【政界地獄耳・06.08】:中国が黙っていまい米中距離ミサイル沖縄配備
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・06.08】:中国が黙っていまい米中距離ミサイル沖縄配備
★毎日新聞は7日、米ワシントンでウォーマス陸軍長官が会見し「地上発射型の中距離ミサイルやサイバー・宇宙領域の作戦能力などを兼ね備えた『マルチドメイン・タスクフォース(MDTF=多領域任務部隊)』の日本配備について『理論上は非常に有用だ。(沖縄県に25年までに配備される)米海兵沿岸連隊を補完できる』と期待感を表した」と報じた。多領域任務とは何か。陸、海、空、宇宙、サイバースペースで米国に挑んでくる高い能力を持つ敵に対して米陸軍全体で対応する考え。ソ連崩壊から今までの戦略的猶予の時代の終焉(しゅうえん)と共に、これからの中国やロシアとの「長期的・戦略的競争の再来」に対抗するために生まれた考え方だ。
2021年11月6日、フォートブリスのマグレガーレンジで行われた実弾演習でパトリオットミサイルを発射するパトリオットミサイルシステム。第38防空砲兵大隊とチャーリー砲台1-1ADAの兵士は、日本の自衛隊の第5防空ミサイル群および第11防空ミサイル群の相手と統合パトリオットミサイルの実射を行った。(米軍撮影:イアン・ベガ-セレゾ米陸軍伍長)
★政府が陸海空自衛隊の部隊運用を統括的にまとめる「統合司令部」と作戦を指揮する「統合司令官」を24年に創設することが言われているが、まさにマルチドメインが自衛隊との共同連携に効果的との判断であろう。今後は統合幕僚部が政府や米軍との行政的調整連絡を行い、統合司令部が部隊指揮や現場などでの軍事的運用に分けられることになる。それで効果が増すのが指揮官の目的や意図が明確になり、作戦の優先順位が明確になり、指揮官の判断と兵力割り当てが迅速に決まる。
★その一方、この共同運用には問題も多い。すべてが米軍の指揮下に入り、官邸すら報告の通過地点になりかねない危険がある。すべてが一元化することでマルチドメイン部隊で完結してしまい、国民に何が起きているかが分からなくなる。情報、監視、および偵察、またはサイバースペースの監視、および偵察を行うために求められる権限が非戦闘員と戦闘員の区別なく運用される可能性などがあげられるが、何よりも一番問題なのは冒頭の陸軍長官の「中距離ミサイルの沖縄配備」だ。トマホークとはわけが違う本格的装備がされた場合は射程に入る中国が黙っていまい。火種は多い。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2023年06月08日 07:49:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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