路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説①・12.04】:伯仲国会の野党 連携して政治改革迫れ

2024-12-04 16:05:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・12.04:伯仲国会の野党 連携して政治改革迫れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.04】:伯仲国会の野党 連携して政治改革迫れ

 国民の審判による与野党の伯仲状況で、民意を映す熟議の国会を取り戻せるか。野党の責任はいっそう重いといえよう。

 臨時国会で衆院選後、初の与野党論戦が本格化した。

 衆参の代表質問では、大幅議席増となった立憲民主党の野田佳彦代表らが、自民党裏金事件を受けた抜本的な政治改革を迫った。

 野田氏は「企業・団体献金の禁止が改革の本丸だ。なぜ議論の俎上(そじょう)に載せようとしないのか」と訴え、所信表明演説で触れなかった石破茂首相を批判した。

 「不適切と考えていない」とかわす石破氏だが、金権腐敗の温床だと日本維新の会、共産党なども禁止を訴えた。先月の共同通信世論調査でも約7割が禁止を支持している。これを追い風に、立民は政治資金規正法を再改正する法案の野党共同提出を目指す。

 ただ、立民が呼びかけた法案協議に国民民主党は出席せず、野党の足並みはそろっていない。

 国民民主は野党第3党に躍進して多数派形成の鍵を握る形となり、「年収103万円の壁」の見直しなど与党との政策協議を優先する姿勢にみえる。石破氏は政治改革でも国民民主を取り込もうと秋波を送っている。

 だが少数与党となった自民を後押しし「補完勢力」に陥るなら、たちまち有権者に見放されよう。

 野党第1党の立民は、党利党略を排した「抜け穴のない抜本改革」で野党結集の軸となり、対峙(たいじ)していく役割が求められる。

 立民は、歳出13兆円超の政府補正予算案にも緊急でない支出が多いとし、7兆円規模に減額を求めた。借金頼みで膨張した財政を見直す姿勢は認めたい。委員長を担う予算委員会でも中身をしっかりと吟味してほしい。

 野党第2党の維新は、存在意義が問われていよう。衆院選の議席減で馬場伸幸代表が引責辞任し、代表選で吉村洋文大阪府知事が圧勝した。知名度の高い「エース」に立て直しを託したといえる。

 吉村氏は、政権への対決姿勢を強めて存在感の発揮を掲げた。

 馬場氏は「第2自民党でいい」と公言し、通常国会で欠陥だらけの与党の規正法改正に手を貸した姿勢が支持離れを招いたのは否めない。

 共同代表に京都選出の前原誠司衆院議員を選んだ。閣僚や党首の経験への期待だろうが、10月に合流したばかりで国会議員を主導できるのか。立民や国民民主との連携を含め立ち位置が問われよう。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月04日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.04》:代表質問の答弁 「ゼロ回答」では合意遠い

2024-12-04 09:31:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・12.04》:代表質問の答弁 「ゼロ回答」では合意遠い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.04》:代表質問の答弁 「ゼロ回答」では合意遠い 

 議論を深めて合意を得ようとする意欲が感じられない。 臨時国会の代表質問における石破茂首相の答弁である。先の衆院選で少数与党となって初めて迎えた本格的な国会だ。野党の協力なしに法案も予算案も成立しない。それなのに、石破首相は踏み込んだ答弁を避け、従来と同様の見解を繰り返した。

 今国会の焦点は、政治資金規正法の再改定など「政治とカネ」の問題や、経済対策の財源となる総額約14兆円の補正予算案だ。「政治とカネ」では企業・団体献金の是非や、使途公開が不要な政策活動費の廃止などが問われる。

 立憲民主党の野田佳彦代表は政策活動費の全廃を要求し、企業・団体献金禁止を「改革の本丸」として「なぜ議論の俎上(そじょう)に載せようとしないのか」と追及した。

 石破首相は政策活動費を廃止する方針を示したものの、「外交や企業の営業秘密への配慮」として使途を非公開にする支出も温存する意向を表明。企業・団体献金は「不適切とは考えていない」と述べた。野党に対する「ゼロ回答」といえる。

 裏金事件に関係した議員の衆院政治倫理審査会への出席は「必要な説明責任を果たすよう促している」としただけだ。

 衆院選の結果は、政府と自民党の裏金問題に対する姿勢や、政治資金規正法の改定が中途半端に終わったことなどに対して、有権者の批判が表れた。石破首相は信頼を取り戻すために、「政治とカネ」問題の徹底した議論が欠かせないことを改めて認識すべきだ。

 一方通行の質問と答弁になる代表質問では、議論の限界もある。首相と全閣僚が一問一答形式で質問に答える予算委員会は衆院で5日、参院で6日に開かれる。

 衆院の委員長は立民の安住淳氏だ。代表質問で浮き彫りになった政府と野党の認識の違いを前提に論点を整理し、議論を深める必要がある。与野党伯仲の国会論戦の試金石となる。

 気になるのは、国民民主の対応だ。同党が訴える政策「103万円の壁引き上げ」の要求を自公が取り入れることで、補正予算案の早期成立に向け、自公国3党が協力する方針を確認している。

 3党協力がさらに進めば従来と同様、密室交渉が中心となる。石破首相は国民民主の代表質問でも「103万円の壁」の引き上げ幅は「税調会長間で議論を深めてほしい」と述べた。公開の場での「熟議」が求められていることを忘れてはならない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月04日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【国会】:辻元清美氏にPFAS調査「不十分」と追及され…石破茂首相が応じた「水道水対策」 実現すると何が変わる?

