路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・11.30】:石破首相の所信表明 「地方創生」道筋なお見えぬ

2024-11-30 07:00:20 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・11.30】:石破首相の所信表明 「地方創生」道筋なお見えぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.30】:石破首相の所信表明 「地方創生」道筋なお見えぬ 

 石破茂首相がきのう、少数与党になった衆院選後初めて、所信表明演説に臨んだ。

 真っ先に述べたのは「民主主義のあるべき姿」だった。評価しているという石橋湛山首相の1957年の施政方針演説を引用した上で「可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯(しんし)に謙虚に取り組む」と述べた。

 第2次安倍政権以降、政府に目立った国会軽視の姿勢を改めるつもりなのだろう。問題があったのだから、少数与党内閣として、改善するのは当然である。

 ただ、どんな政策に重点を置き、どうやって道を切り開いていくのか、石破内閣の考えはおぼろげなままだ。とりわけ、少子高齢化と東京一極集中のあおりで疲弊の目立つ地方を活気づける手だては今回も見えてこなかった。地方活性化は、石破氏が力を入れてきただけに不満が残る。

 熱意は伝わってきた。演説では「地方創生の再起動」を強力に進めるため、交付金を当初予算ベースで倍増する考えを改めて示した。地方の農林水産業や、サービス業の高付加価値化に加え、新たに文化芸術・スポーツの振興も試みていく、という。

 地域重視の考えは、防災対策の説明でも感じられた。地理的に不利な条件下にあり、財政的に厳しい地域でも決して見捨てないと強調した。

 激しい地震に襲われ、復旧の途上で豪雨にも見舞われた能登半島が念頭にあるようだ。水道をはじめ、ライフラインの復旧に手間取る事態を繰り返してはならない。

 地方を取り巻く課題は山積みの上、多岐にわたる。女性や若者にとって魅力ある働き方・職場づくりや男女間の賃金格差解消、持続可能な農山漁村など、意気込みだけでは解決は難しい。人々の意識も絡むだけに、政府の粘り強い努力が欠かせない。

 きのうあった地方創生に関する政府の有識者会議でも、性別役割分業の意識が残る点など、課題が指摘された。

 政府は地方創生の「基本的な考え方」を年末までにまとめるという。これまでの政治では反映されることの少なかった若者や女性の意見を踏まえ、多様な生き方のできる社会を地方から実現させる―。その環境づくりができるか。覚悟が問われている。

 地方重視を掲げた演説だったが物足りなさも感じた。例えば年収103万円を超えると所得税が生じる「年収の壁」を引き上げる方針を示した。民意には沿うものの、大穴のあく地方財政への手当てへの言及はなかった。穴埋め策なしでは自治体の不安は募る。

 地方創生の成功例として、宮崎県小林市の紹介動画を演説で取り上げていた。10年近く前に話題となった話だけに、今更という感じは否定できない。新しい事例はなかったのだろうか。

 自民党総裁に選ばれた直後に臨んだ所信表明とは違い、石破氏には熟慮する時間はあったはずだ。地方の創意を引き出し、実現に向け、どう後押しするのか。地域が元気を取り戻すための具体策を早急に示すべきである。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.30】:少数与党国会 国民に見える法案審議に

2024-11-30 06:05:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・11.30】:少数与党国会 国民に見える法案審議に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.30】:少数与党国会 国民に見える法案審議に 

 政権与党が少数となって迎えた国会は、言論の府の機能を取り戻す好機である。与野党で丁寧な議論を尽くしてもらいたい。

 10月の衆院選後、初の本格論戦となる臨時国会が始まった。きのうは石破茂首相が衆参両院の本会議で所信表明演説をした。

 就任直後の首相の演説は、自民党内の異論に配慮してか「石破カラー」を封印した。今回も新味はない。

 あえて特徴を挙げるなら、国会運営のくだりだ。「他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう真摯(しんし)に、謙虚に取り組む」と冒頭に語った。

 衆院選の民意は与党に過半数を与えず、与野党伯仲の状況をつくった。数の力に物を言わせた「自民1強」とは違い、野党の協力を得なければ予算案も法案も通らない。

 厳しい環境は首相も重々承知しているようだ。言行の一致に期待する。

 今国会で法案審議や合意形成の過程を変えなくてはならない。開かれた国会の場で、法案採決までの議論が国民に見えることが重要だ。

 まず改めたいのは、自民党政権の慣行だった法案の事前審査である。政府が法案を国会に提出する前に、自民の了承を得る仕組みだ。

 国会で過半数の議席があったため、事前審査に通れば法案の成立は確実になる。国会の法案審議を形骸化させる弊害は大きい。

 しかも党内論議は公開されない。どのような経緯で法案がまとまったかが明らかにならない問題点もある。

 今国会に向け、自民、公明の両与党は国民民主党を加えた3党で経済対策の協議を重ねた。与党は国民民主の政策を受け入れ、法案に賛成してもらう腹積もりだ。

 国民民主の幹部は「103万円の壁」の引き上げに3党が合意すると、まだ審議が始まっていない補正予算案に賛成する考えを示唆した。

 国会前に政党間で調整が必要なこともあるだろう。協議は否定しない。とはいえ、開会前に法案の賛否に言及するようでは形を変えた事前審査になりかねない。

 野党第1党の立憲民主党にも注文しておきたい。衆院予算委員会をはじめ多くの委員長ポストを獲得し、国会運営の重責を担う。野田佳彦代表が唱える「熟議と公開」を実践する力が試される。

 石破首相は所信表明演説の冒頭と締めくくりに、1957年の石橋湛山首相の施政方針演説を引用した。議論を重ねて協力すべきところは協力し、一部の利害でなく、国民全体の福祉を考える大切さを訴えた部分である。

 石橋氏はさらに演説で「国会に国民が寄せる信頼は、民主主義の基」と説いた。

 自民派閥の裏金事件で、国民の政治に対する信頼は大きく損なわれた。「民主主義の基」を取り戻すことも、今国会で与野党が背負う課題だ。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.29】:臨時国会開会/「言論の府」復権へ熟議を

2024-11-30 06:00:20 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・11.29】:臨時国会開会/「言論の府」復権へ熟議を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.29】:臨時国会開会/「言論の府」復権へ熟議を 

 臨時国会がきのう開会した。10月の衆院選で自民、公明両党が過半数を割り込む中、第2次政権を発足させた石破茂首相にとって初の本格的な国会論戦となる。新たな経済対策を盛り込む補正予算案や、自民党の派閥裏金事件を受けた政治資金規正法の再改正などが焦点となる。

 首相の政権基盤は極めて脆弱(ぜいじゃく)だ。野党の協力なしには法案や予算案を通すことができない。国内外に課題が山積する中で、国会運営は厳しさを増す。首相は多様な意見に耳を傾け、与野党が丁寧な議論を重ねて合意形成に努めねばならない。

 最優先で取り組むべきは、裏金事件で浮き彫りになった「政治とカネ」を巡る問題を決着させることだ。

 自民は、党から幹部らに支出され使途の公開義務がない政策活動費の廃止を政治改革案に明記した。ただし外交や企業の秘密に関わる支出などは使途の非公表もあり得るとし、透明性の担保に疑問符が付く。

 政治資金を監視する第三者機関は「国会内に置くことを基本」としたが、強い権限を持つ組織となるよう制度設計を急がねばならない。

 立憲民主党など多くの野党が唱える企業・団体献金の禁止には踏み込んでいない。自民内は存続を求める声が大勢だが、廃止を含む議論は避けて通れない。政治への信頼を取り戻すには抜本改革が不可欠だ。 

