路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【政界地獄耳・02.06】:塩対応の石破茂 予算委での熟議を国民の前で進めよ

2025-02-13 07:40:10 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【政界地獄耳・02.06】:塩対応の石破茂 予算委での熟議を国民の前で進めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・02.06】:塩対応の石破茂 予算委での熟議を国民の前で進めよ 

 ★衆院予算委員会の質疑を見ていると首相・石破茂が野党を手玉に取っているのがわかる。3日は日本維新の会が掲げる所得制限なしの高校授業料無償化について「所得が高い家庭も無償化すべきかは、多くの国民の理解を本当に得られるのか」「十分な所得がある家庭とそうでない家庭との間で、所得制限なしというのは本当に公平なのか。無償化になれば公立に進学する人がいなくなるかもしれない」と疑問を呈した。その一方、「至急論点を詰めたい。政府としても必要な情報提供をしていく」と自民・公明・維新の3党協議に前向きな姿勢を示した。

 ★同日の予算委員会では国民民主党が「年収103万円の壁」を念頭に、税収を国民に還元せよとただすと、首相は「国民にお返しする状況かといえば全然そうではない。不測の事態に備え、財政状況を安定させていくことも必要だ」「財源をセットに示さなければならない」と後ろ向きな答弁。ところが4日には「年収103万円の壁」を見直し、会社員らの所得税の非課税枠を123万円へ引き上げる25年度税制改正関連法案を閣議決定するとともに自民・公明・国民民主の3党協議で修正の余地を残した。

 ★4日の予算委員会では共産党委員長・田村智子が「高額療養費制度」の上限額の引き上げについて「がんになったら収入減るんですよ。この心身ともに衰弱していく、経済毒性というのが今注目されています。上限額の引き上げを知って、この瞬間もがん患者さんは不安にさいなまれ、そして治療と健康に悪影響を与えている」と指摘すると、首相は「あらゆる可能性はございます」と応じ、同日、自公幹事長会談を経てがん患者ら長期治療が必要な人には柔軟な対応を検討することを確認するなど、予算委員会では塩対応をしながら個別の案件というより野党各党に気配りしているのがわかる。だが、熟議は政党間調整ではなく予算委員会で国民の前で進めてほしい。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2025年02月06日  07:44:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・02.08】:国会の省庁別審査 膨張予算、適正化につなげよ

2025-02-11 16:00:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・02.08】:国会の省庁別審査 膨張予算、適正化につなげよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.08】:国会の省庁別審査 膨張予算、適正化につなげよ 

 衆院予算委員会で、2025年度予算案を府省庁ごとに専門的に質疑する「省庁別審査」が初めて開催され、きのう3日間の日程を終えた。

 政府予算案は原案通りの可決が常態化し、戦後に国会で修正されたことはわずか5度しかない。膨大な歳出項目に対してチェックの目は行き届かないまま、与党が「数の力」を背景に押し通す形が続いてきた。

 昨秋の衆院選で与党が大敗し、与野党伯仲になったことを踏まえ、硬直した予算案審査の見直しが今国会で前進した点は評価できよう。

 従来の衆院予算委でも、「分科会」と呼ばれる仕組みはあった。審議後半に設定され、昨年の場合なら、8つの分科会会場で同時に議論が行われた。だが、議員が地元選挙区に関連した要望をする場面が目立つなど、事実上、採決に向けたセレモニーとの批判が強かった。

 予算委員長を立憲民主党が握る中、省庁別審査は野党が提案し、与党が予算案成立に協力を得るため受け入れた。

 予算委前半に組まれた3日間の日程で、内閣官房、文部科学省、経済産業省など16府省庁を6グループに分け、全委員が順番に審議した。省庁の要求を査定し、予算編成を主導した財務相が3日間通して出席したことで、分科会方式よりは議論が深掘りされたのではないか。

 低所得世帯に給付金を配る物価高対策の事務費だけで約400億円に及ぶことや、残高800億円の「防衛装備移転円滑化基金」にさらに積み増すことなどに対し、野党側は無駄ではないかと指摘した。

 行政コストや予備費、事業執行率など歳出項目の運用面も具体的な議論が見られた。

 野党の中には、審議前半に予算の項目のずさんさを浮き彫りにして、財源の捻出が可能と訴え、後半に向け、より効果的な使途として「年収の壁」や「高校無償化」など党公約に組み替える狙いもあるようだ。

 ただ、巨額の借金や収支赤字にある厳しい財政構造を踏まえ、115兆円超に肥大化した予算を身の丈に合わせ、持続可能な規模に縮めることこそ、将来に責任ある政治の姿だろう。

 党内の「事前審査」を重視し、国会ではおざなりな質問が目につく自民党議員の見識と力量も問われる。

 今回の見直しを契機に、いっそう予算審議を充実させる仕組みづくりを進めてほしい。

 与野党は衆院議院運営委員長の下に、国会改革に向けた協議会を新設することで合意し、月内にも初会合を開く。党首討論の開催日や時間の増加、議員立法の強化と積極審議、少数会派への配慮などが論点という。幅広い検討と合意を望みたい。

 与党が多数を占める参院も手をこまねいていては、「不要論」が高まりかねない。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月08日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・02.10】:詐欺で立件の前自民党参院議員・広瀬めぐみ被告に求刑2年6月