2024-12-04 07:06:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【国会】:辻元清美氏にPFAS調査「不十分」と追及され…石破茂首相が応じた「水道水対策」 実現すると何が変わる?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【国会】:辻元清美氏にPFAS調査「不十分」と追及され…石破茂首相が応じた「水道水対策」 実現すると何が変わる?

 発がん性が疑われる有機フッ素化合物(PFAS)を巡り、石破茂首相は3日の参院本会議で、水道水の濃度の検査が義務付けられ、数値の順守が求められる水質基準への引き上げに向けた対策を来春をめどにまとめたいとの考え方を示した。

参院本会議で立憲民主党の辻元代表代行の質問に答弁する石破首相

参院本会議で立憲民主党の辻元代表代行の質問に答弁する石破首相

 発がん性が疑われる有機フッ素化合物(PFAS)を巡り、石破茂首相は3日の
 立憲民主党の辻元清美代表代行は代表質問で、「PFASに関する政府の調査は不十分だ。政府による主体的な調査と規制強化が必要ではないか」と指摘。石破首相は、PFASの一種PFOSとPFOAなどについて「専門家の意見を伺いながら水質基準への引き上げを含めて来春をめどに対応の方向性を取りまとめていく」と答えた。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・国会・参議院・代表質問】  2024年12月04日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張②・12.04】:国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか

2024-12-04 05:01:40 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【主張②・12.04】:国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・12.04】:国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか 

 石破茂首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が、国会で行われている。

 政治とカネの問題について活発な論戦が展開される一方で、外交安全保障の議論が低調なのは残念だ。

衆院本会議で立憲民主党の野田佳彦代表(手前)の質問を聞く石破茂首相(左から3人目)=2日午後、衆院本会議場(春名中撮影)

 自民党の松山政司参院幹事長は、中国が台湾を巡り「必ず完全統一を実現する」と主張していることや、ウクライナ侵略を続けるロシアと北朝鮮との関係強化に触れ、東アジアの安保環境が大きく揺らぐことのないよう、着実な防衛力の強化を求めた。

 首相が答弁で抑止力と対処力の強化を図るとしたのは妥当だが、「台湾海峡の平和と安定」が重要だという問題意識や、そのための具体的方策を語らなかったのはいただけない。

 安全保障を真剣に考えていないとみなさざるを得ないのは最大野党の立憲民主党だ。野田佳彦代表は日中関係を巡り、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への中国の加盟問題や相次ぐ邦人の拘束などを取り上げたが、首相同様に「台湾」への言及はなかった。

 野田氏はロシアと北朝鮮の軍事協力を踏まえ、朝鮮半島有事の際のロシア参戦の恐れを指摘し、「わが国の安全保障上の危機」との認識を示した。それはもっともだが、ロシアのウクライナ侵略自体も論じるべきではなかったか。

 辻元清美代表代行は5年間の防衛費43兆円について「軍事から人へ付け替えたらどうか。足かせになっている」と語り、別の用途への充当を求めた。これは、力の信奉者である中国や北朝鮮などに誤ったメッセージを送り、平和を保つ抑止力を低下させてしまう危うい議論だ。もし、台湾有事などが起きれば、国民の生命や巨額の国富が失われてしまうのである。

 代表質問に立った公明党や立民など各野党が台湾問題を重視しないのは理解に苦しむ。

 政治とカネの問題では立民や日本維新の会、共産党が企業・団体献金の禁止を求め、首相は「不適切だとは考えていない」と答弁した。企業・団体の政治活動の自由も引き続き認められるべきである。

 立民、共産は選択的夫婦別姓導入を求めたが、首相が慎重姿勢を示したのは当然だ。選択的といっても、片方の親と子の「強制的親子別姓」である点を無視する謬論(びゅうろん)だからだ。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月04日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.04】:代表質問 政治資金問題に決着をつけよ

2024-12-04 05:00:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・12.04】:代表質問 政治資金問題に決着をつけよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.04】:代表質問 政治資金問題に決着をつけよ

