路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説・01.04】:年のはじめに考える チキンレースの勝者は

2025-01-04 07:06:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・01.04】:年のはじめに考える チキンレースの勝者は

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.04】:年のはじめに考える チキンレースの勝者は

  海に面した断崖絶壁の上で、対立する2人の若い男がそれぞれ車に乗り込みます。海に向かって全速力で並走し、どちらがより崖っぷちまで突っ込めるかの度胸試しです。一方の男は「先に運転席から飛び出した方が『チキン』だ」と主人公をあおります。

 「チキンレース」あるいは「チキンゲーム」の言葉を世に知らしめた1955年の米映画「理由なき反抗」の場面です。主演のジェームズ・ディーンの格好良さにしびれた読者も多いのではないでしょうか。英語のChickenには、俗語で「臆病者」という意味があります。
 新年早々いささか物騒なシーンを紹介するのは、今月下旬に召集される通常国会が与野党によるチキンレースの様相になりそうだからです。もちろん与野党には正々堂々の論戦を期待しますが、それぞれが「成果」を出そうと真剣になればなるほど、政治的な駆け引きは避けて通れません。

 ◆予算巡り交渉が活発化

 通常国会前半の焦点は2025年度政府予算案の成否です。予算はあらゆる政策の裏付けとなりますから、政府・与党は年度内成立を目指します。成立が大幅に遅れた場合、国や地方の行政、国民生活に影響が出るばかりか、石破茂首相の政権運営が行き詰まる可能性もあります。
 自民、公明の与党は衆院で過半数に届かず、野党の賛同を得なければ予算案を成立させられない状況です。日本維新の会と教育無償化、国民民主党とは「年収103万円の壁」引き上げを協議しているのはそのためです。両党の主張を受け入れる見返りに、予算案に賛成してもらう交渉なのです。
 財源に限りがある以上、与党が維・国両党の提案を丸のみすることは難しいでしょう。ですが、維・国から「ならば予算案に賛成できない」と言われては元も子もありませんから、一定の譲歩はせざるを得ません。維・国は与党の足元を見ながら高い要求を突きつけます。こうした押し引きはチキンレースの色彩を帯びてきます。
 与党には立憲民主党との交渉も重要です。立民に予算案賛成を期待しているわけでなく、安住淳予算委員長が属する立民の同意なしに衆院予算委員会の採決日程を決められないからです。仮に維・国のいずれかが予算案に賛成し、可決できる数がそろっても、採決できなければ意味がありません。
 安住氏が不偏不党の議事を進めるなら、政府・与党の望む採決日程を野党の反対を押し切って決めることはないでしょう。予算案の採決日程は与野党の話し合いで決まりますから、野党第1党の立民の意向が重要になるのです。
 立民の野田佳彦代表は企業・団体献金の禁止を「政治改革の本丸」に位置付け、通常国会での実現を目指しています。昨年の臨時国会に禁止法案を提出したものの存続に固執する自民との溝が埋まらず、結論は今年3月まで先送りされました。
 企業・団体献金は長年、政治腐敗の温床と指摘されてきました。30年前の「平成の政治改革」では公費による政党助成を導入する代わりに企業・団体献金を禁止する方向になった経緯もあります。
 立民もこうした正論を繰り返し訴えることで自民に翻意を促そうとするはずです。

 ◆参院選控え主張を強く

 そこで自民は、維・国に加えて立民とのチキンレースにも直面する可能性が出てきます。
 野党が予算案の採決を取引材料にして、政治改革の「実」を得るようなことは本来、慎むべきですが、国会審議が緊迫しなければ、自民が派閥の裏金事件を心の底から反省し、企業・団体献金の禁止などの政治改革に本気で取り組むことはないでしょう。
 予算案の問題点も徹底的に洗い出さなければなりません。
 冒頭のチキンレースでは1人の若者が車ごと崖下に転落し、死亡します。はやし立てた仲間たちは重大な結果に恐れをなし、現場から逃げ出します。主人公はレースでは無事でしたが、その後銃撃事件に巻き込まれ、新たな犠牲を目の当たりにします。チキンレースに勝者はいなかったのです。
 
 今年の通常国会の後には参院選が控えます。党勢拡大を目指す各党は国会論戦をアピールの機会と考え、主張を強めるでしょう。
 
 まるでチキンレースですが、政治の場合、勝者は国民でなければなりません。与野党が国民のための政治をしているか、通常国会の論戦を見届けていきます。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月04日  07:06:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・01.04】:熟議の政治へ 国会の古い慣行を見直せ

2025-01-04 06:05:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・01.04】:熟議の政治へ 国会の古い慣行を見直せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.04】:熟議の政治へ 国会の古い慣行を見直せ 

 衆院が少数与党となり、野党の賛同を得ないと予算案や法案が通らない。与野党が合意点を見いだすまで議論を重ねる「熟議」を定着させる年にしたい。

 越年した「政治とカネ」の問題は、これ以上決着を先送りしてはならない。

 2025年度予算案を巡る与野党の攻防は様変わりするだろう。見据えるのは夏の参院選だ。石破茂首相にとっては政権の存立に関わる正念場となる。

 ■最大の決戦は参院選

 自民党派閥の裏金事件に端を発した政治資金問題は、先の臨時国会で政策活動費を廃止するなど一定の成果が見られた。

 少数与党の現実は重い。野党案に反対していた自民党も最後は折れるしかなかった。

 今月下旬に始まる通常国会でも引き続き重要なテーマとなる。焦点は企業・団体献金だ。禁止を求める立憲民主党などの野党と、存続を訴える自民との溝は深い。

 与野党は3月末までに結論を出すことに合意している。過去の事件や疑惑を見れば、全ての企業・団体献金が浄財だとは言えない。政治をゆがませる可能性がある以上、禁止すべきだ。