 国会議員に月額100万円を支給する調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開や残金返納は自民も前向きな姿勢に転じた。3年前から議論が続く懸案であり、必ず結論を出す責務がある。

 経済対策の裏付けとなる補正予算案は、一般会計の歳出で約13兆9千億円に上る。物価高への対応は必要だが、予算規模と政策効果を吟味するべきだ。巨費を投じてきた過去の経済対策の検証も求められる。

 焦点となるのが年収103万円を超えると所得税が生じる「103万円の壁」だ。衆院選で躍進した国民民主党が引き上げを求め、与党との協議を経て経済対策に明記された。

 一方で、具体的な内容は今後の税制論議に委ねられる。「年収の壁」は社会保障分野も含めた見直しが肝要だ。「自公国」の枠組みで押し切るのではなく、負担の在り方や財源確保など議論を尽くすべきだ。

 野党の責任も重い。論戦の主舞台となる予算委員会をはじめ、衆院の委員長ポストは野党に厚く配分された。選択的夫婦別姓の法制化など、与野党の賛否が割れるテーマで建設的な議論を主導し、結論を得ねばならない。見識と力量が試される。

 「言論の府」の復権へ緊張感を持って熟議を重ね、与野党伯仲を選んだ国民の期待に応えてもらいたい。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月29日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張②・11.30】:所信表明演説 対中認識が甘すぎないか

2024-11-30 05:01:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【主張②・11.30】:所信表明演説 対中認識が甘すぎないか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・11.30】:所信表明演説 対中認識が甘すぎないか 

 石破茂首相が臨時国会で、所信表明演説を行った。

 政権運営の基本方針として「国民の声を踏まえ他党にも丁寧に意見を聞き、幅広い合意形成が図られるよう、真摯(しんし)に謙虚に取り組む」と語った。

 首相は国民民主党が求めている「年収103万円の壁」の解消に向け、非課税枠の引き上げを表明した。少数与党に転じたことを受けての姿勢だが、前途は多難だろう。

 内政とともに大事なのが外交安全保障だ。驚いたのは中国に関する首相の認識だ。先の習近平国家主席との会談に関し「かみ合った議論を行うことができた」と改めて自賛したのは理解に苦しむ。首相は中国軍の活発な活動や深圳での日本人児童殺害などを巡る懸念を「率直に提起した」と語ったが、ほぼゼロ回答だったではないか。

 中国は日本人に対する短期滞在ビザ(査証)の免除措置を30日から再開すると発表した。首相は「私が指摘した」と誇ったが、そもそも中国は在留邦人を不当に拘束する国だ。最近では無差別殺傷事件も相次ぐ。喜ぶような話ではない。

 首相は「主張すべきことは主張する。協力できる分野では協力する。それが国益に基づく現実的外交だ」と述べた。主張なら誰でもできる。中国の行動を実際に改めさせるのが国益だと、なぜ考えないのか。

 台湾有事が懸念される中、対中抑止力を高めることが必要で、防衛力と日米同盟の強化が欠かせない。そのためにも首相とトランプ米次期大統領との会談は重要だ。首相は大統領就任前の面会は困難という理由で断られたが、トランプ氏は少なくともアルゼンチンの大統領とは会っている。引き続き早期の会談を模索すべきだ。

 北朝鮮による拉致問題については、金正恩朝鮮労働党総書記に会談を呼び掛けなかった。安倍晋三、菅義偉、岸田文雄の歴代首相は国会演説で金氏と向き合う決意を示してきた。石破首相が会談を求めなかったことが、北朝鮮に誤ったメッセージとなった可能性がある。

 憲法改正では岸田前首相は国会演説で「条文案の具体化」に言及していたが、石破首相は10月と今回の2つの所信表明演説で条文化を語らなかった。憲法改正の必要性を本気で訴えねばならない。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張①・11.29】:臨時国会召集 立民は重責自覚し運営を

2024-11-30 05:01:40 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【主張①・11.29】:臨時国会召集 立民は重責自覚し運営を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・11.29】:臨時国会召集 立民は重責自覚し運営を 

 臨時国会が召集された。第2次石破茂内閣の発足後、初の本格的な論戦が行われる。

 衆院選で与党が過半数割れし、立憲民主党が議席を大きく伸ばしたため、委員長・審査会長ポストの半数近くを野党が占めた。

衆院憲法審査会で新会長に就任した立憲民主党の枝野幸男会長=13日午後、国会内(春名中撮影)

 強調しておきたいのは、国会運営の影響で国政の停滞を招いてはならないということだ。30年前の羽田孜内閣の際も少数与党だった。国会は混乱し、平成6年度予算の成立は同年6月にずれ込んだ。

 審議が尽くされたにもかかわらず、採決を引き延ばすような恣意(しい)的な運営は許されない。予算委員長や憲法審査会長などの重要ポストを得た立民は、国民に対し重責を負っていることを忘れてはならない。

 予算委で審議する令和6年度補正予算案は政府の総合経済対策の裏付けとなるものである。歳出規模、民間支出分を含めた事業規模はともに昨年の経済対策を上回る。

 自民、公明、国民民主の3党は年内の早期成立で合意しているが、需要不足が縮小する中で昨年以上の規模にする必要があるのかなど見極める必要がある。安住淳予算委員長に課せられた責任は重い。

 議論の停滞が懸念されるのは憲法審査会だ。枝野幸男審査会長は、これまで憲法改正の動きにブレーキをかけてきた。

 憲法への自衛隊明記は改憲に前向きな政党で意見集約が進んでおり、早期実現が求められる。南海トラフ巨大地震などの大規模災害や有事への懸念が高まる中、緊急事態条項の創設も急務だ。

 自衛隊明記にも緊急事態条項創設にも、立民は反対しているが、枝野氏は憲法審で積み重ねてきた議論を尊重すべきである。国会は改憲の動きを後退させてはならず、改憲原案の条文化を進めてほしい。

 立民は法務委員会を舞台に選択的夫婦別姓制度を実現させようとしており、そのために法務委員長のポストを獲得した。公明の斉藤鉄夫代表は制度の導入に向けて自民に働きかけを行う考えを示している。立民は与党の意見の食い違いを拡大させようとしている。

 だが、党利党略で運営すべきでないのは当然だ。石破首相や自民は家族や社会のありように関わる基本問題の変更を受け入れてはならない。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.30】:所信表明演説 目指す国家像が判然としない

2024-11-30 05:00:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説②・11.30】:所信表明演説 目指す国家像が判然としない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.30】:所信表明演説 目指す国家像が判然としない

 石破首相が目指す国家像とは何なのか、判然としない演説だった。 

 岸田前政権の経済政策を踏襲すると述べていることもあって、演説は政策の発信より、政治姿勢の説明に重きを置いたものとなった。

 首相は衆参両院の本会議での所信表明演説の冒頭、「率直に意見をかわす慣行を作り、相互に協力を惜しまず」と述べた。1957年の石橋湛山内閣の施政方針演説の一節を引用したものだ。

 そのうえで、「他党にも丁寧に意見を聞き、幅広い合意形成が図られるよう 真摯 しんし に謙虚に取り組んでいく」とも語った。

 首相は、湛山が論じた民主主義のありように言及したが、他党の意見に耳を傾けるのは当然だ。必要なのは、政府が目指す理念や基本政策を説明し、それについて協力するかしないか、議論を戦わせることではないか。

