【脱法売買-宗教法人法を問う】:㊥法人買収「即席僧」派遣 葬儀会社主導の宗教ビジネス
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【脱法売買-宗教法人法を問う】:㊥法人買収「即席僧」派遣 葬儀会社主導の宗教ビジネス
東京近郊の葬儀会社の一室に低い声が滔々(とうとう)と響く。「ハンニャーハーラーミーターシンギョウ…」。カセットテープに録音された般若心経を聞きながら、読経の練習に励む男性たちの姿があった。
彼らの多くは、葬儀会社の広告に応募して1週間ほど〝修行〟しただけの「即席僧侶」。大手宗派が認める僧侶の資格はない。葬儀会社が実質支配し、どこの宗派にも属さない「単立宗教法人」の認定僧侶として、各地の葬儀などに派遣される。
最初は先輩僧侶について回るが、じきに一人で読経するようになる。依頼者に合わせ、大手宗派のさまざまな名刺を用意する。葬儀が終われば依頼者からお布施を受け取り、そそくさと現場を立ち去る。「ボロを出すな」と葬儀会社から厳命されているからだ。
「彼ら『えせ僧侶』の頭にあるのはいかにお金を楽に稼ぐか。一般人にお経の違いは分からないと高をくくっている」。こう語るのは関東圏に住む僧侶、加藤泰明さん(65)=仮名。大手宗派の僧籍を持つが、この単立宗教法人の寺院に一時所属し、葬儀や法事などに派遣された経験がある。
この法人は大手宗派から離脱後、葬儀会社によって脱法的に買収されたといい、今も支配下にある。大手宗派の系統を名乗りながら、独自のプログラムで僧侶を育成する。即席僧侶たちは本山の歴史を語れなければ、読経もおぼつかない。塔婆(とうば)や位牌(いはい)の書き方も乱雑で、加藤さんは「メジャーリーガーと草野球くらいレベルが違う」と語る。
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近年、テレビCMやネット広告などで散見されるようになった「僧侶派遣サービス」。定額のお布施で僧侶を呼べるサービスとして浸透している。宗教離れが顕在化する中、葬儀や法事を依頼する先祖代々の「菩提(ぼだい)寺」を持たない人たちのニーズと合致した。
僧侶派遣サービスを展開する業者は全国で数十社以上。多くは法令を順守しているが、中には買収した宗教法人を利用するなどし、僧侶が受け取るべきお布施を巡って不透明なやり取りをしている業者もある。
前出の葬儀会社もこの一つ。会社側は取材に「付き合いのある寺(宗教法人)の僧侶に、葬儀や法要を担当してもらっているだけ」と主張するが、実際は宗教法人と葬儀会社の役員が一部重複しており、「付き合い」程度の関係には見受けられない。
派遣僧侶として宗教法人に所属するのは即席僧侶だけではない。加藤さんのように僧籍を持ちながら宗教離れで檀家(だんか)が減り、生活が苦しくなった小さな寺の住職が多いという。
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元稿:産経新聞社 主要ニュース 社会 【事件・疑惑・脱法売買-宗教法人法を問う】 2023年05月04日 18:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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