Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

フリッツ・クライスラー

2008-07-31 12:27:19 | 新音律
フリッツ・クライスラーは20世紀最高のヴァイオリニストだ...とH越先生がしょっちゅう言っていた.酔っぱらうとクライスラーのまねをなさったが,いま思うとクライスラーの来日時は産まれておられなかったのではないか
クライスラーは「愛の喜び」「愛の悲しみ」といった小品の作曲という認識だったが,先生に言われてベートーベンのヴァイオリン協奏曲のLP (後でCDに買い替えた) を買った.1926年の録音.遠くの運動会のような管弦楽だが,途中から登場するヴァイオリンは意外にきれいで,癒される演奏.

クライスラーは自分が作曲した小品を,『過去の(忘れられた)作曲家の作品を「再発見」した』と称して演奏した.盗作の逆だから,奥ゆかしいようなものだが,ある批評家が「名曲だが演奏はたいしたことはない」と言ったのを契機に,作曲者詐称が明るみに出たそうだ.

ジャズのプレイヤーは得意のフレーズをアドリブにちりばめるが,クライスラーの小品は,クライスラー・フレーズ (悪く言えば手癖) の連続という感じ.ジャズのブルース・フィーリングには,クライスラーの場合はウィーン情緒が対応する...なんちゃって,自分はウィーンに行ったことはありませんが.でも,このひとはその気になればジャズが出来そうだったのに.

このクライスラーの「ベートーベンの主題によるロンディーノ」をビブラフォンで弾いてみたいと思って,ピアノ伴奏の楽譜を探し出した.このタイトルの「ベートーベン」はやっぱり嘘で,全部彼の作曲らしい.
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ヴォリーズの六甲山荘

2008-07-29 07:42:41 | エトセト等
六甲山荘というのは,「関学の」六甲山荘,「サントリーの」六甲山荘等々,六甲には数多い,先週末行った六甲山荘には「ヴォリーズ」という枕詞が必要.これは現在はNPO法人が管理していて,ボランティアの方が,こちらが恐縮するくらい丁寧にご案内して下さった.
http://homepage3.nifty.com/amenity2000/newpage121.html

六甲には初めて.三宮から電車・バス・ケーブル・バス・徒歩と,かなり不便だが,ケーブルは面白かった.

ヴォリーズ 1880-1964 はアメリカ生まれだが,彼の建築は日本各地にかなり残っている.この六甲山荘は1934年竣工.1947年に持ち主の家族が避暑しておられるセピア色の写真が飾ってあった.この頃といえば,ひもじかったことしか記憶にないが,こういう人種もおられたのか...

うっそうとした林の小径を行く南からのアプローチはやや陰気.これはいただいたパンフレットにもあった間取り図.避暑用なので南面の開口は小さく,北面が解放されている.うまく風が吹き抜けてとても涼しい.

南側に三つ並んだ寝室(現在は展示室)の双方からトイレに行ける構造が面白い.あちこちにちょこまかと収納があったり,引き戸がすっぽり壁に隠れたり...住む人の身になった設計.台所は70年も前に出来たのにシステムキッチン風.昭和初期はどうだったか分からないが,今の日本人の生活スタイルにはぴったりかも.
南側の和室は女中部屋,北側のふたつの和室は管理人用だったとのこと.このへんは五右衛門風呂とともに,戦前の生活の名残り.

8月3日まで茗荷恭介作品展開催中.
話題が六甲山荘と離れるが,茗荷さんのお話によれば,メンソレータム(メンターム)はヴォリーズが設立した現・近江兄弟社の製品.近江兄弟社学園の幼稚園の茗荷さん設計の遊具についている滑り台は,晩年ヴォリーズが寝たきりになったときに,自宅の二階から布団に寝たままで滑り降りるのに使った(あるいは使おうとした)ものだそうです.
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チター・コンサート

2008-07-27 09:18:44 | 新音律
初めて生でチター (zither) の演奏を聴いた.場所はヴォリーズ六甲山荘.蝉の声・鳥の声がバック.この山荘についてはいずれ改めて.

演奏は恵藤美津子さん.
テレビで「絶滅の危機にある楽器」と紹介されたが,それは嘘とのこと.この楽器も新品だそうです.フレットつきの端の5本はメロディ用で,ギターのようにギアで比較的容易に音程が変えられる.左手でフレットを抑えるのだが,ギターとは手が裏返しで,見ているとピアノを弾くのに似ている.右手の親指?に装着したピックで弾く.ここだけ見ればウェスタンのスチールギターと同じよう.