 政治資金の収入が減れば、政治活動ができないと主張する議員がいる。この際、政治にはカネがかかるのか、必要以上にかけているのかを国民に明らかにして、政治資金の在り方を根本から見直してはどうか。

 政治資金の集め方、支出の範囲を規定し、それらの実績は全て公開する。国民がチェックできる仕組みを整えたい。

 一連の改革を通じて、長年の課題である「カネをかけない政治」が実現すれば、国民の政治を見る目も変わるはずだ。

 裏金事件の解明も急ぎたい。旧安倍派の幹部や会計責任者らを参考人招致し、さらに証人喚問で、意思決定の過程や裏金の目的などを明らかにする必要がある。

 政治資金問題が長期化すれば、参院選への影響が大きくなる。昨年の衆院選のように結果を大きく左右する要因になり得る。

 立民などの野党は政権交代へ弾みをつけたいところだ。改選1人区で候補者を調整し、与党との一騎打ちに持ち込めるかが勝敗の鍵となる。

 与党は参院で過半数を維持することが最低限の目標だ。

 石破首相は昨年暮れ、内閣不信任決議案が可決された場合、衆院解散に踏み切る可能性に言及し、早くもけん制している。

 ■通年会期制の検討を

 当初予算案を採決する日程が視野に入る2月後半から、与野党の駆け引きは熱を帯びそうだ。

 与党と野党が個別に交渉し、野党の政策実現と引き換えに、予算案への賛成を取り付ける可能性がある。これを繰り返していては、真の予算案審議にならない。

 野党は予算案の内容を精査し、修正の必要性と賛否を判断する。与党は野党の修正案が妥当なら、柔軟に取り入れる。財源にも責任を持たなくてはならない。与野党共に、政策決定過程が国民に見える国会運営に努めてほしい。

 立民は通常国会に選択的夫婦別姓制度の法案を提出する構えだ。大半の野党は導入に前向きなのに対し、自民は党内に強硬に反対する議員を抱える。

 首相は通常国会の大きな論点となることを見越して「党として議論の頻度を上げ、熟度を高めることに力を入れる」と述べた。その言葉通り、党や国会で徹底して話し合い、結論を出してほしい。

 議論に十分な時間をかけられるように通年国会を導入するなど、熟議の国会に見合う制度を検討してはどうか。

 通常国会は1月に開会し、会期は150日と決まっている。法案審議が始まるのは例年、予算成立後の4月からだ。会期は1度だけ延長できるが、参院選の年は大幅な延長が難しい。通年国会なら会期末を気にせずに議論できる。

 政治資金や法案審議をはじめ、国会の古い慣行を変える転機となることを望む。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月04日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・01.03》:戦後80年 転換期の日本政治 民主主義、鍛え直す努力を

2025-01-03 02:01:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・01.03》:戦後80年 転換期の日本政治 民主主義、鍛え直す努力を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・01.03》:戦後80年 転換期の日本政治 民主主義、鍛え直す努力を

 戦後日本政治が転換期を迎えている。激動する時代にあって、民主主義をいかに鍛え直すことができるかが問われる。

 国会の風景は様変わりした。昨年の衆院選で自民、公明両党が惨敗し、少数与党の石破茂政権は、野党の理解を得られなければ政策を実現できなくなっている。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月03日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.29】:少数与党国会 「熟議」と呼ぶには程遠い

2024-12-29 06:05:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・12.29】:少数与党国会 「熟議」と呼ぶには程遠い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.29】:少数与党国会 「熟議」と呼ぶには程遠い 

 少数与党になった国会の風景は確かに変わった。先日閉会した臨時国会は、与野党が合意形成に試行錯誤する姿が見られた。

 その真価は来年1月に召集される通常国会で問われることになる。「熟議の国会」にはまだ程遠い。

 10月の衆院選で自民、公明の両与党の議席が過半数を割った。少数与党となったのは30年ぶりである。

 「自民1強」だった2012年の第2次安倍晋三政権以降は、与党が数の力を振りかざし、国会論議を軽視する政権運営が続いた。

 それが一転し、与党だけでは予算や法律を成立させることができなくなった。野党の賛同を得なくてはならない。

 熟議に努めよとの民意である。国会を本来あるべき姿に戻す好機と捉えたい。

 石破茂首相は臨時国会閉会後の記者会見で「与野党がかんかんがくがくの議論を行い、まさに熟議の国会にふさわしいものとなった」と述べた。自画自賛が過ぎる。

 特に問題にしたいのは補正予算案の審議だ。

 自民、公明は野党の中から予算案に賛成したことがある国民民主党に接近した。国民民主が公約した「年収103万円の壁」の引き上げを約束し、賛成を取り付けた。

 日本維新の会に対しては、教育無償化の協議の場を設けることで賛成を引き出した。

 成立した補正予算は、歳出総額が13兆9400億円に上る。石破首相が衆院選で「昨年を上回る規模」を約束したため、内容よりも規模優先で編成された。

 緊急性に乏しい事業費も含まれているとの指摘は政府内からも漏れる。

 疑問点の多い予算案にもかかわらず、国民民主や維新は内容をただし、修正を求めようとしなかった。

 これでは重点政策を実現するために、補正予算案を取引材料に使ったことになる。来年夏の参院選を見据えた実績作りと非難されても仕方がない。与党にとっては思惑通りの結果ではないか。

