たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

雪組『フォルティッシッシモ』『シルクロード』-東京宝塚劇場公演(3)

2021年05月03日 15時54分04秒 | 宝塚
雪組『フォルティッシッシモ』『シルクロード』-東京宝塚劇場公演(2)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/74709e7698e68d674badcd3e4a405c62

 3月13日(土)に15時30分公演を観劇した後、お正月に宝塚大劇場へ遠征したとき購入したプログラムを熟読しました。東京にきて作品に新たな命が吹き込まれていると感じた二本立て。座付き作家の退団者への愛とこだわりが伝わってきました。そしてこのような状況下で生きることをあきらめてはいけないという思いを伝えようとしてくれているのだと思いました。こんな時こそ一人でも多く若い人に、ライブ配信を通して、命がけで届けられる舞台をみてほしい、そこには命が息づいています。

 ショー『シルクロード-盗賊と宝石』、バザールの場面が、わたしが湾岸戦争の頃、実際にシルクロードへの旅で訪れた新疆ウイグル自治区カシュガルのバザールを思い出させてくれる雰囲気。衣装、舞台装置、音楽が見事に世界観を体現しています。その中で繰り広げられる、悠久の時の流れと人が生きるための営み。

「アメリカのスミソニアン博物館に安置されるに至る現代まで、持ち主を転々としてきたが為に「呪われた青いダイヤモンド」として知られるようになった「ホープ・ダイヤモンド」。その産地は現在のインド・デカン高原であり、正にシルクロード生まれの宝石だ。この青い宝石と一人の盗賊との出会いから、ショーは幕を開ける。」(公演プログラムより)

 盗賊の首領がだいもん(望海風斗さん)、ホープ・ダイヤモンドが一人の女へと姿を変えた宝石が真彩希帆ちゃん、生田先生が希望コンビに託したメッセージはHope、「Hopeは希望。希望の宝石」。憧れから憧れへと、退団する希望コンビが次へと希望を託すメッセージに作者の今この状況下で託したいメッセージが見事に融合した「盗賊と宝石♪」、だいもんと真彩ちゃんの繊細で美しいデュエットを聴いた公演のあと、プログラムで歌詞を読みながら、その深さに心がふるえました。

 歌われたのは18場、「暗闇に包まれた死の世界に立っているのは、あの盗賊の首領と宝石。盗賊の首領は、世界の行き過ぎた結末に戦慄する。宝石が望んだ未来(あした)を共に生きていこう・・・盗賊の言葉に宝石は瞳を開いていく。二人の背後に広がってゆく光を取り戻した世界。恐れを捨て、共に手を取り、光に向かって進む・・・その歩みは彼らに続く誰かの道となるのだ。盗賊と宝石は二人だけの最後の旅に出る。後に続く人々に夢を託してー。」

 背景に暗闇の中から大きく枝を広げた緑いっぱいの巨木が浮かび上がってくる素敵な場面でした、かつて、今もかもしれませんが日立のコマーシャルで流れていた「この木なんの木~♪」を思い出しました。希望を託された木が浮かび上がってくると、二人の前には次の雪組を率いる咲ちゃん(彩風咲奈さん)と朝月希和ちゃんが鳩として登場。

 公演プログラムに書かれている生田先生のこのあつい思いを込めた場面なのだと、東京公演を観劇したあとしみじみなった次第。

「本来であれば今作は既に「終わっている」公演である。それが、延びた。
 社会情勢を覆す禍の渦中で、我々のような仕事の存在理由とは何か?自問する時間が多くなった。答えの見つからない堂々巡りの時間から逃れるように迷い込んだ人気ひとけのない森で、朽ちて倒れた一本の木と出会った。
「かわいそうな木だ」と、はじめにそう思った。だが、その朽ちた根株を覗き込んだ瞬間、心を打たれた。
 虫、苔、茸、そして光を目指して伸びる新たな目・・・朽ち果てた木が育み、繋いでいく生命の輪の美しさと瑞々しさに感銘を受けると同時に、その輪の中に人がいないような気がしてならなかった事が作品の性質に変化を加えた。

 人間は、思いを遺す。そして、その思いは続く誰かの道になる。」

 だいもんのターバンを巻いた盗賊の扮装、真彩ちゃんの青い宝石をイメージしたドレス、素敵でした。ターバン、男役がいちばんかっこよく見えるから巻いてみたいとオンデマンド配信で視聴した番組でだいもんが話していたことがあって、最後に叶ってよかったと思いました。

「盗賊と宝石♪

作詞/生田大和 作曲/菅野よう子

闇に閉ざされて 何も見えない
呪われた人々が
辿り着く先は 何もない
世界の終わりに 今 俺は見たい
恐れずにもう一度
その瞳を開いて

 共に生きてく その日々こそが
 永遠に
 輝き続ける宝石

君が見たいと望んだ未来(あした)を僕に
So Blue
見せてくれないか
君に光を
僕に希望を
僕に希望を

 たとえ今は
 二人だけ
 見えなくても
 二人だけ
 永遠(とわ)に

たとえ今は 見えなくても
描いた夢 消えはしない
胸に青く 光る 希望
あなたと生きる 未来(あした)

