高くするほうに働く.
ところが,弦を伸ばせば長くなる.これは音を低くする.
最初の箇条書きに戻ると 2),3) は平方根で入って来るので,1) に比べて効きが悪い.単純な計算では,弦を伸ばしただけでは 1) と 2),3) が相殺し,音高はほとんど変わらない.しかし動画では,伸ばせば効果的に音が上がっているようだ.

箏の押し手の場合は弦の振動長がフレット (箏柱) で決まっているので,2)3) の効果だけが現れるのは分かるのだが,
独弦琴は,よく分からない.
なにか 思い違いをしているのだろうか.
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朝のクラシック

2010-08-28 08:32:04 | エトセト等
平日朝の 6 時から,NHK ハイビジョンでクラシック倶楽部という 55 分番組がある.

クラシックの演奏家にはほとんど知識がないから,知らない人ばかり登場.どこで録画するか,決まっていないらしいところが楽しい.

これは 8/20, the Five Browns という五人組で,男性二人・女性三人の兄弟姉妹,いろんな組み合わせがあったが,最大編成は 5 台のグランドピアノによる五重奏で,ラプソディ・イン・ブルーその他.5 台並べてもしょうがないとは思うが,カメラワークが良く映像としては面白い.

この写真は三姉妹による六手連弾.
クラシックのアイドル路線!? 女流ピアニスト特有の,あのとってつけたような恍惚のご表情も,3人並べば大迫力.映像にみとれて音のほうは記憶にございません,
CLUB CITTA 川崎におけるライブの映像とか.

8/26 には,クルト・ワイルの「三文オペラ」からの3曲をピアノ伴奏で視聴した.ソニー・ロリンズの「モリタート」の原曲は,こんな曲だったんだ...と認識.テナーのイアン・ボストリッジが作る悪党づらは,かってヒットチャートに上った,ボビー・ダーリンの匕首マックより怖かった.印象がエグいのは,ドイツ語の歌詞のせいもあるかもしれない.

朝弱い方は,徹夜明けにどうぞ.
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ホームページのデザイン一新

2010-08-26 11:38:18 | 新音律
ビーム物理研究会の HP のデザインがダサイというので,タイトルページの改変を模索中.


現在のデザイン
http://beam-physics.kek.jp/BPC/index.html
は 10 年 1 日で,XTML も CSS も知らずに作った.

いちばん安いホームページ作成本を新規購入.この手は着手するときは役立つが,あとは本の山のどこかに埋没してしまう.疑問が生じても,ウェブを漁ればすむからだ.

さて,この本の例題に旧版のコードをはめ込み,下の新版となった.
http://beam-physics.kek.jp/BeamNews/after/BeamNews2010.htm
何かタイトルにイラストがあったほうが良いかと思い,アンモナイトの絵を使った.サイクロトロンでも何でもなく,ピームとは関係ないのだが,暫定版ということで...


旧版は幅が可変であったか,今回は固定幅とした.現在は固定幅が主流らしい.可変の場合,大画面で横が広くなりすぎると,目が改行について行かないのは確か.

旧版はあちこちの素材集から拾って来たカット満載で,手作り感覚にあふれているが,新版はよくあるパターンという感じ.

旧版の時代はモニタの解像度も悪かったので,フォントが小さいのだが,新版ではそこらのブログと同じ程度のサイズにした.
しかし字が小さいと,とくにお年寄りに評判が悪い.
おまけにフォントを大きくすると 2 段組が崩壊してしまう.


i-Phone では,右フレームのスクロールバーが出ないことが分かった.指で上下にスクロールできる範囲が狭くて使いものにならない.
スマートフォンで 2 段組は,いずれにせよ煩わしいので,べつに css を用意するべきかなぁ.


いろいろ問題は出そうだが,疲れたので,しばらく様子を見るつもり.


ご意見・ご助言をいただければありがたいと思います.


追記

いくつか改めて見てみると,世の中に2段組みのブログはないようだ.2段・3段に分かれていても,独立に上下にスクロールできない.
全体を上下にスクロールだけなら,スマートフォンでも問題ないからだろうか.

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天に伸びるフーセンカズラ

2010-08-25 08:23:42 | エトセト等


絡み付くように,軒から釣り糸を張りました.
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アニエス・ベー君

2010-08-23 08:08:04 | エトセト等
夜になると,机の脇の窓の網戸に出没する.
とかげか やもりか よくわからない.
「君」づけにしたが,彼女かもしれない.
じっとしているくせに,ちょっと目を離すと消えている.
蚊を食べてくれているのだろうと,かってに感謝している.
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芥川賞「乙女の密告」

2010-08-21 08:26:37 | 読書
文春9月号を購入.受賞作掲載でなければ,買う気が起こらない表紙だ.