 首相は重要政策課題として、外交・安全保障、日本の活力回復、治安・防災の三つを掲げた。

 外交で、日韓首脳会談を頻繁に行う意向を示したのは良いとしても、国際社会は、尹錫悦大統領のような日本に好意的な姿勢の首脳ばかりではない。

 2国間の取引を重視する米国のトランプ次期大統領から、一層の防衛負担を求められたらどう対処するのか。中国の習近平国家主席には、日本の主権を侵害しないようクギを刺すと同時に、互恵関係の重要性を説く必要がある。

 政権基盤が 脆弱 ぜいじゃく で、延命に必死な首相が、硬軟織り交ぜた首脳外交をこなせるのだろうか。

 首相は、封印しているはずのアジア版NATO(北大西洋条約機構)構想に関する検討会を自民党内に発足させた。アジアの実情を無視し、実現可能性も乏しい構想をなお推進するつもりなのかと、海外の疑念を招きかねない。

 与党は国民民主党との政策協議で、所得税がかかる年収の最低ライン「103万円の壁」を引き上げることで合意している。引き上げ幅や税収減に伴う財源の確保策は固まっていない。

 それでも首相が演説で「壁」の引き上げを打ち出したのは、今年度補正予算案への国民民主党の協力を確実にしたいためだろう。

 与野党伯仲の国会は、与党が「数の力」で押し切ることができないことから、建設的な議論につながると期待する声がある。

 だが、少数与党が政権維持のため、財源の裏付けのない無責任な野党の主張を丸 呑  みするだけとなれば、弊害の方が大きい。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【石破首相の所信表明演説】:全文

2024-11-30 05:00:25 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【石破首相の所信表明演説】:全文

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【石破首相の所信表明演説】:全文

(1)政権運営の基本方針

  (民主主義のあるべき姿) 

 「国政の大本について、常時率直に意見をかわす慣行を作り、おのおのの立場を明らかにしつつ、力を合わせるべきことについては相互に協力を惜しまず、世界の進運に 伍  していくようにしなければならない」

 これは、1957年2月の石橋湛山内閣施政方針演説の一節です。

 この言葉に示されているとおり、民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が、 真摯 しんし に政策を協議し、よりよい成案を得ることだと考えます。

 先般の選挙で示された国民の皆様の声を踏まえ、比較第1党として、自民党と公明党の連立を基盤に、他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯に、そして謙虚に、国民の皆様の安心と安全を守るべく、取り組んでまいります。

(2)三つの重要政策課題への対応

 全ての国民の幸せを実現するため、三つの重要政策課題への対応を進めます。

 <1>首脳外交を経た今後の外交・安全保障政策

(基本的考え方)

 まず第一は、外交・安全保障上の課題への対応です。国際秩序に大きな挑戦がもたらされています。ロシアによるウクライナ侵略は今も続き、北朝鮮の兵士がウクライナに対する戦闘に参加しています。中東地域で続く報復の応酬は 未 いま だに終わりが見えません。

 我が国周辺に目を転じれば、今年後半だけを見ても、中国、ロシアの軍用機が我が国領空を相次いで侵犯したほか、中国空母が我が国領海に近接する海域を航行しました。戦闘機を含む中国空母2隻の艦載機は約1200回に及ぶ発着艦を太平洋で行いました。ロシアの哨戒機は我が国を周回する飛行を行いました。北朝鮮は、ICBM(大陸間弾道ミサイル)級を含め、近年かつてない高い頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返しています。

 こうした厳しく複雑な国際社会においても、国家のかじ取りを行うにあたっての基本は変わりません。すなわち、我が国としての、そして同盟に基づく抑止力・対処力を維持・強化しつつ、各国との対話を重ね、我が国にとって望ましい安全保障環境を作り出すことです。これにより、分断と対立を乗り越え、法の支配に基づく国際秩序を断固として堅持してまいります。

(首脳会談の成果)

 私は、先般、ペルーでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)、ブラジルでのG20(主要20か国・地域首脳会議)に出席し、自由貿易体制の維持・強化、飢餓・貧困の撲滅といった国際社会の諸課題につき、我が国の理念、施策を発信するとともに、各国首脳との間で個別に意見交換を行いました。

 アメリカ合衆国のバイデン大統領とは、今後も、揺るぎない日米同盟を更に発展させていくことで一致しました。

 合衆国では、来年1月には第2期トランプ政権が発足します。日米安保体制は、我が国の外交・安全保障政策の基軸です。しかし、同時に、合衆国も、在日米軍施設・区域の存在から、戦略上大きな利益を得ています。

 当然のことながら、合衆国には合衆国の国益があり、我が国には我が国の国益があります。だからこそ、率直に意見を交わし、両国の国益を相乗的に高めあうことで、自由で開かれたインド太平洋の実現に資することができると考えます。トランプ次期大統領とも率直に議論を行い、同盟を更なる高みに引き上げていきたいと考えております。

 韓国の 尹錫悦 ユンソンニョル 大統領とも、来年、国交正常化60周年を迎える中、首脳会談も頻繁に行い、日韓関係を大いに飛躍させる年にしよう、ということで一致しました。日米韓3か国の首脳会談も行いました。

 中国の 習近平 シージンピン 国家主席とも、かみ合った議論を行うことができたと感じています。日中間には様々な懸案、意見の相違があります。首脳会談の際、私からは、中国軍の活動の活発化や深圳での児童殺害事件など、我が国の有する懸念について率直に提起をいたしました。また、日本産水産物の輸入解禁の早期実現、日本産牛肉の輸入再開、精米の輸入拡大も求めました。私が指摘した短期滞在の日本人への査証免除再開については、既に中国側から30日に開始するとの発表がありました。

 このように、諸課題について、主張すべきことは主張する。しかし、その上で、協力できる分野では協力していく。それが私の考える国益に基づく現実的外交です。中国の安定的発展が地域全体の利益となるよう、習主席とも確認した、「戦略的互恵関係」の包括的推進、「建設的かつ安定的な関係」の構築という大きな方向性に基づき、今後も首脳間を含むあらゆるレベルで中国との意思疎通を図ってまいります。

 日露関係は厳しい状況にありますが、我が国としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持します。

(防衛力の抜本的強化)

 外交と防衛は車の両輪です。

 私は、厳しい安全保障上の現実を直視し、国家安全保障戦略等に基づき、我が国の防衛力の抜本的強化を着実に進めるとともに、同盟国・同志国との連携を更に深めることで、我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守り抜きます。

 防衛力の最大の基盤である自衛官の充足が約90%にとどまっていることは、極めて深刻な課題と認識しています。自衛隊の人的基盤の強化に向け、私を議長とする関係閣僚会議を既に3回開催し、議論を重ねています。隊員の生活・勤務環境の改善等、早急に実現可能な方策は経済対策に盛り込み、併せて、若くして定年退職を迎える自衛官の新たな生涯設計を確立し、退職後も社会で活躍するための施策の方向性についても、年内に結論を得て、可能なものから2025年度予算に盛り込みます。

 沖縄県を含む基地負担の軽減に取り組みます。普天間飛行場の一日も早い返還を実現するため、辺野古移設が唯一の解決策であるとの方針に基づき、着実に工事を進めてまいります。沖縄振興の経済効果を十分に域内に波及させ、それを実感していただけるよう、沖縄経済の強化に向けて支援を継続します。

