天安門における車の炎上事件の「真相」が中国政府から発表されました。しかし、HNKの報道を視ていると以下のことが判ります。
一つには、中国政府の発表を全く信用していないことが、その日本語から判ります。二つ目は、ウイグルの独立運動を支持する側の立場から報道していることが判ります。三つ目は、この行為がテロ行為であるならば、日本国内におけるテロ対策キャンペーンと同じように、徹底して批判しなければならないにもかかわらず、そのような批判的言葉は、ウイグル族の言葉を伝えているだけです。四つ目は、この行為が中国政府に対する抵抗闘争、革命闘争として位置づけるのであれば、徹底して反中国キャンペーンをはった中国の市場経済と連携する日本企業に対する暴行行為=暴力行為は、日本政府に対する中国政府の甘さを糾弾する反中国政府運動として報道されなければなりません。
この問題に対する日本政府は沈黙です。これは、これで一つの選択です。日本のマスコミの異常報道は、どうでしょうか?検証されなければなりません。勿論、愛国者の邪論は中国政府をなんでもかんで支持するというようなことは、言っていません。日本の報道振りを問題にしているのです。このことを強調しておきます。
このように矛盾に満ちた報道が何を意味しているか、注目していきたいと思います。以下、報道を一覧しておきます。ご検討ください。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131031/t10015696351000.html
中国・北京の天安門広場の近くで車が歩道に突っ込み、炎上した事件で、車内で死亡した3人や拘束された容疑者たちは名前からいずれもウイグル族とみられ、事件を「テロ」だと強調している習近平政権は、今後、ウイグル族に対する締めつけをさらに強めることが予想されます。今月28日に天安門広場の近くで車が歩道に突っ込み、炎上した事件は、車内にいた3人を含む5人が死亡したほか、日本人男性1人をはじめ、40人がけがをしました。30日夜、国営の中国中央テレビなどは、捜査当局が、車内で死亡した3人と共謀して事件に関わった疑いで容疑者5人を事件発生からおよそ10時間以内に相次いで拘束していたと伝えました。車内の3人は、男とその妻、それに男の母親だということで、拘束された5人とともに、名前からいずれもウイグル族とみられています。国営メディアは、「夜を徹した捜査で事件を解明した」などと伝えており、迅速な解決をアピールすることで動揺が広がるのを防ぎたいものとみられます。一方、事件の背景について、国営メディアは、組織的で計画的な「テロ」だと強調し、容疑者たちが滞在していた場所からイスラム教の「聖戦」を意味することばが記された旗が見つかったと伝えており、断定は避けつつも、ウイグル族の中のイスラム過激派による犯行だと印象づけています。新疆ウイグル自治区では、宗教活動などに対する抑圧的な政策への反発からウイグル族の抗議行動が相次いでおり、習近平政権は今回の事件を契機にウイグル族への監視や締めつけをさらに強めることが予想されます。
天安門付近で車炎上 容疑者5人拘束か 10月30日 21時36分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131030/k10015687861000.html
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中国・北京の天安門広場の付近で28日、車が歩道に突っ込んで炎上した事件で、中国の国営メディアは、捜査当局が事件を「テロ」と断定したうえで車内で死亡した3人のほかに事件に関わっていた疑いで、容疑者5人を事件当日に拘束していたと伝えました。この事件は28日、日本時間の午後1時すぎ、北京の天安門広場の付近で車が歩道に突っ込み炎上したもので、車内にいた3人と、巻き込まれた観光客2人の合わせて5人が死亡したほか、日本人男性1人を含む観光客など40人がけがをしました。国営の中国中央テレビなどは日本時間の30日午後7時すぎ、捜査当局がこの事件を組織的で計画的な「テロ」だと断定したうえで車内で死亡した3人のほかに事件に関わっていた疑いで、容疑者5人をすでに拘束していたと伝えました。拘束された5人は名前から、いずれもウイグル族とみられていて、5人は、事件の発生後およそ10時間以内に相次いで拘束されたとしています。また、炎上した車で死亡した3人は男とその妻、それに男の母親だということです。