 山積する内外の課題について政府と与野党が建設的に論じ合い、より良い政策や予算を作ることが国会の役割だ。 

 だが、政治資金問題などに焦点が当たる一方で、国家の根幹に関わる様々な問題の議論がなおざりになっている現状は、寒心に堪えない。

 石破首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が、衆参両院の本会議で行われた。

 立憲民主党の野田代表は冒頭、政治改革を取り上げ、企業・団体献金の禁止を求めた。首相は「企業・団体献金が不適切だと考えてはいない」と反論した。

 立民は企業・団体献金のうち、労働組合や業界団体などが作った政治団体からの献金については、禁止対象から外す方針だ。

 企業や団体が政党に直接献金をした場合、政策を 歪 ゆが める恐れがあるためだというが、政治団体を経由すれば問題はない、という考え方は極めて分かりにくい。

 野田氏はまた、政治資金収支報告書に不記載があった自民党議員の政治倫理審査会への出席を求めた。対象の議員は数十人に上る。既に東京地検が捜査を終えているのに、多数の議員の弁明に時間を割くことに意味があるのか。

 代表質問で国民民主党の浅野哲氏は、所得税が課され始める「年収103万円の壁」の178万円への引き上げを求めた。首相は引き上げには応じ、詳細は与党と国民民主の協議に委ねるとした。

 少数与党の石破内閣が、野党と協議して接点を探ろうとすることは理解できる。だが、財源の裏付けなしに、野党が要求する減税や歳出拡大策を 呑  み続ければ、将来世代にツケを回すだけだ。

 緊迫の度を増す国際情勢にあって、日本はどのような役割を果たすべきか。国内では、少子化への対応や経済再生など、政策課題が目白押しとなっている。

 こうした問題を来年の通常国会で具体的に議論するには、まずは今国会で「政治とカネ」の問題や「年収の壁」の見直しを決着させ、いつまでも引きずらないようにしなければならない。

 一方、日本維新の会は代表選を行い、吉村洋文・大阪府知事を新代表に選出した。吉村氏は、自民党と協調することもあった前執行部の路線を見直す方針だ。

 維新が政権と距離を置けば、首相の政局運営は一層厳しさを増そう。国民民主を取り込んで乗り切りを図る戦術に終始するのではなく、正面から所信を述べ、国民の理解を求める努力が必要だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月04日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【参議院・代表質問】:辻元清美氏の苦言連発、石破首相は耳痛かった?「つまらない政治家にならないよう自重します」

2024-12-04 00:10:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【参議院・代表質問】:辻元清美氏の苦言連発、石破首相は耳痛かった?「つまらない政治家にならないよう自重します」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【参議院・代表質問】:辻元清美氏の苦言連発、石破首相は耳痛かった?「つまらない政治家にならないよう自重します」 

 立憲民主党の辻元清美参院議員は3日、参院本会議で行われた石破茂首相の所信表明演説に対する代表質問で、首相が演説の中で触れた石橋湛山元首相の生きざまに言及しながら「総理はこのままでは、湛山氏のいう『つまらない政治家』になってしまうのではないか」と、指摘した。

石破茂首相(2024年10月28日撮影)

 辻元氏はもともと、石破首相と長い間、親交がある。「石破総理と私は20年以上にわたり、建設的な議論をしてきたと思っている。だから、石破さんが苦労してやっと総理になられた時、私、ちょっとうれしかったんです」と、5度目の自民党総裁選挑戦で首相の座にのぼりつめた石破首相への素直な心境を吐露した。

参院本会議で代表質問をする立憲民主党の辻元代表代行(共同)

 そんな関係にある首相に対し、辻元氏は石橋湛山と比較しながら言及。「総理が所信表明で触れられた石橋湛山は、体制にあらがい、総理大臣になっても信念を曲げなかった。でも私には、総理大臣になってブレまくっている石破総理と石橋湛山氏は、正反対に見えてしまう」と苦言を連発した。

「石橋湛山氏は『政治家にはいろんなタイプがいるが、いちばんつまらないタイプは自分の考えを持たない政治家だ』と言っている」と指摘しながら、首相就任前の持論を封印し、前言撤回も相次ぐ首相に対し「総理、このままでは、あなたはブレまくりの、湛山氏のいう『つまらない政治家』になってしまうのではないですか」と語りかけた。

 辻元氏はまた、「『正論・石破』の精彩を欠き、まるで別人のように見える。残念です」と述べ「ただの評論家総理で終わってしまうんですか。石破総理は、ただ総理になりたかっただけなんですか。国民も、石破さんならブレずに自民党のうみを出し切って改革してくれると期待していたから、人気が高かった。その石破さんが総理大臣になって自民党のしがらみにがんじがらめになって何も変わらないなら。もうどなたが総理になっても自民党政権では真の改革は難しい」とピシャリ。「その時は私たちが代わってやります」と、叱咤(しった)激励もまじった指摘をした。

 辻元氏に対する答弁冒頭、石破首相は「辻元議員にいろいろご示唆に飛んだ指摘を受けた」と、口にする場面も。「よくよく私としても受け止め、反省し、あらためていかないといけない」と述べた。