 加えて、在日米軍施設・区域の自衛隊による共同使用を進めるとともに、駐留に伴う諸問題の解決にも取り組みます。

 サイバー攻撃の脅威は差し迫った課題であり、有識者会議の提言も踏まえ、サイバー安全保障分野での対応能力を向上させるための法案を、可能な限り早期に国会に提出するべく、検討を更に加速します。

(拉致問題)

 拉致問題は、単なる誘拐事件であるにとどまらず、その本質は国家主権の侵害です。拉致被害者やそのご家族がご高齢となる中で、時間的制約のある、ひとときもゆるがせにできない人道問題であり、政権の最重要課題です。国家としての、また、私自身の断固たる決意の下、その解決に取り組んでまいります。先に述べました日米、日韓の首脳会談においても、引き続きの連携を確認いたしました。

<2>日本全体の活力を取り戻す

(基本的考え方)

 重要政策課題の第二は、日本全体の活力を取り戻すことです。人口減少によって、地域の活力、そして経済の活力が低下しています。こうした状況は、我が国の経済・社会システムの持続可能性への不安を生み出し、更なる人口減少につながりかねません。

 この流れを反転させるため、地域の活力を取り戻す地方創生の再起動、経済の活力を取り戻す「賃上げと投資が 牽引 けんいん する成長型経済」への移行、全世代型社会保障の構築、この三つの取り組みを強力に進めてまいります。

(地方創生2・0)

 地方創生は、日本の活力を取り戻す経済政策であり、そして多様性の時代の国民の、多様な幸せを実現するための社会政策です。元気な地方から元気な日本を作る試みは、多くの点となって息づいていますが、未だ全国的な広がりには欠けています。これを集めて面にして、やがては日本中の皆様に、「面白い」、「楽しい」という思いを広げていかなければなりません。

 ・宮崎県小林市では、フランス語かと思わせるような地元の方言を使うなど、ユニークな我が「まち」紹介動画を作成し、話題となりました。これは、市の職員が学生とともにアイデアを出したものでした。 故郷 ふるさと を離れてしまう前に、故郷に誇りを持ってほしい、そして故郷のために活躍してほしいとの当時の市長の願いからでした。

 ・鹿児島県伊仙町では、町長が集落を回り、町の財政状況を丁寧に説明した結果、高齢者から、子供たちのためにもっとお金を使ってほしいとの意見がでました。出産や子育て環境を充実させ、2003年から2012年までの間、合計特殊出生率日本一となる、「2・42」、「2・81」を実現しました。

 これらを決して、一つの「まち」の物語にとどめてはなりません。日本中の同じ課題を抱えている皆様と、これまでの地方創生の成功事例から学び、「産官学金労言」で英知を集め、我が「まち」を輝かせるため、共に取り組んでいく所存です。デジタル技術の活用や、地方の課題を起点とする規制・制度改革を大胆に進めていきます。

 「地方創生2・0」を起動し、我が国の社会や経済の起爆剤とするため、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増します。新しいICT(情報通信技術)もフル活用しながら、持てるポテンシャル(潜在能力)がまだまだ眠っている地方の農林水産業、製造業、サービス業の高付加価値化を進めるとともに、新たな重点として文化芸術・スポーツの振興にも取り組みます。来年4月に開幕する大阪・関西万博の機会も最大限に活用します。

 この夏、店頭から米が一時消えたことは記憶に新しいところです。人口減少下においても、農林水産業・食品産業の生産基盤を強化し、安定的な輸入と備蓄を確保することなどを通じて、食料安全保障を確保します。農林水産業に携わる方々が安心して再生産でき、食料システム全体が持続的に発展し、活力ある農山漁村を後世へ引き継げるよう、施策を充実・強化します。

 地方の取り組みが花開くためには、国としての環境整備も必要です。GX(グリーントランスフォーメーション)の例では、洋上風力、地熱や原子力などの脱炭素電源を目指して、工場やデータセンターの進出が進み、教育機関との連携などによって、新たな地域の活力に 繋 つな がる動きが始まりつつあります。投資の予見可能性を高めるため、温室効果ガスの排出削減を求めつつ、国として20兆円規模の先行投資支援を行い、官民で150兆円を超えるGX投資を実現します。GXによる産業構造や産業立地の将来像について、2040年に向けたビジョン(展望)を年内に示し、核となる拠点を広げていきます。エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画もまとめてまいります。

 「地方創生2・0」には、魅力ある働き方・職場づくりも重要です。男女間の賃金格差が地域によって異なる中、若者や女性が安心して暮らせる「働き方」とは何か。非正規雇用の方の正規化をどのように進めるか。時間に余裕を持ちながら正社員としての待遇を得る短時間正社員という働き方も大いに活用すべきです。女性の雇用における「L字カーブ」の解消、男性の育児休業の推進にも取り組み、社会の構造・意識の変化につなげてまいります。

 「人づくりこそ国づくり」。教職員の働き方改革や給与面を含む処遇改善などを通じて、公教育の再生を進めます。

(経済全体の活力)

 30年前、日本のGDP(国内総生産)は世界全体の18%を占めていましたが、直近の2023年では4%です。そして、1位だった国際競争力は、今、38位に落ちました。配当は増え、海外投資も増えた一方で、国内投資と賃金は伸び悩んできました。デフレ経済の中、雇用は安定してきたが、給料は上がらない、安い商品はあるが、革新的な商品・サービスはあまり生まれてこない、という状況だったのではないでしょうか。しかし、ようやく約30年ぶりの高い水準の賃上げと、過去最大規模の投資が実現し、明るい兆しが現れています。コストカットではなく、付加価値の創出に力点を置いた経営・経済への転換を進めなければなりません。ドイツや韓国と比較すると、GDPに占める輸出の割合が低い我が国においては、経済安全保障の観点からも、付加価値の高いサプライチェーン(供給網)を国内に回帰・立地させていくことも重要です。

 先般の政労使の意見交換において、約30年ぶりの高い水準となった今年の勢いで、来年の春季労使交渉においても大幅な賃上げを行うことへの協力を、私から要請しました。また、最低賃金を引き上げていくための対応策の策定を、関係閣僚に指示しました。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)を切り口として、日本の潜在的な強みであるAI(人工知能)、量子、バイオ、宇宙、フュージョン、GX等の戦略分野のイノベーションとスタートアップの支援、スキル向上などの人への投資を進めてまいります。

 今こそ、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」を実現し、我が国を、世界をリードするイノベーションが常に生み出される豊かな国としてまいります。

(社会保障等)

 これらの取り組みとあわせて、子育て支援を強力に推進するとともに、国民の皆様に安心していただける社会保障制度を構築します。本格的な人口減少の中にあっても、現役世代の負担を軽減し、意欲のある高齢者を始め女性、障害者などの就労を促進し、誰もが年齢にかかわらず能力や個性を生かして支え合う、全世代型の社会保障を構築していきます。今月、関係大臣には「改革工程」に掲げられた事項の具体化を指示しました。丁寧な議論を行って、実現できる項目から着実に実施してまいります。

 来月2日には健康保険証の新規発行が終了します。(マイナンバーカードと一体化した)マイナ保険証の利用を促進しつつ、お持ちでない方には資格確認書を速やかにお届けすることで、これまでどおり診療が受けられるようにしています。国民の皆様の不安には迅速に応え、丁寧に対応するというのが私の考えです。

 「経済あっての財政」との考え方の下、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に 強靱 きょうじん な経済・財政を作っていきます。

<3>治安・防災

(基本的考え方)

 重要政策課題の第三は、治安・防災への更なる対応です。国民お一人お一人に、生き生きと、充実した日々を送っていただくための基盤となるのは、安心・安全な社会です。

(「防災庁」・防災対策)