 命は巡るよ
 恐れ捨てて 共に手を取り
 光に向かって進もう
 僕らの歩みが        朽ち果て倒れた木から 
 続く誰かの 道になろう   光を ただ目指して
 光の道になろう
 
想像の翼を 広げて飛び立てば
世界はこんなにも
輝いていて
美しい驚きに 満ちてる

 命は巡るよ
 朽ち果て 倒れた木から
 光を ただ目指して
 夢の続き 託して

共に歩んだ旅路の果てで
最後にもう一度
君の最後を
俺が奪おう
誰にも 渡さない

 命は巡るよ
 夢を夢を
 朽ち果て 倒れた木から
 重ねゆこう
 光を ただ目指して
 光 溢れる道へ
 行こう
 目覚めの時」

 二人のお披露目公演となった生田先生の作品『ひかりふる路(みち) ~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~』とも重ね合わせた歌詞。オンデマンド配信で生田先生のバウホール公演デビュー作にしてまあ様(朝夏まなとさん)の初主演2013年花組『BUND NEON 上海』を視聴したので、15場大世界(ダスカ)の場面がもつ意味もよくわかりました。

 わたしのお財布ではライブ配信を全部みることは無理なので見送りましたが、5月1日のエリザガラコン2016年宙組フルコスチュームバージョン、まあ様とだいもんの退団後初共演、思ったよりも早く再び同じ舞台に立つことができて涙していたとか。ものすごくたくさんの方がライブ配信を視聴して、それは出演者さんにも伝わったようでよかったです。まあ様がインスタで舞台は観客が入ってこそと正直な思いを書いてくれたのもまた然り、昨日の星組公演もたくさんの方が視聴したようで、送り手と観客の思いが一つになった宝塚と梅田芸術劇場のライブ配信の成功は大きいと思います。
   










                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

緊急事態宣言、演劇界は東京都の「怠慢」に振り回された

2021年05月03日 11時42分53秒 | ミュージカル・舞台・映画
「緊急事態宣言、演劇界は東京都の「怠慢」に振り回された
根拠示されぬ「中止要請」と向き合いながら

伊藤達哉 演劇プロデューサー、「緊急事態舞台芸術ネットワーク」事務局長

コロナ禍で舞台芸術界は1年以上、激しい「出血」を強いられてきた。当時の安倍首相が突然、「大規模イベントの中止・延期」を要請した2020年2月26日以降、膨大な数の公演が中止・延期を余儀なくされ、19年には6295億円あったライブエンターテインメント市場は、その8割を失った(ぴあ総研試算)。息も絶え絶えなところに3度目の緊急事態宣言が出た。演劇界を横断する「緊急事態舞台芸術ネットワーク」事務局長の伊藤達哉さんが現状を語る。(構成・山口宏子)」

https://webronza.asahi.com/culture/articles/2021042800009.html

 朝日新聞RONZAの記事、無料で読めます。予期せぬ早く訪れた帝国劇場『モーツァルト』の大千穐楽で、小池先生の言葉から悔しさが伝わってきたのも、ゆんが悔しいと言葉にしていたのもこういうことだったのかと納得しました。育三郎さんが涙を流していたのも。

 劇場は本当に手を尽くしています。終演後の観客を送る時、特に帝国劇場はスタッフが静かに深く頭を下げてくれます。一回一回舞台の幕を無事に開けるために必死で取り組んでいます。帝国劇場のお手洗い、電光掲示板を設置して空いているところがわかるようになっていました。時間かかりますが、スタッフが密にならないように誘導しているので混乱はおきません。わたしにできることは指示に従うこと、ペットボトルで水を飲む以外はなにも口にしてはいけないので東京宝塚劇場で『アナスタシア』を観劇したときは、幕間に劇場の前でお菓子食べてペットボトルの紅茶を飲みました。検温の実施、オーケストラボックスの演奏者はみなさん黒マスク、会話は慎むように終始スタッフが呼びかけ、最近のチケットはオンラインで購入すると購入者の名前と緊急連絡先が登録済みであることも表示されるようになっています。劇場の灯りを消さないためにやれるかぎりを尽くしているので感染源になっていません。どこよりも綺麗な場所だと思います。



『モーツァルト』、14日から17日まで札幌公演。ゆんが希望は繋がっていると話しています。数日前に大がかりな舞台装置や衣装を東京から大型トラックで運び、スタッフとキャストのみなさんは飛行機で移動して舞台稽古。みえないところでたくさんの人が動き時間をかけてひとつの舞台が創り上げられています。観劇のために電車に乗って移動してはいけないのに、オリンピックの聖火リレーは続いているなんておかしいでしょう。時計台のライトアップを止めることになんの意味があるのかわかりません。無事に上演できることをただただ祈っています。千穐楽を待たずに帝国劇場の公演を中止にしなければならなかったの、本当にもったいない。チケットを購入したときから楽しみに待っている方々ののもとに無事に届けられますように・・・。