のこりの弦はハーモニー用で.レンチで調律するという感じ.必ずしも音高の順に弦が並んでいるのではないようで,こちらをピックなしの4本の指で弾きこなすのはかなり難しそう.

第三の男のハリーライムのテーマは,この楽器の特性を最大限に生かしている感じ.この他にも,現代作曲家の曲や,「ウィーンの森の物語」の一部など,もともとチター用に作曲された曲がよかった.「禁じられた遊び」「魔笛の主題による変奏曲」など,ギターの曲も聴けたが,こちらはギターで聴いた方がいい,というのがボクの勝手な感想.

音量はかなり小さい.テーブルの上に置いて演奏されたが,テーブルの変わりに中空の箱の上に置いたらどうだろう.
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バッグのフレーム

2008-07-25 06:55:31 | お絵かき
傘のフレーム
http://blog.goo.ne.jp/tbinterface/53da39a9a456a1d07e13c41a2a45597b/70
が好評だったので,二番煎じでCDケースに今度はバッグのフレームを描いてみた.下がこのフレームに絵はがきを入れた状態.これは絵そのものを鑑賞するフレームではなく,お遊びです.もっと明るい絵の方がよさそう.
モデルはHITOMONOKOTOのトートバッグで,ここのHPを見たらハッグをフレームにしたら...と思った.
コメント (4)
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ポケミスのカバー

2008-07-23 18:32:53 | お絵かき
惚けミスをかばってあげることではない.ハヤカワ・ポケット・ミステリのカバーのこと.昭和20年代から続いている新書判のシリーズ.文庫本のイラストカバーはとれるが,このシリーズでは表紙に絵が(イラストというのとは,ちょっとセンスが違う)印刷されている.じつはカバーとは違う.
誰の絵か,というのがなかなか分からない.この「狂人の部屋」では見返しの裏,登場人物リストの上の方に「装幀 勝呂 忠」と書いてあった.

勝呂忠氏は1926年生まれ.モダンアート協会所属.
カバーの絵は,内容に応じたものをいちいち描くのか,描き貯めたものから選ぶのか,知りたいところ.たぶん後者と思う.

未確認情報だが,福島県の郡山市立美術館は「本の美術」を収集の柱の一本としているて,そこにポケミスの原画もそろっている...と何かで読んだ覚えがある.

ポケミスのリストのページ
http://hpb.aga-search.com/
にシリーズの表紙が出ている(欠けているのもある).画像のサイズが小さいのが残念.最近は勝呂画伯の一手引き受けという印象だが,初期のものは,たとえば1956年の「古書殺人事件」は上村経一装幀,同じ年の「デイン家の呪い」は浜田稔装幀とあった.1961年の「ストリップ・ガールの馬」(面白そう!) は勝呂氏の装幀だそうだが,だいぶ現在と画風が違う.
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密室ミステリ歴代二位 魔の淵

2008-07-21 20:30:20 | 読書
ヘイク タルボット 著, 小倉 多加志 訳「魔の淵」 ハヤカワ・ポケット・ミステリ (2001/4)

1981年の欧米の作家批評家編集者読者などによるベスト密室長編ミステリ投票第二位の作品.ちなみに一位はカーの「三つの棺」,三位はルルの「黄色い部屋」だそうだ.1944年の作品だが日本では雑誌に連載されただけで,単行本化は2001年のこの本が初めて.図書館で借りた.
原題 Rim of the Pit.この意味はざっと読んだところではよくわからないし,この題名で固定するのだろうが,「魔の淵」の意味もわからない.

雪に埋もれた山荘の降霊界に本物?の悪霊が出現.この悪霊が空を飛んだり,雪原にたどった足跡が忽然と消えたり.山荘と狩猟小屋を,限られた登場人物が行ったり来たりするのだが,冒頭の地図兼建物間取り図はちょっとお粗末.

貫井徳郎の解説にあるように,大きなトリックに賭けた作品ではなく,小技の積み重ねにより完成度を高めた作品.そのかわり小技と怪奇趣味はてんこ盛り.盛りだくさんで,どじばた感さえある.
でも面白かった.

以下ねたばれ.