 地理的な条件が不利であり、財政的にも厳しい地域で災害が発生したとしても、被災者の方々を苦難の中に置き続けるということは、国家としてあるべき姿ではありません。避難所での生活環境を改善し、災害関連死を防ぐためにも、避難所の満たすべき基準を定めたスフィア基準を、発災後早急に、全ての避難所で満たすことができるよう、事前防災を進めてまいります。また、避難所となる全国の学校体育館の空調整備のペースを2倍に加速します。

 能登半島地震・豪雨での教訓も踏まえ、キッチンカー、トレーラーハウス、トイレカーなどの迅速な派遣のための官民連携による登録制度の創設、温かい食事の迅速な提供などを可能とするための資機材・物資の分散備蓄、災害ボランティアとして活動する支援団体の事前登録制度の創設など、避難者の皆様の生活環境の向上のため、最大限の対応をしてまいります。被災者が災害関連の各種申請を容易に行うことができるよう、更なる改善に取り組みます。

 被災地では、自身も被災者でもある自治体職員の負担を軽減しつつ、災害対応に万全を期する必要があります。他の自治体に派遣する職員に対する訓練や、職員派遣による経験の蓄積を促進するとともに、特に大規模な災害については、あらかじめ支援自治体を定めるなどの準備も進めてまいります。

 政府における体制も着実に強化します。内閣府防災担当の機能を予算・人員の両面において抜本的に強化することに加え、被災者の方々の声を必ず施策に反映させるとの強い思いから、11月1日に立ち上げた「防災庁設置準備室」において、2026年度中の防災庁の設置に向け着実に準備を進めてまいります。

(東日本大震災からの復興)

 「福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし」

 全閣僚が、こうした決意の下、被災者の生活や産業・ 生業 なりわい の再建、福島イノベーション・コースト構想の推進に、全力で取り組んでまいります。

(治安対策)

 最近、いわゆる「闇バイト」による強盗・詐欺の報道を見ない日はありません。他者への慈しみや堅実な努力といった、日本社会の中で大切にされてきた価値観・道徳観を揺るがしかねないものであり、こうした犯罪を断じて許してはなりません。

 悪質な事件の主体となっている、いわゆる匿名・流動型犯罪グループの検挙を徹底するための取り組みを一層推進してまいります。学校での啓発活動、若者に向けたSNSによる情報発信等を強化するとともに、「闇バイト」を募集する情報のインターネット上からの削除にも一層努めてまいります。防犯カメラ等の整備、青パトによる活動などを国としても支援し、町ぐるみの防犯対策を更に促進してまいります。また、性暴力、DV(家庭内暴力)、虐待等を防ぎ、被害者支援を推進します。

(3)経済対策・補正予算

 国民の皆様の暮らしが豊かになったと感じていただくためには、現在や将来の賃金・所得が増えていくことが必要です。そのことを最重要課題として、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を策定しました。

 第一に、日本経済・地方経済の成長です。

 家計を温めるためにも物価上昇を上回る賃金上昇を実現していく必要があります。まず、最低賃金の引き上げに取り組むほか、中小企業をはじめとした事業者の皆様方が確かに 儲 もう かり、物価上昇に負けない賃上げをしていただけるよう、円滑かつ迅速な価格転嫁を進めるとともに、省力化・デジタル化投資の促進や、経営基盤の強化・成長のための支援を充実します。

 地方の皆様方が希望と幸せを感じていただくことも重要です。地方創生の「基本的な考え方」を年末までにとりまとめますが、地域活性化とあわせて、この国の在り方、文化、教育、社会を変革する大きなムーブメントを作り出していくため、いち早く地方の皆様方が動き出せるよう、地方創生の交付金を倍増しつつ、前倒しで措置します。

 将来も継続的に所得が増加する手立てを講じておくことも必要です。資産運用立国及び投資立国を実現します。今後2030年度までにAI・半導体分野に10兆円以上の公的支援を行い、10年間で50兆円を超える官民投資を引き出します。経済安全保障の強化や、リスキリング(学び直し)を含む人への投資も促してまいります。

 第二に、成長型経済への移行にあたり誰一人取り残されないようにすることが重要です。

 賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済の実現までの間、賃上げの恩恵を受けにくい方々への支援が必要です。低所得者世帯の方々に対し給付金の支援を行います。地域の実情に応じて、エネルギーや食料品価格の高騰に苦しむ方々への支援、価格転嫁が困難な中小企業への支援、学校給食費への支援のほか、新たに、厳冬期の灯油支援も行えるようにします。

 家庭の電力使用量の最も大きい1月から3月の冬季の電気・ガス代を支援します。

 エネルギーコスト上昇に強い経済社会の実現のため、クリーンエネルギー自動車の購入支援や省エネ性能の高い住宅へのリフォームを支援します。

 第三に、国民の安心・安全の確保です。

 国民の皆様方が豊かさを感じられるのは、安心と安全があればこそです。

 能登地域の皆様が受けた地震・豪雨の度重なる被害からの一刻も早い復旧と創造的復興を一層加速します。災害廃棄物処理の加速化、公営住宅の建設などの生活再建を進め、被災事業者の生業の再建を後押しします。防災・減災、国土強靱化を着実に推進します。シェルターの確保等により国民保護の取り組みを強化します。

 以上申し上げてきた、経済対策のとりまとめに当たっては、党派を超えて、優れた方策を取り入れるべく、最大限の工夫を行ってまいりました。いわゆる「103万円の壁」については、2025年度税制改正の中で議論し引き上げます。いわゆる暫定税率の廃止を含む「ガソリン減税」については、自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得ます。これらに伴う諸課題に関しては、今後、検討を進め、その解決策について結論を得ます。

 政府としては、この経済対策をできるだけ早くお届けできるよう、速やかに補正予算を国会に提出いたします。そして、国会でのご審議をいただき、早期の成立を目指します。

(4)政治改革への対応

 先の選挙結果は、主権者である国民の皆様からの、政治資金問題や改革姿勢に対する 叱責 しっせき であったと受け止めております。「政治は国民のもの」との原点に立ち返り、謙虚に、真摯に、誠実に国民と向き合いながら、政治改革に取り組んでまいります。

 政党から議員に支出され、その先の具体的な使途が公開されていない政策活動費の廃止、政治資金に関する必要な監査を行う第三者機関の設置、収支報告書の内容を誰でも簡単に確認できるデータベースの構築など、政治資金に関する諸課題の改革のための議論を進めてまいります。

 調査研究広報滞在費、いわゆる旧文書通信交通滞在費の使途公開及び残金返納に向けて、既に国会でご議論いただいているところです。

 国民の政治に対する信頼を取り戻すため、これらの様々な課題について、党派を超えて議論し、年内に、必要な法整備も含めて、結論をお示しする必要があると考えており、誠心誠意、尽力してまいります。

(5)憲法改正

 憲法改正については、私自身、これまで長らく衆院憲法審査会の委員を務め、議論に参加してまいりました。国会による発議の実現に向け、今後、衆院及び参院に設置された憲法審査会において建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めていただくことを期待します。

(6)結語

 石橋湛山内閣の施政方針演説では「常に国家の永遠の運命に思いをいたし、地方的利害や国民の一部の思惑に偏することなく、国民全体の福祉をのみ念じて国政の方向を定め、論議を尽くしていくように努めたい」とあります。