 また、辻元氏の「ただ総理になりたかっただけなんですか」の指摘を念頭に「議員になることも閣僚になることもそうだが、すべては手段であり目的ではない。そこを混同してはいけないことはよく分かっている」と応じ「つまらない政治家にならないよう、自重していきます」と、素直に応じた。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・政治・国会・参議院・立憲民主党の辻元清美参院議員】  2024年12月03日 15:38:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・12.03】:代表質問始まる 合意探る国会に程遠い

2024-12-03 07:55:40 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説②・12.03】:代表質問始まる 合意探る国会に程遠い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.03】:代表質問始まる 合意探る国会に程遠い 

 石破茂首相の所信表明演説に対する各党代表質問が衆院で始まった。少数与党への転落後、初めての論戦だが、初日の質疑を聞く限り、与野党が幅広い合意を探る新しい国会の姿には程遠い。
 
 首相には野党に歩み寄る謙虚さを、野党には政権批判にとどまらない積極的な提案を求めたい。
 
 立憲民主党の野田佳彦代表は自民党派閥の裏金事件を受けた政治改革を巡り、首相が演説で企業・団体献金の禁止に言及しなかったことを「なぜ議論の俎上(そじょう)に載せようとしないのか」とただした。
 
 これに対し、首相は「自民党としては不適切だと考えていない」と譲らず、使途公開が不要な政策活動費の廃止についても野田氏の全廃要求を拒否。外交上の秘密やプライバシーに関わる一部の使途を非公開とする自民党案を維持する考えを示した。
 
 首相は、野党の理解を得なければ、法案も予算案も成立させられない厳しい国会の状況を理解しているのか。自民党の主張はあるにせよ、与野党合意に努めることが少数与党の首相の責任だと自覚すべきである。
 
 野田氏は一般会計の歳出が約14兆円と巨額になった2024年度補正予算案に関し「そもそも経済対策になじまないものも多数含まれ、スリム化を図る必要がある」と減額を求めたが、首相は「必要な施策を積み上げた」と取り合わなかった。野党第1党の要求を拒否して、どう成立を図るのか。
 
 選択的夫婦別姓の導入を巡っても、立民の石川香織氏が実現に向けて決断を促したが、首相は賛否を明言しなかった。
 
 賛意を示していた9月の自民党総裁選からは明らかな後退だ。衆院で賛成派が多数を占めた現実を直視すべきである。
 
 野党が政府・与党の問題点を追及し、与野党合意に向けて譲歩を引き出すことは当然だ。野田氏が唱える国会での「熟議と公開」による政策決定も支持したい。
 
 少数与党の国会では、野党も政策決定の責任を与党と共有していることを忘れてはならない。
 
 代表質問はきょう3日から参院でも始まる。政府と各党が原則的立場を主張する場合が多いとはいえ、問題点は明確になる。5日からは一問一答形式の予算委員会が始まる。率直かつ活発な論戦が、国民に分かりやすい形で行われることを期待したい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月03日  07:53:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・12.03】:国会代表質問/政治改革の覚悟が見えぬ

2024-12-03 06:00:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・12.03】:国会代表質問/政治改革の覚悟が見えぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.03】:国会代表質問/政治改革の覚悟が見えぬ

 石破茂首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が始まった。

 石破政権は衆院選で少数与党となり、自民、公明両党だけでは予算案や法案を通せない。山積する政治課題に首相が具体的な処方箋を語り、与野党が緊張感を持って論戦を重ね、丁寧に結論を導く熟議が求められる。だが首相は所信表明をなぞる答弁が多く、議論は深まらなかった。

 首相は所信表明で政権運営の基本方針として、自公連立を基盤に「他党からも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯(しんし)に謙虚に取り組む」と述べ、野党への配慮を強くにじませた。一方で、自民派閥裏金事件を受け、多くの野党が廃止を求める企業・団体献金の扱いには触れなかった。

 合意形成に力を注ぐ姿勢は大事だが、信頼回復がなければ政治は前に進まない。密室での数合わせに走ることなく、国民本位の議論ができるのか、首相の本気度が問われる。

 立憲民主党の野田佳彦代表は企業・団体献金の禁止を重ねて求め、「なぜ議論の俎上(そじょう)に載せようとしないのか」と首相の対応を批判した。

 首相は「自民党としては不適切だと考えていない」と否定した。幅広い合意形成を重視するというなら、避けては通れない問題だ。 

 野田氏は使途公開不要な政策活動費の全廃も迫った。しかし首相は、外交の秘密などを理由に非公表の支出を残そうとしている自民案を維持する考えを示唆した。政治資金を監査する第三者機関は「国会内に置くことを基本」としたが、具体策は明らかにしなかった。裏金事件の実態解明に向けた再調査にも言及していない。これでは政治改革に対する覚悟を疑わざるを得ない。

 経済対策では、野田氏が巨額の補正予算案に緊急性や効果に乏しい事業も多く含まれるとして、野党の主張を取り入れ修正するよう求めた。財源は国債頼みであり、次世代の負担も増す。十分な審議が必要だ。