2025-02-10 07:05:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【HUNTER・02.10】:詐欺で立件の前自民党参院議員・広瀬めぐみ被告に求刑2年6月

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・02.10】:詐欺で立件の前自民党参院議員・広瀬めぐみ被告に求刑2年6月 

 昨年8月、公設秘書の給料などを騙し取ったとして詐欺罪で起訴された前参議院議員・広瀬めぐみ被告(58)の初公判が2月6日に行われ、同被告は公訴事実に対して「間違いございません」と罪を認めた。

             ◆   ◆   ◆

 国会議員だった広瀬被告は弁護士でもある。しかし、検察の冒頭陳述からは、そうした経歴とは無縁の、法秩序を無視した犯行実態が浮かび上がった。

 2022年7月の参院選挙で岩手選挙区から当選した広瀬被告は、東京の議員会館に政策秘書、地元の岩手県の事務所に公設第2秘書としてA氏を採用。しかし、第1秘書は確保できなかった。

 広瀬被告はメッセージアプリで「お金出るのに!!もったいない」「第1(秘書)はとりあえずうちの娘にしてでも、ちゃんとお金はもらわないとなあと思う」などと支援者に向けて発信。長女名義で公設第1秘書の給与を受け取るという、詐取計画を明かしていたのだ。

 8月、長女に「第1秘書として支給される給与を私がとり、私設秘書の給与にあてる」と打診。しかし長女は父親、すなわち広瀬被告の夫に相談して、「それは違法ではないか」と反対していた。9月にも再度長女に打診したが拒絶されたという。

 広瀬被告は「年間1,000万、損する」とメッセージアプリで送信。その後、地元の事務所で私設秘書を2人採用したことで台所事情がますます苦しくなる。被告人質問で広瀬被告は、「ぽっと出の議員で、後援会や組織がなくカネもなかった」と犯行動機を説明している。

 そんな広瀬被告が、第2秘書のA氏を第1秘書に格上げし、その妻を形だけの第2秘書にして秘書給与を詐取するというとんでもない方法を思いついたのは22年10月上旬のこと。「Aさんを第1秘書に格上げする。第2の枠が空くので、Aさんの妻・Bさんをどうか。その給料は私がもらう」と打診。Aさんが了承したため、Bさんは同年11月29日に“形だけの”第2秘書となる。

 次いで、第1秘書になり給料がアップAさんからは「事務所にカネがかかる」という理由で10万円を“徴収“。そしてBさんは22年12月23日から23年8月10日まで11回にわたり第2秘書として参議院から340万円あまりを振り込ませていた。詐取に手を貸したBさんは、夫であるAさんの本業である事業を手伝っていたため秘書としての勤務実態は皆無。その給与のほぼ全額を、広瀬被告が懐に入れていた。

 23年7月、広瀬被告は松川るい参議院議員、今井絵理子参議院議員らとともに自民党女性局のフランス研修に参加。エッフェル塔前でポーズを作って撮影した写真がSNSで拡散され「まるで観光旅行だ」と、大きな批判を浴びる。24年2月には、サックス奏者と赤いベンツに乗って不倫するシーンをデイリー新潮にスクープされるなど、議員活動とは関係ないところばかりで悪目立ちするようになる。

 検察側の冒頭陳述では、Bさんにさも第2秘書であるかのように、振る舞うように命じていたことも明かされた。後援会長名で「Bさんは第2秘書である」と自身の公式ホームページに掲載するなど“偽装工作“。24年7月に岩手県で開催された政治資金パーティーでは、Bさんに第2秘書であるかのように振る舞わせ、支援者に紹介して回っていた。

 その後、Bさんが“幽霊秘書“で秘書給与を詐欺している疑惑を週刊誌が報じる。すると、広瀬被告はBさんを辞めさせた上で支給された退職金16万円あまりを“上納“させるという守銭奴ぶりだった

 さすがにAさんも嫌気がさして辞めたというが、その際には「合意書」を作成。秘書給与詐取のことについて「口外禁止条項」を記し、隠蔽工作を図っていた。

 検察は即日結審で、広瀬被告に2年6ヶ月を求刑。「被告人は弁護士であるにもかかわらず、国会議員の立場を悪用し、勤務実態のない名義貸しで公金を詐取した。議員秘書制度の根幹を揺るがす極めて悪質な犯行」、「被告人は詐取した金銭を長女の小遣い、クレジットカードの支払い、飲食など個人的なものを、公金を詐取して充てている」と厳しく断罪した。

 ある自民党の幹部は、「とんでもない人を議員にした我が党の責任は確かに重い。広瀬は弁護士でありながら、これほど酷いことをやっていたとは……」と絶句する。自民党も、日本維新の会同様に「粗製濫造」だったようだ。

 判決は3月27日に言い渡される予定だ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【事件・犯罪・昨年8月、公設秘書の給料などを騙し取ったとして詐欺罪で起訴された前参議院議員・広瀬めぐみ被告(58)の初公判】  2025年02月10日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・02.01】:与野党の「やってる感」出す演出もここまで

2025-02-08 07:40:10 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【政界地獄耳・02.01】:与野党の「やってる感」出す演出もここまで

