「読売」が衆参代表質問 「2大政党の論戦がお粗末だ」という社説を書いた。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120130-OYT1T01234.htm
実は、お粗末なのは「読売」だ。理由は
「自民がダメなら、民主、民主がダメなら自民」という発想で「政権交代可能な二大政党制」を煽ってきたのは他ならぬ「読売」など全国紙だったからだ。
ところが「民主、自民の2大政党の対立で、国政の停滞がさらに続くことにならないか。そうした懸念を抱かせる論戦だった」「2大政党が政治を前に動かせず、存在感が薄いために、次期衆院選をにらんだ、第3極の主導権争いが目立つという構図だ。両党は、この現状にもっと危機感を持ち、合意を目指す努力を尽くすべき」というのだ。
「読売」の危機感が吐露されてしまっていて、笑ってしまう!だが「読売」などマスコミは、このような二大政党制の劣化現象を作り出してきた張本人なのに、自省することなど微塵もないだろう。自民もダメ、民主もダメなら、次は政界再編に打って出てくるだろう。或いは今度は「第三極」(橋下維新の会・石原新党など)を、新たな二大政党制の一方として煽っていくのだろう。
新自由クラブ・日本新党・新進党・自由党・そして民主党が良い教科書だ。そう言えば、教科書は他にもある。自民党を脱党した東大教授だった枡添氏も賞味期限が切れたのか、世論調査では総理大臣候補にもなっていない。
国民も、こういう歴史を教科書に学び、新しい日本改革の方策を模索する時にきているのだろうな。
このことは徳川政権の矛盾が噴出してきた19世紀をみてみるとわかる。内にあっては資本主義的生産様式等の芽が育ち、外にあっては欧米資本主義の波が押し寄せてきたこと、このエネルギーが封建制を基盤とした武士政権を変革することになったのだ。
今、自民党単独・自公・民主国新政権というの「旧い枠」のなかでのあれこれのゴマカシではすまないような事態が起こってきているのだ。これを必死になって守ろうと、彼らの基盤になっているイデオロギーを、毎日毎日垂れ流しているのだ。
事実、旧い枠組みを改めよと迫った共産党の質疑は、テレビで少し報道された程度でほとんどとりあげていない。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-01-28/2012012804_01_0.html
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-01-31/2012013104_01_0.html
彼らのイデオロギーの好材料の一つが、昨日の春闘を評価する各社の社説であるし、昨日の「米軍削減で増す日本の役割」と題する日経の社説だ。
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g
日経は、財政危機に見舞われている我が日本のお家事情を脇において、「厳しい台所事情から、米軍は世界戦略の『選択と集中』を迫られている。アジアの安定を保つために、日本やオーストラリア、韓国といった米国の同盟国はより多くの役割を果たす必要がある」と述べているのだ。そんなカネがどこにあるのか!と言いたい。「アジアの安定を保つために、日本」は軍事力でなく、非軍事の平和外交を駆使すべきであるが、そのような発想は全くの「想定外」なのだ。「抑止力神話」なのだ。
「米軍の縮小がこれで終わる保証はない。米国の民主、共和両党は、中期的な財政支出の削減案をめぐって決裂したままだ。このままなら国防予算は大幅な追加削減を強いられかねない」と心配しているのだが、アメリカに見習って軍事費を削る=身を切るという発想も「想定外」だ。