 一定の成果もあった。使途の公開義務がなかった政策活動費は廃止が決まった。国会議員に月額100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)については、ようやく使途公開と残金の国庫返納が決まった。

 特別委員会では関連法案を提出した政党の議員が答弁に立ち、意見を交わした。政策活動費廃止の野党案を自民が丸のみしたのは、少数与党ならではの結果である。

 石破首相は「他党の意見を丁寧に承り、可能な限り幅広い合意形成を図るよう努力した」と振り返った。

 その首相の答弁は、謙虚な姿勢で質問者に理解を示しながらも、肝心な点ははぐらかす場面が目についた。

 通常国会は25年度当初予算案をはじめ、重要法案が控える。かんかんがくがくの議論を次こそ見せてもらいたい。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月29日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.25》:臨時国会が閉幕 まだ熟議は足りていない

2024-12-27 09:31:25 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・12.25》:臨時国会が閉幕 まだ熟議は足りていない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.25》:臨時国会が閉幕 まだ熟議は足りていない 

 衆院選で自公が少数与党に転落後、初の本格論戦となった臨時国会が閉会した。

 自民1強時代の強引な国会運営は影を潜めた。与野党が議論して合意を目指し、双方が納得できる法案をつくりあげるのが国会のあるべき姿だ。試金石となった今国会は、その一部が垣間見えた。

 焦点は、政府の経済対策の財源となる補正予算案と、自民党の派閥裏金事件を受けた政治改革関連法案だった。いずれも与党が野党の要求を一部受け入れる形で成立している。

 補正予算案は能登半島地震の復興予算を拡充した。補正予算案が国会提出後に修正され、成立したのは28年ぶりである。

 政治改革では野党7党が提出した政策活動費の全廃法案などが成立した。自民党は使途公開が不要な政活費を全廃しつつ、支出先を非公開にできる「公開方法工夫支出」新設を明記した法案を提出。野党が「新たな抜け道になる」と反発し、断念に追い込まれた。

 石破茂首相は閉会後、「可能な限り幅広い合意形成を図るよう努力した。熟議の国会にふさわしいものになった」と述べた。立憲民主党の野田佳彦代表は「動かなかったテーマが具体的に前進したのは一定の成果だ」とした。

 真価が問われるのは次期通常国会である。積み残した課題も多い。まず企業・団体献金である。立民や日本維新の会が「政策決定をゆがめる」として禁止を主張。自民党は公開による透明性向上が重要として「企業献金が悪で、個人献金が善としない」と反論。与野党は来年3月末までに結論を得ることで合意している。

 通常国会では「カネのかかる政治」のあり方や「民主主義のコストを誰が負担するのか」といった根源的な議論が欠かせない。裏金事件の真相解明も必要だ。

 所得税が生じる「年収103万円の壁」が焦点となった税制改正は、減税による手取り増を掲げる国民民主党と自公の協議がまとまらなかった。自公のみで与党税制改正大綱に123万円までの非課税枠の引き上げを明記し、今後も協議が続く。代替の財源確保の問題を避けて通れないことを強く認識する必要がある。

 気になるのは、国民民主や維新などとの「政治的な駆け引き」で、多数確保を図る思惑が自公にみえることだ。公開の場で全政党が議論を尽くし合意形成を図るのが筋である。「熟議」には時間がかかることを前提に、必要な議論を進めたい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・12.20】:自民もくろむ衆参ダブル選に大きなツケ

2024-12-27 07:40:10 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【政界地獄耳・12.20】:自民もくろむ衆参ダブル選に大きなツケ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・12.20】:自民もくろむ衆参ダブル選に大きなツケ 

 ★補正予算審議などを見ていると自民党の老獪(ろうかい)さが目立つ。25年度の与党税制改正大綱には国民民主党が掲げていた178万円ではなく、与党案の123万円への引き上げになった。国民民主党代表(役職停止中)・玉木雄一郎は「3党の幹事長間の合意も、我々からしたら無視される形で大綱が決定されるというのは残念というか驚き」と同党が自民党と繰り返す「いいところまで行って、ほごにされる」がまた現実になった。野党幹部は「自民党にすり寄るから突き放される。自民党は国民民主と話を進めながら他党にも秋波を送る。相変わらず野党はお人よしだと思われる。最初から野党政権を作れば、いかようにもできたはずだ。自公国で対等だと考えるところが甘い。国民民主党は学習しない」と手厳しい。

 ★案の定、自公政権との対決姿勢を示したばかりの日本維新の会が補正予算に賛成。水面下で自民党と握る姿勢を示し党内にも不満が残る。ふわふわしている執行部など自民党ならひとひねりというところか。自民党の複雑な弱小野党への攻略の先にあるのは衆参ダブル選で安定多数獲得という野望だ。議席さえ増えればいい自民党の与党・政権への執念と自民党を少数与党化させたのに、野党同士が仲が悪く、立憲民主党にも野党をまとめる力がなく、自民党はそれを横目で見て国民民主を切り維新に素早く乗り換え、補正予算を乗り切った。

