【検証!】:岸田総理の支持率が「衝撃の急降下」…「内閣総辞職」レベルの岸田政権に残された「数少ない手」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証!】:岸田総理の支持率が「衝撃の急降下」…「内閣総辞職」レベルの岸田政権に残された「数少ない手」
◆急降下する支持率
岸田文雄内閣の支持率が急降下している。危険水域と言われる「30%」の大台を割った調査も相次いだ。人気回復の決め手になるはずだった減税策も、年内実施が見通せず、逆に批判材料になる始末だ。解散・総選挙が難しくなった岸田政権は、どうなるのか。
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まず、最近の世論調査での岸田内閣の支持率を見よう(発表日順)。
お分かりのように、9社のうち、30%を割った調査が時事、毎日、朝日、共同、ANNと5社を数えた。注目されるのは前回との比較だ。日経・テレ東の9ポイントを筆頭に7社が下落し、いずれも過去最低を記録した。まさに、断崖から急転落といった感じだ。青木率については、後で説明する。
◆ハッキリしない岸田文雄の迷走
最近の岸田首相は、誰が見ても迷走していた。
たとえば、焦点の所得税減税について、自民党政務調査会が10月17日に政府に提出した提言は一切、盛り込まれていなかった。首相は20日に予定されていた所信表明演説で税収増の還元策を打ち出す構えだったので、党が首相に花を持たせる演出に協力したのだ。
ところが、20日の演説は衆参補選を控えた野党の反発で流れてしまった。すると、首相は急遽、20日夜に自民党の萩生田光一政調会長や宮沢洋一税政調査会長らを官邸に呼んで「所得税減税を含む税収増の還元策」の検討を指示した。
このあたりから、首相主導を演出しようとする官邸の小細工がバレていた。
22日の衆参補選は、自民党が選挙前には2議席を確保していたのに、1勝1敗と事実上の敗北を喫してしまう。だが、翌23日の所信表明演説では「成長による税収の増収分の一部を公正かつ適正に『還元』する」と述べただけで、所得税減税には触れなかった。
しかも、還元を明言はしたものの、それは「税収の増収分の一部」とケチった。これまた財務省の入れ知恵であるのは明々白々だ。書き込まれたのは、賃上げ税制強化の減税や投資減税、特許関連の減税、中堅・中小企業の省力化投資の補助に過ぎない。
この段階では、還元措置の具体策については「近く政府与党政策懇談会を開催し、与党の税制調査会における早急な検討を指示する」(演説)という段取りだった。ところが、24日には、早くも「所得税減税4万円、非課税世帯への給付7万円」という中身が報じられてしまう。23日に政府が自民税調の幹部会合に提示したからだ。
なんのことはない。岸田首相は最初から「4万円の数字」を念頭に置いていたのだ。財務省が首相と腹合わせしていたのは、言うまでもない。25日には、減税の中身について「所得税3万円、住民税1万円の定額減税」「所得制限はなし」「実施は来年6月」などと細目が決まっていった。
党税調が開かれたのは、その後の26日だ。所信表明演説では「党税調に検討させる」と言っていたのに、これでは党税調から「与党軽視だ。我々は追認機関ではない」という不快の声が上がったのも当然である。
◆外交・安全保障政策でも迷走する
迷走したのは、減税を決める政府と自民党の手順だけではない。
当初、増税の方向で見直すはずだった退職金の優遇課税も、30日になって「見直さない方向」と報じられた。防衛費の拡大に伴う増税は早い段階で先送りと決まったが、6月の「骨太の方針」に書き込まれた見直し路線まで流れてしまうのは、異例の事態だ。
骨太は政権の方向を示す大方針なので、霞が関の官僚が必死になって書き込みを目指す。安倍晋三、菅義偉両政権では官邸主導だったが、霞が関が牛耳る岸田政権では、なおさらだった。それでも消えてしまったのだから、首相がいかにドタバタしているか、を示している。「増税メガネ」批判が、よほどこたえたに違いない。
内政だけでなく、外交・安全保障政策も迷走した。
先週10月27日公開コラムで指摘したように、イスラエル情勢をめぐって、岸田首相は当初、イスラム原理主義組織ハマスの攻撃を「テロ」と非難せず、米欧の主要6カ国(G6)の共同声明にも加わらなかった。
首相は「バランス外交」などと言っているが、テロ組織と民主主義勢力の間に「バランス」などない。欧米には「日本の頭にあるのは、中東の原油確保だけ」と、とっくに見透かされている。外務省と経済産業省の言いなりで、自分の頭で日本の立ち位置を考えていない証拠だ。
こうなると、政権の「伝家の宝刀」と言われる解散・総選挙は難しくなる。
人気のない政権の下で解散されたら、多くの自民党衆院議員が落選しかねない。そうなると、政権は何のために解散したか分からず、なにより、落選しそうな自民党議員自身が、何が何でも「解散を阻止しよう」と動くからだ。
実際、新聞各紙は「このままでは、衆院選を戦えない」とか「解散は何らかの政権浮揚が大前提だ」などという自民党内の声を伝えている。岸田首相は、まさに解散の手を縛られてしまった形である。
◆内閣総辞職が妥当なレベル
岸田首相に残された手はあるのか、といえば、ほとんどない。
あるとすれば、減税に大幅な給付金を加えた抜本的対策をまとめて、せめて給付金だけでも年内に間に合わせるくらいだが、財務省べったりの岸田政権には到底、期待できない。そもそも中身のない言葉を羅列してきただけの政権に、いまさら実行力を求めるほうが無理というものだ。
先に世耕弘成自民党参院幹事長が参院本会議の代表質問で苦言を呈し、話題になったが、自民党内から岸田政権批判が噴出するのも時間の問題ではないか。不快感をにじませている税調幹部にとどまらず、選挙が心配な若手からも「岸田政権では戦えない」という声が表面化すれば、政局含みの展開になる。
すなわち、自民党内から「内閣総辞職」を求める声が広がるのだ。
いまや自民党議員の多くは「そうした展開を見据えている」とみる。目安になるのは、冒頭で紹介した表のうち、右側にある内閣支持率に自民党支持率を加えた「青木率」と呼ばれる数字だ。内閣官房長官を務めた故・青木幹雄氏が唱えた数字で、これが50%を割ると「内閣は倒れる」と言われている。
そこで、もっとも内閣支持率が低い毎日の数字をみると、青木率は「25+23」で48ポイントと50を割った。次に低かった時事も「26.3+21」で47.3ポイントである。青木率で見ても、岸田政権は完全に「内閣総辞職レベル」なのだ。
逆に、もっとも内閣支持率が高く出たNHKはどうかと言えば、こちらは「36+36.2」で72.2ポイントだった。「せめてもの慰め」といった感じである。
さて、岸田政権の支持が急落するなか、野党は何をしているのか。
所得税などの減税について、立憲民主党の安住淳国対委員長は「人気取りに減税を使っている。政権の命取りになる」と批判した。立憲は消費税減税と給付金を唱えているが、所得税減税には反対なのか。給付金に加えて、所得税も消費税も減税すればいいではないか。これだから「何でも反対の党」と言われるのだ。
維新は憲法改正問題を追及した。岸田首相は「首相の立場でここに立っているので、具体的な議論の進め方など、直接、何か申し上げることまでは控えなければならない」と答弁した。この答弁に岸田首相の「やる気のなさ」が明確に示されている。
これでは、保守岩盤層が岸田政権を見限るのも当然だ。
■長谷川 幸洋(ジャーナリスト)
元稿:現代ビジネス 主要ニュース 政治 【政局・岸田政権】 2023年11月03日 07:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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