期待されていない民主・維新の「合流」「統一」なのに
政党の綱領・政策など中身ではイマイチ不鮮明なのに
期待感を露わにする新聞社説!
東京 共同通信社による直近の世論調査では、内閣支持率は40%台を維持しているが、支持理由は首相以外に「ほかに適当な人がいない」が最も多く、約四割に達する。政権批判票が行き場を失ったままでは、野党の責任は免れまい。批判票の受け皿づくりはもはや、野党最大の責務と心得るべきだ。
デーリー東北 甘利明前経済再生担当相が金銭授受疑惑で辞任した直後の共同通信世論調査によると、政党支持率は与党の自民党が42・1%、公明党4・1%だったのに対し、野党は民主党が9・5%、共産党3・4%、社民党1・3%、生活の党0・5%、維新の党0・3%。野党5党の支持率を合計しても、自民党の半分に届いていない。野党はこの数字を、自らの存在感や期待感の薄さとして厳しく受け止めなければならない。
岩手日報 共同通信の世論調査では民主、維新の合流について「一つの党になった方がよい」という回答はわずか2割。「一つの党になる必要はない」が6割を超えた。両党は、この期待感の薄さをかみしめることから始めるべきだ。合流だけでは安倍政権の対抗軸にならないと有権者が感じている。なぜだろうか。今夏の参院選はもちろん、安倍晋三首相が打って出るかもしれない早期の解散・総選挙に備えて早急に「新党」を立ち上げたいという思惑が先に感じられるからではないか。アベノミクスへの不満、安保法制の成立強行への批判、原発再稼働への不安、さらには「自民1強」のおごりや緩み。これらの「各論」では、安倍政権に対する有権者の目は厳しい。しかし、内閣支持率という「総論」では、さほど落ちない。世論調査で最大の支持理由は「ほかに適当な人がいない」に落ち着く。結局は、現在の野党が政権の受け皿として力不足とみられていることに他ならない。「安倍政権の暴走を食い止める」「目指しているのは政権交代だ」。両党の代表は合流の目的をこう語る。だが、今のところは手続き論が先行している。
京都 共同通信社が先週末に行った世論調査でも両党合流の「必要はない」が65%と肯定派の20%を大きく上回った。相次ぐ政党の離合集散に振り回されてきた国民から信頼を得るには、何を目指すのかを明確にすることが急務だ。
山陽 共同通信社が20、21日に行った世論調査では、民主と維新が「一つになった方がよい」は20・9%で、「一つになる必要はない」が65・9%だった。安倍内閣を支持しないと答えた人の中でも、62%が反対を占めた。新党への期待値は低く、このままでは参院選で「反自民」の民意の受け皿となるのは難しい。「自民1強」の状況を変えるには、野党が存在感を高めることが不可欠だ。与党との対立軸を明確にし、参院選で有権者に選択肢を提示しなくてはならない。政府のやり方に何でも反対するだけでは、政権交代可能な存在にはなり得まい。両党は危機感を持ち、しっかりとした理念や政策を打ち出してもらいたい。
徳島 共同通信社が先日実施した全国世論調査では、民主、維新両党が「一つの党になる必要はない」との回答が65・9%に上った。合流に国民の期待が集まっていないということだ。この厳しい現実を受け止めれば、内向きの議論をしている場合ではなかろう。新しい旗をしっかりと立てられなければ、巨大与党に対抗することなど到底できまい。
愛媛 実際、共同通信が20、21日に行った世論調査では、民主と維新が「一つになった方がよい」は20.9%、「一つになる必要はない」が65.9%。新党への期待値は低い。 一連の野党の動きを、自民党は「野合」と批判している。しかし同じ調査で、内閣支持率は46.7%だったが、支持理由は首相以外に「ほかに適当な人がいない」が最多。政権批判票が行き場を失った現状を打破することは、野党の重要な責務だ。
安保でも財界・消費税でも、政党助成金・憲法でも
安倍政権の対抗軸は鮮明な共産党なのに
シカトする社説の言質!