 ★与野党とも相手がどう出るか、今国会は探り合いが続いた。結果もろい野党が崩れたといえる。ただ野党も学習するはず。来年からの本予算審議は慎重かつ、野党の情報交換が緊密になれば自民党の思い通りにはならない。政倫審では裏金議員たちが満を持して「知らなかった」「秘書が」を繰り返し反省の言葉は出るものの、さして悪いとも思っていない。国民が「相変わらずだけど、まあいいか」というとでも思っているのだろうか。野党もさることながら国民をなめてはいけない。来夏に衆参ダブルをもくろめば、そのツケも大きいはずだ。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年12月20日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.25】:臨時国会閉幕 数合わせ排し政策協議を

2024-12-27 07:00:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・12.25】:臨時国会閉幕 数合わせ排し政策協議を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.25】:臨時国会閉幕 数合わせ排し政策協議を 

 衆院選で少数与党になって迎えた初めての臨時国会がきのう閉幕した。閣僚の答弁は丁寧になり、野党も反対一辺倒ではなくなった。政治資金規正法の再改正などを審議した政治改革特別委員会は与野党提出の9法案の審議で答弁席に各党の実務者が並び、討論を繰り広げた。「自民1強」時代にはない光景だろう。

 閉幕を受けた記者会見で石破茂首相は「可能な限り幅広い合意形成を図るように一生懸命努力した」と語ったが、政策議論が深まったとはまだ言い難い。自民、公明両党が2024年度補正予算などの成立を最優先し、野党も目先の成果を欲しがったためだ。

 与党からの政策協議の誘いに乗って野党が安易に妥協を重ねる。そんな数合わせに終始するようでは、国民本位の政治とはいえまい。

 その象徴が補正予算を巡る攻防だろう。

 国会の場外では、国民民主党が「年収103万円の壁」の引き上げ、日本維新の会が教育無償化の協議を与党に求め、補正予算への賛成に回った。個別の要求が取り入れられれば、さまざまな問題をはらむ予算全体を承認する。そんな手法が適切なのか。

 自公は同時に、立憲民主党の要求に応じる戦略を見せる。能登半島地震の復旧・復興費を1千億円上積み、採決容認を取り付けた。同党は採決で反対したものの、「規模ありき」で編成された巨額補正をすんなり成立させてしまったことに変わりはない。緊急性や妥当性の吟味がしっかりできたか疑問である。

 その意味で野党第1党の立憲民主党が野党をまとめ切れず力量不足だった。自民党の「壁」を乗り越えるために、野党間で協力して予算の修正案や法案をまとめる仕組みを取り入れるべきではないか。

 例えば103万円の壁を引き上げるなら、目的や効果、負担の公平性を精査し、社会保障とセットで大局的な議論を進めたい。その場しのぎではなく、政策の深掘りこそ、今の国会に求められているはずだ。

 政治資金改革では、使途公開不要な政策活動費の全廃を野党が一致して求め、自民党にのませて実現させたのは評価したい。一方で企業・団体献金は自民党が存続を主張。立憲民主党や日本維新の会などが禁止を求めて対立した。与野党は立憲民主党などが共同提出した禁止法案について、来年3月末までに結論を得ると先送りした。

 与野党協議では、政治資金の透明化はあくまで手段であり、目指すべきは「カネのかからない政治」と改めて確認したい。裏金事件の全容解明も不可欠である。精力的に議論を重ね、踏み込んだ改革を実現してもらいたい。

 与党は臨時国会こそ乗り切ったものの、来年の通常国会で25年度予算案などを成立させる見通しは立っていない。来夏の参院選をにらんだ政局の動きが出てくる可能性もあろう。それでも少数与党時代は、熟議を通じた政策実現の絶好の機会だ。各党が審議の充実に責任を持たなくてはならない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  07:00:00  これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。

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【社説・12.25】:臨時国会閉幕 政治改革の歩み止めるな

2024-12-27 06:10:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・12.25】:臨時国会閉幕 政治改革の歩み止めるな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.25】:臨時国会閉幕 政治改革の歩み止めるな 

 少数与党が譲歩し、政治改革の取り組みは前進した。しかし課題は残っている。国会は歩みを止めず、改革を遂げてもらいたい。

 臨時国会が24日、閉幕した。焦点となった政治改革では、政治資金規正法の再改正を含む政治改革関連3法が成立した。

 使途公開不要な政策活動費を全面廃止する。政治資金を監視する第三者機関の「政治資金監視委員会」設置や、外国人による政治資金パーティー券の購入禁止などを定めた法も成立した。

 石破茂首相が年内に結論を示すとしていた政治改革に、一定の成果が示されたといえる。

 国会閉幕後の記者会見で、首相は「与野党で侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を行い、熟議の国会にふさわしいものとなった」と評価した。

 ただ、審議の過程で、政治改革に後ろ向きな自民党の姿勢が目立ったことは指摘しておきたい。

 政策活動費では、自民は支出先の相手を非公開にできる「公開方法工夫支出」の新設を提案し、野党から「ブラックボックスだ」と批判されて撤回した。

 不透明性が問題になった政策活動費を温存するような案だった。「政治とカネ」を巡る問題の本質を理解しているとは到底いえず、撤回して当然だった。

 3法とは別に、国会議員に月額100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)に、使途公開や残金返納を義務付ける内容の改正歳費法も、成立にこぎ着けた。