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・02.01】:与野党の「やってる感」出す演出もここまで 

 ★予算委員会もさえない。自民党政調会長・小野寺五典が質問の冒頭「当初はこの委員会は昨日(30日)から始まる予定だった。熟議を掲げる国会だ。1日1日を大切にしなければならない。そうした点も十分考慮し、公平な委員会運営をお願いしたい」と立憲民主党の予算委員長・安住淳に注文をつけた。「2人は小野寺が宮城5区で当選9回、安住が同4区で当選10回とライバル関係にあり、さや当てのようなやりとりだった」(立憲議員)。公平な運営とは自民派閥の裏金事件で旧安倍派の元会計責任者の参考人招致を野党の賛成多数で議決。予算委での全会一致の原則が破られ多数決によって参考人招致を決めたのが不服らしい。

 ★今まで数で押し切ってきた自民党は劣勢に立つと平気で自分の行いなどお構いなしに批判する。それならば1月早々に国会を開けばよかっただけで参院選を控え、窮屈な日程で年度内に予算が可決するか否かの状況を作ったのは自民党と石破内閣自身だ。党3役の小野寺が言うべき言葉ではない。もっとも参考人招致は「本人が拒否している」という。議決に強制力はなく現時点では実現の可能性は低い。強制力のある証人喚問に進めるかが焦点だが「裁判で結審した元会計責任者より、裁判での説明との食い違いを安倍派5人衆、ことに元政調会長・萩生田光一や元参院幹事長・世耕弘成を証人喚問で呼ぶぐらいの気概が野党や安住にあれば本気度がうかがえるというものだ。自民党もこの際安倍派の政治とカネと党を分離して安倍派にきちんと責任を負わせればいい」(立憲中堅議員)。

 ★双方、やってる感を出す演出もここまで。本格論戦や選択的夫婦別姓などの各論に入っていけば今までのなあなあ国会の馬脚が露呈する場合もある。熟議どころか本気で国民のために汗をかくのはどの政党か。本気度を見せてほしい。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2025年02月01日  07:56:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・01.25】:「楽しい日本」石破節も現実的工程表は無理か

2025-02-01 07:40:10 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【政界地獄耳・01.25】:「楽しい日本」石破節も現実的工程表は無理か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・01.25】:「楽しい日本」石破節も現実的工程表は無理か 

 ★第217回国会が開会し、首相・石破茂が施政方針演説で冒頭「今年は戦後80年、そして昭和の元号で100年に当たる節目の年です。これまでの日本の歩みを振り返り、これからの新しい日本を考える年」とし「我が国の生産年齢人口は、これからの20年で1500万人弱、2割以上が減少すると見込まれる。かつて人口増加期に作り上げられた経済社会システムを検証し、中長期的に信頼される持続可能なシステムへと転換していくことが求められる」と説き、社会や産業の構造的変化が急務と訴えた。

 ★続けて堺屋太一の著書を引き、「我が国は明治維新の中央集権国家体制において『強い日本』を目指し、戦後の復興や高度経済成長の下で『豊かな日本』を目指した。そしてこれからは『楽しい日本』を目指すべき。私もこの考えに共感する。かつて国家が主導した『強い日本』、企業が主導した『豊かな日本』、加えてこれからは1人1人が主導する『楽しい日本』を目指す。『楽しい日本』とはすべての人が安心と安全を感じ、自分の夢に挑戦し『今日より明日はよくなる』と実感できる。多様な価値観を持つ1人1人が、互いに尊重し合い自己実現を図っていける。そうした活力ある国家です」と読書好きな石破らしい言い方でこれからの日本を語ってみせた。

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 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2025年01月25日  07:36:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・02.01】:予算委員会 首相の外交答弁に不安が残る

2025-02-01 05:00:40 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説②・02.01】:予算委員会 首相の外交答弁に不安が残る

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・02.01】:予算委員会 首相の外交答弁に不安が残る

 今月上旬にも開かれる日米首脳会談に石破首相がどう臨むかが一つの焦点となったが、首相の答弁は具体性を欠いていたと言わざるを得ない。

 衆院予算委員会で2025年度予算案の実質審議が始まった。

 自民党の中曽根康隆氏は、トランプ米大統領が北朝鮮を「核保有国」と述べたことについて、「北朝鮮と何らかのディール(取引)をしようと考えているのでは」と述べ、首相の見解を尋ねた。

 立憲民主党の源馬謙太郎氏は、トランプ氏に「防衛費を上げろと言われた時に受け入れることはないか」と問いただした。

 こうした質問に対し、首相は「日米同盟を新たな高みに引き上げていきたい」といった紋切り型の答弁を繰り返した。

 中露や北朝鮮が軍事的威圧を強める中、日本の安全をどう守るのか、首相が見解を示し、国民に理解を深めてもらう絶好の機会だったのに、総論に終始したのは残念だ。これでは熟議と言えない。

 首相は、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約の尖閣諸島への適用を確認する考えを示したが、これは過去の首脳会談で繰り返し米国が約束している。

 国際情勢が流動化し、日米同盟の重要性は増している。日米間に限らず、様々な国際社会の課題への対応策について、首脳会談で日米の足並みをそろえることができるのか、心配になる。