朝日 それでも、これからの日本がめざすべき社会の姿や共有すべき価値観は何なのか。はっきりと国民に示せなければ、政権交代の選択肢にはなり得ない。
毎日 小選挙区制度の下で党の右傾化は進んだ。自民党全体が「右」に寄った分、かつてのハト派の理念や政策を主張する勢力は空白になったといえる。だからこそ、空白を埋める受け皿の構築が野党の中に求められる
日経 日本経済をどう再生させるのかをはじめ、憲法や外交・安全保障など基本政策でずれを抱えたままで二大政党の一翼を担うことはできない。
産経 目指す政治理念の実現に向けて離合集散を重ねることは、否定されるものではない。だが国費をもらいながら政党を作っては壊し、結局はもとのさやに収まる。
東京・中日 共産党は、安保関連法廃止と集団的自衛権の行使を認めた閣議決定撤回を選挙協力の条件とする。妥当な判断だ。これに限らず、企業・団体献金禁止や企業寄りの労働法制撤廃、原発に頼らないエネルギー政策など、可能な限り幅広く政策合意を進めてほしい。安倍政治とは違う理念・政策の選択肢を地道に練り上げるしかあるまい。問われるのは見た目でなく中身である。
北海道 野党には対抗軸の構築が求められている。両党の合流がその出発点となるなら一定の意義はある。
ただ、基本となる政策をめぐって党内の足並みがそろわないようでは、野合との批判は免れない。
東奥 安倍晋三首相率いる自民、公明両党の連立政権に対抗しうる勢力を結集しようという動きは評価したい。政権側は票目当ての合流だとして「野合」批判を強めている。合流ありきで、国民、支持者そっちのけの数合わせに走れば、逆に安倍政権の1強状態を助長することになりかねない。
デーリー東北 野党が今、果たすべき役割は「安倍1強政治」に懸念を抱く民意を受け止める態勢づくりを急ぐことだ。昨年の安全保障関連法成立阻止が野党協力の出発点だったことを踏まえ、安保法廃止と憲法改正阻止の合意を軸として選挙協力の実現に汗を流すべきではないか。
岩手日報 「政権交代」だけで勝利したものの、政権を失った苦い経験をどう克服したのか。民主党はそれを示さなければ、選挙目当ての新党というマイナスイメージから抜け出せないだろう。一連の動きが、与党が指摘する「野合」に終わるのか。それとも安倍政治の転換につながるのか。選択に足る受け皿をつくるべき野党の存在感が問われている。
秋田魁新報 国会論戦の中で政策を実りあるものにしていくには、与党に対抗し得る野党の存在が欠かせないが、現状は巨大与党に押し切られることが多い。民主と維新は与党との対立軸をなるべく早く示し、よい良い政治の実現に力を尽くすべきだ。 野党として参院選で「自民1強」の打破を目指すのであれば、中央レベルだけでなく、地方レベルでも有権者に対立軸と選択肢を明確に示すことが求められる。
河北新報 鍵を握るのは明確な新党の旗印と国民本位の政策の提示で、政権との対立軸の鮮明化を図ることが重要だ。
神奈川新聞 民・維合流は政権交代の受け皿づくりと有権者の選択肢を広げる契機となろう。...
信濃毎日 なぜ合流か、何を目指すのか。政治の現状に不満を持つ有権者の受け皿となるためには新たな理念や政策を分かりやすく示す必要がある。巨大与党に対抗するには野党の結集、共闘が欠かせない。政治に緊張感をもたらすため、合流で勢力を拡大することは、一つの方法である。大事なのは、形より中身だ。世論調査では、民主と維新が「一つの党になる必要はない」との回答が6割を超えている。新党結成が生き残り策、理念を欠いた野合であるとすれば、幅広い支持は得られない。
富山新聞 民主党の岡田克也代表は1月の党大会で「大切なことは政策、理念が共有され、本気で政権を担う政治勢力ができるかどうかだ」と述べていた。政党の離合集散が繰り返されるたびに言われることで、民主、維新による新党づくりも、そのことに尽きる。理念や政策の違いだけでなく、生身の議員同士の確執もある。民主党とたもとを分かったはずの維新議員と再び活動を共にするには、根深い恩讐(おんしゅう)を超える必要もあろう。民主、維新両党は、「選挙目当ての野合」などと言われないよう、理念・政策本位の政界再編を進めてもらいたい。
福井 肝心の野党第1党・民主党も安倍政権に対抗できるだけの政策を打ち出せず、国の方向を決める安全保障関連法の議論でも今ひとつ主張が希薄なまま。党の勢いが感じられない。両党とも目指すのは政権交代である。野党5党による共闘にしても、政策の違いが厳しく問われる。支持者の思いを結束できなければ、安倍政権の危うい独走に拍車が掛かるだけだ。