 国民民主党の議員は、与党と協議を進める「年収103万円の壁」の引き上げに伴う税収減対策などをただした。首相は「各党の税制協議で議論を深めてほしい」と述べた。政策決定に携わる以上、国民民主にも財源確保策を示す責任がある。

 首相は総裁選で前向きな姿勢を見せた選択的夫婦別姓制度の導入について「国会の議論を注視していく」と述べるにとどめた。与野党で共有できる政策課題の一つである。自民党内の慎重論を抑え、実現への道筋を探ってほしい。

 代表質問に続き、一問一答形式の予算委員会が開かれる。首相は厳しい質問にも正面から向き合い、国民に響く言葉で説明を尽くすべきだ。

 元稿:神戸新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月03日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説②・12.03】:国会代表質問 企業献金禁止に決着を

2024-12-03 04:03:40 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説②・12.03】:国会代表質問 企業献金禁止に決着を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.03】:国会代表質問 企業献金禁止に決着を 

 衆院はきのう、石破茂首相の所信表明演説への代表質問を行い、立憲民主党の野田佳彦代表がまず自民党の裏金事件を受けた政治改革についてただした。
 
 焦点となっている企業・団体献金について、首相は「自民党としては不適切だとは考えていない」と述べ、野党が求める全面禁止を否定した。
 企業・団体献金は、平成の政治改革で禁止の方向を確認したはずである。それはリクルート事件をはじめさまざまな不祥事を踏まえ、腐敗や癒着につながりかねないと判断したからだ。
 政治とカネの問題はそれから30年たった今もなくなっていない。政治の怠慢により、これ以上先送りするのは許されない。
 今国会は、政治の信頼回復が最優先課題である。首相は抜本改革から逃げてはならない。
 首相は「避けねばならないのは献金で政策がゆがめられることだ。これは個人献金も企業献金も違いはない」と述べた。
 だが自民党の政治資金団体への昨年分の企業・団体献金は24億円に上る。資金力のある大企業や業界団体が政策要望をしながら巨額献金を続ける構図が、本当に政府・与党の意思決定に影響しないと言い切れるか。
 国民民主党は企業・団体献金について立場を明確にしていないが、野党は一致して禁止を求めるべきだ。
 政治資金を監査する第三者機関の設置について首相は「国会設置が基本だ」と指摘した。
 議員から独立性の乏しい組織が強制力のある調査を含め、適切な判断を下せるかは疑問だ。
 実効性ある厳正な組織のあり方を検討しなければならない。
 裏金議員の政治倫理審査会への出席については、前向き姿勢を示す参院だけでなく、衆院側にも「必要な説明責任を果たすよう促している」と述べた。
 裏金は実態解明がいまだに進んでいないことが最大の問題である。政倫審のみならず、旧安倍派幹部の証人喚問を含め、あらゆる手だてを尽くすべきだ。
 首相は、自らが連携を模索する国民民主党が求めた所得税の非課税枠「年収103万円の壁」の引き上げに関し、あらためて意欲を示した。一方で立憲民主党が要求した選択的夫婦別姓制度は「国民の意見が分かれている」などと慎重に答えた。
 所信表明では「幅広い合意形成を図る」と述べたが、結局与党にとって都合の良い意見を聞いているだけではないか。
 
 大切なのは民意がどこにあるかを見極めることだ。さまざまな意見を丁寧に聞き、困難な課題にも取り組まねばならない。
 
 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月03日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【石破首相】:企業・団体献金巡り、「自民党としては不適切だと考えてはいない」…国会の代表質問始まる

2024-12-02 18:54:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【石破首相】:企業・団体献金巡り、「自民党としては不適切だと考えてはいない」…国会の代表質問始まる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【石破首相】:企業・団体献金巡り、「自民党としては不適切だと考えてはいない」…国会の代表質問始まる

 石破首相(自民党総裁)の所信表明演説に対する各党の代表質問が2日、衆院本会議で始まった。首相は政治資金規正法の再改正を巡り、立憲民主党などが禁止を主張する企業・団体献金について、「自民党としては不適切だと考えてはいない」と述べた。

 ■少数与党が午後から初の国会論戦へ、「政治とカネ」「103万円の壁」見直しを巡り攻防か

衆院本会議で答弁する石破首相(2日午後、国会で)
衆院本会議で答弁する石破首相(2日午後、国会で)

 国会論戦は、10月の衆院選で与党が過半数割れになってから初めてとなる。 

 立民の野田代表は「改革の本丸である企業・団体献金の禁止をなぜ議論の 俎上そじょう に載せないのか」と追及。政治資金収支報告書に不記載があった自民議員に対し、衆院政治倫理審査会に出席することを求めた。

 首相は「必要な説明責任を果たすように促している」と答弁した。政党から議員に支出される「政策活動費」は廃止するため、党として今国会に法案を提出すると明言した。外交上の秘密などが含まれる支出については、「公開の方法に工夫が必要だ」と指摘した。