赤染晶子の受賞作は,うれしいことに?格調低い文章で,すぐ読めてしまう.「ミステリみたいなどんでん返し」とどこかに書いてあったが,読み終わった感想は「なんだこれ」.
ミステリでないのは確か.でも 読後感は悪くはない.

この,意外な結末について,もっともらしく解説する選考委員がいるが,微妙に食い違う.
自分はアンネの日記を読んでいないので分からないのかと思ったら,池澤夏樹「アンネの日記を読んでいなければわからないものではない」と来たものだ.この池澤と小川洋子が支持派で選評の文章も異様に長い.
石原慎太郎「日本の現代小説の衰退を象徴する作品のひとつ」は,いかにも言いそうなこと.
山田詠美の「机上の空論ならぬ机上の暴論があちこちに出現しておもしろい」というのはあたっている.

例によって,小説より選評のほうが面白い.

いじめ小説の女子大版 (舞台の外語大はいちおう共学らしいが...) という側面もある.ナチのユダヤ人迫害を「いじめ」に矮小化するのはけしからん...という非難はおとなげない.むしろ ヒトラーが幼稚だったのではないか.

「血を吐く」という言葉が軽くマンガ的に連発されるのはしらける.
「乙女」という言葉にも違和感.これは死語かと思っていたが,ときどき歌謡曲に登場しているるようだ.亜麻色の髪の...とか,...のピンチ,とか.
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全曲通してハーモニクス奏法?

2010-08-19 08:07:52 | 新音律
これはギターにおけるハーモニクス奏法.ABB' 形式で B' の部分.B よりメロディがオクターブ高い.左手が押さえたフレットから数えて1オクターブ上のフレットに軽く触れて弦を弾いている.演奏は Amèlia Mazarico.
昔はこの曲「アメリアの遺言」(カタロニア民謡,M.リョベート編) が弾けたのですが,今は全然だめです.



ひとつ前のブログの中国の独弦琴の動画は,セキグチさんのコメントのように,ハーモニクス奏法と思うのだが,ギターにくらべて全然自由闊達である.ギターではハーモニクスはときどき効果を与える脇役だったが,中国ペトナム系の独弦琴では一曲ほとんどまるごとハーモニクスだ.

クラシックではこの奏法をフラジオレットというそうで,詳しい説明が
http://homepage1.nifty.com/musica/flageolet.htm
にある.このページの真ん中あたりの弦の振動の図のように,振動の節に軽く触れて弾くと,対応する倍音が鳴る.

ギターの動画では実は左手が決めた弦長を 2 分割する位置 (節) に触れて,オクターブ上の音を出しているだけだが,弦長の 1/3 の位置に触れればソ,1/5 の位置に触れればミが出る.
もっと詳しく,表 2 にふつうに押さえたときに出る音と,同じポジションに軽くふれたときに出る音,すなわちフラジオレット (ハーモニクス) で出る音がまとめてある.ふつうはポジションを上にずらして行けば音は高くなる一方だが,フラジオレットではそうは行かない!!!

ところが,中国の独弦琴の動画では,弦に触れる位置と音の高低の関係はもっと単純に見える.なぜだろうか.その答えは,下の授業の動画.



この項続きます.ただし いつのことかは未定.
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ピタゴラスの一弦琴 (モノコード)

2010-08-17 08:12:46 | 新音律
モノコードと聞くとジャズっ子には「一発コードか」と思われそうだ.コード chord の語源は電気コードのコードで,紐あるいは弦.モノコード monochord は一弦琴という楽器のことでもある.むかしむかし,ピタゴラスは一弦琴の弦の長さを3分割して,ドからソをつくり,はてはドレミ...という音階に至ったとされている.

某市の科学館で音階に関する企画があり,このモノコードも展示の候補.ピタゴラスからのイメージはカットのようなものだが (図では弓で擦っているが,実際は指ではじいたのだろう),どうせならメロディが演奏出来るものが良いという.もっともピタゴラスに音楽を楽しむ風流心があったかどうかは分からない.

ギターから 5 本弦を取ってしまえばいよかろう,とも思ったが,一弦琴には歴史があり,独自の音楽世界があるようだ.

一弦琴という名のモノコードは,坂本龍馬も弾いたという.
でもこの楽器は借りて展示することはできても,子供たちにいじくってもらうわけにはいかない.