 日米間の当面の懸案は、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収問題だろう。バイデン前米大統領は安全保障上の懸念を理由として、禁止命令を出した。この命令を覆すのは容易ではないとみられている。

 だが、トランプ氏が重視しているのは米国内の雇用のはずだ。日本製鉄による買収がいかに雇用を生み出し、米国の利益となるか、首相の説明が鍵を握ろう。

 事態の打開に向け、政府は日本製鉄と協議の上、一層の雇用創出策を軸に調整を図るべきだ。

 一方、衆院予算委は、政治資金規正法違反事件で有罪となった自民党旧安倍派の会計責任者の参考人招致を議決した。自民は反対したが、野党の賛成多数で決まった。ただ、会計責任者は招致に応じない考えだという。

 参考人招致は全会一致で議決するのが慣例で、多数決で決めたのは1974年以来51年ぶりだ。

 議決に強制力はないが、民間人の国会招致は、与野党とも慎重であるべきだ。「数の力」で乱用されることがあってはならない。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.29】:衆参代表質問 減税や無償化だけが争点か

2025-01-31 05:00:40 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・01.29】:衆参代表質問 減税や無償化だけが争点か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.29】:衆参代表質問 減税や無償化だけが争点か

 減税や無償化の議論ばかりに審議時間を割いていて良いのか。政府と各党は国の針路や重要課題について、正面から論じ合うべきではないか。

 石破首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が、衆参両院の本会議で行われている。

 日本維新の会の前原誠司共同代表は「子育て世帯の負担を軽減するため、私立を含め所得制限のない高校無償化を実現すべきだ」と訴えた。立憲民主党の野田代表も同様に高校無償化を求めた。

 首相は「安定した財源の確保を考えながら、議論を重ねたい」と述べるにとどめた。

 高校無償化は、維新の看板政策だ。維新は、地盤の大阪府で実施しているような、所得制限を設けない形の無償化を全国で実現することを条件に、来年度当初予算案に賛成する考えを示している。

 ただ大阪府では、補助のおかげで授業料が少額で済むようになった私立高の人気が高まる一方で、公立は定員割れになるといった弊害も出ている。

 そもそも高校の授業料は既に相当程度軽減されている。このため、仮に全国で無償化を実施した場合、地方では私立高が少なく、また、公立高はほとんど無償化されているため、恩恵は高額所得者だけに限られることになる。

 維新の案では、年6000億円の財源が必要だという。多額の予算を投じることが妥当なのか。

 本来、教育を論じるのであれば、子供の学ぶ意欲をどう高め、人間性豊かな人材を育てていくかといった視点から教育のあり方を考えることが国会の役割のはずだ。

 国民民主党の西岡秀子衆院議員は、与党が昨年末に103万円から123万円への引き上げを決めた所得税の課税基準について、一層の拡大を求めた。

 財源を棚に上げてバラマキのような政策を次々に少数与党にのませようとする野党各党の姿勢は、無責任極まりない。夏の参院選のアピール材料にしようという思惑が透けてみえる。

 政府・与党もふがいない。野党におもねって譲歩を重ねて財政を悪化させてしまったら、国益を害するだけだ。

 野田氏は、早期の日米首脳会談を求め、首相は「協力関係を構築したい」と応じた。

 首相は来月、トランプ米大統領と会談する方向で調整している。国際情勢が 混沌 こんとん とする中、いかに日米同盟が重要であるかをトランプ氏に丁寧に説明し、信頼関係を構築する必要がある。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・01.29》:代表質問への首相答弁 国会重視の姿勢見えない

2025-01-29 02:05:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・01.29》:代表質問への首相答弁 国会重視の姿勢見えない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・01.29》:代表質問への首相答弁 国会重視の姿勢見えない

 国会審議を通じて各党と主張をぶつけ合い、認識を共有して政策課題を解決する。そうした姿勢は見られなかった。

 石破茂首相が衆参両院で、施政方針演説に対する代表質問に臨んだ。しかし、国民生活に直結する重要課題で、明確な答弁を避ける場面が目立った。

 衆院本会議で代表質問をする立憲民主党の野田佳彦代表(手前)。奥は質問を聞く石破茂首相=国会内で2025年1月27日午後1時31分、平田明浩撮影

 とりわけ、国会を軽視していると受け取られかねないのは、選択的夫婦別姓制度を巡る答弁だ。

 制度の導入へ指導力を発揮するよう求めた立憲民主党の野田佳彦代表に対し、自民党内の議論を急ぎ、早期に結論を得る考えを示すにとどまった。

 一方、前日配信されたインターネット番組では、法律を改正して旧姓の通称使用を拡大する案が選択肢になると言及した。選択的夫婦別姓に対する党内保守派の反対を踏まえた折衷案である。

 国会の外で具体策を示しながら、国民の代表が議論する場では口を閉ざすのは理解に苦しむ。これでは論戦の深まりようがない。

 一部野党が求める「年収の壁」の大幅な引き上げや高校授業料無償化については、「政党間で協議を進める」と答弁するだけで、政権の考え方は示さなかった。

 予算案への賛成を取り付けるための材料として、与党が日本維新の会、国民民主党と個別に協議しているためだ。数合わせを優先し、国会の議論をないがしろにする振る舞いは受け入れられない。

