Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「詩人の食卓」と「食卓一期一会」

2005-06-30 10:12:09 | 読書
「詩人の食卓」文 高橋睦郎 絵 金子国義 平凡社(1990)
「食卓一期一会」長田 弘 晶文社(1987)

たいていの本は新刊と思っているとすぐ絶版になってしまうなかで,詩集は息が長い.どちらもamazonに健在だ.

ただし,「詩人の食卓」は七月に始まり六月で終わる散文集(小説っぽいのもあり).ルビつきの凝った印刷.名前が表紙にあるように,この本では金子の役割も大きいようだ.

レシピをそのまま詩にしたような「食卓一期一会」.青い活字を使った,そっけなく洗練された,平野甲賀によるブックデザイン.「朝食にオムレツを」のように苦いオチ?がついたのがぼくの好み.
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谷瀬の吊り橋

2005-06-20 21:15:30 | 新音律
研究室の旅行で奈良へ.奈良というと公園で鹿が遊んでいるイメージしかなかったが,世界遺産になった吉野大峰周辺は,高山ではないが深山だ.写真は谷瀬のつり橋.昭和29年に住民が1戸あたり20万円の負担でかけたとのこと.ぼくは昭和40年大学卒だが,当時の初任給は2万円台だったと思う.各戸の負担は年収以上?! まさか工事に当たって談合はなかっただろうな.この橋はいまでも生活橋で,地元の方は自転車やバイクでわたることもあるとか.

寺田寅彦の文章に「災難雑考」というのがある.大垣の女学校の生徒が修学旅行で箱根へ来て一泊した翌朝,出発の間ぎわに監督の先生が記念の写真をとるというので,おおぜいの生徒が渓流に架したつり橋の上に並んだ.すると,つり橋がぐらぐら揺れだしたのに驚いて生徒が騒ぎ立てたので,振動がますますはげしくなり,そのためにつり橋の鋼索が断たれて,橋は生徒を載せたまま渓流に墜落し,無残にもおおぜいの死傷者を出したという新聞記事から,寺田先生の雑考が展開する.

ぼくも新音律に関連させて,弦楽器の弦の振動と吊り橋の振動についてこの場で一席と思った.この箱根つり橋の場合は生徒がリズムにのって騒いだのが,たまたま橋の固有振動数(あるいはその整数倍)に合致したため,正帰還がかかって,振動が増大したのであろう.しかしこれについて寺田先生は触れていない.

もっともこの文章では「大垣の女学校の生徒」というのが気になった.うちのJ子も,もと大垣の女学校の生徒であったが,昨日この谷瀬のつり橋の上で橋が揺れるといって騒ぎ立てた.大垣の人はつり橋で騒ぐのだろうか.谷瀬のつり橋が落ちなくて幸いであった(このくらい大きなつり橋だと騒いでも局所的に揺れるだけのようである).
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昆虫探偵―シロコパκ氏の華麗なる推理

2005-06-15 22:15:48 | 読書
鳥飼否宇,光文社文庫(2005).
「蝶々殺蛾事件」「哲学虫の密室」など,目次を見るだけでニヤリとしてしまう.
腰巻に「昆虫世界の本格推理」,まさにそのとおり.トリックはすべて昆虫学的につじつまが合っているらしい.とはいうものの門外漢にはけちのつけようがないところはちょっと寂しい.物理をネタにしたミステリ,たとえばコリン・ブルース「名探偵ホームズの科学事件簿」などよりずっと楽しい.著者の力量か,あるいは昆虫に対する思い入れのためだろうか.
ミステリとしては,文庫のために書き下ろしたという「ジョロウグモの拘(こだわり)」が良いが,最後の「ハチの悲劇」もでたらめで面白い.
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演奏をもりあげるには...

2005-06-14 20:01:43 | 新音律
曲が与えられると,西洋音楽で演奏者の自由になるのは音量とテンポくらいのものである(ただし,ジャズではキー(調)も演奏者の自由である).だから音楽の「もりあげかた」として,音量を上げる方法とテンポを速くすることが一般的だ.ラヴェルのボレロなど,クレッシェンド一発である.テンポに関しては,ジャズでは一定が原則だが,クラシックではテンポは変幻自在.テンポに関する限りジャズのほうが融通が利かない.もっとも素人のバンドでは,しらずしらずのうちにテンポが上がることはよくあることだ.