 旧文通費は2021年秋に問題提起されながら、自民1強下の国会では法改正が進まなかった。実現に3年もの時間を費やしたことにはあぜんとする。

 片や、政治改革関連3法は、自民が野党案を丸のみし、今国会での成立が実現した。働き控えにつながると指摘される所得税の「年収の壁」の引き上げが、与党税制改正大綱に盛り込まれたのも同様で、伯仲国会の効果といえる。

 だが企業・団体献金の扱いは、与野党が一致できなかった。公開による企業・団体献金の透明性向上を訴える自民と、禁止を求める立憲民主党などで開きがある。

 共同通信が今月行った世論調査では、企業・団体献金を「禁止するべきだ」とする回答は56・3%で、半数を超えた。

 国会は、立民などが共同提案した禁止法案について議論し、来年3月末までに結論を得るとしている。国民の声に耳を傾け、改革を進めてほしい。

 今国会では、自民派閥裏金事件を巡る政治倫理審査会が再度、開かれた。しかし一度中止された資金還流が復活した経緯などの解明には至らなかった。

 政治改革の関連法が成立したところで、裏金問題の幕引きは図れない。政治不信の払拭には、真相解明が不可欠だ。

 元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.25】:臨時国会閉会/熟議を深めて新しい姿を

2024-12-27 06:00:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・12.25】:臨時国会閉会/熟議を深めて新しい姿を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.25】:臨時国会閉会/熟議を深めて新しい姿を 

 臨時国会が閉会した。衆院選で石破茂政権が少数与党に転じて初の本格論戦だった。

 物価高対策を柱とする総額13兆9千億円の補正予算や、自民党派閥裏金事件を踏まえた政治資金規正法の再改正を含む政治改革関連3法が成立した。使途公開不要な政策活動費を全廃する野党案を、自民が丸のみする形で一定の結論を得た。与野党伯仲で丁寧な審議が不可欠となる国会の一つの成果と受け止めたい。

 政治改革を巡っては与野党が計9法案を提出した。数の力に物を言わせた「自民1強」時代と違い、持論を押し通すだけで法案は通らない。首相も国会論戦に低姿勢で臨んだが、政策活動費廃止を掲げつつ「公開方法工夫支出」という例外を設ける自民案は野党から「新たな抜け穴」と批判され、撤回に追い込まれた。

 国会議員に月100万円を支給する調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開や残金の国庫返納を義務づける改正歳費法も成立した。自民の抵抗で先送りされてきた懸案がようやく決着したのも国会の緊張感が高まった効果だろう。

 ただし、旧文通費は使途が事実上制限されていない。来年8月の施行までに使途の範囲を厳密に定める必要がある。国民感覚を反映した改革の確実な実行が求められる。

 積み残された課題も多い。最大の焦点である企業・団体献金は結論を来年3月末まで先送りした。禁止を求める立憲民主党など野党に対し、首相は「禁止より公開だ」と拒み、議論はかみ合わなかった。

 立民の法案も政治団体を禁止対象から除いており、国民民主党や日本維新の会は「抜け道がある」と距離を置く。より多くの野党が結束し、自民に譲歩を迫るべきだ。

 裏金問題では、多くの関係議員が衆参両院の政治倫理審査会に出席した。「秘書に任せており、還流は知らなかった」との釈明が相次ぎ、裏金づくりの目的や経緯、還流再開を誰が主導したかなどの実態解明は進まなかった。首相は党による再調査の要求も退けた。このまま幕引きを図ることは許されない。

 補正予算には低所得世帯への給付金や光熱費の補助継続などが計上されたが、財源は国債頼みであり、緊急性の吟味は不十分だった。税制論議で国民民主が訴えた「年収の壁」ばかりが注目されたのも、補正予算成立を優先した与党の戦略に映り、政策効果の議論は深まらなかった。野党も政策実現を左右する責任の重さを自覚してもらいたい。

 年明けには来年度予算案などを審議する通常国会が始まる。与野党はさらに熟議を深め、新しい国会の姿を示さねばならない。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【小社会・12.26】:暮れの芝浜

2024-12-27 05:05:35 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【小社会・12.26】:暮れの芝浜

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小社会・12.26】:暮れの芝浜

  クリスマスも過ぎて年も押し詰まってきた。暮れになると、よく耳にする落語の定番といえば「芝浜」。最近も流れるような江戸言葉で魅了する故・古今亭志ん朝さんの名人芸を聴いた。

 腕はいいのに、酒ばかり飲んで働かない魚屋の男が50両の大金が入った財布を拾った。もう商売なんかしなくていい、と仲間と大酒を飲む。目覚めると財布はなく、女房は「夢を見たのさ」と諭す。そんな夢まで見るとは、と反省した男は酒をやめて商売に打ち込む。

 働きに働いて、店まで持った3年目の大みそか。除夜の鐘を聞きながら、女房は―。年末の風物詩となる古典には、「文七元結(ぶんしちもっとい)」もある。どちらも大金が絡む人情噺(ばなし)。落ちは心が温まる。

 今年の漢字は5回目の「金」だった。五輪ごとに「金」では芸がない。いっそ殿堂入りを、という声も聞く。とはいえ、年の瀬まで続いた臨時国会を見ていると、なるほど「金」の1年だったかな、とふに落ちた。

 裏金事件に始まった政治改革。少数与党になった自民党は政策活動費の廃止はのんでも、企業・団体献金の廃止は「党が干上がる」と頑強に拒んだ。扱いは延長戦へ。働けば働くほど暮らし向きがよくなるわけでもない「年収の壁」。国会の多数派確保や、税収減との兼ね合いを測る神経戦も年をまたぐようだ。