 トランプ米大統領が温暖化対策の国際ルール「パリ協定」から離脱すると宣言したことなどへの論評は避けた。外交への影響が大きいにもかかわらず、認識や対処方針を示さないようでは心もとない。

 主張を明確にしたのは企業・団体献金の扱いだ。政策をゆがめるリスクが指摘されているにもかかわらず、「禁止する理由はない」と断言した。

 自民総裁としての発言だと言うが、持論を述べたい時だけ立場を使い分けるのは、ご都合主義だと言わざるを得ない。「平成の政治改革」では、当時の責任者が全面禁止を想定していたはずだ。

 首相は国民の関心事に正面から答え、説明を尽くすことが欠かせない。今後行われる予算委員会を含め、国会との向き合い方が問われることになる。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月29日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗・01.26】:時の政権が打ち出す「スローガン」はどうも、表現が硬い上に分…

2025-01-26 07:03:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【筆洗・01.26】:時の政権が打ち出す「スローガン」はどうも、表現が硬い上に分…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗・01.26】:時の政権が打ち出す「スローガン」はどうも、表現が硬い上に分…

 時の政権が打ち出す「スローガン」はどうも、表現が硬い上に分かりにくいものが多いようだ。「戦後政治の総決算」(中曽根政権)、「品格ある国家」(宮沢政権)、「美しい国」(安倍政権)…。

 風格や重々しさを狙っているのか、どうも大げさで押し付けがましくもある

 ▼戦後政治で最も軟らかい政権キャッチフレーズかもしれない。石破首相の「楽しい日本」である

 ▼子どもじみたユートピア論を思わせるが、「楽しい」という個人の幸福感に焦点を当てるのは発想として悪くない。こういう政権スローガンは珍しい

 ▼もっとも「楽しい」の中身がよく見えぬ。元ネタは作家の堺屋太一さん。明治期に国は「強い国」を目指し、戦後の復興期や高度成長期は企業主導で「豊かな国」を目指した。3度目に日本が目指すべきは「楽しい国」という

 ▼施政方針演説で首相は「楽しい日本」とは「多様な価値観を持つ一人一人が互いに尊重し、自己実現を図っていける、活力ある国家」と説明した。異論はないのだが、具体像に乏しく「楽しい」と思える高揚感のようなものが足りない

 ▼「楽しい日本」の評判は与野党とも芳しくない。物価高、生活苦、政治とカネ、少子化など将来の不安。現実を前にして「楽しい」という言葉はどこかむなしくも聞こえる。まずはこの「楽しくない日本」をどうするか。その処方箋が見たかった。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2025年01月26日  06:48:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.25】:施政方針演説 「列島改造」の名に値するのか

2025-01-26 05:00:45 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・01.25】:施政方針演説 「列島改造」の名に値するのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.25】:施政方針演説 「列島改造」の名に値するのか

 過疎化が進む地方の活力を取り戻す、という石破首相の考え方に異論はないが、その方法が従来の政策の焼き直しばかりでは話にならない。

 通常国会が召集され、首相が衆参両院の本会議で施政方針演説を行った。「令和の日本列島改造」と称し、地方創生を最重要政策として進める考えを強調した。

 首相は「官民が連携して地域の拠点をつくり、ハードだけではないソフトの魅力が新たな人の流れを生み出す」と述べた。

 そのための具体策としては、企業の地方移転の促進や農林水産業の高付加価値化、観光産業の活性化などを挙げた。ただ、これらの施策は目新しいものではない。

 政府は2014年以降、東京圏への一極集中の流れを変えようと地方創生に取り組んでいるが、思うような成果は得られていない。首相は初代地方創生相だった。

 同じテーマに再び挑み、結果を出そうというなら、従来の施策のどこに問題があり、何が不足していたのかを分析した上で、新しい政策を提示すべきではないか。

 首相はまた、目指す国家像として故・堺屋太一氏が唱えた「楽しい日本」を掲げた。多様な価値観を持つ個人を重んじ、自己実現を図っていく社会を指すという。

 個人の価値観は尊重されるべきだが、そうした考え方が行き過ぎた結果、自らの権利ばかりを主張する風潮が社会に広がり、とても「楽しい」とは言えない状況を生んでいる面は否めない。言葉が先行して実態に合っていない。

 首相は、防災対応の司令塔として、まず内閣府に次官級の「防災監」を置き、26年度に「防災庁」を地方に設置すると訴えた。

 現在、大規模な災害発生時には、内閣危機管理監が情報収集や関係省庁の指揮に当たっている。防災監を新設する意味は何なのか。

 災害時の復旧事業を発注する国土交通省や、廃棄物の処理を担っている環境省などと、防災庁との役割分担も不明確だ。混乱が生じないか、心配が先に立つ。

 首相は政治改革に関し、政党交付金や企業・団体献金などの収入源を挙げ、「それらのバランスはどうあるべきか」と述べた。「政党の規律をどのように考え、担保していくか」とも指摘した。

 様々な課題の論点を挙げ、問題提起をするのは首相の特徴と言える。だが、十分な根拠とともに明確な方針を示し、国民を説得するのがリーダーの役割だ。首相就任から間もなく4か月。いつまでも評論家のような姿勢では困る。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.25】:通常国会の開会 熟議へ石破首相の正念場だ