 経済対策では、年収が103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」の見直しに向け、「2025年度税制改正の中で議論し、引き上げる」と意欲を見せた。国民民主党の浅野哲氏は178万円への引き上げを求めたが、首相は「経済や税収への影響など様々考えねばならない論点がある」とし、自民、公明、国民民主3党の協議を見守る考えを示した。

 安全保障分野では、重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の導入に向け、「可能な限り早期に法案を示せるよう検討をさらに加速させる」と強調した。

 選択的夫婦別姓の導入に関しては、「国民の意見が分かれており、しっかりと議論し、より幅広い国民の理解を得る必要がある」と語り、慎重な姿勢を示した。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政局・衆院本会議・各党の代表質問・政治資金問題】  2024年12月02日  18:54:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説①・11.30】:石破首相の所信 伯仲国会を熟議につなげよ

2024-11-30 16:00:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・11.30:石破首相の所信 伯仲国会を熟議につなげよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.30】:石破首相の所信 伯仲国会を熟議につなげよ

 臨時国会が開会した。先の衆院選で厳しい国民の審判を受け、30年ぶりに「少数与党」に転落した第2次石破茂政権が初の本格的な論戦に臨む。

 石破氏はきのうの所信表明演説で冒頭、「民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が真摯(しんし)に政策を協議し、より良い成案を得ること」と述べた。言論人出身で、戦後まもなく首相に就いた石橋湛山の施政方針をベースとした。

 言葉通り、与野党の開かれた熟議で、国内外の難局を乗り切る立法府の新たな形を示してもらいたい。

 これまで自民、公明両党の政権は、党内の事前審査で議案を了承した後、国会では野党の異論を軽んじ、数の力による強引な採決を常態化させていた。

 緊張感を欠いた政治が、裏金事件など一連の不祥事の根底にある。与野党伯仲の国会で、機能不全を改めねばならない。

 野党が衆院の予算委員長などのポストを押さえる中、合意を形成する民主政治が問われる。

 だが、所得税をめぐる「103万円の壁」など、自公が国民民主党を加えて進める協議は、従来の密室での数合わせと重なってみえる。躍進したとはいえ、衆院の約5%にとどまる国民民主の意見を最優先し、不透明な妥協に走るべきではない。

 石破氏は選挙結果を「政治資金問題や改革姿勢に対する叱責(しっせき)だった」とし、政治活動費の廃止や政治資金を監査する第三者機関設置を進めるとした。

 一方で、自民の金権体質の根元にある企業・団体献金には触れなかった。政策をゆがめ、不祥事を誘発してきた献金の禁止は、世論調査でも7割の国民が支持している。踏み込まねば、改革の本気度が疑われる。

 裏金事件では、参院の政治倫理審査会に自民党の関係議員全員が一転、出席する意向を示している。来夏の参院選を見越した通過儀礼にしてはなるまい。実態解明に向けた自民の再調査も改めて求めたい。

 経済対策では、物価上昇を上回る賃金上昇の実現や「103万円の壁」の引き上げなどに言及した。

 だが、「規模ありき」で14兆円近くに膨らんだ一般会計補正予算案は、電気・ガス代の補助再開など緊急性や効果に疑問が尽きない。財源は6兆円超の国債頼みで後世の負担が増す。十分な審議が要る。

 日米地位協定の改定を持論とする石破氏は、自衛隊による在日米軍施設の共同使用を進め「駐留に伴う諸問題の解決に取り組む」と触れた。実現への道筋を与野党で探ってほしい。

 野党は、重くなった責任を自覚する必要がある。

 国民民主のように減税を求めながら「財源は与党で」といった態度は慎むべきだ。野党第1党の立憲民主党は、特に真価が試されよう。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・11.30》:首相所信表明 民意に背かぬ政権運営を

2024-11-30 09:31:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・11.30》:首相所信表明 民意に背かぬ政権運営を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.30》:首相所信表明 民意に背かぬ政権運営を 

 石破茂首相が所信表明演説に臨んだ。政策面の独自色を抑える一方で、野党への配慮を強くにじませた。

 衆院選で自民、公明両党は少数与党に転落し、法案や予算案の成立には野党の協力が欠かせない。政権の苦境を色濃く映し出す。

 冒頭で政権運営の基本方針に触れ、「他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯(しんし)に、謙虚に取り組む」と低姿勢に徹した。

 経済対策では、国民民主党の主張を取り込み、年収103万円を超えると所得税が生じる「年収の壁」引き上げを明言した。

 看板政策の地方創生は、自治体への交付金倍増を前倒しすると説明。持論の日米地位協定改定を見据え、自衛隊による在日米軍施設の共同使用を進めると訴えた。

 一部に「石破カラー」はにじんだが、外交安保を含めた基本政策は前政権を踏襲した印象だ。自民党総裁選で唱えたアジア版NATO(北大西洋条約機構)構想は引き続き封印した。