奇術師がトリックを弄するのは...どうもね.同じ奇術手品でも泡坂妻男の一連の作品は洗練している.ミステリも時代とともに進化しているのだろうか.
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ほんの宣伝

2008-07-19 13:20:16 | エトセト等
木村嘉孝 責任編集「高エネルギー加速器」 (実験物理科学シリーズ 7) 共立出版 (2008/7)

出版社による紹介より
現在,粒子加速器自体は,基礎科学分野では,特に高エネルギー粒子の衝突実験等において,物質の根源や宇宙誕生時の物質の起源にせまる謎を解明する原子核・素粒子研究のため大規模な実験装置に発展する一方,その応用では,生命科学,物質科学,薬品開発,がん治療,医学診断などに幅広く利用展開している。このように加速器は,装置と利用の両面で実に多彩な展開を示しており,その内容も多岐に渡る。そこで本書では,テーマを近年最も進展著しい高エネルギー加速器に絞ることとし,その原理と応用について重要と思われるものを選び,第一線で活躍する研究者により執筆するものである。これから加速器科学を志す大学院生,若手研究者から現役の研究者・技術者のためのガイドブックとして役立つ内容をまとめた。

415ページ.9000円.最後の20ページを書かせていただいた.執筆者は全部で19人.責任編集はかってのボス.偉い先生は名ばかりで何もなさらないことも良くあるが,この本は違います.自分の担当部分にはたくさんの行き届いたコメントをいただいきました.

残念ながら上に引用したCMの「第一線で活躍する研究者」は自分には当てはまらない.じつは最初におはなしがあったのが10年前だったのだが,出版社がもたもたしているうちに定年してしまった.でも担当部分は最初の原稿は没にして書き改めたもの.

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ワイングラスで音楽

2008-07-18 08:04:26 | 新音律
Glass Harp




最近いちどはmixiで,いちどは音楽家ご夫妻と雑談中に,ワイングラスの音楽が話題になった.
これが模範演奏.かって自分もギターで弾けた曲で,バッハのブーレだと思う.
まず思いつくのはワイングラスを並べて箸で叩くことだが,彼はこすって音を出している.手が二本あるのだから,もっと重音を活用すれば良いのに...なんちゃって.
楽器としての名称はglass harpらしい.ネットをあさるとこれに挑戦するひとが多いことが分かる.

たぶん20年以上前,スキーに行った(いまは亡き)蔵王山荘でワイングラスのふちを擦って音を出して遊んでいるうちに,メロディを...ということになった.ハンドベル同様,一人が一音を担当.スズキさんという,背も声も大きいお姉さんが指揮をした...あるいは音頭をとった,というべきか.曲は「荒城の月」で,出だしの
「ミミラシドシラ」

「ミミナシゴジラ」
と言っていた.いくら練習しても,このYouTubeのように速い曲ができるとは思えなかった.
グラスの水で指を濡らすのを繰り返すと,水が減って音程が狂うことがわかった.

その後「微分音階」なるものに惹かれたとき,グラスを並べることも考えたが,グラスをたくさん揃えないと駄目と,思ったとたんに挫折した.
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ヴァラドンが描いたサティ

2008-07-16 08:33:44 | エトセト等
ひろしま美術館で「芸術都市パリの100年展」.
教科書に出ている絵があるような展覧会ではないが,逆に言えば印刷でもなかなかお目にかかれない絵があるということ.

ヴァラドンの絵が4点.ひとつは大作だが,彼女の人生を聞きかじると小さい絵のほうが面白くなる.
あとのうち一点は自画像で,ユトリロを産んだ年のもの.もう一点は28歳のユトリロを描いた木炭画.自分も息子もひどく客観的に描いている.
最後がこのサティ.サティというと晩年の禿げちゃびんの写真を連想してしまうが,この絵では唇が赤くて生々しい.当時ヴァラドンの異性関係は乱脈(ユトリロの父親も誰だか分からない).夢中になったのはサティのほうで,ヒット曲Je Te Veux~あなたが欲しい~はヴァラドンが対象とか.
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きれいな魚 ブルック

2008-07-14 09:53:28 | お絵かき
知人のmixiの日記に湯川のブルックのことが書いてあった.
正式にはブルックトラウトと言うらしい.
湯川は,日光の湯ノ湖から中禅寺湖までの短い川で,ブルックはそこでも湯滝と竜頭ノ滝にはさまれた区間だけに居る.もともと住んでいるわけではなく,20世紀初めに誰かが放流したのだそうだ.今だったら,生態系を壊すと避難されそう.

上半身?には青で縁取られた赤い斑点が点在し,お腹は朱色で,ひれは白く縁取られていて,ファッショナブル.
この絵では表情もうまく描けた...と自画自賛.
コメント (5)
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