2025-01-25 16:00:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・01.25】:通常国会の開会 熟議へ石破首相の正念場だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.25】:通常国会の開会 熟議へ石破首相の正念場だ 

 通常国会が開会した。

 少数与党の石破茂政権は予算や重要法案の成立に向け、手腕が問われる。与野党は党利党略でなく、開かれた議論を通じ、一致点を見いだす新たな立法府の姿を示してもらいたい。

 石破首相がきのう、就任後初めての施政方針演説を行った。

 「戦後80年は民主主義を考える年」とし、「党派を超えた合意形成を図るため、与野党とも責任ある立場で熟議」する必要を訴えた。就任以来、言葉に行動が伴わないことが目立つだけに、今度こそ正念場となる。

 まず過去最大の総額115兆円に上る2025年度予算案の審議が焦点だ。規模ありきの防衛費や経済対策、増大する借金財政のリスクを中心に厳しいチェックが欠かせない。

 石破氏は昨年の臨時国会で補正予算案を28年ぶりに修正し、25年度予算案も修正に応じる構えを示す。予算委員長のポストを握る立憲民主党をはじめ、野党の責任は重大である。

 与党は「年収の壁」で国民民主党、「教育無償化」で日本維新の会の取り込みをうかがう。

 懸念されるのは、今夏の東京都議選、参院選を控え、「手柄」の分捕り合戦になることだ。密室協議で与党と取引し、予算賛成の「手打ち」を図るようでは、国民の不信を招こう。実現への財源も含め、国会を足場に論戦を交えてほしい。

 施政方針では「楽しい日本」の実現を掲げ、看板政策の「地方創生2・0」を「令和の日本列島改造」と位置づけた。大きく時間を割いたが、フレーズだけが躍っている感は否めない。

 地方の英知を集め、権限や財源の裁量を増やす抜本改革こそ求められよう。

 疑問なのは、与野党が3月末までに結論を出すことで合意した企業・団体献金の扱いなど、「政治とカネ」を巡る問題に言及が乏しかったことである。

 自民党派閥の裏金事件に続き、東京都議会自民会派でも同様の事件が発覚し、問題の根深さが浮き彫りになっている。

 しかし、衆参の政治倫理審査会でも裏金関係議員らは当事者意識のない答弁を繰り返し、真相は明らかにされていない。

 野党が求める安倍派会計責任者の参考人招致などにも、自民は後ろ向きだ。虚偽答弁が刑事罰に問われる証人喚問を含め、強制力のある調査に切り替えるべきではないか。野党の連携を求めたい。

 自民の一部を除き推進の声が高まる選択的夫婦別姓制度の導入、持続可能性が懸案の年金改革を巡る議論も注視したい。

 就任早々、内外に波紋を広げるトランプ米大統領を巡り、石破氏は「日米同盟をさらなる高みに引き上げる」と述べたが、持論の地位協定の改定に触れなかった。多国間協調の強化を含め、与野党で外交戦略を更新してほしい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月25日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・01.25》:首相の施政方針演説 肝心なことを避けている

2025-01-25 02:07:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・01.25》:首相の施政方針演説 肝心なことを避けている

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・01.25》:首相の施政方針演説 肝心なことを避けている

 内外の懸案にどのように対処するのか。国民への説明を避けて通るようでは、理解と納得は得られない。

 通常国会が召集され、石破茂首相が施政方針演説を行った。今年1年間に取り組む政策の見取り図を示す場である。

 しかし、演説は具体性に乏しく、説得力を欠く内容だった。

<picture>衆院本会議で施政方針演説をする石破茂首相=国会内で2025年1月24日午後2時6分、平田明浩撮影</picture>

 衆院本会議で施政方針演説をする石破茂首相=国会内で2025年1月24日午後2時6分、平田明浩撮影

 国づくりのキャッチフレーズは示した。人口減少下で、国家や企業よりも国民一人一人が主役となる「楽しい日本」の実現を目指すという。 

 そのための政策の柱に据えたのが、地方創生による一極集中の是正だ。地方で若者や女性の居住を促す方策などを列挙したが、多くが従来の焼き直しである。

 経済政策も曖昧だ。「物価上昇に負けない賃上げ」を後押しするなどと述べるにとどまった。財政健全化に真摯(しんし)に取り組む姿勢もうかがえなかった。

 いずれも今国会で焦点となるテーマのはずである。

 「政治とカネ」の問題も踏み込み不足だ。幕引きを急ぐのではなく、政策をゆがめかねない企業・団体献金の禁止を決断すべきだ。

 「米国第一」を掲げるトランプ大統領とどう向き合うのか。最大の外交課題であるにもかかわらず、戦略は明示されていない。

 少数与党の政権にとって、今国会はまさに正念場だ。衆院で多数派を占める野党の協力を得なければ、国民生活を左右する来年度予算案などを可決できない。

 減税や歳出拡大を求める野党に対し、首相は「責任ある立場での熟議」を呼びかけた。財源の問題などを念頭に置いた発言だ。

 だが、そうであるなら、まずは政権が方針を明確化し、開かれた国会の場で議論するのが筋だ。一部野党との協議で「数合わせ」を優先するようでは、熟議の実現はおぼつかない。