 防衛力の抜本的な強化を訴えたが、判断を先送りしてきた防衛増税の開始時期に言及しなかった。年収の壁引き上げによる税収減を補う財源にも触れていない。

 野党との摩擦回避を優先したのだろうが、難題を後回しにするのは無責任だ。代表質問や予算委員会で踏み込んだ説明を求める。

 首相が言及した「幅広い合意形成」は、2024年度補正予算案の審議で真価が問われる。

 与党と国民民主は事前の協議で経済対策に合意し、予算案成立への協力を確認した。だが、規模ありきの巨額予算は政策効果や緊急性に乏しい事業も目立つ。立憲民主党の野田佳彦代表は減額修正を求める方針を示している。

 他党の意見を聞くという首相の言葉が本物なら、妥当性について国会の場で議論を重ね、必要なら修正も視野に入れるべきだ。野党も、実現を目指す政策については財源を曖昧にせず、責任ある説明で合意形成を図る必要がある。

 政治資金規正法再改定などの政治改革は、「年内に結論を示す必要がある」とした。立民などが求める企業・団体献金の禁止には触れていない。野党の主張に正面から向き合わず、小手先の対応でしのぐことは許されない。

 衆院選で有権者が求めたのは「政治とカネ」を巡る不信感を拭うことであり、与野党伯仲の国会で緊張感のある議論を重ねることだ。首相はその民意に背かずに、政権を運営する責務がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.29】:与野党伯仲の国会/国民の負託に応える議論を

2024-11-30 07:58:40 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・11.29】:与野党伯仲の国会/国民の負託に応える議論を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.29】:与野党伯仲の国会/国民の負託に応える議論を 

 臨時国会が開幕した。石破茂首相が10月に就任し、与党が過半数割れした衆院選後の特別国会は、わずか4日間で閉じられた。与野党伯仲の国会でようやく本格論戦が始まる。国内外に山積している課題の解決策を導き出し、国民の負託に応えてほしい。

 物価高対策や成長戦略を盛り込んだ政府の経済対策の財源を裏付ける、2024年度補正予算案の審議が最大の焦点になる。経済対策の策定には自民、公明の両党に加え、衆院選で躍進した野党の国民民主党が関わり、年収103万円の壁の引き上げ、ガソリン減税の検討などが明記された。

 少数与党で補正予算案の成立が見通せず、「部分連合」の手法で予算案の骨格がつくられた形だ。しかし、論戦の主舞台となる予算委員会の委員長ポストが立憲民主党に渡っており、与党が強引に審議を進め、成立させることはできない状況だ。

 これまでの自公政権では党内の事前審査で了承を得てから法案が国会に提出され、国会での議論は形骸化していた。少数与党では、野党の理解を得られなければ法案成立は見通せない。政府・与党はこれまでのような国会軽視の姿勢を改め、野党の合意を得るため国民に見える形で丁寧に議論する努力を惜しんではならない。

 「政治とカネ」の問題を巡っては、政治資金規正法の再改正などが議論される。既に始まっている与野党協議では、政党から党幹部に渡される使途公開不要の政策活動費は廃止の方向性で一致しているものの、企業・団体献金の禁止については自民などが反対するなど意見の隔たりが大きい。

 歳費とは別に月額100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開についても結論が先送りされてきた。与野党の協議がまとまらないことを理由に、課題を放置しておくことは許されない。

 先の衆院選の結果を見れば、国民がこれまでの審議や各党の対応に納得していないのは明らかだ。与野党ともに強い危機感を抱き、政治改革を前に進めるべきだ。

 野党の役割も大きく変わる。予算委員長を含め17ある衆院常任委員長ポストのうち七つは野党に配分された。政府・与党に「反対」を唱えるだけでは、国民の期待に応えたとはいえない。政府・与党の法案などに賛同できないのであれば対案などを示すのが筋だ。

 政党と議員がその責務を全うし国会の存在意義を高めなければ、政治の信頼回復は成し得ないことを肝に銘じてもらいたい。

 元稿:福島民友新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月29日  07:58:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.30】:石破首相の所信表明 「地方創生」道筋なお見えぬ

2024-11-30 07:00:20 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・11.30】:石破首相の所信表明 「地方創生」道筋なお見えぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.30】:石破首相の所信表明 「地方創生」道筋なお見えぬ 

 石破茂首相がきのう、少数与党になった衆院選後初めて、所信表明演説に臨んだ。

 真っ先に述べたのは「民主主義のあるべき姿」だった。評価しているという石橋湛山首相の1957年の施政方針演説を引用した上で「可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯(しんし)に謙虚に取り組む」と述べた。

 第2次安倍政権以降、政府に目立った国会軽視の姿勢を改めるつもりなのだろう。問題があったのだから、少数与党内閣として、改善するのは当然である。

 ただ、どんな政策に重点を置き、どうやって道を切り開いていくのか、石破内閣の考えはおぼろげなままだ。とりわけ、少子高齢化と東京一極集中のあおりで疲弊の目立つ地方を活気づける手だては今回も見えてこなかった。地方活性化は、石破氏が力を入れてきただけに不満が残る。