第3のもりあげかたとして,音程を次第にあげるという方法があるはずだ.連続的・アナログ的に,曲の最初と最後でキーが変わっていたら面白いと思うが,西洋音楽では音楽の切れ目でキーが半音ジャンプするのが関の山である.日本でもむかしヒットしたナット・キング・コールの"L-O-V-E"は,いちばん-間奏-にばん(じつは2番がないので1番の歌詞を繰り返す)という構成だが,1番から間奏に行くときに半音上がり,間奏から2番へいくときにまた半音上がる.このナンバーはいろいろなひとがコピーしているが,N・K・コールを踏襲し,コーラスの切れ目でキーを半音あげるのが慣例となっている.

連続的・アナログ的に,曲の最初と最後でキーが変わる程度に音程を挙げて盛り上げている音楽があったら,どなたか教えていただけませんか.雅楽はそうだときいたことがあるような気がするが,確証が得られないでいます.
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中本マリさんのライブ

2005-06-11 09:24:07 | ジャズ
竹原の海辺のカフェ,ホクストンで,中本マリvo 大石学p 米木康志b 原大力ds.かってのブルーなリル・ガールもいまでは貫禄も迫力も十分 (このナンバーも歌ってくださいました).何度か東京で聴いたときよりもボルテージが上がっていたようだ.ツァーだと気分が変わるのだろうか.マリさんのバックはいつも豪華だが,今回も凄かった.電子ピアノを再認識させられた.
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かえるまつりライブ

2005-06-06 15:59:14 | ジャズ
現 広島県安芸太田町,もと加計町の吉水園の庭園の池はモリアオガエルの産卵で有名で,6月第1,2の週末はかえるまつり.おまつりの景気付けで,門前にジャズをやらせていただいた.M岡(tb),M上(kb),Y田(b),M山(ds),O方(vib).絵に描いたようなカエルの写真は
http://plaza.rakuten.co.jp/otahome2nd/diary/200506050000/
をごらんください.
曲目は

第1部 
1 If I Were A Bell
2 C'est Si Bon
3 Everything Happens To Me
4 I Love You
5 カエルのうたOleo版

第2部
6 Moliendo Cafe(コーヒールンバ)
7 On The Trail
8 Summertime
9 Stella By Starlight
10 Del Sasser
encore カエルのうたBlues版

ジャズ研のアワ・ブームのため3と6はサルサ風の味付け.とくに3はナット・キング・コールのぼやき節くだまき節をおぼえているので,あまりにくったくない編曲にちょっと違和感.
カエルのうたのふたつのバージョンはM上氏の労作だが,ぼくはオレオとカエル,ブルースとカエルの板ばさみになり,どっちつかずに終わった.ブルース版でのカエルの鳴き声というより,ゴジラの咆哮のようなボントロソロに聞き惚れた結果,輪唱の部分では出だしをまちがえてしまった.

おそろしく暑くて,日が当たるヴァイブの上で目玉焼きができるのではないかと思った.しかし終わってしまえば,緑の中で川からの風が涼しく感じられ,さわやかだった.
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100 Gold Fingers

2005-06-01 12:27:17 | ジャズ
10人のジャズ・ピアニストによる定例化したコンサート.10年くらい前にもいちど行ったのだが,そのときのメンバーはずいぶん他界してしまった.ジョン・ルイスのようなシンプル派がいないと,皆同じようでちょっとつまらない.パターンは定着しているらしく,最後のA Trainの弾き回しも当時と同じ.どうせならピアノを10台並ベるくらいのことはやってもらいたい.

...とはいえ満足しました.写真は公演後貼り出された演奏曲目ですが,見にくいので以下にタイプしました.

1 Benny Green: I didn't know what time it was
2 Green and Cyrus Chestnut: It could happen to you
3 Chestnut: A flower is a love
4 Eric Reed: You took advantage of me
6 Reed: Light blue
7 Dodo Moroni: What's new
8 Moroni and Kenny Baron: I mean you
9 Barron: Round midnight

***intermission***

1 Don Freedman: How about you
2 Freedman: Stella by starlight
3 Cedar Walton: Lush life
4 Walton: Midnight Waltz
5 Toshiko Akiyoshi: Hope
6 Akiyoshi: After you've gone
7 Junior Mance: Georgia on my mind
8 Ray Bryant: Cow cow boogie
9 Bryant and Mance: Hamp's boogie
10 Bryant and Mance: Slow freight

***encore***
Barron: Songs for Abdullah
All Membaers: Take the "A" Train
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reading

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