 外交においても、内政においても、国民の後押しほど大きな力はありません。国民の皆様に信頼をいただけるよう、誠心誠意取り組んでまいります。

 国民の皆様、並びに、この場に集う全国民を代表される国会議員の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【臨時国会・衆院本会議・石破首相は29日の所信表明演説】  2024年11月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張・11.30】:石破首相所信表明 ■国民の声に真摯に応えたのか

2024-11-30 04:05:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【主張・11.30】:石破首相所信表明 ■国民の声に真摯に応えたのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.30】:石破首相所信表明 ■国民の声に真摯に応えたのか

 「民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が、真摯(しんし)に政策を協議し、よりよい成案を得ることだ」。石破茂首相は臨時国会での所信表明演説の冒頭、こう述べました。さらに「先般の選挙で示された国民の声を踏まえ…国民の安心と安全を守るべく、取り組んでいく」とも表明しました。

 ■通らない強権政治

 総選挙で自民・公明の与党が衆院で過半数割れの歴史的大敗を喫し、これまで国民の声や野党の反対を無視して予算や法律などを押し通してきた強権政治が通用しなくなったことを示すものです。

 石破氏がそう言うのなら、まず問われるべきは所信表明演説の中身です。

 総選挙で国民が下した審判は、何より自民党の裏金問題への怒りでした。石破氏自身も、演説の中で「先の選挙結果は、主権者である国民からの、政治資金問題や改革姿勢に対する叱責だった」と認めました。

 ところが、国民が求める裏金問題の真相究明や、金権腐敗を一掃する「政治改革」の要である企業・団体献金禁止に一切言及しなかったのは重大です。

 裏金問題への国民の怒りの根底には、物価高騰や賃金低迷などによる暮らしの困難への無為無策という自公政権の経済失政に対する不信、批判があります。

 石破氏は、経済政策に関し、「103万円の壁」について来年度の税制改定で「引き上げる」と述べました。生計費非課税の原則に立って、課税最低限を現行の103万円から、物価高騰や賃上げの水準を超えて引き上げるのは当然です。

 加えて、税制全体を改革し、最悪の生計費課税である消費税を緊急に減税し、廃止へ向かうことが必要です。これは有効な物価対策でもあり、価格転嫁が困難な中小企業や賃上げの恩恵を受けにくい人々への大きな支援になります。税の応能負担原則を徹底し、大企業、超富裕層への優遇を改めることも不可欠です。

 しかし、石破氏は、2030年度までにAI・半導体分野に10兆円以上の公的支援を行うと表明するなど大企業優遇の姿勢を示しました。次期トランプ米政権の下で「(日米)同盟をさらなる高みに引き上げ」、「防衛力の抜本的強化を着実に進める」と述べ、5年間で43兆円もの軍事費をつぎ込む大軍拡を継続しようとしています。

 ■安心安全守るには

 広島、長崎の被爆者らでつくる日本被団協は総選挙のあった10月に、核兵器は絶対に使われてはならないという「核タブー」を国際社会に確立したとしてノーベル平和賞を受賞しました。それなのに、石破氏は核廃絶の問題に一言も触れませんでした。沖縄の民意を踏みにじる辺野古新基地建設や、国民の多くが存続を求める健康保険証の廃止なども改めて表明しました。

 高齢者の医療・介護の3割負担の拡大や国保料値上げなど、社会保障の公費負担を28年度までに1・1兆円も削減する「改革工程」の具体化も明言しました。

 「国民の安心と安全を守る」には、財界・大企業の利益最優先、日米軍事同盟絶対の政治のゆがみを正すことが求められます。日本共産党はそのために国会論戦でも全力を尽くします。

 元稿:しんぶん赤旗 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月30日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張・11.27】:臨時国会 ■あす召集 民意をくみ取り丁寧な論戦を

2024-11-30 04:05:20 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【主張・11.27】:臨時国会 ■あす召集 民意をくみ取り丁寧な論戦を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.27】:臨時国会 ■あす召集 民意をくみ取り丁寧な論戦を

 自民、公明の与党が衆院で過半数割れした総選挙後、初めての国会論戦の場となる臨時国会が28日から始まります。自公政権は、これまで数の力で、強行採決など強引な国会運営を繰り返してきました。しかし、これからは、単独では法律や予算を成立させることはできません。幅広い民意をくみ取り、丁寧な国会運営で国民の納得を得る論戦が求められます。

 自公政権のもとで、国民生活は痛めつけられ、日本経済は長く低迷し続けています。臨時国会では、暮らしを守り、経済再生に向けた道を開くことが何より求められています。その際、必要となるのが、税や社会保障などで所得を再分配する仕組みの強化です。

 ■暮らしの立て直し

 自公政権は、生活に必要な生計費にまで容赦なく課税する消費税増税を連発する一方で、法人税の引き下げや研究開発減税など大企業への減税を繰り返してきました。所得が1億円を超えると負担率が下がる「1億円の壁」もいまだ改善されていません。

 石破茂政権は、「103万円の壁」と呼ばれる所得税の課税最低限の引き上げを明記した経済対策を閣議決定し、補正予算案を臨時国会に提出する予定です。

 生計費には課税しないという原則に基づいて、所得税の非課税枠を広げるのは当然です。問題はその財源です。

 暮らしを守り、経済再生に向けた道を開くには、高所得者がより多くの税金や社会保険料を納めるよう調整しなくてはなりません。自公政権の下でゆがめられた税金と社会保険料の徴収の仕組みを是正するため、大企業・富裕層への減税や優遇を見直し、応分の負担を求めることが必要です。

 さらに、消費税の減税は、物価対策だけでなく、低所得者の暮らしの支えにもなります。大企業の内部留保を労働者の賃金に回すための対策とともに、中小企業への直接支援を行い、最低賃金を速やかに1500円以上に引き上げることも求められます。

 ■企業団体献金禁止

 臨時国会では、自民党の裏金事件を受けた政治改革も焦点となります。裏金事件の真相解明とともに、実効性のある対策を講じるための法改正が最優先の課題です。

 これまで政治倫理審査会には派閥の幹部を中心に自民党の裏金議員が出席しましたが、みな責任回避の弁明をするだけで真相は何も明らかになっていません。通常国会後に発覚した新たな疑惑を含め、徹底して真相を明らかにし、責任を明確化する必要があります。

 さらに、企業・団体献金の全面禁止を含めた抜本的な政治改革が求められます。裏金事件の原資は、政治資金パーティーを通じた事実上の企業・団体献金です。企業・団体献金には本質的に賄賂性があります。金権腐敗の温床を断つためには、企業・団体献金の禁止を避けて通るわけにはいきません。

 真相解明にも、企業・団体献金の禁止を含む抜本的な政治改革にも背を向けているのは、いまや自民党だけです。与党過半数割れの国会で、真相解明とは程遠い弁明や抜け穴だらけの対策でお茶を濁すことは、もはや許されません。

 元稿:しんぶん赤旗 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年11月27日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・11.30】:首相の所信表明 これで信頼回復できるか

2024-11-30 04:03:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・11.30】:首相の所信表明 これで信頼回復できるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.30】:首相の所信表明 これで信頼回復できるか

