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橋下・松井府政:知ってほしい7つの「検証」
新日本経済新聞 2015年9月23日
京都大学大学院教授 藤井聡
http://satoshi-fujii.com/shinnihon2-150923/
この選挙で、「維新」候補が市長・知事を併任することになれば、橋下維新政治は、国政まで巻き込みながらますます拡大していくことが予期される一方、双方で破れれば、その真逆に、「橋下維新」の政治勢力の存亡が危惧される事態に陥ります。
さて、この大阪ダブル選には、大阪都構想の復活や彼らが立ち上げる国政政党「おおさか維新の会」への期待・信任等、いくつかの争点が考えられますが、やはり、最大の争点は、
「橋下・松井府政の検証」です(もちろん、橋下市政検証を含みます)。
橋下氏が大阪府知事に就任した平成20年からの7年間の彼らの「維新・改革」行政が高く評価できるなら、是非、その方針を継続いただく「選挙結果」が必要となります。一方で、「うんざり」するような内容なら、その限りではありません。
ついてはここでは、大阪ダブル選の有権者、ならびに、世論を担う一人一人の国民の皆様方の、適切な検証判断を支援することを目指し、橋下維新の支持・不支持に関わらずどなた様でも認識しておくべき、7つの検証事実を紹介します。
【検証1】橋下・松井府政は、過激な「緊縮」路線である。
まず、橋下・松井府政のあり方をトータルで見る上で、最も代表的な検証ポイントは、「行政がどれだけおカネを使ったか?」という「財政」の視点です。
これについては、大阪府は、橋下府知事就任以降、過激な「緊縮」の路線を採用しています。
下記のグラフからも明らかなとおり、橋下府知事就任以降、
・政府支出それ自身(名目公的支出合計:左軸)も、
・公共投資(名目総公的固定資本形成:右軸)も、
それぞれ過激に削減されているのです。
http://satoshi-fujii.com/150911/
これはそもそも、「維新・改革」路線というのは、民主党の事業仕訳や小泉・竹中の構造改革と同様に、結局は、支出を絞りに絞っていく「緊縮」路線に他ならない、という事実に対応しています。
【検証2】橋下・松井府政は、大阪の景気を凋落させた。
さて、これだけの「緊縮」路線を採用していれば、景気は確実に低迷していくはずです。
なぜなら、下記グラフからも明らかなとおり、政府支出の伸びが高い都道府県ほど、より高い成長を遂げており、逆に支出が減少した都道府県は、成長できないという明確な関係があるからです(そしてそれが生じているのはもちろん、内需の主要部を行政支出が占めており、それが減少すれば、当然の如く、成長率そのものも低迷するからです)
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/wp-content/uploads/2015/09/osakajitsujo/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%894.JPG
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/wp-content/uploads/2015/09/osakajitsujo/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%895.JPG
実際、橋下知事誕生の直前と直後の大阪府、ならびに、京阪神を抱える京都府、兵庫県の実質成長率を比較した所(いずれの件もリーマンショックによって成長率そのものは鈍化しているものの)、大阪府だけより激しく成長率が低下していることが確認できます。
https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/701466929954253?pnref=story
しかも、大阪府だけが、橋下府知事誕生以降、「プラス成長」から「マイナス成長」に転落しています。つまり、大阪府の経済は、橋下府政下で、明確に「成長」から「凋落」へと転落してしまったのです。
つまり、橋下・松井府政の維新・改革路線は、緊縮を通して着実に景気停滞を導いているのです。
【検証3】橋下・松井府政(による景気低迷)で、府民所得が低下した
景気が低迷すれば、当然、府民の「所得」は低下するはずです。この点を確認すべく、大阪府の都道府県民所得を確認したところ、
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kenmin/files/contents/main_h24.html
「一人当たり所得」の都道府県ランキングは、就任時(平成20年度)で5位
であったのもかかわらず、最新のデータ(平成24年度)では、最新(平成24年度) 10位
にまで下落しています(なお、平成20→24年の一人当たり所得の全国の変化は「-0.1%」であったところ、大阪府では、実に「-4.4%」となっていた)。
つまり、橋下・松井の維新路線は、景気後退を導き、確実に 大阪府民の皆さんの「財布」に悪影響を及ぼしているわけです。
【検証4】橋下・松井府政(による景気低迷)で、財政は大幅に悪化した
前回の昨年の統一地方選の際、大阪維新の会は、橋下氏の映像をバックで放映しながら、選挙活動の一環として「大阪府の財政 赤字を黒字化」とテレビCMで毎日放映していました。
このCMを見た人々は、橋下氏の改革のおかげで、火の車だった大阪府の財政を立て直した―――と勘違いすることは間違いありません。
しかし、それは明確な勘違いなのです(ここでは詳細を割愛しますが、「臨時財政債権」を活用した操作で、大阪府の赤字が表面上隠されてきた、という事はさまざまに伝えられています)。
下記グラフからも明らかなとおり、橋下知事就任以前の年間債務増加額は、454億円でしたが、橋下氏知事就任は一気にそれが倍以上に悪化し、年間1072億円ずつ増加しているのです!
