路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【政局】:なぜ内閣支持率が戻ったのか…「妖怪の孫」の原案者が看破する「30年ぶり賃上げ」のマヤカシ

2023-05-15 07:26:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【政局】:なぜ内閣支持率が戻ったのか…「妖怪の孫」の原案者が看破する「30年ぶり賃上げ」のマヤカシ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:なぜ内閣支持率が戻ったのか…「妖怪の孫」の原案者が看破する「30年ぶり賃上げ」のマヤカシ

 統一地方選は4月23日に衆参5選挙区の補欠選挙を含めて、投開票が行われる。その直前に岸田内閣の支持率がやや持ち直しているのは、遊説中に爆弾を投げ込まれながら、ひるむことなく選挙活動を続けている岸田政権の“覚悟”を評価したものなのか。それとも、岸田政権で暮らしが良くなると期待しているのか。少なくとも今年の春闘では大手企業の間で満額回答が相次ぎ、メディアも30年ぶりの賃上げ水準などと煽ったことから、庶民の期待が膨らんでいるのかもしれない。しかし、今年の賃上げを評価する前提として、過去にどれだけ損をしてきたかの検証も必要だ。

<picture>春闘の集中回答日を迎え、労使交渉の回答状況をボードに書き込む産業別労働組合「JAM」の職員(C)共同通信社</picture>

 春闘の集中回答日を迎え、労使交渉の回答状況をボードに書き込む産業別労働組合「JAM」の職員(C)共同通信社

 映画「妖怪の孫」の原案となった「分断と凋落」(日刊現代発行)の著者、古賀茂明氏は「日々のニュースに惑わされず、報道の本質を見抜く“リテラシー”が必要」とこう言う。

 「賃上げのニュースには二つの意味でマヤカシがあります。一つはいくら30年ぶりの賃上げと言っても、これまではどうだったのか、そこがすっぽり抜け落ちていること。日本はGDP3位ですが、その中身たるや惨憺たるものです。1990年の日本のGDPは3.2兆㌦で米国の半分以上、3位のドイツの2倍、中国の8倍でした。2022年のGDPは大幅な円安もあり4.2兆ドルで30年間で3割しか増えていない。伸び率が低いから今や、米国のGDPの6分の1、中国の4分の1まで落ちぶれて、ドイツには4%差まで追い詰められている。一人当たりGDPは2000年は2位だったのに、いまや31位(22年)。5位のカタール、6位のシンガポールのはるか後塵を拝する有様です。平均給与はOECD38国中24位。韓国やイタリアにも負けているのです」

 つまり、ちょっと賃金が上がったところで、今までのツケを取り返せないし、この賃上げが持続的にならなければ話にならない。さらには賃上げが物価上昇を上回り、実質賃金が上がらなければ、庶民の暮らしは良くならない。

 「ここにもう一つのマヤカシがあります。昨年末に物価上昇が4%になったことを受けて、岸田政権は企業に5%以上の賃上げを要請した。大企業はそれに応えているかに見えますが、この5%の賃上げの中には定期昇給分とベースアップ分(ベア)の両方が含まれている。定昇分はおおむね1.8%でこれは岸田政権が何も言わなくても上がる。真の賃上げとはベアのことで、こちらはというと3%程度にしかならないのです。これでは物価上昇に追い付かないから、実質賃金はマイナスになる。この3%程度というのも大企業中心の数字ですから、中小企業はもっと厳しい。岸田政権で暮らしがよくなるなんて、とんでもない誤解です」

 いち早く、そうした惨状に気づいた若者はどんどん、海外に出て行っている。日本人のオーストラリアへのワーキングホリデーでのビザ申請数は2021年7月~2022年6月までで前年比2.4倍だ。働きながら語学を身につけ、お金がたまったら、本格的な留学に切り替える。そんな若者が増えている。円安の上に、向こうの給料は高いから、カフェや寿司屋でのアルバイト代は時給2500~3000円になる。海外に出稼ぎに出る時代になったのである。

 それなのに、自民党政権はまだアベノミクスの失敗を認めず、反省をしていない。反省がなければ、政策転換もあり得ない。日本の地盤沈下は止まらない。選挙の際には、こうしたことも判断材料にしたいものだ。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・政局・内閣支持率】  2023年04月22日  15:35:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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