京都 夏の参院選に向け、党名なども刷新して「新党結成」を印象づける方針だが、合流の体裁を整えるだけで有権者の期待を集めるのは難しい。自民党「1強」への対立軸を明確にし、野党勢力の結集に向けた大きな核にしていけるかが問われよう。
山陰中央新報 安倍晋三首相率いる自民、公明両党の連立政権に対抗しうる勢力を結集しようという動きは評価したい。しかし、この合流構想にはふに落ちない点がある。特に、維新の党を吸収する側であり野党第1党の民主党の党名を変更するなどの前提条件には首をかしげざるを得ない。合流ありきで、国民、支持者そっちのけの数合わせに走れば、逆に安倍政権の1強状態を助長することになりかねない。綱領の方向性は変わらないとみられるが、党名は維新の党が「民主」が含まれない案を求めており、全く違ったものとなる可能性がある。世論調査という政治家としての主体性を放棄するかのような方法もさることながら、そもそも名前を変えなければならない必要性があるのか。
山陽新聞 「自民1強」の状況を変えるには、野党が存在感を高めることが不可欠だ。与党との対立軸を明確にし、参院選で有権者に選択肢を提示しなくてはならない。政府のやり方に何でも反対するだけでは、政権交代可能な存在にはなり得まい。両党は危機感を持ち、しっかりとした理念や政策を打ち出してもらいたい。
中國 昨年9月の安保法成立から5カ月もの間、野党共闘の声があっても進まなかった背景には、政策や主義・主張が異なる共産への違和感があったのは間違いないところだ。有権者にしても安保法反対という一点だけでは1票を投じる判断が難しいはずだ。経済や外交をめぐる各党の隔たりは小さくない。本来なら野党再編で「対立軸」を明確につくる方がすっきりする。だが焦点となっていた民主と維新の党との合流構想にしても一向に前に進まず、今回の世論調査でも65%が「一つの党になる必要はない」と答える始末だ。
徳島 民主、維新両党には、考え方を異にする政策も少なくない。それらを乗り越え、基本的な理念や政策を明確に打ち出すことができるのか、注目したい。名前を変えたからといって印象が良くなり、支持が高まるわけでもなかろう。この厳しい現実を受け止めれば、内向きの議論をしている場合ではなかろう。新しい旗をしっかりと立てられなければ、巨大与党に対抗することなど到底できまい。
愛媛 「自民1強」の状況を変えるには、野党が存在感を高めることが欠かせない。安倍政権への批判票の受け皿づくりは野党の重要な役割だ。ただ合流は夏の参院選対策の思惑が先行する。新党結成がなぜ必要なのかを有権者に説明し、党の理念や政策の策定を急ぐべきだ。与党との対立軸を明確にし、有権者に選択肢を提示する必要がある。 与党時代を省みて、問われるのは見た目ではなく、中身だと肝に銘じてもらいたい。 政権批判票が行き場を失った現状を打破することは、野党の重要な責務だ。野党共闘は、安倍政権の強硬姿勢に歯止めをかけられない危機感の表れと評価したい。安保関連法廃止に限らず脱原発や企業寄りの労働法制撤廃、企業・団体献金禁止など幅広い分野で政策合意し、勢力を結集しなければなるまい。目先の協力にとどまらず、選挙後の連携も見据えた政治の方向性を有権者に示してもらいたい。
高知 国の根幹である立憲主義や憲法の平和主義が揺らいでいる今こそ、安倍政権に代わりうる選択肢を示す意義は理解できる。巨大与党に対抗するにはばらばらではなく、選挙協力も必要だろう。 問題は安倍政治とは異なる、「選択肢」の中身である。民主、維新の合流も選挙協力も、理念と政策の議論を深めておかなければ、やがて破綻をきたすのは目に見えている。憲法や安保以外にも、広がる一方の格差社会をどうするかなど、日本の針路がかかる問題は事欠かない。魅力的な選択肢を有権者に示せなければ、合流新党も単なる看板の掛け替えに終わりかねない
西日本 「自民1強」とは「野党多弱」の裏返しにほかならない。憲法改正のように重大な判断を国民に求めるならば、時の政権とは異なる選択肢を提示するのが政治の役割である。国民も信頼する健全な野党が議会制民主主義に不可欠なのはあらためて言うまでもない。政党の都合による選挙対策か。それとも政治に緊張感を呼び戻す契機となるか。有権者が問いたいのは野党の責任と使命である。
南日本 政治の活性化のためにも、政権批判の受け皿となる野党の存在は重要だ。合流新党は、有権者の選択肢となりうる政策を明確に示さなければならない。「野合」と批判されないためにも、対立軸をどこに置くのか、しっかりと議論してほしい。