2020年6月12日:星組『鎌足-夢のまほろば、大和し美しー』_思い出し日記(4)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/000bb20c967c82a9f61fca398340af9a
断片的な備忘録、書き留めておきたい恵尺のぞくっとする言葉。
一樹千尋さん演じる僧旻(そうみん)と共に物語の案内役となる、天寿光希さん演じる船史恵尺(ふねのふひとのえさか)は登場シーンからぞくっとさせてくれます。ライブビューイングでは見逃した冒頭の場面、オンデマンド配信で視聴してようやく物語の全体がわかりました。僧旻が恵尺の庵を訪ねるところから舞台はスタートします。
僧旻「達者なようだな恵尺」
恵尺「旻法師、あなたがわたしの庵をたずねられるとは・・・」
僧旻「たずねたのではない、迷いこんだというべきか」
恵尺「ハハハハハ、どうりで、あなたがここを訪れるはずはないと思いました。わたしをきらっておられましたから」
僧旻「ここはどこだ?」
恵尺「天命の時空、世のことわりから遠く離れた場所でございます」
僧旻「天命だと、ここでなにをしている?」
恵尺「あいもかわらず歴史を編んでおります。人の世の続く限り、わたしのつとめのようでございます。記すべきを記し、記すべからざるべきをすて、わたしはあったことをなかったことにする、なかったことをさもあったかのように記さねばなりません。実に厄介、ハハハハハ」
僧旻「ずいぶんと傲慢なものだな、歴史とは」
恵尺「それを力にかえるものもおります」
僧旻「そのかげでおとしめられるものがいる」
恵尺「すくわれるものもおります」
僧旻「やはり、わしとお前は相容れぬ」「どうやら訪れるべきではなかったようだ」
恵尺「まあまあ。空をご覧くださいませ、この星々と同様、悠久のときを与えられた我々のこと、法師、ひとつ歴史を編んでみませんか」
僧旻「わしに歴史を編めと」
恵尺「たまには立場をいれかえてみるのも一興、それにこのものについてはあなたの方がお詳しい」
僧旻「だれだ?」
恵尺「藤原鎌足(ふじわらのかまたり)」
僧旻「ことわる」
恵尺「鎌足のあなたの弟子ではありませんか、よくご存知のはずでは」
僧旻「わしをせめるのか?」
恵尺「責めてなどおりませぬ」
僧旻「もしもわしがとめておれば」
恵尺「もしもとめておれば、もしも出会わなければ、もしも争わなければ、もしも血が流されなければ、だがもしもはあり得ない、すべておきたことなのです、法師。過去はこんなにも力強い」「未来になんの値打ちがありましょう」
僧旻「それでは希望はどこにある?」「過去に希望はあるのか?人は希望がなければ生きてゆけぬ」
恵尺「その希望のためにどれだけの犠牲がはらわれたことになるのか、たったひとりの希望のために」「はからずも世はくつがえり、歴史はあらたにかきかえられる、希望と絶望ではつりあいがとれぬ」
僧旻「いいや、それは違う!」
恵尺「では、語ってくださいますか、証しだててくださいますか」
僧旻「ああ、語ろうではないか、全ては志からはじまったのだ」「あの夜、天から星がおちてきた」
ここで紅ゆずるさん演じる鎌足が登場し、「大和はゆめのまほろば~♪」「たたなづく 青垣 山隠れる(やまこもれる) 大和しうるはし~♪」と主題歌を歌います。大和ってどんな国なんだろう、それを全部曲で表現している作曲の太田健先生すごいと思うとはナウオンステージでの紅さんのお話でした。
冷ややかな表情で高笑いする恵尺、天寿光希さんに演じてほしいというのは生田先生のたっての希望だったとか。異色の存在で物語の黒幕のような不気味さたっぷり。冒頭わずか4分ほどのシーン、聴き取れていないところもあるのですが書き留めておきたいと思って、文字起こししてみたら深かった。ナウオンステージで紅ゆずるさんも話されていますが、史実と虚構が入りまじった物語。わたしたちが今史実として教えられていることが虚構で、虚構だと思っていることが史実かもしれません。ぞくっとするような面白さに美しく壮大な音楽。なんかいみてもやめられません。
ライブビューイングで深く心に残った、物語の最後、自分の人生は何も残らなかったと病の体を震わせる鎌足の全てを肯定するあーちゃん(綺咲愛里さん)演じる車持与志古郎女(くるまもちよしこのいらつめ)の言葉も後日あらためて書き留めておきたい。およそ1300年前の日本が舞台。名前がむずかしいです。