 石破茂首相がきのう、国会で所信表明演説を行った。
 
 最大の焦点である自民党裏金事件を受けた政治改革については、政策活動費の廃止や、政治資金を監査する第三者機関の設置などを進めると表明した。
 だがそれらは既に与野党が大筋で一致した項目だ。肝心の裏金の実態解明や、30年前から先送りしてきた企業・団体献金の禁止には触れもしなかった。
 そもそも政治改革に言及したのは演説の最後の方で、その分量も決して多くなかった。首相の改革に対する熱意や問題意識を疑わざるを得ない。
 首相が重要政策として強調したのは外交・安全保障、経済・地方創生、治安・防災の3分野だ。どれも待ったなしであるのは確かだが、国民の信頼回復がなければ政治は前に進まない。
 これでは改革が中途半端に終わった衆院選前と同じ構図になる。首相は大敗の結果を「国民からの叱責(しっせき)」と語ったが、まだ自覚が足りないのではないか。対応を改めねばならない。
 演説の冒頭、首相は少数与党の政権運営に触れ「他党にも丁寧に意見を聞き、幅広い合意形成が図られるよう真摯(しんし)に、謙虚に取り組んでいく」と訴えた。
 そうであれば、まず政治とカネに関する野党の主張を聞き入れ、裏金の解明や企業・団体献金の禁止に踏み出すのが筋だ。
 参院では裏金議員が政治倫理審査会の出席を希望している。衆院も同様に開くべきだし、党も調査を始めねばならない。
 企業・団体献金は平成の政治改革で政党交付金の導入と引き換えに見直すと決めたはずだ。当時改革推進派だった首相は、なぜいまだに実現できないのか自らの言葉で語るべきである。
 経済対策についても首相の対応は言葉と裏腹だ。
 所得税の非課税枠「年収103万円の壁」の引き上げに言及し「党派を超えて優れた方策を取り入れる」と述べたが、どうして協議相手が野党第3党の国民民主だけなのか。これで「幅広い合意形成」と言えるか。
 熟議よりもなお「数の力」を信奉しているように映る。政治改革への対応も含め、自民、公明、国民民主の3党で押し切ることがあってはならない。
 首相は党総裁選で前向きな姿勢を示した日米地位協定の改定や選択的夫婦別姓の導入に今回も触れなかった。これらはいずれも野党の主張に沿うものだ。
 論戦を通じて与野党が共に政策を作り上げる仕組みを整えねばならない。全てを自民が決めた第2次安倍政権以来の強権路線と決別する国会にすべきだ。
 
 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【石破首相・所信表明演説】:丁寧な政権運営を強調も、目指す国家像は見えず…

2024-11-29 16:20:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【石破首相・所信表明演説】:丁寧な政権運営を強調も、目指す国家像は見えず…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【石破首相・所信表明演説】:丁寧な政権運営を強調も、目指す国家像は見えず…

 石破首相は29日の所信表明演説で、野党の意見も取り入れる丁寧な政権運営を通じ、幅広い合意形成を図る考えを強調する。衆院選の大敗で少数与党に陥った情勢を踏まえれば、他の選択肢はないと言える。

衆院本会議で所信表明演説をする石破首相(29日午後3時23分、国会で)=川口正峰撮影
衆院本会議で所信表明演説をする石破首相(29日午後3時23分、国会で)=川口正峰撮影

 演説では、重要政策課題の最初に「外交・安全保障」を置き、防衛相経験者の首相らしさをにじませた。日本を取り巻く安保環境が不透明感を増していることを踏まえた判断だ。首相は、日米同盟に基づく抑止力強化と対話を通じ「望ましい安保環境を作り出す」と唱えるが、実現には巧みな戦略と外交手腕が欠かせない。まずは来年1月に就任する米国のトランプ次期大統領との関係構築が関門となる。 

 内政では、地方創生や防災、「闇バイト」対策などに分量を割いた。いずれも国民の安全・安心につながる分野だが、各論の列挙の印象は否めない。先送りが許されない社会保障改革や財政健全化では具体的な言及は避け、目指す国家像は浮かび上がらない。総合経済対策や政治改革に対する首相自身の思いや決意も十分に伝わる内容となっていない。

 首相は「謙虚に」「 真摯しんし に」といった言葉を繰り返し、内外で山積する課題に取り組む上で「国民の後押しほど大きな力はない」と呼びかける。だが、国をどのような方向に導こうとしているのかを明確に示さず、低姿勢で難局を乗り越えようとするだけでは、国民からの支持は広がらないと肝に銘じるべきだ。(政治部 海谷道隆)

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【石破首相・所信表明演説】:「年収103万円の壁」の見直しを明言…少数与党として各党と協議の姿勢示す

2024-11-29 16:05:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【石破首相・所信表明演説】:「年収103万円の壁」の見直しを明言…少数与党として各党と協議の姿勢示す

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【石破首相・所信表明演説】:「年収103万円の壁」の見直しを明言…少数与党として各党と協議の姿勢示す 

 石破首相は29日午後、衆院本会議で所信表明演説に臨んだ。国民民主党が求める「年収103万円の壁」の見直しを明言し、少数与党として幅広い合意形成を図る姿勢を打ち出した。外交・安全保障、日本の活力回復、治安・防災を重要課題と位置付け、政治改革にも結論を出すと訴えた。

首相官邸に入る石破首相(29日午前)=川口正峰撮影
首相官邸に入る石破首相(29日午前)=川口正峰撮影

 首相は、年収が103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」について、「2025年度税制改正の中で議論し、引き上げる」と表明した。国民民主が求める「ガソリン減税」についても「検討し、結論を得る」と強調した。 

 演説の冒頭では、1957年の石橋湛山内閣の施政方針演説から「率直に意見をかわす慣行を作り、相互に協力を惜しまず」との表現を引用し、少数与党として各党と謙虚に協議を進める姿勢を示した。

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臨時国会の開会式でお言葉を述べられる天皇陛下(29日午前11時4分、国会で)=川口正峰撮影

 外交・安保を巡っては、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)、主要20か国・地域首脳会議(G20)での首脳外交の成果を強調し、今後も各国との対話や日米同盟の強化で「望ましい安保環境を作り出す」と訴えた。米国のトランプ次期大統領とも「率直に議論を行い、同盟を更なる高みに引き上げていく」と述べた。

 経済成長に向けて「日本全体の活力を取り戻す」として、地方創生の再起動と、賃上げ・投資が先導する成長型経済への移行を重点として挙げた。肝いりで進める地方創生は、「日本の活力を取り戻す経済政策であり社会政策」と主張した。

 治安・防災では、持論の「防災庁」設置に向けた準備の推進と、横行する「闇バイト」犯罪の検挙やインターネット上の募集情報の削除などに意欲を示した。

 政治改革に関しては、政党から議員に支出される「政策活動費」の廃止や、政治資金を監査する第三者機関の設置などに向け、年内に必要な法整備も含めた結論を示すと約束した。

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 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【臨時国会・衆院本会議・石破首相は29日の所信表明演説】  2024年11月29日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・11.28》:臨時国会の開幕 議論する力が試される

2024-11-29 09:31:45 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・11.28》:臨時国会の開幕 議論する力が試される

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.28》:臨時国会の開幕 議論する力が試される 

 衆院選後、初の本格論戦となる臨時国会がきょう、召集される。

 政府の経済対策の裏付けとなる総額約13兆9千億円の補正予算案の審議と、自民党裏金事件を受けた政治資金規正法の再改定が焦点となる。

 自民、公明の与党は過半数に達しておらず、野党の協力がなければ法案や予算案は成立しない。与党が続けてきた「数の力」頼みの強引な運営は不可能である。

 必要なのは、少数意見を取り入れながら時間をかけ、納得できる法案を練り上げることだ。臨時国会は、民主主義の基本である「熟議の国会」を再構築できるかどうかの試金石となる。

