【新聞に喝!】:兵庫県知事疑惑、贈答品の〝おねだり疑惑〟より公益通報と情報保全巡る問題点の総括 ■国防ジャーナリスト・小笠原理恵
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新聞に喝!】:兵庫県知事疑惑、贈答品の〝おねだり疑惑〟より公益通報と情報保全巡る問題点の総括 ■国防ジャーナリスト・小笠原理恵
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などを内部告発された問題が大詰めを迎えている。斎藤知事に対する不信任決議案が可決され、今後の去就が注目される事態となった。これまでの疑惑報道の中で特産品など多数の贈答品に関する〝おねだり疑惑〟が新聞・メディアで一定の比重を占めてきたが、筆者が注目してきたのは、一連の問題の発端となった元県民局長の男性=7月に死亡=への告発者保護を巡る報道だ。
令和4年の改正公益通報者保護法の施行で、新たに適切な公益通報者保護をするために必要な体制や措置を講じることが事業者に義務付けられた。また、内閣府は「やむを得ない場合を除いて、通報者の探索を行うことを防ぐ措置をとる」義務があると指針を出した。通報者の探索を防ぐ義務のある県自身が告発者を特定し、処分したことは法令違反だ。
こうした点について新聞・メディアが批判を強めるのは当然だ。しかし、見過ごされている論点がある。男性は3月12日にマスコミ、警察、議員などに厳正な調査を期待して告発文書を送った。その告発文書はなぜ斎藤知事の目に触れたのか―という疑問だ。斎藤知事の定例会見での説明によると、民間の方からの情報提供があったというが、この匿名の告発文書の取り扱いがずさんだったと言わざるを得ない。もちろん、匿名の告発には悪意や虚偽の情報もあれば、人の生死にかかわる重大な情報もある。告発文書が慎重に取り扱われていたのなら、結果は変わったはずだ。
3月下旬に解任された男性は4月に県の公益通報窓口に通報したが、県を優先しなかった理由として「当局内部にある機関は信用できない」ことを挙げた。県知事や側近ら利害関係者による報復を恐れたのだろう。
県議会の調査特別委員会(百条委)の冒頭では「痛恨の極みであります」と男性への黙禱(もくとう)がささげられた。産経は8月31日付の社説(主張)で「公益通報者を守れず死に至らしめた責任は重い」と断じたが、新聞・メディアは今回の疑惑について斎藤知事の去就で幕引きとせず、公益通報と情報保全の問題点について今一度総括してほしい。他の自治体でも繰り返される恐れがあるからだ。
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◆小笠原理恵
おがさわら・りえ 自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』。
元稿:産経新聞社 主要ニュース 政治 【話題・地方自治・兵庫県・兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などを内部告発された問題・知事不信任決議が県議会で可決された】 2024年09月22日 10:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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