http://satoshi-fujii.com/150422-2/
これは、橋下府政の維新・改革によって政府支出それ自身が低下したものの、それによって景気が縮退し、最終的に税収が低迷することとなったからです。
つまり、現状の大阪府の財政はやはり、ギリシャと同様に、「過激な緊縮」によって改善するどころか(景気低迷を通して)「悪化」してしまったのです。
【検証5】橋下・松井府政は、中小企業を冷遇した
以上、橋下・松井府政の「マクロ」な側面を確認したところ、
緊縮 ⇒ 景気低迷 ⇒ 府民所得低迷 + 財政赤字化
という、理論的に極めて妥当かつ明白な因果プロセスを経て、大阪府民の利益を大きく損ねている様子が確認されました。ここからは、そうしたマクロな視点では無く、ミクロな視点、個別的視点で、橋下・松井府政を確認して参りたいと思います。
まず、「産業政策」についてですが、この点については、橋下・松井知事両名の改革路線では、「新産業創出」が特に重視されている様子が報告されています。
(http://satoshi-fujii.com/wp/wp-content/uploads/2015/05/sympo1_honda.pdf
および
http://www.ustream.tv/recorded/63829529 を参照ください)
ただし、大阪市内の事業所の98.1%を占めるのが「中小企業」なのです。しかしそれにも関わらず、橋下維新側は、「中小企業のまち」なのに…(中略)…「中小企業」がまともに取り上げられない」と(上記資料にて)指摘される程に、中小企業対策が停滞しているのが、実態です。
具体的には、カジノ構想に代表される大企業優遇措置が重視される一方、長年続いてきた支援策が廃止される等(屎尿保険協会の廃止・統合、中小企業支援部局の経済局内での相対的低下、等)、様々な業界支援策が縮小されてきています。
なお、こうした業界支援カットが、橋下・松井府政の「緊縮」の具体像であり、これが、府民所得の低迷を導く直接因となっているのです。
【検証6】橋下・松井府政は、「都市計画」を大幅に劣化させた
橋下・松井府政の大きな特徴は、大阪府市の「都市計画」を大幅に劣化させた、という点にも見いだすことができます。
大阪市では、長期的視点から都市計画を推進するため、日本各地に先駆け、昭和42年、日本で最初に、本格的 「総合計画」(都市計画をはじめ、施策全般のためのマスタープラン)を策定し、その後も何度も改訂を重ねて、今日の大阪の発展の基礎が築かれました。
ところが、「大阪市を解体」する「都構想」を標榜してきた橋下・松井府政らでは、大阪市を中心とした「都市計画の基盤となるマスタープラン」が実質上放棄されることとなったのです。
結果、大阪市は全国の中で唯一、「都市計画の基盤となるマスタープラン」が存在しない政令指定都市となってしまったのです!
なお、橋下・松井府政では、そのマスタープランの代わりに「グランドデザイン大阪」なるものが2012年に策定されたのですが、その内容は、一部の都市計画の専門家からは嘲笑の対象となる程、不十分な代物となっています。
第一に、大都市大阪の都市計画であるにも関わらず、府市統合の視点が優先され、京阪神、近畿、西日本、といった周辺諸地域との合理的連携についての記述は著しく不十分となっています。
第二に、これまで大阪市が取り組んできたマスタープランの内容との整合性が基本的に考慮されていないという点で、都市計画としては大きな問題を抱えています。
第三に、府市統合が重視されすぎ、大阪市内の記述のみが記述されている一方、周辺都市(堺市等)の計画がほとんど記載されておらず、都市圏全体のマスタープランとしては本質的な問題を抱えています。
つまり、橋下・松井府政は、大阪の都市計画を大幅に劣化させてしまったのです。この状況を放置すれば、未来の大阪の疲弊はより決定的なものとなることが危惧されます。
なお、都市計画の主要部に位置する大災害対策については、防災学の第一人者・河田恵昭京都大学名誉教授が次のように指摘するように、橋下・松井府政の目玉である「都構想」において著しく軽視されている様子も指摘されています。
「防災・減災は選挙の票につながらないと素人政治家は判断し、今回の大阪都構想における大阪市の区割りや大阪府との役割分担において、防災・減災は全く考慮されていない。」
【検証7】橋下・松井府政は、「教育」を大幅に劣化させた
最後に、最もミクロな視点として「教育」について確認してみましょう。
そもそも「橋下維新」は、教育改革を熱心にやってきた、ということを声高に喧伝しています。
http://oneosaka.jp/policy/result2/#achievement4
ところが、その橋下府知事による「教育改革」が開始され始めると同時に、小中学校の教育現場が明確に「荒れて」きてしまったことがデータより示されています。
https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/701430413291238?pnref=story
ご覧の様に、大阪府は全都道府県中、暴力行為発生件数は6位から1位に、不登校児童数は18位から6位になったのです。
一方で、こうした「学校教育の荒廃状況」や、橋下・松井府政における現場の実情と乖離したあらゆる種類の「改革」(詳細は、教育学者の小野田教授の下記資料をご確認ください)は、大阪の教育現場に就職しようとする関係者を激減させることとなっていきました。
http://satoshi-fujii.com/wp/wp-content/uploads/2015/05/sympo1_onoda.pdf
その結果、下記グラフからも明確なように……
https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/701432479957698?pnref=story
橋下知事就任時、京阪神都市圏を抱える三府県(大阪・兵庫・京都)の、小学校の教員試験の倍率はほぼ同じ(むしろ、大阪が一番高い)状況でしたが、橋下・松井府政下の教育現場の悪化を受けて、先生のなり手が減少、一方で、そうした先生方が、周辺府県(兵庫・京都含む)に流れてしまったのです。
つまり、大阪府の子供達を教育する優秀な先生方の多くが、他府県に流出してしまっているのです!
この問題は、明るい大阪府の未来を考える上で、極めて重大な問題です。手遅れになる前に、何とかする必要があります。…(引用ここまで)