 「1強」が長かった国会は、様相が変わって年を越す。持ち越した金の話も人々がうなずく落ちを願いたい。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【小社会】  2024年12月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.25】:【臨時国会閉幕】:丁寧な運営につなげよ

2024-12-27 05:05:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・12.25】:【臨時国会閉幕】:丁寧な運営につなげよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.25】:【臨時国会閉幕】:丁寧な運営につなげよ

 少数与党下での国会運営は強引さが後退した。重要なのは与野党が審議の質を高め、政策に反映させることだ。数合わせに陥らず、丁寧な取り組みが求められる。
 臨時国会が閉幕した。石破茂首相の初の本格論戦は、対立を回避する姿勢が色濃かった。
 衆院選で与党過半数割れの要因となった「政治とカネ」問題は、改正政治資金規正法を含む政治改革関連3法が成立した。使途公開不要な政策活動費を全面的に廃止する。政治資金を監査する第三者機関を国会に設置するほか、政治資金収支報告書のデータベース化などを進める。
 自民党は政活費の支出先を非公開にできる法案を提出したが、野党の反発で断念した。結局、野党7党が提出した法案や公明党と国民民主党が共同提出した法案を受け入れた。
 一方で自民は企業・団体献金禁止は拒み、公開による透明性向上が重要だと主張した。禁止を求める立憲民主党や日本維新の会と対立し、与野党は来年3月までに結論を得ると申し合わせた。着実に取り組まなければならない。
 設置する第三者機関の権限も具体化はこれからだ。独立性を維持しながら実効性のある対応ができる組織となるかが焦点となる。
 また、国会議員に支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)改革のための改正歳費法が成立した。使途公開や残金返納を義務付ける。見直しを求める世論が高まって3年以上を要した。公開方法などはこれから検討される。透明性をいかに高めるかが問われる。
 2024年度補正予算は、28年ぶりとなる予算案提出後の修正を経て成立した。歳入の約半分を国債が占め、財政運営は厳しい。施策の緊急性などが問われたが、審議が深まったとは言い難い。
 採決では「年収の壁」引き上げで国民民主、教育無償化の協議開始で維新を取り込んだ。だが、年収の壁の引き上げが25年度の税制改正の焦点となる中、自民、公明は態度を硬化させ、国民民主との協議は妥協点を見いだせなかった。
 強気の国民民主より、維新との連携意欲がちらつく。与党は国民民主との合意内容を与党税制改正大綱に書き加えて枠組み維持を狙うが、先行きは流動的だ。
 とはいえ、手取り増加と税収減少をどの水準に求めるのかは重要な論点であることは間違いない。今回の議論は広がりを欠いた。有効性や財源からの検討を重ね、暮らしの安心を高める必要がある。
 来年の通常国会は、夏に参院選を控え野党が攻勢を強めることは必至だ。25年度予算案を巡り、国民民主は自公との3党協議で納得できる結論が得られなければ対応を考えるとけん制している。
 自民派閥裏金事件に関する政治倫理審査会での審査は来年も引き続き行われる見通しだ。真相は解明されていない。政治改革に取り組む姿勢に厳しい視線が向けられている。それを意識することが重要だ。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.25】:臨時国会閉会 開かれた熟議まだ足りない

2024-12-25 16:00:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・12.25:臨時国会閉会 開かれた熟議まだ足りない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.25】:臨時国会閉会 開かれた熟議まだ足りない 

 強引さが目に余った「自民1強」時代と比べれば、耳を傾ける姿勢も見られたが、短い日程の中で駆け引きが目立った。伯仲国会に託された国民の期待に十分応えたとは言い難い。

 臨時国会がきのう閉会した。

 衆院選で少数与党に転落した石破茂政権は、綱渡りの国会運営を強いられた。本年度補正予算は28年ぶりの修正を余儀なくされ、使途を明らかにせず支出できる「政策活動費」の廃止では野党案を丸のみした。

 石破氏は閉会後の記者会見で「熟議の国会にふさわしいものになった」と述べた。野党第1党の立憲民主党の野田佳彦代表も「画期的な予算審議だった」と手応えを語った。

 一定の成果は認めるが、水面下の協議や数合わせの妥協も相変わらず見られた。

 補正予算審議は、与党が立民の主張を一部受け入れ、能登半島地震の復興費を拡充して修正可決する異例の展開となった。立民は予算案には反対したが採決には応じ、国民民主党と日本維新の会が賛成に回った。

 だが、「規模ありき」で14兆円近くに肥大化した総額自体には切り込めなかった。立民は、基金の積み増しなど緊急性の低い支出が含まれると減額を求めたが、自民が拒否し、中身の精査は不十分に終わった。

 「政治とカネ」の問題では、政策活動費の全廃を含む政治改革関連3法が成立した。

 自民は当初、支出先を非公開にできる制度の導入を目指したが、野党7党が全廃で足並みをそろえ、断念に追い込まれた。

 国会議員に月額100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途公開と残金の国庫返納も決まった。選挙での大敗で、自民が重い腰を上げた格好だ。早期に支出範囲や公開方法などを詰め、実効ある制度設計を求めたい。

 一方、焦点の企業・団体献金は、自民が固守する姿勢を崩さず、年明けの通常国会に持ち越された。後を絶たない金権汚職の温床との批判が強まっているが、自民は「禁止より公開、透明化が重要だ」と譲らない。