 政権のビジョンを正面から語り、幅広い意見を踏まえて合意形成する。それこそが「熟議の国会」で求められる首相の姿勢である。 

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月25日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《余録・01.25》:満ち足り愉快な気持ちを表す…

2025-01-25 02:07:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《余録・01.25》:満ち足り愉快な気持ちを表す…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・01.25》:満ち足り愉快な気持ちを表す…

 満ち足り愉快な気持ちを表す「楽しい」という言葉の語源は諸説ある。一説によると、手(た)を伸ばして喜ぶことに由来する(日本語源大辞典、小学館)

 ▲そんな伸びやかな心境を指す言葉が、政権のスローガンに登場した。石破茂首相が施政方針演説などで掲げた「楽しい日本」である。作家の故・堺屋太一氏の著作からの引用で、富国強兵による「強い日本」、経済が栄える「豊かな日本」に続く新しい国の姿としている。首相は演説で「今日より明日はよくなると実感でき、一人一人が自己実現を図れる」国づくりを強調した

衆院本会議で施政方針演説をする石破茂首相(手前)=国会内で2025年1月24日午後2時5分、平田明浩撮影
 
堺屋太一さん

 ▲故・安倍晋三元首相はかつて「美しい国、日本」を掲げた。「楽しい日本」は、社会の閉塞(へいそく)感を打ち破りたいというメッセージなのだろう。だが、困難に向き合いながら暮らす人々に、このかけ声は響くだろうか。目標とはいえ、現実との落差に違和感を覚える人も多いはずだ

 ▲国会では少数与党の厳しい現実が首相を待つ。「手を伸ばす」といえば、自民党は日本維新の会と教育無償化を巡り協議するなどテーマ別に各党と接点を探り、局面打開を図る。楽しいどころか、四苦八苦だ

 ▲偶然ながら、渦中にあるフジテレビの発展期のキャッチフレーズは「楽しくなければテレビじゃない」だった。組織のゆがみは当時から始まっていたのかもしれない

 ▲中身ある政策を示すことはもちろん、まずは政治とカネの問題に向き合い信頼を取り戻すことだ。さもないと「楽しい日本」の言葉ばかりが上滑りしてしまう。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2025年01月25日  02:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.13】:2025年の政治 熟議深める新たな道筋を

2025-01-14 04:05:45 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・01.13】:2025年の政治 熟議深める新たな道筋を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.13】:2025年の政治 熟議深める新たな道筋を 

 2025年の政治は24日召集予定の通常国会で本格始動する。発足2カ月が過ぎた少数与党の石破茂政権下で、夏の東京都議選、参院選を控えた与野党の激しい攻防が予想される。
 
 しかし各党の真価が問われるのは論戦の中身である。
 
 開かれた議論を通じた幅広い合意に基づく政治をいかに実現するか。昨年の臨時国会でその萌芽(ほうが)は見えたが、新たな形はいまだ定まっていない。
 野党の協力なしには予算も法律も成立しない以上、与党にとっては妥協が大前提となる。だが「数合わせ」のために一部の野党の主張を丸のみするだけでは熟議とは言えない。
 野党も賛否のカードを単なる駆け引きに使う交渉は慎まねばならない。独自政策はそのリスクや財源についても一定の説明責任を果たすのが当然だ。
 政策全体の整合性を欠いたポピュリズム(大衆迎合主義)や党利党略を排し、与野党は立法府主導による国民本位の政治を真摯(しんし)に探り続けねばならない。

 ■1強体質脱却せねば

 通常国会は政府・与党が新年度予算案の衆院通過を目指す2月下旬から3月初めがまずヤマ場となろう。
 首相は政策ごとの部分連合で衆院審議を乗り切りたい構えだ。国民民主党と日本維新の会を対象に想定し、与党が所得税非課税枠「年収103万円の壁」の引き上げや教育無償化についてそれぞれ協議を続ける。
 しかし、焦点が個別政策に偏り、協議の詳細が国民に見えないのは問題だ。予算審議は国会での多党間による透明性の高い議論を基本とすべきである。
 首相は一見、低姿勢で丁寧に答弁しているようで結局は核心部分をはぐらかす場面が多い。自民1強時代は歴代首相によるそうしたかみ合わない答弁が国会の空洞化を招いた。
 同じ対応を繰り返すようでは熟議にはほど遠い。
 首相は昨年末、予算案が否決された場合に衆院を解散することも「あり得る」と述べた。野党をけん制する前に、国会の議論を実のあるものにするよう答弁姿勢を改めるのが行政府の長としての責務である。
 少数与党の国会はこれまでの1強政権が強引に押し通してきた政策を見直す好機にもなる。改めるべき第一は対米追随一辺倒と言われても仕方のない外交・安全保障ではないか。
 首相は2月以降に訪米し、今月大統領に就任するトランプ氏と首脳会談を行う見通しだ。
 その前に、米国からの巨額の装備品購入を続け膨張する一方の防衛費について、予算委員会での徹底論議が求められよう。
 ほかにも福島の教訓を忘れたかのような原発回帰路線や膨らみ続ける財政赤字など、重要な論点は多岐にわたる。
 国民生活を左右する予算案の全体像を問うとともに、細部の費目に至るまで点検する―。その上で、政府・与党は野党の意見に耳を傾けて予算案の組み替えに柔軟に応じる必要がある。