 熱意は伝わってきた。演説では「地方創生の再起動」を強力に進めるため、交付金を当初予算ベースで倍増する考えを改めて示した。地方の農林水産業や、サービス業の高付加価値化に加え、新たに文化芸術・スポーツの振興も試みていく、という。

 地域重視の考えは、防災対策の説明でも感じられた。地理的に不利な条件下にあり、財政的に厳しい地域でも決して見捨てないと強調した。

 激しい地震に襲われ、復旧の途上で豪雨にも見舞われた能登半島が念頭にあるようだ。水道をはじめ、ライフラインの復旧に手間取る事態を繰り返してはならない。

 地方を取り巻く課題は山積みの上、多岐にわたる。女性や若者にとって魅力ある働き方・職場づくりや男女間の賃金格差解消、持続可能な農山漁村など、意気込みだけでは解決は難しい。人々の意識も絡むだけに、政府の粘り強い努力が欠かせない。

 きのうあった地方創生に関する政府の有識者会議でも、性別役割分業の意識が残る点など、課題が指摘された。

 政府は地方創生の「基本的な考え方」を年末までにまとめるという。これまでの政治では反映されることの少なかった若者や女性の意見を踏まえ、多様な生き方のできる社会を地方から実現させる―。その環境づくりができるか。覚悟が問われている。

 地方重視を掲げた演説だったが物足りなさも感じた。例えば年収103万円を超えると所得税が生じる「年収の壁」を引き上げる方針を示した。民意には沿うものの、大穴のあく地方財政への手当てへの言及はなかった。穴埋め策なしでは自治体の不安は募る。

 地方創生の成功例として、宮崎県小林市の紹介動画を演説で取り上げていた。10年近く前に話題となった話だけに、今更という感じは否定できない。新しい事例はなかったのだろうか。

 自民党総裁に選ばれた直後に臨んだ所信表明とは違い、石破氏には熟慮する時間はあったはずだ。地方の創意を引き出し、実現に向け、どう後押しするのか。地域が元気を取り戻すための具体策を早急に示すべきである。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.30】:少数与党国会 国民に見える法案審議に

2024-11-30 06:05:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・11.30】:少数与党国会 国民に見える法案審議に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.30】:少数与党国会 国民に見える法案審議に 

 政権与党が少数となって迎えた国会は、言論の府の機能を取り戻す好機である。与野党で丁寧な議論を尽くしてもらいたい。

 10月の衆院選後、初の本格論戦となる臨時国会が始まった。きのうは石破茂首相が衆参両院の本会議で所信表明演説をした。

 就任直後の首相の演説は、自民党内の異論に配慮してか「石破カラー」を封印した。今回も新味はない。

 あえて特徴を挙げるなら、国会運営のくだりだ。「他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう真摯(しんし)に、謙虚に取り組む」と冒頭に語った。

 衆院選の民意は与党に過半数を与えず、与野党伯仲の状況をつくった。数の力に物を言わせた「自民1強」とは違い、野党の協力を得なければ予算案も法案も通らない。

 厳しい環境は首相も重々承知しているようだ。言行の一致に期待する。

 今国会で法案審議や合意形成の過程を変えなくてはならない。開かれた国会の場で、法案採決までの議論が国民に見えることが重要だ。

 まず改めたいのは、自民党政権の慣行だった法案の事前審査である。政府が法案を国会に提出する前に、自民の了承を得る仕組みだ。

 国会で過半数の議席があったため、事前審査に通れば法案の成立は確実になる。国会の法案審議を形骸化させる弊害は大きい。

 しかも党内論議は公開されない。どのような経緯で法案がまとまったかが明らかにならない問題点もある。

 今国会に向け、自民、公明の両与党は国民民主党を加えた3党で経済対策の協議を重ねた。与党は国民民主の政策を受け入れ、法案に賛成してもらう腹積もりだ。

 国民民主の幹部は「103万円の壁」の引き上げに3党が合意すると、まだ審議が始まっていない補正予算案に賛成する考えを示唆した。

 国会前に政党間で調整が必要なこともあるだろう。協議は否定しない。とはいえ、開会前に法案の賛否に言及するようでは形を変えた事前審査になりかねない。

 野党第1党の立憲民主党にも注文しておきたい。衆院予算委員会をはじめ多くの委員長ポストを獲得し、国会運営の重責を担う。野田佳彦代表が唱える「熟議と公開」を実践する力が試される。

 石破首相は所信表明演説の冒頭と締めくくりに、1957年の石橋湛山首相の施政方針演説を引用した。議論を重ねて協力すべきところは協力し、一部の利害でなく、国民全体の福祉を考える大切さを訴えた部分である。

 石橋氏はさらに演説で「国会に国民が寄せる信頼は、民主主義の基」と説いた。

 自民派閥の裏金事件で、国民の政治に対する信頼は大きく損なわれた。「民主主義の基」を取り戻すことも、今国会で与野党が背負う課題だ。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月30日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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