たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

雪組『フォルティッシッシモ』『シルクロード』-東京宝塚劇場公演(5)

2021年05月20日 16時15分26秒 | 宝塚
雪組『フォルティッシッシモ』『シルクロード』-東京宝塚劇場公演(4)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/cfef434fab1d33357c518247a8a7f706

 先のみえない不安な毎日、心がいたむニュースばかりの毎日、こんな時こそ、演者が全身全霊で届けてくれる舞台は心の栄養補給に必要。

 オンデマンド配信中のナウオンステージのだいもん(望海風斗さん)、「生きる強さを一回一回出し惜しみすることなくからっからっになるまで出し尽くしたい、それができるのはなにかを感じたいと思ってきてくださるお客様がいるからこそできることなんだと感じている。来てくださるからにはなにかを、元気をもって帰っていただきたいという気持ちで舞台をつとめている、一回一回大切に生き切りたいと思っている。ショーは男役としてこういうことをやってみたかった、こういうナンバーやりたかった夢が随所にちりばめられていて嬉しい、男役は終わりがないからこそ、追求している時間が楽しい、今いただいているものをより濃く成長させていただきたい。毎日こうしてがんばっているよというエネルギーをお届けできると信じて日々を大切に過ごしていきたい」と。

「時の砂原♪

作詞/生田大和 作曲/菅野よう子

涯てなく続く 砂 砂 砂
はじめは何があったのか
涯てなく続く 砂 砂 砂
はじめから何も無かったのか

この旅は 始まったばかりなのに
すべてが終わったあとのように
何もない

世界の終わる夜のよう
征くべき道さえ かき消された

ここにあるのは
砂だけだ
滴り落ちる砂の下には

遠い昔か 遥か未来か
降り積もる時に 足を取られた

誰かの夢が沈んでいる
征くべき道を見失い
後戻りさえ 許されず
飲み込まれていく
全てを奪う」

 プロローグでキャラバン男S@彩凪翔さんが歌う「時の砂原」、ナウオンステージでの翔さん「歓喜の歌からシルクロードへの切り替えなので責任重大、砂に巻かれているんだけれど自分も砂に巻かれているかのように進めていってほしいと、話に入りつつも回していってほしいと先生から言われた、難しいけれど楽しいと」。この役割を翔さんにあてて、出番も多く魅せばたっぷり、座付作家の生徒への愛。生田先生、実際にシルクロードへ行かれたことないと思いますが想像力の翼を羽ばたかせてイメージを膨らませることができる作家ってすごいですね。私的に、中国当局の新疆ウイグル自治区への制圧が強くなっている中、自分が1991年に訪れたシルクロードのオアシスで出会った子供たちは、どうしているのだろう無事に生き延びているのだろうかと思いを馳せました。無事であればと祈るような気持ちです。

旅の思い出写真_シルクロードの子供たち
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/402d720bfc7318e9058f414d6226012d

フィナーレの男役燕尾服での群舞、振付は羽山紀代美先生、

「男は仲間たちと巡り会った。そして頂へと登った。男の旅は終わるが、仲間たちの旅は続く。男は、仲間に思いを託して行く。」

 燕尾服のだいもんが大階段を降りてきて、咲ちゃん(彩風咲奈さん)に託す青い薔薇を背中に
するポージング、2階席13列目から遠いですが、オペラグラス越しのいちばん美しい角度でみることができました。青い薔薇を受け取った咲ちゃんが率いる男役さん群舞、踊りながら彩彩(彩凪翔さんと彩風咲奈さん)がみつめあっていた場面、心に刻みました。いろいろ映像をみていると咲ちゃん、翔さんを心からリスペクトしているんですね。誰よりもかっこいいと惚れまくり。翔さん、燕尾服が男役としてほんとにほんとの最後、今までありがとう、これからの雪組を頼むよ~という気持ちだったでしょうか、わたしの勝手な想像ですが。託された咲ちゃん、その重さと責任をずっしりと感じながら、二度とないこの時をいつくしむような表情にみえました。

 流れが前後しますが、15場「大世界(ダスカ)」、オンデマンド配信で『BUND/NEON上海』(2010年花組、宝塚バウホール公演)をみたあとだったので、この場面のもつ意味がわかりました。劉衛強はまあ様(朝夏まなとさん)初主演、生田先生のデビュー作『BUND~』でだいもんが演じた役なんですね。ナウオンステージで「誰も気づかないと思うけど衣装の黒いパンツは10年前のもの、上は成長したので新しいもの」とだいもん。真彩希帆ちゃんのラップ、だいもんのダンス、だいもん、真彩ちゃん、咲ちゃんの三人で踊るタンゴ、素敵でした。












 だいもん、出身地で聖火リレーランナーのオファーがきていたんですね。複雑な思いがあるだろうと思います。今の状況下で矢面にさらされてほしくないと個人的には思います。舞台の上がいちばん素敵。チケットがとれるかどうかは別にして夏のKATTのコンサートで笑顔を届けてほしいと思います。




雪組『フォルティッシッシモ』『シルクロード』-東京宝塚劇場公演(4)

2021年05月20日 00時50分02秒 | 宝塚
雪組『フォルティッシッシモ』『シルクロード』-東京宝塚劇場公演(3)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/a4c2de03326cd73056bbb28c3131d095

『フォルティッシッシモ』、

 2013年雪組宝塚バウホール公演、彩凪翔さん単独主演『春雷』、オンデマンド配信中、凪様瑞々しくてものすごく綺麗、ゲーテと「若きウェルテルの悩み」のウェルテルとの二役、年月を重ね男役として、役者としての経験値を積み上げ、退団公演で再びゲーテに巡り合えたのはまさに運命なのかもというのは言い過ぎでしょうか。退団後にたちあげられたインスタグラムの写真がものすごく美しくて清々しさにあふれているので、やりきって卒業されたんだなあと。元気な様子に会えるのは嬉しいかぎりです。今さら感ですが3月13日(土)に観劇して印象に残ったことを断片的に思いつくままにもう少し備忘録。

 沙月愛奈さんが劇中劇として登場する「若き~」でロッテの役をえんじているのも『春雷』をみて納得しました。

ショー『シルクロード-盗賊と宝石』、

 お正月に宝塚大劇場で観劇したときはまだ気づいていませんでしたが、かめばかむほど生田先生の退団者への愛とリスペクトにあふれた作品。悠久の時を超えて果てしなく続くシルクロードの旅と花園からの卒業がさりげなく美しく重ね合わせされていてどんどん好きになっていった作品。東京宝塚劇場にきて熱量がぐっとあがったように思います。 

フィナーレの冒頭、キャラバン男S@彩凪翔さん、

「時を超え、場所を変えて、キャラバンはまだまだシルクロードを行く。旅は続いているのだ。」

 銀橋をひとり歌いながら歩いた翔さん、男役として最後の彩凪翔の姿を焼き付けてほしいといわんばかりのエネルギーがほとばしっているように感じました。ハットのかぶった姿は、頭のてっぺんから指先までのラインが美しく、わたりきったときハットを少しあげたときの口元、わたしの席からはみることができなかったのは残念でした。宝塚大劇場千穐楽ライブビューイングの時は、「さようなら」と言ったようにみえました。男役としての翔さんのかっこいい姿、見納めでした。