 ■企業献金は禁止が筋だ

 深刻な政治不信を招いた政治とカネの問題も、今度こそ抜本改革を成し遂げねばならない。
 30年前の改革の積み残し課題である企業・団体献金の禁止は3月までに結論を出す与野党合意がある。営利を目的とした企業が何の見返りも求めずに献金するのは考えにくく、政策がゆがめられかねない。
 野党はこうした問題でこそ一致して禁止に持ち込むべきだ。
 改革が必要なのは政治とカネに限らない。首相は年頭会見で選挙制度見直しの必要性に言及した。現行の小選挙区比例代表並立制は少数派の意見が反映されにくい。与野党は早急に協議の場を立ち上げるべきだ。
 選択的夫婦別姓は与党の公明党を含め自民党を除く大半の政党が賛意を示す。個人を尊重し、多様性に富んだ社会を目指す上で欠かせない制度だ。この国会で実現したい。

 ■野党は政権像を示せ

 仮に新年度予算案が成立しても、会期末には内閣不信任決議案が提出される可能性がある。野党が一致すれば可決する。その場合、衆院解散か内閣総辞職かの緊迫した展開となる。
 野党第1党の立憲民主党は、不信任案提出の重みを理解し、慎重に見極める必要がある。提出する場合は、野党連携の枠組みと政権構想を準備して国民に示さなければならない。
 7月の参院選の行方も不透明だ。与党が敗れて過半数割れとなるようなことがあれば、一気に政権交代の機運が高まろう。
 首相は、参院選に合わせて衆院選を行う「衆参同日選」の可能性を否定していない。
 
 だが、衆院への民意は昨年示されたばかりだ。同日選が与党に有利とみて、あわよくば衆院の過半数を回復したいとの思惑は筋が通らない。
 
 民主主義は手間暇と時間をかけて磨かれてゆく。有権者も目先の動きに惑わされず、冷静に政治の動向を見極めたい。
 
 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月13日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説・01.07】:首相の年頭会見 国民と向き合う政治に変えよ

2025-01-11 07:00:15 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・01.07】:首相の年頭会見 国民と向き合う政治に変えよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.07】:首相の年頭会見 国民と向き合う政治に変えよ 

 石破茂首相はきのうの年頭会見の冒頭で「民主主義を改めて考える年にしたい」と切り出し、民主主義という言葉を繰り返した。主権者である国民の声を聴き、野党とも合意形成を図る政治の原点をかみしめているに違いない。

 少数与党での政権運営に絡んで、首相は合意形成のため「野党にもこれまで以上に責任を共有してもらうことが求められる」と強調した。自らには「次の世代の国民に対して責任を持つ責任与党でなければならない」と課した。

 衆院選で大敗して2カ月余りが過ぎた。野党の賛成がなければ法案が通らない現実を前に、丁寧な説明や審議を心がける姿勢は見える。だが、臨時国会で規模ありきの政府補正予算案をほぼ変えず、国民民主党が提起した「年収103万円の壁」の引き上げで税や社会保障の抜本的な議論に持ち込むわけでもない。また日本維新の会とは教育無償化の政策協議を始めた。

 野党と個別協議に持ち込み、数合わせに躍起になっているように見える。将来世代に負担を先送りする、やみくもな財政出動にもつながりかねない。自民党の政権維持を最大の優先事項にする旧来の政治そのものではないか。1強時代に与党の事前調整で予算も法案も決め、数でごり押しして国会審議をないがしろにしてきたやり方を省みるべきだろう。

 長年のそうした政治が、経済力低下や低賃金、時代や家族の在り方とずれた社会保障と税、格差拡大を変えられずにきたのではないか。国政選挙の投票率低迷や既存政党への不信を招いた面もあろう。いわば民主主義の危機を招いたわけで、脱却すべきだ。

 最たる国民とのずれは「政治とカネ」の問題である。臨時国会でようやく使途の公開が要らない政策活動費の廃止など一定に政治資金改革を進めたが、企業・団体献金の禁止に踏み込んでいない。会見で首相は「真摯(しんし)に議論する」とし、本年度末までに結論を目指す考えを示した。

 これは30年前の政治改革で積み残した議題であり、なお生ぬるい。派閥裏金事件を巡っても、昨年末に開いた衆参両院の政治倫理審査会で当該議員が弁明に立ったが、真相解明どころか疑問は強まった。政治不信の払拭にはリーダーシップが欠かせないが、熱意が伝わってこない。

 通常国会で示すべきは、民主主義に資する国会への変革と、政策の熟議である。その点、会見で政府提出を目指す年金制度改革の法案について与野党協議を呼びかけたのは大事な一歩だ。103万円の壁の議論とも関わり、超高齢社会での社会保障の在り方で知恵を出し合う機会になる。

 昨年末から年頭にかけ、首相からは少数与党を巡る政局の発言が目立った。夏の参院選に合わせた衆参同一選の可能性に言及し、野党との大連立を「選択肢としてあるだろう」とも語った。会見で否定はしたが政権維持への執着ばかりが先立つように見える。

 少数与党として、国民と向き合う政治に変える務めこそ最優先で果たすべきだ。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月07日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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