車には新疆ウイグル自治区のナンバーがつけられていて、3人は車内に用意したガソリンに火をつけて車を炎上させ、車内からは刀や鉄の棒、それに宗教的な内容の過激な言葉を記した旗などが見つかったと伝えています。さらに拘束された5人は死亡した3人とは知り合いで、共謀して事件を計画したことを認めているとしているほか、捜査当局はこの事件に関わった容疑者全員を拘束したとみているとも伝えています。5人は事件の当日に拘束されていたことになりますが、中国政府は今回の事件を受けて、国内に動揺が広がらないよう発表の内容やタイミングについて慎重に見極めていたものとみられます。
車炎上でウイグル族 締めつけ懸念 (10月30日 19時21分)
車炎上でウイグル族 締めつけ懸念 10月30日 19時21分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131030/k10015686781000.html
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中国・北京の天安門広場の付近で車が歩道に突っ込んで炎上した事件で、捜査当局は車内で死亡した3人のほかにも新疆ウイグル自治区の出身者が事件に関与した疑いがあるという見方を強めています。事件後、自治区ではウイグル族の摘発が始まったという情報もあり、ウイグルの人たちでつくる団体は当局による締めつけが強まることを懸念しています。
この事件では、炎上した車内にいた3人と、巻き込まれた観光客2人の合わせて5人が死亡したほか、日本人男性1人を含む観光客など38人がけがをしました。関係者によりますと、北京の捜査当局は、車内で死亡した3人のほかにも政府に不満を持つ新疆ウイグル自治区の出身者が事件に関与した疑いがあるという見方を強めていて、中国版ツイッターのウェイボーには29日、当局が手配した容疑者とされるウイグル族の男女7人の名前と顔写真が掲載されました。関係者によりますと、捜査当局は新疆ウイグル自治区に捜査チームを派遣して背後関係などについて調べを進めていて、自治区の各地ではウイグル族の摘発が始まったという情報もあるということです。これに対して、中国国外に住むウイグルの人たちでつくる世界ウイグル会議のラビア・カーディル代表は声明を出し、「中国当局はテロとの戦いを名目にウイグルの人々への抑圧を正当化しようとしている」などと、政府側が意図的に情報を操作している可能性を主張し、当局による締めつけが強まることを懸念しています。関係者によりますと、中国政府の宣伝部門は今回の事件についてどのような形で発表するか、慎重に検討を進めているということで、国内に動揺が広がらないよう事態をいかに収拾するか、当局が苦慮していることがうかがえます。中国版ツイッターに容疑者とされる7人中国版ツイッターのウェイボーに掲載された容疑者とされる7人は、25歳から59歳の男3人と27歳から70歳の女4人で、全員が新疆ウイグル自治区出身のウイグル族とされています。ウイグル族は、自治区の人口の半数近くを占め、政治や経済活動における漢族との格差や宗教活動に対する政府の締めつけになどに不満を募らせ、特に7人の出身地とされる東部のトルファン地区や南部のカシュガル地区ではここ数年抗議行動を活発化されています。このうちトルファン地区では、ことし6月、刃物を持った集団が警察施設などを襲撃し、警官や住民合わせて35人が死亡しました。こうした事態を受けて中国政府は、大量の治安部隊を投入し監視を強化していて、ウイグル族に対する締めつけを強めています。
ウイグル族の人たちは困惑
捜査当局が中国政府に不満を持つ新疆ウイグル自治区の出身者が関与した疑いがあるという見方を強めるなか、ウイグル族が多く宿泊する北京市内のホテルの前の道路は人通りが少なく、警備が強化された様子は見受けられませんでした。通りかかったウイグル族の人たちに事件のことを尋ねると、多くは困惑した様子で「詳しく知らない」と答えました。