 30年前から積み残した改革の本丸で、政党交付金との「二重取り」への不信は根深い。石破氏は指導力を発揮すべきだ。

 派閥裏金事件の実態解明も道半ばだ。衆参約20人が政治倫理審査会に出席したが、またぞろ裏金作りの経緯に関して「知らぬ存ぜぬ」を繰り返した。通り一遍の答弁で、幕引きを図るのは許されない。

 旧安倍派幹部の萩生田光一元政調会長は派閥事務局から指示があったと発言した。誰が、いつ、何の目的で裏金化を始めたのか。同派事務局長の参考人招致や、派閥幹部の証人喚問で問いただすべきだ。

 通常国会では、国民に見える形で論点を深めて合意を形成する真の熟議を求めたい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.25】:【臨時国会閉幕】:丁寧な運営につなげよ

2024-12-25 05:05:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・12.25】:【臨時国会閉幕】:丁寧な運営につなげよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.25】:【臨時国会閉幕】:丁寧な運営につなげよ

 少数与党下での国会運営は強引さが後退した。重要なのは与野党が審議の質を高め、政策に反映させることだ。数合わせに陥らず、丁寧な取り組みが求められる。
 臨時国会が閉幕した。石破茂首相の初の本格論戦は、対立を回避する姿勢が色濃かった。
 衆院選で与党過半数割れの要因となった「政治とカネ」問題は、改正政治資金規正法を含む政治改革関連3法が成立した。使途公開不要な政策活動費を全面的に廃止する。政治資金を監査する第三者機関を国会に設置するほか、政治資金収支報告書のデータベース化などを進める。
 自民党は政活費の支出先を非公開にできる法案を提出したが、野党の反発で断念した。結局、野党7党が提出した法案や公明党と国民民主党が共同提出した法案を受け入れた。
 一方で自民は企業・団体献金禁止は拒み、公開による透明性向上が重要だと主張した。禁止を求める立憲民主党や日本維新の会と対立し、与野党は来年3月までに結論を得ると申し合わせた。着実に取り組まなければならない。
 設置する第三者機関の権限も具体化はこれからだ。独立性を維持しながら実効性のある対応ができる組織となるかが焦点となる。
 また、国会議員に支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)改革のための改正歳費法が成立した。使途公開や残金返納を義務付ける。見直しを求める世論が高まって3年以上を要した。公開方法などはこれから検討される。透明性をいかに高めるかが問われる。
 2024年度補正予算は、28年ぶりとなる予算案提出後の修正を経て成立した。歳入の約半分を国債が占め、財政運営は厳しい。施策の緊急性などが問われたが、審議が深まったとは言い難い。
 採決では「年収の壁」引き上げで国民民主、教育無償化の協議開始で維新を取り込んだ。だが、年収の壁の引き上げが25年度の税制改正の焦点となる中、自民、公明は態度を硬化させ、国民民主との協議は妥協点を見いだせなかった。
 強気の国民民主より、維新との連携意欲がちらつく。与党は国民民主との合意内容を与党税制改正大綱に書き加えて枠組み維持を狙うが、先行きは流動的だ。
 とはいえ、手取り増加と税収減少をどの水準に求めるのかは重要な論点であることは間違いない。今回の議論は広がりを欠いた。有効性や財源からの検討を重ね、暮らしの安心を高める必要がある。
 来年の通常国会は、夏に参院選を控え野党が攻勢を強めることは必至だ。25年度予算案を巡り、国民民主は自公との3党協議で納得できる結論が得られなければ対応を考えるとけん制している。
 自民派閥裏金事件に関する政治倫理審査会での審査は来年も引き続き行われる見通しだ。真相は解明されていない。政治改革に取り組む姿勢に厳しい視線が向けられている。それを意識することが重要だ。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【主張①・12.25】:臨時国会閉幕 問題先送りで大丈夫か 安全保障をもっと議論せよ

2024-12-25 05:03:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【主張①・12.25】:臨時国会閉幕 問題先送りで大丈夫か 安全保障をもっと議論せよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.25】:臨時国会閉幕 問題先送りで大丈夫か 安全保障をもっと議論せよ

 臨時国会が閉幕した。

 石破茂政権は野党に振り回され、30年ぶりの少数与党という厳しい現実を突き付けられたといえる。

 石破首相は24日の記者会見で「可能な限り幅広い合意形成を図るように一生懸命努力した。熟議の国会にふさわしいものになった」と語った。

政治改革関連3法が可決、成立した参院本会議=24日午後、国会・参院本会議場(春名中撮影)

 だが、重要課題を先送りしたのが臨時国会の最大の特徴だった。「決められない政治」に陥ったとみることができる。これで国政は大丈夫なのか。

 来年夏には参院選が控えている。1月召集の通常国会で、野党は対決色を強めるだろう。石破首相と与党にとっていばらの道は続く。

 ◆いばらの道はなお続く

 令和6年度補正予算は、日本維新の会や国民民主党の賛同も得て成立させた。その見返りとして、与党は国民民主に対し、年収103万円を超えると所得税が生じる「103万円の壁」の引き上げを約束した。維新とは教育無償化で実務者協議を始めた。

 だが、103万円の壁をめぐっては所得税の非課税枠の引き上げについて、「178万円」を求める国民民主との隔たりは大きく、物別れの危機に陥った。与党はとりあえず「123万円」の水準で令和7年度税制改正大綱をまとめた。