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/000bb20c967c82a9f61fca398340af9a
断片的な備忘録、書き留めておきたい恵尺のぞくっとする言葉。
一樹千尋さん演じる僧旻(そうみん)と共に物語の案内役となる、天寿光希さん演じる船史恵尺(ふねのふひとのえさか)は登場シーンからぞくっとさせてくれます。ライブビューイングでは見逃した冒頭の場面、オンデマンド配信で視聴してようやく物語の全体がわかりました。僧旻が恵尺の庵を訪ねるところから舞台はスタートします。
僧旻「達者なようだな恵尺」
恵尺「旻法師、あなたがわたしの庵をたずねられるとは・・・」
僧旻「たずねたのではない、迷いこんだというべきか」
恵尺「ハハハハハ、どうりで、あなたがここを訪れるはずはないと思いました。わたしをきらっておられましたから」
僧旻「ここはどこだ?」
恵尺「天命の時空、世のことわりから遠く離れた場所でございます」
僧旻「天命だと、ここでなにをしている?」
恵尺「あいもかわらず歴史を編んでおります。人の世の続く限り、わたしのつとめのようでございます。記すべきを記し、記すべからざるべきをすて、わたしはあったことをなかったことにする、なかったことをさもあったかのように記さねばなりません。実に厄介、ハハハハハ」
僧旻「ずいぶんと傲慢なものだな、歴史とは」
恵尺「それを力にかえるものもおります」
僧旻「そのかげでおとしめられるものがいる」
恵尺「すくわれるものもおります」
僧旻「やはり、わしとお前は相容れぬ」「どうやら訪れるべきではなかったようだ」
恵尺「まあまあ。空をご覧くださいませ、この星々と同様、悠久のときを与えられた我々のこと、法師、ひとつ歴史を編んでみませんか」
僧旻「わしに歴史を編めと」
恵尺「たまには立場をいれかえてみるのも一興、それにこのものについてはあなたの方がお詳しい」
僧旻「だれだ?」
恵尺「藤原鎌足(ふじわらのかまたり)」
僧旻「ことわる」
恵尺「鎌足のあなたの弟子ではありませんか、よくご存知のはずでは」
僧旻「わしをせめるのか?」
恵尺「責めてなどおりませぬ」
僧旻「もしもわしがとめておれば」
恵尺「もしもとめておれば、もしも出会わなければ、もしも争わなければ、もしも血が流されなければ、だがもしもはあり得ない、すべておきたことなのです、法師。過去はこんなにも力強い」「未来になんの値打ちがありましょう」
僧旻「それでは希望はどこにある?」「過去に希望はあるのか?人は希望がなければ生きてゆけぬ」
恵尺「その希望のためにどれだけの犠牲がはらわれたことになるのか、たったひとりの希望のために」「はからずも世はくつがえり、歴史はあらたにかきかえられる、希望と絶望ではつりあいがとれぬ」
僧旻「いいや、それは違う!」
恵尺「では、語ってくださいますか、証しだててくださいますか」
僧旻「ああ、語ろうではないか、全ては志からはじまったのだ」「あの夜、天から星がおちてきた」
ここで紅ゆずるさん演じる鎌足が登場し、「大和はゆめのまほろば~♪」「たたなづく 青垣 山隠れる(やまこもれる) 大和しうるはし~♪」と主題歌を歌います。大和ってどんな国なんだろう、それを全部曲で表現している作曲の太田健先生すごいと思うとはナウオンステージでの紅さんのお話でした。
冷ややかな表情で高笑いする恵尺、天寿光希さんに演じてほしいというのは生田先生のたっての希望だったとか。異色の存在で物語の黒幕のような不気味さたっぷり。冒頭わずか4分ほどのシーン、聴き取れていないところもあるのですが書き留めておきたいと思って、文字起こししてみたら深かった。ナウオンステージで紅ゆずるさんも話されていますが、史実と虚構が入りまじった物語。わたしたちが今史実として教えられていることが虚構で、虚構だと思っていることが史実かもしれません。ぞくっとするような面白さに美しく壮大な音楽。なんかいみてもやめられません。
ライブビューイングで深く心に残った、物語の最後、自分の人生は何も残らなかったと病の体を震わせる鎌足の全てを肯定するあーちゃん(綺咲愛里さん)演じる車持与志古郎女(くるまもちよしこのいらつめ)の言葉も後日あらためて書き留めておきたい。およそ1300年前の日本が舞台。名前がむずかしいです。