新疆ウイグル自治区南部のカシュガルから来たという男性は「よいことであれば支持するし、悪いことであれば支持しません。どんな人であってもそれは同じです」と話していました。また、ウルムチから来たという女性は「ウイグル族が事件を起こしたのだとすれば、それはしてはいけないことです。同じ中国人なのですから」と話していました。
中国外務省「関係部門が調査中」
今回の事件について、中国外務省の華春瑩報道官は30日の記者会見でも、「関係部門が調査中だ」として、詳しい言及を避けました。会見で記者が事件についてテロとの関連を質したのに対し、華報道官は「関係部門が調査中であり、その調査結果を待つべきである」と述べました。また、外国人の死傷者への対応に関連して、「関係国の大使館に対して情報提供や説明を行っている。日本もその1つで、けがをした人への面会にも必要な協力を行った。最後まで適切に処理できるよう引き続き必要な協力を行っていく」と述べました。
中国メディアはほとんど伝えず今回の事件について中国のメディアは、事件発生当日の28日は死者やけが人などの情報や当局の対応について伝えました。しかし、29日から30日にかけてはほとんど伝えておらず、中国中央テレビや新華社通信などの国営メディアは、30日は事件について一切報道していません。中国メディアの関係者によりますと、今回の事件について中国当局は報道機関に対して独自の報道を禁じたということで、今回の事件が引き金となって国内で動揺が広がらないよう中国当局が神経をとがらせているものとみられます。
2013年10月30日放送 21:00 - 22:00 NHK総合 ニュースウオッチ9 (ニュース)http://datazoo.jp/w/%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%82%B0%E3%83%AB%E6%97%8F/16693075
中国の天安門付近で車が歩道に突っ込んで炎上した事件で、国営テレビはさきほど容疑者5人がすでに拘束されていると伝えた。いずれもウイグル族とみられている。世界ウイグル会議ラビア・カーディル代表は「中国当局テロとの戦い名目にウイグルの人々への抑圧正当化しようとしている」と話した。専門家は「テロ行為だと仮に断定してしまうとそれはそれで問題が非常に単純化される。テロなので新疆の独立運動は封じ込めなければいけない、と。独立運動に対する締め付けをする口実となる。政治的にこの事件を利用しようと思えば利用できる」と話した。
2013年10月31日放送 0:00 - 0:10 NHK総合時論公論天安門車炎上事件の衝撃
中国の天安門で、3人のウイグル族が乗った車が大勢の観光客の中に突っ込み炎上したという事件が起きた。今夜は、この事件の背景と習近平体制のもと、深刻な矛盾を抱える中国の政治社会体制について考える。4年前には、ウルムチ市内でウイグル族が漢族を襲撃したことにより治安部隊と衝突し200人近くが死亡した。当時の胡錦濤政権は“和諧社会”をスローガンに掲げており、比較的早く事態は収束した。ところが、去年の秋に習近平政権が誕生すると思想の引き締めが強調され、力によって人々の不満を抑えこむという姿勢になった。習近平新政権が全国に通達した禁止令として、西側の「普遍的価値観」の宣伝、共産党政権の社会的基礎瓦解、共産党のメディア管理体制に挑戦することなど7項目を禁止した。今回の車炎上事件を巡っても、現場で撮影された画像がインターネットからすぐに削除、外国語テレビのニュース映像が中国では中断され見られなくなるなど当局の厳しい姿勢を反映した対応が取られている。今回の車炎上事件は、この夏から断続的に行われてきたウイグル族に対する警察当局の摘発との関連がありうると想像できる。一方、中国共産党は経済成長を続けているが、貧富の拡大などで国民の不満は高まっている。加藤青延解説委員は、「中国当局は、事件に関わった人たちを検挙し力でねじ伏せようとしているに違いない。しかし、力の弾圧だけでは国民の不満を抑えこむのは不可能。今回の事件は習近平国家主席を頂点とする中国の最高指導部の前途が険しい道のりになることを私達に予見させるものと言えそうだ。」と述べた。
天安門の車炎上事件 その背景は 10月31日(木)