 このままでは7年度予算案への国民民主の賛成は得られない。協議は来年へ持ち越すことになった。

 法人、たばこ、所得の3税を対象とする防衛力強化のための増税でも、所得税の増税時期決定を先送りした。「手取り増」を訴える国民民主の政党支持率が伸びる中、与党内からも慎重論が強まったことが背景にある。国防という重要分野で財源の確保を決めないでよいのだろうか。

 7年度予算案の採決に向け、維新と国民民主を天秤(てんびん)にかけるような形になっているのも感心しない。安定した政権運営へ向かうには、信頼の積み重ねが不可欠だからだ。 

 先送りした課題は政治とカネの問題でも存在する。本来はこの国会で決着をつけるべきだった。そうでなければ政策の推進に負の影響を与えるからだ。

 企業・団体献金の是非の結論は、来年3月に持ち越しとなった。通常国会でも与党を攻撃する材料を残したい野党側の思惑に与党は乗ってしまったようである。

 個人献金が定着していない日本で企業・団体献金を禁止すれば、業界団体や宗教団体など大きな組織を背景に持たない人にとって選挙活動は著しく不利になる。一般の国民が国政を目指すことが難しくなり、議会制民主主義が後退することさえ懸念される。野党側は禁止を求めているが、首相と自民は譲るべきではない。透明性を確保すればよい。

 ◆政治改革も決着できず

 使途公開が不要な政策活動費の全廃が決まったのは歓迎したい。ただし、支出先を例外的に非公開にできる「公開方法工夫支出」の創設を自民が取り下げたのはおかしい。

 議員外交には公開すると国益が害されることがある。例えば台湾の要人が来日し、日本政府の関係者が面会できない場合、政党や国会議員が果たす役割は大きいのだ。国益を害さないよう工夫をこらすべきだ。 

 質疑が集中した「政治とカネ」の問題とは対照的に、国家国民を守るための外交安全保障の議論は低調だった。

 安保情勢は厳しさを増している。反日的な専制国家の中国、ロシア、北朝鮮に囲まれている日本は冷戦後、最も過酷な環境に置かれている。ウクライナ侵略を続けるロシアは核兵器使用の脅しを強め、北朝鮮との軍事協力を進めている。中国は台湾併吞(へいどん)をにらみ、軍事挑発を重ねている。米国では1月にトランプ前大統領が再登板する。

 外交安保の議論に重きを置かないのはバランスを欠く。あるべき国会の姿とはいえない。

 これで首相や国会は国民を守ることに責任を持てるのか。

 憲法改正も進展はなかった。衆院選の結果、改憲に前向きな勢力が発議に必要な3分の2を下回った。与党は衆院憲法審査会の会長ポストを、改憲にブレーキをかけてきた立憲民主党に譲ってしまった。

 しかし、足踏みしていいわけがない。来年こそ与野党は、改憲原案の条文化に着手すべきである。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.25】:臨時国会閉幕 「政治とカネ」の決着となるか

2024-12-25 05:00:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・12.25】:臨時国会閉幕 「政治とカネ」の決着となるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.25】:臨時国会閉幕 「政治とカネ」の決着となるか

 不十分な点は残っているとはいえ、政治資金規正法の再改正が実現するなど、政治とカネの問題にようやくめどがついたことは評価できる。 

 一方、政策課題については野党の要求に歩調を合わせることを重視し、政府の答弁がその場しのぎで終わったことは物足りない。

 臨時国会が閉幕した。

 焦点となっていた政治改革では、政党が党幹部らに配る政策活動費の全廃や、国会に政治資金の支出を監視する第三者機関を設置することなどを柱とした政治改革関連3法が成立した。

 このほか、議員に支給されている月100万円の調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)は、改正歳費法が成立したことで、領収書の添付による公開と、残金の国庫返還を義務づけられた。

 与野党協議では、企業・団体献金の扱いが決着せず、議論を続けて来年3月末までに結論を得ることになった。そうした「宿題」は残ったものの、一連の改革で政治資金の透明性がより高まるとすれば、前進といえよう。

 また、自民党は所属議員の政治資金収支報告書への不記載に関し、一定額を寄付する方針だ。約7億円に上るという。この問題に早期の決着をつける狙いがあるようだが、どこにどのような形で寄付するのかは明確ではない。

 石破首相は就任後初の予算委員会で、総額13・9兆円の今年度補正予算について、「デフレ脱却に必要な予算だ」などと繰り返し、紋切り型の答弁が目立った。

 与野党の論戦では、所得税がかかり始める「年収の壁」である103万円の引き上げの財源には触れずじまいだった。補正に盛り込まれた住民税非課税世帯への3万円の給付など、バラマキも大きな争点とならなかった。

 103万円の引き上げ幅の問題も、決着を通常国会に持ち越した。政府・与党は野党の出方によって、予算案や関連する税制改正法案の修正も視野に入れているが、あらかじめ修正の可能性を想定していること自体、前代未聞だ。

 予算案や政策は本来、あるべき姿や目標に沿って立案されるものだろう。今の政権にはそうした視点が欠けており、見識に疑問を抱かざるを得ない。

 首相はかねて経済政策を巡って「前政権を踏襲する」と述べ、関係閣僚に一切を任せているが、日本の存在感を取り戻すつもりはあるのか。国政の 舵 かじ 取りを担うリーダーが、経済の展望さえ示せないようでは話にならない。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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