「いま大切なことは、米軍のアジア太平洋への関与が後退しないよう、同盟国から米側に働きかけていくことだ。もっとも、言葉で要求するだけでは効果が薄い。同盟国としても行動によって米軍の関与を支援していく必要がある」として、財政難で国民に「痛み」を要求しているくせに、「米軍の負担を肩代わりするため、日本にできることは少なくない。米軍と自衛隊の基地の共同使用の拡大や、対中戦略の要所となる日本の南西諸島の防衛強化もその一例」と沖縄県民の苦悩を無視した対処方法を提案しているのだ。そればかりか、「米国防総省は今回、ステルス戦闘機F35の調達を遅らせる方針も決めた。自衛隊はF35を次期主力戦闘機に選んだばかりだ。その調達に支障が出ないよう、米側としっかり協議してほしい」と、「金属疲労試験の結果、機体に多数の亀裂が生じる恐れが明らかにな」(時事通信12月3日・12月13日付)った不良品に血税を使い、アメリカを助けろと言っているのだ。こういう事実は彼らの「抑止力」論の破綻をも示してしまった。
この軍事費については「週刊東洋経済」(1月21日)の「防衛産業を大解剖! 自衛隊のコスト」が参考になる。
装備調達先のトップは99年から09年まで一貫して三菱重工だ。05年の2417億円から02年の3481億円の間で税金が支払われているのだ。2位は川崎重工、三菱電機、三位は三菱電機、川崎重工、日本電機、4位は日本電機、石川島播磨重工、東芝、川崎重工、5位は石川島播磨重工、東芝、富士通、日本電機、アイ・エイチ・アイマリンユナイテッドである。
三菱重工は2010年では世界の防衛産業の売上げは26位、30億ドル、軍需産業依存度は8.7%となっている。まさに「死の商人」と言える。
だが、さらに、興味深いのは、軍需産業の構造だ。
護衛艦の直接契約社は72社だが、一次下請けは1378社、二次下請けは1073社、合計約2500社
90式戦車の直接契約社は6社、一次下請け329社、二次下請け953社、合計約1300社
F15J戦闘機は直接契約社は13社、一次下請け530社、二次下請け593社、合計約1100社
ペトリオットは直接契約社は4社、一次下請け125社、二次下請け1093社、合計約1200社
これだけ多くの軍需産業が国民の血税をいただいて商売をして儲けているのだ。これらが日本の「抑止力」論を支えているのだ。
このことは危険な艦載機問題よりは生活・まちづくりの候補者を圧倒的に選択した岩国市長選挙における住民の投票行動によっても示された。以下の記事をみると、軍事・平和問題は投票行動の基準にはならなかった。かつて原発の危険が「想定外」として争点にならなかったと同じだ。
岩国市長選3氏がお願い終了 中国新聞 http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201201290012.html
米海兵隊岩国基地への空母艦載機59機の移駐が2年後に迫り、愛宕山地域開発事業跡地は米軍住宅用などとして国に売る方針となった。基地をめぐる状況が大きく動く中、各候補の最重要施策は艦載機問題、まちづくり、減税と多岐にわたり論戦の焦点はかすんだ。
選挙:岩国市長選 きょう投票 3候補、支持の広がりに手応え /山口毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120129-00000114-mailo-l35
吉岡陣営の選挙母体「住民投票を力に豊かな岩国をめざす会」の松田一志代表は「艦載機移転反対、愛宕山の米軍基地化阻止の主張に、手応えを感じた」。「高校教諭を務めた吉岡候補には幅広い年代の教え子がいるのも強み」と支持の広がりを期待した。
福田陣営の竹中正之後援会長は「『夢をかたち』にをスローガンに五つの政策を打ち出して臨んだ。若者が夢を持て、お年寄りも安心して暮らせるまちづくりの主張も好評」と話し、「投票率が下がると現職有利と言われるが挑戦者なのでアップしてほしい」と気をもむ。
井原陣営の南部博彦後援会長は「市民税減税の訴えが浸透し手応えはある。草の根運動の成果で、基礎票もあり、期待したい」と述べ、「政策論争が盛り上がらなかったのが残念。公開討論会が実施できれば、主張の違いを明確にできた」と気がかりを述べた。
F35導入にみるように、今後、ムダな軍事費を削らせる、身を切らせるためには論艦載機問題にどのように住民の生活問題をリンクさせていくか、そのことを抜きに基地問題や軍事費問題は国民のなかに浸透していかないのではないだろうか。軍需産業の構造を見て、特に思う。
丸腰の阿波根の知恵暴力の抑止とならむ命どぅ宝に