【主張①・11.02】:自・国の政策協議 石破執行部に資格あるか
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・11.02】:自・国の政策協議 石破執行部に資格あるか
自民党と国民民主党が政策協議に入ることで合意した。
衆院選に大敗した石破茂首相(自民総裁)と森山裕幹事長が何の責任も取らずに協議を進めるのは、異様な光景というほかない。
石破首相と森山氏は辞任し、自民は新執行部のもとで他党と協議に臨むのが筋だと改めて指摘したい。
石破首相は居座り、国民民主との「部分連合」の形成を図るつもりなのだろう。
会談に臨む自民党の森山幹事長(中央右)と国民民主党の榛葉幹事長(同左)ら=10月31日、国会
森山氏と国民民主の榛葉賀津也幹事長は10月31日、会談した。森山氏は経済対策や令和6年度補正予算案、7年度予算案の編成、税制改正での協力を呼び掛けた。「部分連合」の構築に向け、両党の政調会長による常設の会議体設置も求めた。
これに対し、榛葉氏は会議体設置を拒み、案件ごとに対応する意向を示した。森山氏は受け入れた。
国民民主は年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」の金額を178万円に引き上げることを最優先事項に掲げている。林芳正官房長官が7兆~8兆円程度の減収が見込まれるとの試算を示すと、国民民主の玉木雄一郎代表は「全くやらないなら協力できない。その時は予算も法律も通らない」と牽制(けんせい)した。
ガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」の凍結解除も看板政策の一つだ。
国民民主は衆院選で「手取りを増やす」ことを訴えて支持を得たため、その実現に注力するのは分かる。
ただ、両党の協議を巡り懸念はある。個別政策を切り離して交渉した場合、他の政策とバランスが取れなくなる恐れがあることだ。
厳しい安全保障環境を踏まえれば、防衛力の抜本的強化を滞らせてはならない。
政府は令和9年度までの5年間で防衛費総額を約43兆円と定めているが、増税時期は決まっていない。防衛増税は10年度以降の防衛費をきちんと確保することもにらんだ措置である。税制改正を行う場合は、税制全体との整合性を図ることも求められる。
国民民主は自党の政策実現だけを目指すのではなく、日本の平和と繁栄のための国家戦略をより明確に描き、日本を守り抜く政策でも責任ある姿勢を示す必要がある。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2024年11月02日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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