女子十二楽坊では,曲によっては独弦琴という名のモノコードに持ち替える女子がいた.この動画は弦が見えないので,テルミンみたいなふしぎな感じ.



こちらの動画も同類の楽器らしいが,奏法がよくわかる.右手小指で音程を決め,マッチ棒のようなもので引っ掻く.左手で微妙にピッチを変えたりビブラートをかけたり.



ギター・琴ではフレット・琴柱が下から突っ張っているが,そのかわりに指で上から押さえる.日本の一弦琴では指で押さえっぱなしにするが,中国の独弦琴では指をすぐ離すので,琴柱は一瞬にして消失する,それでもサステインするのはちょっと意外.このため,早いパッセージも出来る.おまけに手つきが見ていておもしろい.この動画では 2 分過ぎあたりで,ちょっと日本流の奏法も披露しアクセントを付けている.

中国風独弦琴を目標に,DIY で構造を作り,ギターのペグを利用して,ウクレレかギターの弦を張ってみようか.ジャズもできるかも.

この項 続きます.
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青春きっぷ

2010-08-15 08:12:24 | エトセト等
朱夏,白秋 (人生で言えば,のつもり,玄冬とは言いたくない) の夫婦が,青春 18 きっぷで広島 (白市)-下関間を旅行,遠くにお住まいの方は,すぐ隣みたいなものとお思いでしょうが,片道 5 時間.じつは一昨日も挑戦したのだが,車と衝突た結果山陽本線が不通となり,あえなく中止となったのであった.

目指すは下関市立美術館の長谷川りん二郎展.「りん」と言う字はさんずいに「隣」と同じつくり.このブログに表示できない.

一点描くのにすごく日にちをかけたということだが,3室にすごい作品数.小さな絵ばかり.ユーモラスで禁欲的.小さいところに しこしこ描き込むのは ぼくの趣味に合っている.
J 子曰く,晩年の絵は集中力が足りない.ぼくはそうとも感じなかったが,魚と目玉焼きの絵は 美味しそうではなかった.

これは 比較的有名でないほうの猫の絵.





こういう マイナーな ? 作家の展覧会にわざわざ来る人たちを,どういう人だろうと想像しながら観察するのもおもしろい.

下関市美術協会展というのものぞいた.100号以上の作品が並んでいた.長谷川展を観た後だと,はったりと密度の薄さばかりが感じられる,
下関市立美術館は良い建物.おいしいレストランがあればもっと良いのだが.

その後バスで「唐戸市場」とやらで下車したらすごい人.小一時間うろついて食事にありつけず険悪になる.戦中戦後ひもじかった時代に思いを馳せたが,結局ファミレスで機嫌が直ってしまった.

下関は大都会だった.次の機会は城下町長府をうろつきたい.
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スピーチはたいへんだ

2010-08-13 08:27:34 | 読書
このブログを読んでいる友人から,文庫本か古本か図書館の本ばかりじゃないか,といわれた.定年スルとはそういうことである.

この本
丸谷才一「挨拶はたいへんだ」朝日新聞社 (2001)
も,105円で購入した.

帯にいわく :
結婚披露宴でのスピーチ、喜寿の祝いでの乾杯の辞、友達の葬式での弔辞、パーティの「主人側」としての挨拶。簡潔でおもしろいスピーチをするにはどうすればいいのか?

しかし,ハウ・ツー本としては役に立たない.この挨拶はこのひとがやるからサマになるのである.

イラストはカバー・挿入とも和田誠.あとがき代わりに井上ひさしとの対談.井上が「ひとつひとつが たとえば川端康成の掌編小説を超える作品」とおだてている.これを聞いたら川端が真っ赤になって怒るだろう.
たしかに,現場の挨拶の参考には余りならないが,読むのはおもしろい.この著者の小説よりおもしろいかも.
これの出版から10年.そろそろ続編が出せるくらいに挨拶がたまっているのでは.

そもそも挨拶の原稿をとっておくというのが,普通人にはできないことだ.自分の演奏のテープを聴くのだって嫌である.とはいえ,物理の論文はといえば,自分の論文を再読するのが嫌では仕事にならない.著者も,挨拶原稿を作り,取っておいたからこそ,お金になったというべきか.

その 井上ひさしもなくなったが,ここに収められているなにかのお祝いの席でのスピーチで,その相手がいまは故人というのがかなりある.

当時の出版社の広告がはさんであって,タイトルを見ると「旧石器発掘ねつ造」とか「長谷川町子全集全33巻」とか.
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