★自民党総裁選挙の推薦人20人集めは、陣営によっては苦労しているようだ。そこでものを言うのが、議員同士の過去の貸し借りや義理人情が最後の決め手になる。前回、推薦人集めに苦労したから協力した、今回はこちらがお願いしたい。そんなやりとりが続く。それでも禍根を残さぬように総裁選が決着すればノーサイド。そのために2人以上の立候補者にするよう努力する。また今回、首相・岸田文雄が出馬しないことで、党3役や閣僚も出馬が可能になった。

 ★一方、立憲民主党の代表選の推薦人集めも佳境だ。すでに出馬表明したのは元首相・野田佳彦と前党代表・枝野幸男。現職の泉健太は出馬の意向は示しているが推薦人が足りないようだ。この党を信用できないのは泉執行部の党幹部が泉の再選構想を知りながら泉を推さないことだ。党代表代行・辻元清美は吉田晴美を、同・西村智奈美は自身が出馬の構えを、同・逢坂誠二は枝野をと、現職がいながら別の候補出馬に動いている。では、何のための代表選挙なのか。20人の推薦人が集まらないというのは、泉の代表3年間の活動は間違いだと執行部の面々が認めているようなものだ。泉の代表時代の政策は何があったのか。党政調会長・長妻昭は何をしていたのか。

 ★同党ベテラン議員が言う。「推薦人集めのために各議員と話していると、どの候補者の推薦人にもなりたくないと言う議員が幾人もいる。野党の数少ない要職にありつくために、フラットでいたいという情けない話だ」。別の議員は「民主党が下野してからか、内紛を繰り返しているからか、党内議論をしなくなった。ネットや世論の批判や攻撃を恐れ始めて、野党の自由闊達(かったつ)な意見の交換が党内からなくなった。それで、20人集められているのが枝野と野田。この2人の対決では党の将来がないし、党は分裂に陥る」。執行部は中立を装い、泉の推薦人にならないようだが逆だ。堂々と泉支援をしなければ、泉執行部は全員、明智光秀だ。(K)※敬称略