【主張・08.31】:初尋問の兵庫知事 事態収拾へ進退判断せよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張・08.31】:初尋問の兵庫知事 事態収拾へ進退判断せよ
パワハラ疑惑などが文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事が30日、県議会の調査特別委員会(百条委)に証人として出席した。
パワハラ疑惑に関しては「記憶にない」と繰り返した。「不快な思いをさせたなら反省し、謝りたい」「パワハラかどうかは私ではなく百条委や第三者委が判断すること」とも語った。
告発文書は、元県幹部の男性が報道機関などに配布した。その後、県の公益通報窓口に通報したが、県は調査結果を待たずに男性を懲戒処分にした。男性は「死をもって抗議する」とのメッセージを残して死亡しており、自殺とみられている。百条委による職員アンケートでは、約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答した。
百条委員会で尋問を受ける斎藤元彦兵庫県知事=30日午後、神戸市中央区(代表撮影)
斎藤氏の百条委での答弁では疑惑が解消したとは言い難い。公益通報に基づく調査の最中に県幹部の処分を行ったことについては「誹謗(ひぼう)中傷性の高い文書で、懲戒処分に該当する行為があった」と述べ、適切だったとの考えを改めて示した。公益通報者を守れず死に至らしめた責任は重い。
信頼を大きく失ったトップが県政を円滑に運営することは難しい。事態を収拾させるためにも、斎藤氏は自ら進退を判断するときではないのか。
斎藤氏の右腕だった副知事は辞職し、病欠の末に異動を申し出た幹部もいる。県職員労働組合や県職員退職者でつくる団体などは辞職要求もしている。
斎藤氏はこれまで、すべての疑惑を否定してきた。アンケート結果については「コミュニケーション不足で受け取りのずれが生じたことは残念」などと述べ、業務上必要な範囲での適切な指導だと主張してきた。
だが、その認識は周囲の声から著しく乖離(かいり)している。県内の全29市でつくる県市長会は、一連の対応を「不適切」だと断じ、早期の事態収拾を求める要望書を提出した。
斎藤氏への30日の尋問は、パワハラ問題を中心に行われた。公益通報に関する尋問は9月6日に予定されている。
百条委は真相究明を尽くすとともに、ハラスメント防止のルール作りにも取り組む必要がある。県と県議会は通報者を萎縮させない再発防止策を講じて初めて、県民のための県政運営が実現する。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2024年08月31日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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