 自公政権は長年、法案や予算案の国会提出に先立ち、与党が政務調査会の下に置いた各部会などで議論し、意見を反映させる「事前審査」が慣例だった。

 決定は全会一致が原則で、了承された後に閣議決定され、国会に提出される。与党は議員に党議拘束をかけて賛成してきたため、提出前に成立が事実上確定する仕組みだった。

 国会審議は野党の意見を聞き置く場になり、審議時間を消費するだけの形骸化した議論になっていたのが実情だ。

 今回の臨時国会では、国民民主党が衆院選で訴えた政策「103万円の壁引き上げ」の要求を自公が取り入れることで、補正予算案の早期成立に向けて協力する方針を3党が確認している。

 与党は政策ごとに野党と連携する「部分連合」を目指す方針で、今回の国民民主との協議は「ひな型になった」(小野寺五典・自民党政調会長)とする。

 今後も同じような協議が進むと、与党の事前審査と同様の「水面下の論議」になり、国会論議の形骸化は改善しない。野党はこれに応じず、公開の場である国会における論議を進めるべきだ。

 自民党は政治資金規正法の再改定についても、年内成立を目標に与野党協議を続けている。立憲民主党は「議事録を残すべきだ」として事前調整を否定している。当然の対応だろう。

 焦点は企業・団体献金の禁止だ。自民党が「政治活動に不可欠」とするのに対し、立民が「腐敗の温床」とするなど、野党の多くは禁止を求める。国民民主は完全禁止に一歩距離を置いている。

 政治にカネがかかる理由などを含めて時間をかけ国会で論議し、各党が納得できる改定を実現するべきだ。中途半端な改革に終われば有権者の支持は得られない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月28日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.28】:きょうから臨時国会 国会の新たな姿示す試金石

2024-11-29 07:00:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・11.28】:きょうから臨時国会 国会の新たな姿示す試金石

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.28】:きょうから臨時国会 国会の新たな姿示す試金石 

 臨時国会がきょう召集される。衆院選で自民、公明両党が大敗し少数与党に転落後、初めての論戦の場となる。

 野党の協力がなければ補正予算も法律も成立しない。首相や閣僚ののらりくらりとした答弁など、その場しのぎの対応はもはや通用しない。

 召集を前に与野党の協議が始まっている。政府・与党が野党と意見交換するのは大いに結構だが、議論の舞台は国会であるべきだ。与野党伯仲時代の立法府の新たな姿を示す試金石となる。公開の場で論議を深め、幅広い合意を得ることが肝要だろう。

 注目したいのが、2024年度補正予算案と政治資金規正法の再改正である。

 自公政権で予算や法律は基本、政府案を与党が事前審査した上で提出し、審議日程をこなして成立させた。原案のまま数の力で押し切ることも少なくなかった。安倍政権以降続いた国会軽視の政権運営を改める必要がある。だが石破政権は「数合わせ」に重きを置いている感が否めない。

 国民民主党との政策協議では、年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」見直しで譲歩して、補正予算案への賛成を取り付けようとしている。特定の野党を取り込み、中身はそのままに成立させようとする発想はこれまでと同じではないか。

 近く政府が提出する補正予算案は一般会計で13兆9千億円程度。従来の物価高対策をかき集めたり、半導体の開発・生産への支援など本来は当初予算で計上すべき政策を潜り込ませたりして規模を膨らませた印象がある。

 23年度予算に計上しながら使い残した金額は68910億円に上る。会計検査院は648億円もの税金の無駄遣いを指摘した。これらは形骸化した審議や、使い道を決めない予備費の巨額計上と無縁ではあるまい。

 衆院では、補正予算案を審議する予算委員会の委員長を立憲民主党が握る。必要性や効果の精査、適切な執行のための仕組みづくり、能登半島地震の被災地復興など、中身を掘り下げる議論を委員長の差配で実現してもらいたい。

 他の委員会審議をリードすることにもなる。政府側が十分説明できなかったり、野党側から建設的な意見が出たりした場合は修正に応じる謙虚な姿勢を与党には求める。民主主義の原点にも通じよう。

 規正法の再改正では、使途の公開義務がない政策活動費の廃止や政治資金の監査機能を強化する第三者機関の新設を与野党協議で確認できた。

 焦点は企業・団体献金の扱いだ。野党は「腐敗の温床」と廃止を訴え、自民は「悪ではない」と反論。立憲民主、日本維新の会、共産党などは全面禁止の再改正案を共同提出すると決めた。慎重な立場の国民民主の出方を注視したい。

 政治とカネ問題の抜本改革なしに信頼回復はあり得ない。まして議員活動の在り方を決める。双方が法案を出し、熟議の上で再改正を実現すべきだ。現行の企業・団体献金の温存が、金のかからぬ政治を求める民意にそぐわないことだけは明らかである。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月28日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・11.28】:国会きょう召集 言論の府再生の一歩に

2024-11-28 04:03:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・11.28】:国会きょう召集 言論の府再生の一歩に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.28】:国会きょう召集 言論の府再生の一歩に 

 石破茂政権にとって衆院選後、初の本格論戦となる臨時国会がきょう召集される。
 
 選挙結果の民意によって生まれた与野党伯仲の国会だ。熟議と協力の合意形成が何より重要となる。政府・与党は主張を貫くだけでなく、野党の意見を丁寧に聞き、修正も辞さない柔軟な姿勢を基本とすべきだ。
 最大の焦点は政治とカネの問題への対応である。自民党の裏金問題の実態解明はもちろん、30年来、先送りし続けてきた企業・団体献金の禁止に今度こそ決着を付けねばならない。
 自民1強時代は数の力による強引な手法で審議が形骸化し、国会は政府の追認機関とやゆされた。与野党は国民の目を意識し、今国会を「言論の府」再生の第一歩とする必要がある。
 与野党は一昨日、政治改革に関する協議を行った。立憲民主などの多くの野党が企業・団体献金の禁止を提案したが、自民党は慎重姿勢を崩していない。
 廃止の方向で一致した政策活動費についても、自民党は外交関連などを念頭に一部非公開の支出を残す考えを示している。
 政治改革は本来、国会の場で扱うべきテーマだ。何が問題でそれにどう対処すべきか、開かれた議場で、堂々と議論するのが筋である。
 与野党協議は自民党が呼び掛け、野党の意向で報道機関に公開されたが、意見の違いを国民に分かりやすく示し、後世に記録をしっかり残すことをもっと強く意識しなければならない。
 今国会のもう一つの大きな論点が、本年度一般会計補正予算案を裏付けとする経済対策だ。
 政府・与党は、国民民主党が主張する所得税の非課税枠「年収103万円の壁」の見直しを受け入れ、補正予算案に賛成してもらう狙いだ。
 しかし、自民、公明、国民民主の3党が密室で事前に全てを決めてしまい、国会に提案後の質疑が形ばかりとなるようでは従来問題視されてきた「与党の事前審査」と変わらない。
 今回野党第1党の立憲民主党は衆院予算委員長のポストを得て、経済対策の対案も出している。予算案の効果や必要性を拙速に走ることなく点検し、修正や組み替えも視野に入れて審議を進めるのが国会の役割だ。
 政府は第2次安倍政権以降、集団的自衛権の行使容認や防衛費の大幅増などの重要政策を国会に諮らず次々と決めてきた。
 国会が国権の最高機関である以上、外交・安全保障政策にも関与するのは当然である。政府の意思決定と国会のあり方についても見直す契機とすべきだ。
 
 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月28日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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